先週は岸田首相までもが新型コロナウィルスに感染する事態となりました。私の勤務先でも感染は相次いでおり自分もいつまで感染から逃れられるか不安を感じるばかりです。幸か不幸か岸田首相の場合はワクチン接種からちょうど抗体が高まるタイミングとあって症状は素人基準でも軽いようですが、そのせいか感染者数が高止まりする中でも感染対策の緩和は止まるところがありません。
岸田首相の場合はリモートワークで対応するとのことで政治には大きな混乱が生じていないようですが、しかし世間では脱リモートに舵が切られています。リモートワーク「させない」職場のコロナ感染者はどうしているのでしょうか。現状では一定期間の隔離が求められますけれど、丸々1週間も会社を休むような事態となると「本当に」忙しい人には大打撃です。致死率が低かろうとも、仕事に穴を開けられない「本当に」忙しい人はなんとしても感染を避けなければなりません。
しかるにBA5と呼ばれる昨今の流行の型は感染力が強く、個人の努力での感染防止には限界があります。そこは公衆衛生の水準を引き上げていく他ないはずですが、日本がやっていることは真逆です。勿論ヒマな人にとっては仕事に穴を開けるリスクなんて微々たるもの、さらに症状を甘く見ているようであればコロナ感染はちょっとした休暇期間ぐらいに感じられるのかも知れません。そうした人が世論の主流派を形成している結果が今に至るのでしょう。
リモートワークは緊急自体における事業継続計画の一つでもあります。組織のトップが疫病に感染したとしても隔離された環境で業務を継続できると言うことは人類の進歩の一つです。しかし健康であれば国会への「出勤」が義務づけられているのが現状で、リモートワークは非常措置としてしか受け入れられていないとも言えます。国家の長がリモートで対応しているのなら、官公庁も民間企業もそれに倣って良さそうなところ、しかしコロナ前の旧態依然たる働き方を正常と位置づける価値観は変わらないようです。
これだけ感染が広範に拡大すれば何事にも支障を来さずにはいられない、経済を回すためには感染を抑えなければならないはずですが、そういう方向とは真逆を向いているのは何故でしょうか。ただ会社に出勤しているだけ、雑談や喫煙で時間を潰して仕事をしているフリをしているだけの人を多く抱えているのなら、まぁ出勤できない人の割合が高まったところで大差ないのかも知れません。後は感染症対策を緩和して、経済を優先しているフリをするだけです。
あるいは新型コロナウィルスの感染症分類を格下げすることで、最終的には従来型のコロナウィルス(すなわち風邪)のように、感染していてもガンガン出勤、ガンガン外出する社会へと移行することが目論まれているのでしょうか。新型コロナ以前は電車の中でもオフィスでも、周囲を憚らずゲヘゲへと喉を鳴らして、辛くても頑張る自分をアピールする人が多かったわけです。いずれは新型コロナもそういう扱いになると思われますが、これは公衆衛生の面でも脅威であり社会の後退に他なりません。でもそれが、日本流の経済優先策なのでしょう。