非国民通信

ノーモア・コイズミ

なり手のいない職業

2019-03-31 23:16:55 | 政治

無投票選挙区、最多4割 4人に1人無投票当選 41道府県議選告示 統一地方選(朝日新聞)

 統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令指定市議選が29日、告示された。道府県議選では、立候補の届け出数が定数を上回らない無投票選挙区が全体の4割近くだった。無投票当選者は4人に1人を超え、いずれも過去最高を記録。立候補を届け出たうち女性の割合は12・7%で過去最高だが、依然として低水準だ。

 統一選で行われる道府県議選で無投票になる選挙区は急増している。今回は全945選挙区のうち371選挙区(39・3%)に上り、総定数2277のうち無投票で当選が確定したのは612人(26・9%)。いずれも記録が残る1955年以降で最高となった。なり手不足が背景にあり、有権者にとって4年に1度の投票機会を奪われる「選挙の空洞化」が加速している。

 

 とかく報道の対象になるのは「与野党対決」のある自治体ですが、実際のところ首長選で与野党対決が起こるのは稀で、だいたいは「自・民・公」vs「共産」ぐらいの無風選挙になりがちです。況んや地方議会選挙ともなれば事態は尚更のこと、泡沫候補すらいない無投票選挙区は4割に上ることが伝えられています。

 日本の議員報酬は高いとも、よく言われます。しかし実情を見れば、少なくとも地方議会の議員が「なり手のいない」職業であることに疑問の余地はありません。家族に「父さん、会社を辞めて議員を目指そうと思うんだ」などと相談してみれば、賛成してくれる人はいないでしょう。議員の「うま味」なんて、そんなものです。

 賃金水準の低さが原因で人が集まらないとされる職種は多々ありますが、地方議会議員も似たようなものではないかと思うわけです。道府県議選ですら無投票が4割に迫り、より規模の小さい市町村議員選挙ともなれば無投票はおろか定員割れすらも発生しているのが実態です。ならば、「議員になることの魅力」を高めることも考えなければいけないのかも知れません。

 議員報酬が高すぎると主張する人は山のようにいても、その議員報酬を目当てに出馬する人はいません。それも、マトモな就職先に乏しいはずの地方ほど、議員に立候補する人は少ないわけです。過疎化の最先端にある村の中には議会を解散して「町村総会」への移行を検討せざるを得ない地域もあるとか。実際に移行した結果がどうなるかは未知数ですが、自治会や町内会の公権力版ともなれば、今以上の不公正が蔓延るだけでしょう。

 昨今は外国人労働力の受け入れが盛んに国政議論の場に上りますが、その受け入れ対象の職種は専ら「日本人がやりたがらない仕事」に限られています。ただ現状を見るに、地方議会議員もまた「日本人がやりたがらない仕事」の範疇に入ってきているのかな、と思うわけです。ならば外国人地方参政権よりも先に進んだ議論があっても良いとすら感じますね。

 もっとも競争率は会社への就職よりも格段に低いとは言え、普通の人が0から議員を目指すのは、色々とハードルが高いのかも知れません。政党によるバックアップやノウハウの共有がなければ、スタートを切るのは難しいとも考えられます。自称・無所属の政治家が喝采を浴びることも多い時代ではありますが、しかし政治家の間の健全な競争を促す上では、政党の役割もまた失われることはないはずです。議席を得た後の政治的主張もさることながら、単純に候補者を立てることもまた政党の社会的責務なのでしょう。

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なんちゃら民主党vs共産党

2019-03-24 22:51:05 | 政治

知事選唯一の与野党対決、夏の参院選占う 北海道知事選(朝日新聞)

 北海道の新たなかじ取り役を選ぶ知事選が21日告示され、野党統一候補の石川知裕元衆院議員(45)と、与党などが推薦する鈴木直道前夕張市長(38)の無所属2人が立候補した。統一地方選として行われる11道府県知事選で唯一、与野党が全面対決する構図となった。4月7日に投開票される。

 

 朝日新聞は主要紙の中で最も旧民主党系諸勢力に好意的なメディアと言えますが、その朝日新聞によると北海道知事選挙が「11道府県知事選で唯一」の与野党対決なのだそうです。とかく選挙の度に野党面をしてきた民主党系諸派の支持者は、これを見てどう思うのでしょうね。

 確かに地方の首長選においては、自民党と旧民主党系諸勢力は対立する関係ではないわけです。野党を装って与党への批判票をかすめ取るのが得意でも、実際に野党として活動しているのかと言えば、色々と疑問符が付く政党もあるのですが――そういうのを一切気にしない人が、支持層には多いのかも知れません。

 一方、元民主系各党とは異なり野党であることに一切の議論の余地がないのが共産党です。そんな真正の野党である共産党は北海道以外の自治体でも概ね自民党に対立候補を立てて対決姿勢を露わにしています。ただ、どうも朝日新聞の眼中には入っていないようです。だから北海道が「唯一」なのでしょう。

 

統一地方選 4県で保守分裂 「一強多弱」背景も参院選に懸念(産経新聞)

 21日に告示された11道府県知事選のうち、福岡、島根、福井、徳島の4県は自民党支持層が割れる保守分裂選挙となった。平成27年の10道県知事選では保守分裂選挙はなかった。国政で自民党が主導権を握る「一強多弱」ゆえとの見方があるものの、地方選のしこりが参院選に影響することを懸念する声も少なくない。

 

 さて朝日新聞とは異なる視点を与えてくれる産経新聞は、自民党内の「保守分裂」に焦点を当てています。過去には東京都知事選において、自民党出身の小池百合子が自民党推薦候補を大差で下すなんてこともありました。自民党にとって立憲民主党や国民民主党など木っ端のようなものかも知れませんが、身内の造反者は違うと言えます。

 立憲民主党や国民民主党が明確に自由民主党と対決するのは北海道のみである一方、自民党が自民党と対決するのは4県に上るわけです。自民党にとって最大の敵は、立憲民主や国民民主ではなく自由民主なのでしょう。野党筋からは「一強」と呼ばれる安倍総理も、自民党内では必ずしも統制を取れているとは言えない、むしろ総理のメンツを潰すような振る舞いを平然と繰り返す議員・閣僚もいますから。

 巷では立憲民主党と国民民主党の間で支持母体や所属議員の引き抜き合戦みたいなものもありますし、この辺の自称野党出身者が自民党に移籍するケースもチラホラ出始めています。大局的に見れば、○○民主党内部の主導権争いみたいなものでしょうか。与党である○○民主党の安倍派、麻生派、石破派、そして枝野派と玉木派が、同じ○○民主党の中でグダグダやっている、一方で野党共産党は報道陣から無視されている――それが今の構図です。

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残業のかたち

2019-03-17 23:26:16 | 雇用・経済

 先日、上司の替え玉で労働局に研修を受けに行ってきました。もっとも非正規社員に毛が生えた程度でなんの権限もない私ですから、雇用側の管理者向け研修を受けたところで、それを何かに使う機会が訪れるとは思えません。まぁ会社的には労働局主催の研修に参加した実績が出来たわけですから、これでいいのでしょう。

 基本的には雇用者向けの、労働法の話もあれば、その抜け穴を暗に示唆するような話もありました。会社側の言い訳がどのように作られているか、何処までなら労働局が目をつぶるか、察することができないでもなかったですね。一方で労働時間の考え方については例外的に、会社側の一般的な見解と労働局のそれとで、相違を見せる部分もあったのが幾分か驚きでした。

 労働局の講師が例に挙げたのが「懇親会」の扱いで、会社が業務として出席を命じたのであれば、それは会社の士気命令下にあるのだから労働時間に該当する、というものでした。しかし私は会社の上司だけではなく、労働組合の分会長からも、懇親会は上長から出席を命じられた場合でも勤務時間には当たらない、と説明を受けています。

 自分でも頷けるのは労働局の方で、上司及び組合の考え方は間違っていると確信しています。とはいえ労働局の見解の如何によらず、労働時間を管理し、そこに給与を払うべきかどうかを決定するのは――労働時間を短くカウントしようとしている会社の管理職や組合の方だったりするので、懇親会出席はいつだってサビ残です。

 まぁ一般論として出張にかかる移動時間なんかも労働時間にカウントされませんけれど、日の出前に家を出て、日付が変わった後に家に帰ってくる、そんな日程にもかかわらず労働時間にカウントされるのは8時間で残業は0の扱いだったりすると、徒労感は尽きませんね。これも実質的にはサビ残の内に入りそうなものです。

 ちなみにサービス残業以外にも「アピール残業」略して「アピ残」とか、ラマダンならぬ「ラマ残」とでも呼ぶべきものが、日本中の職場で存在するのではないかな、とも思っています。つまりは「頑張っています」「たくさん仕事をしています」とアピールするための残業等々。

 私の職場でも、毎日チャイムが鳴ると同時に駆け込んでくる人がいます。始業ではなく、終業のチャイムが鳴ると、ですね。時間外にもかかわらず仕事に忙殺されている自分をアピールすべく、終業時間となるや俄に走り出し、周りを巻き込んであれやこれやと打ち合わせのセッティングなどを始めるわけです。彼は努力の甲斐あって、課長に昇進しました。

 営業社員のように明確な数値が結果として出てくるのならいざ知らず、非営業社員ともなりますと評価の対象は専ら「心意気」となりがちですので、そうした普通の職場では残業してやる気をアピールするのが出世への最短コースです。仕事は終業のチャイムが鳴ってから、そんな日夜アピ残に励む人々が、管理職として大活躍しています。

 一方では日中の飲食を絶つことで苦しみを共にし連帯感を高める、そんな習俗のある宗教もあるわけです。では日本の会社ではと振り返ってみれば、会社に己の時間を捧げるという苦しみを共にすることで連帯感を高める、そんな文化があります。言うなればラマダンならぬ、ラマ残ですね。

 なおムスリムのラマダンは特定期間に限られますが、日本の会社のラマ残は――当面のところは終わる様子が見えません。もちろんラマダンがそうであるようにラマ残もまた強制ではないのですが、ラマ残に参加しなければ、異教徒として扱われます。苦しみを共にしてこそ仲間、それが今も昔も変わらぬ家庭的な日本企業の文化ですから。

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賛同者も多いようではありますが

2019-03-10 21:54:04 | 社会

医師が「死」の選択肢提示 透析中止、患者死亡 東京の公立病院(毎日新聞)

 東京都福生市と羽村市、瑞穂町で構成される福生病院組合が運営する「公立福生病院」(松山健院長)で昨年8月、外科医(50)が都内の腎臓病患者の女性(当時44歳)に対して人工透析治療をやめる選択肢を示し、透析治療中止を選んだ女性が1週間後に死亡した。毎日新聞の取材で判明した。病院によると、他に30代と55歳の男性患者が治療を中止し、男性(55)の死亡が確認された。患者の状態が極めて不良の時などに限って治療中止を容認する日本透析医学会のガイドラインから逸脱し、病院を監督する都は6日、医療法に基づき立ち入り検査した。

 

 日本維新の会の参院選比例区公認候補である長谷川豊氏は、かつて「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と主張して注目を集めました。結果として氏は当時出演していたテレビ番組から降板することとなったわけですが、その反面では一定数の賛同者がいたもので、だからこそ政党の公認も得られたと言えるでしょうか。

 さて今回報道の「公立」福生病院では、ある意味で長谷川豊氏の主張したことを実践していたようです。患者本人や遺族が最後の瞬間まで後悔しなかったかはさておき、医療費の公的負担は少なく済んだのかも知れませんね。また引用元では医師の主張も伝えられていますが、それを読むと医師側の強い信条あっての判断であることが分かります。

 

 センターの腎臓内科医(55)によると、さらに女性は「透析をしない。最後は福生病院でお願いしたい」と内科医に伝え、「息が苦しい」と14日に入院。ところが夫によると、15日になって女性が「透析中止を撤回する」と話したため、夫は治療再開を外科医に求めた。外科医によると、「こんなに苦しいのであれば、また透析をしようかな」という発言を女性から数回聞いたが、苦痛を和らげる治療を実施した。女性は16日午後5時過ぎに死亡した。

 外科医は「正気な時の(治療中止という女性の)固い意思に重きを置いた」と説明。中止しなければ女性は約4年間生きられた可能性があったという。外科医は「十分な意思確認がないまま透析治療が導入され、無益で偏った延命措置で患者が苦しんでいる。治療を受けない権利を認めるべきだ」と主張している。

 

 しかし医師の言う「正気」とは、いったい何によって担保されるのでしょう。人の気分なんて、いつだって変わるものです。180°主張を翻す政治家だって当たり前、生活環境の変化で考え方が変わるのも当たり前、何かのきっかけで認識が改まるのも当たり前です。しかるに一定時期の意思表示だけを「正気」と扱い変更を認めないとなると、いよいよ以て医師への警戒が必要になりそうです。

 総じて延命色の強い医療行為には否定的な風潮が支配的ではあります。終末期医療にかかる費用には諸々のデマも飛び交うところですし、健康な人の「延命治療は不要」という声を大きく取り上げて、実際に延命治療が行われている現場へ不要論を吹き込もうとする政治家やメディアも少なくないわけです。

 とはいえ、健康なときと危機的状況に見舞われたとき、そこで下される判断は同じなのでしょうか。健康なときほど「延命治療なんていらない」と、そう思う人が多いのはなんとなく頷けます。しかしいざ、死にそうになったときにも同じ感覚を持ち続けているのかどうか、そこは私には分かりません。

 ここで取り上げられている死亡した患者の場合も然り、まだ状態が良い頃と、実際に透析治療を中止して状態が悪化したときでは、考え方が変わっているわけです。ところが医師側は「状態が良い頃」に下された判断を「正気」によるものとして扱い、患者の延命を行いませんでした。これに医師は胸を張っているようですが……

 延命治療の否定は、概ね幅広い層から支持を得ていると言えます。現時点で健康な人の総意は、そうなのでしょう。しかしこれが個々人の見解から同調圧力へと変貌し、「健康でなくなったとき」に遍く適用されるようになる、そんな可能性の最先端をこの公立福生病院の事例は示しているように思います。

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まぁ消費税を止めるのが一番の解決策ですが

2019-03-03 21:57:28 | 雇用・経済

軽減税率、高年収ほど恩恵 中位世帯で年1万2千円(共同通信)

 財務省は1日、消費税率10%への引き上げ時に導入する軽減税率制度の家計への効果試算をまとめた。負担軽減額は収入が多い世帯ほど大きくなり、全世帯を年収別の5グループに分けた場合の恩恵額は年約1万6千〜約8千円、中位の3番目の世帯は約1万2千円となった。民間試算と同様の傾向が表れ、野党は低所得者対策としての効果を疑問視している。

 2018年の家計調査を基に、8%の軽減税率が適用される外食・酒類を除く飲食料品と、定期購読の新聞に対する支出総額を抽出して計算。1日の衆院財務金融委員会に提出した。

 

 これと似たようなことを主張する人は他にも色々いますので目新しさはありませんが、こんなものを大まじめに持ち上げる財務省も共同通信も、そして何より野党筋も相当にヤバいと思います。まぁ流石に失笑を買うことの方が多かったものの、消費税全般に関して「収入の多い人の方が消費税の負担額は多い!」と力説する人もいたわけです。今回のは、それのマイナーバージョンでしょうかね。

 消費の総額が大きければ消費税の負担「額」は多くなります(実際の負担者の曖昧さはさておき)。ゆえに、月収20万円で支出が20万円の人よりも、月収が50万円で支出が40万円の人の方が消費税の負担額は大きくなる、だから「高収入の方が消費税の負担額は多い」のです。同様に、軽減税率の恩恵を受ける「額」も高所得世帯の方が多いのだと、財務省並びに共同通信、野党筋は主張しているのでしょう。

 もっとも月収20万円の人に課される1万6000円の消費税と、月収50万円の人に課される3万2000円の消費税のどちらが重いかは、言うまでもなく別問題です。軽減税率の場合も同様、月収20万円の人への恩恵が1,000円で、月収50万円の人への恩恵が2,000円であるなら、共同通信の報じるとおり「軽減税率、高年収ほど恩恵」と言えますが、皆様この考え方をどう思いますか?

 人頭税的な発想に乗っ取るなら、「額」の面で恩恵の多寡を見るのも妥当なのかも知れません。しかしガラパゴス列島の外も含めた現代社会における税制の標準に倣うなら、見るべきは当然「額」ではなく「率」です。軽減税率によって恩恵を受ける「率」が低所得世帯と高所得世帯のどちらで大きくなるか、それに目を背ける財務省は前近代的に過ぎるでしょう。

 もちろん、この前近代的な人頭税に理想を見出している人もいて、そういう人ほど「低所得者のため」を装いつつ「軽減税率は高年収ほど恩恵が大きいのだ」「消費税は高年収の人の方が多く負担しているのだ」と、間違ったイメージを広めようと足掻いているわけです。鼻で笑うべきレベルの話ですが、そういう論理に野党筋が乗っかっているのは何とも……

 なお日本式の軽減税率に問題を見出すとすれば(過去に書いた記事の繰り返しとなりますが)、10%と8%と言う、微々たる差しか設けていないことですよね。最高税率は15%だけれど食料品は0%、みたいなヨーロッパ式の軽減税率とは全く違うのが日本式軽減税率で、わずか2%の差しかないのでは「国民の生活に配慮しました」というアリバイ作りにしかなっていません。軽減税率自体は負担軽減策として有意義ではあるものの、2%の違いを体感するのは難しいでしょう。

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