内閣支持下落、自民都議に動揺 「いつも国政の風」(朝日新聞)
東京都議選を目前にした安倍内閣の支持率下落で、自民党の立候補予定者たちに動揺が走った。安倍首相は「あくまでも地方選挙」と国政と切り離す考えだが、「風」の影響を受けやすい都議選は、これまでも国政に左右されてきた。都議たちは危機感を抱く。
「都議選はいつも、我々都議の実績ではなく、与党の支持率に左右される。我々の評価ではないのだよ」
青梅市で6選をめざす自民都議(76)は、支持率下落に頭を痛める。23日告示の都議選で、小池百合子都知事の「都民ファーストの会」の新顔、共産推薦の無所属新顔と1人区で争う。小池知事の人気と、前回まで支援してくれた公明党の離脱という二つの「逆風」で、陣営の危機感は強い。
……とまぁ、以前にも書きましたけれど大半の有権者にとっては地元の政治などより、新聞やテレビ、ネットを通して知る国政の方が身近に感じるものなのではないでしょうか。地方の議会で何が争われているかは、それなりに関心を持って調べてみないと分かりません。しかし国政の話題なら、主体的に調べずとも自然と耳に入ってくるものです。そして国政のイメージのままに地方議会の選挙でも票を投じているのが当たり前なのかも知れません。
こうした政治風土から最大の恩恵を受けてきたのが民主/民進党で、しばしば地方では自民党と相乗りで首長を支える与党でありながらも国政での野党イメージが浸透しているため、「(地方では)与党なのに与党への批判票の受け皿になる」のが慣例でした。こうした偽装野党のために、本物の野党が与党への批判票を取り込めず、与党への批判が強いのに与党(民進党)に票が入って与党が強化される、みたいなこともあると言えます。
それはさておき東京都議選です。地方議会といえど東京ならば国政に近いレベルで報道機会も多い、国政ではなく東京都議会における争点にも一定の知名度はあるはずです。しかしながら、この東京に置いてすらやはり、「いつも国政の風」なのだとか。実際問題、国政レベルでの政党支持率は地方議会選挙の結果と密接にリンクしているわけです。地方議員が何を訴えようと、勝敗の鍵は国政が握っています。
上記引用では「青梅市で6選をめざす自民都議(76)」の発言が取り上げられています。取材源を隠したがるのは報道の常かも知れませんが、ここは実名報道の方が良さそうな気もしますね。所属政党だけが報道されて自分の名前は伏せられるとあらば、候補者が「我々の評価ではないのだよ」と嘆息するのも致し方ありません。有権者だけではなく新聞報道まで、候補者そのものではなく所属政党にしか重きを置こうとしていないのですから。
むしろ(76)という情報の方がいらない、年齢で人間を判断させようとする考え方の方が私は嫌ですね。女性を年齢で品定めすれば非難されますが、政治家だって同じことです。若さをアピールして歓心を買おうとするのは、性産業であろうと政治の世界であろうと、同レベルに品位を欠く行為です。そして下品さも上等の業界ならいざ知らず、公正さが問われる選挙においては尚更のこと、ですね。
ともあれ、地方議会の議員がどう足掻こうと、より強力にモノを言うのは国政です。駄目な人でも国政レベルで好調な政党に属する候補者なら当選の見込みは強まりますし、立派な候補者でも国政で批判を浴びる政党からの立候補なら当選は難しいわけです。そして国政選挙でも結局は、本人の資質以上に政党支持率が当落を左右してしまうところはあります。結果として、そもそも人間としてどうかと首をかしげる類いの人間すら議員になったりもするのですが、どうしたものでしょうね。これもまた有権者の選択の結果なのですが。
ちなみに今回の都議選でも民進党の人が「安倍一強政治が云々」と宣っているようです。しかし、大阪では維新村に勝てない、名古屋ではたかし君と愉快な仲間達に勝てないのが自民党です。東京でも、都知事選では惨敗でした。安倍政権が本当に一強であるとは、私にはとても思えません。そして今回の東京都知事選はどうなるのか――まぁ自民党よりも強い地域政党や候補者の特徴はと言えば、自民党以上に問題の多いところだったりしますけど。