無投票選挙区、最多4割 4人に1人無投票当選 41道府県議選告示 統一地方選(朝日新聞)
統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令指定市議選が29日、告示された。道府県議選では、立候補の届け出数が定数を上回らない無投票選挙区が全体の4割近くだった。無投票当選者は4人に1人を超え、いずれも過去最高を記録。立候補を届け出たうち女性の割合は12・7%で過去最高だが、依然として低水準だ。
統一選で行われる道府県議選で無投票になる選挙区は急増している。今回は全945選挙区のうち371選挙区(39・3%)に上り、総定数2277のうち無投票で当選が確定したのは612人(26・9%)。いずれも記録が残る1955年以降で最高となった。なり手不足が背景にあり、有権者にとって4年に1度の投票機会を奪われる「選挙の空洞化」が加速している。
とかく報道の対象になるのは「与野党対決」のある自治体ですが、実際のところ首長選で与野党対決が起こるのは稀で、だいたいは「自・民・公」vs「共産」ぐらいの無風選挙になりがちです。況んや地方議会選挙ともなれば事態は尚更のこと、泡沫候補すらいない無投票選挙区は4割に上ることが伝えられています。
日本の議員報酬は高いとも、よく言われます。しかし実情を見れば、少なくとも地方議会の議員が「なり手のいない」職業であることに疑問の余地はありません。家族に「父さん、会社を辞めて議員を目指そうと思うんだ」などと相談してみれば、賛成してくれる人はいないでしょう。議員の「うま味」なんて、そんなものです。
賃金水準の低さが原因で人が集まらないとされる職種は多々ありますが、地方議会議員も似たようなものではないかと思うわけです。道府県議選ですら無投票が4割に迫り、より規模の小さい市町村議員選挙ともなれば無投票はおろか定員割れすらも発生しているのが実態です。ならば、「議員になることの魅力」を高めることも考えなければいけないのかも知れません。
議員報酬が高すぎると主張する人は山のようにいても、その議員報酬を目当てに出馬する人はいません。それも、マトモな就職先に乏しいはずの地方ほど、議員に立候補する人は少ないわけです。過疎化の最先端にある村の中には議会を解散して「町村総会」への移行を検討せざるを得ない地域もあるとか。実際に移行した結果がどうなるかは未知数ですが、自治会や町内会の公権力版ともなれば、今以上の不公正が蔓延るだけでしょう。
昨今は外国人労働力の受け入れが盛んに国政議論の場に上りますが、その受け入れ対象の職種は専ら「日本人がやりたがらない仕事」に限られています。ただ現状を見るに、地方議会議員もまた「日本人がやりたがらない仕事」の範疇に入ってきているのかな、と思うわけです。ならば外国人地方参政権よりも先に進んだ議論があっても良いとすら感じますね。
もっとも競争率は会社への就職よりも格段に低いとは言え、普通の人が0から議員を目指すのは、色々とハードルが高いのかも知れません。政党によるバックアップやノウハウの共有がなければ、スタートを切るのは難しいとも考えられます。自称・無所属の政治家が喝采を浴びることも多い時代ではありますが、しかし政治家の間の健全な競争を促す上では、政党の役割もまた失われることはないはずです。議席を得た後の政治的主張もさることながら、単純に候補者を立てることもまた政党の社会的責務なのでしょう。