非国民通信

ノーモア・コイズミ

低い賃金水準こそが日本経済のリスク

2016-07-29 22:17:13 | 雇用・経済

外国人労働者、陰る日本の魅力 韓国・台湾と争奪(日本経済新聞)

 外国人労働者の「日本離れ」が静かに進んでいる。韓国や台湾などが受け入れを進め、獲得競争が激しくなっているためだ。日本で働く魅力だった給与などの待遇面も、差は急速に縮まる。日本の外国人労働者は今年中に100万人の大台を突破する見通しだが、今後、より一層の受け入れ拡大にカジを切っても外国人が来てくれない懸念が強まってきた。(奥田宏二)

 「月給30万円なんて出せない」。東京・赤坂にある老舗の中国料理店の店主は嘆く。アルバイトを募集したところ、それまでの2倍の給料を中国出身の若者に要求された。これまでの給料だと「中国で働くのと変わらない」と相手にされない。店主は「年中無休」の看板を下ろし、店も早く閉めるようになった。

 上海市の平均月収は2014年の統計でも5451元(約9万円)に達し、その後も上昇を続ける。アジア域内での経済力の盛衰は労働人口の減少に悩む日本の地方にも及ぶ。

 外国人労働者のうち中国人が7割を超えていた愛媛県。同県中小企業団体中央会は今年1月、ミャンマー政府と技能実習生の受け入れ協定を結んだ。愛媛県の最低賃金でフルタイムで働いた場合の月収は約11万円で中国の都市部と大差ない。中央会の担当者は「日本に来るメリットがなくなっている」と分析する。

(中略)

 技能実習生として、縫製工場で働く20代のベトナム人女性は言葉少なだった。残業代は最低賃金の半分以下しかもらっていない。労働契約の中身も「知らない」ので、そうした待遇が違法かどうかもわからない。出国するために100万円以上を支払っており「働き続けるしかない」。

 潜在成長力低下を補うための移民受け入れ論もくすぶるが「日本は海外から見たときの魅力がなくなっている」(日本総研の山田久チーフエコノミスト)のが実情だ。

 

 ちょっと引用が長くなりましたが、要するに日本の賃金水準はアジア諸国から見て魅力的なものではなくなってきているわけです。「賃金を引き上がれば失業が増える」という実体を伴わない空理空論が支配的な我が国の経済界では、専ら利益の最大化よりも働く人の取り分の最小化を追求しているかのような動きも目立つところですが、その結果はどうしたものでしょうか。日本の会社は狙い通りに人件費の抑制にこそ成功している一方で、世界経済に占める日本の地位は着々と低下を続けてもいます。

 僅かに景気が上向くように見えても専ら非正規の求人ばかりが増える、賃上げ幅が微増したかに見えても非正規率の高さで労働者全体の平均賃金は必ずしも上がらなかったりするなど、とにかく日本は給料の上がらない「人を安く雇える国」へと突き進んでいるわけです。プランテーション経営でもやるなら、それは目的に適った変化と言えるのかも知れませんけれど、上述の「世界経済に占める日本の地位」を鑑みれば、やはり日本経済は全体としてグローバル時代には通用しないやり方を追い求めているとしか言いようがありませんね。

 結局のところ「低い賃金水準こそが日本経済のリスク」にすらなっているのかも知れません。本当の意味で日本が労働力不足になるには相当な長い年月を要するように思われるところですが、いざ労働力不足が現実のものになったとき「日本は海外から見たときの魅力がなくなっている」のですから。今は現地の親日派ブローカーと組んで中国農村部の人やヴェトナム人を騙しては実習生に仕立て上げるなどしているわけですけれど、そうしたブローカーだって「韓国や中国都市部に売った方が儲かる」と判断するようにもなることでしょう。

 以前に介護現場へのロボット導入の話を書いたりもしましたが、「ロボットが高い=人にやらせた方が安い」ために導入が進んでいないという実態があります。ここで日本とは違って人件費の高騰する国であれば、いずれはロボットの方が安くなる、好むと好まざると機械化を進めるというイノベーションにも繋がるわけです。逆に賃金の抑制が容易で、非正規化を進めることでさらなる人件費カットが可能な日本では、ロボットを導入するのではなく給料をカットする、安い外国人を買ってくることの方が解決策になってしまいます。「人を安く働かせれば済む」国では、イノベーションは阻害されるのです。

 現政権下ではことあるごとに、政府が財界に賃上げを要請しています。その辺、何もしなかった前政権よりはマシ、特定政党への支援しか頭にない大手労組よりはマシではあるのでしょう。しかし、口先だけの賃上げ要請がもたらしたのは、「お茶を濁す」レベルの微々たるものでしかありません。確かに個々の企業からすれば、自社の賃金を低く押さえ込んでおくことこそが利益の元であり、株主への説明も付きやすいものなのかも知れません。とはいえ、社会全体で賃金が低いまま据え置かれれば個人消費は冷え込み、それが経済成長を押しとどめる要因ともなっているわけです。もうちょっと政府を危機感を持って、企業に対して強い姿勢を見せるべき段階に来ているのではないでしょうかね。

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地方の議席を削るよりは良いはず

2016-07-24 23:06:03 | 政治・国際

 さて本ブログでは一票の格差是正――という大義名分の元に地方の「議員を国会に送り込む権利」が切り捨てられている問題――について何度か取り上げてきました。参院選の結果を受けてか、恐らくは(決して本人達は認めないでしょうけれど)一票の価値が重くなっている(すなわち人口の減少が続く)選挙区で勝てない政党の支持者達が、選挙の無効を訴え出たりもしています。そんなことをしているより、自分たちの贔屓政党がなぜ過疎化の進む弱い地域で支持を得られていないのかを考えた方が良さそうなものですが。

 これも繰り返しとなりますけれど、たとえばアメリカの場合ですと有権者数に比例した議席が割り当てられているのは下院だけであって、反対に上院は各州につき2名が定員で州による人口の多寡は全くの無関係だったりします。そのためアメリカ上院の場合、一票の格差は70倍くらいありまして、それに比べれば日本の格差なんて可愛いものでしょうか。いずれにせよ日本の現状としては1人別枠方式でアメリカの上院方式(地域毎にx人)と下院方式(人口割り)をミックスしたような議席配分となっているわけです。

 アメリカに倣うのであれば、1人別枠方式を廃止して上院型の「都道府県毎に2人」の選挙区と下院型の単純な人口比例の中選挙区に分けてしまうのも一つの手と思われます。ただまぁ、その辺は何度か述べてきたものの特に反響はありませんでしたので、そうした改革は実は望まれていないのかも知れません(望まれているのは地方で強い政党の否定の方なのかと)。もっとも、私なんかとは違って社会的な影響力のある人が上記の変更案を提唱し、これが抜本的改革と大新聞や国会で論議される未来ならあり得るとは思っていますが。

 では実行に移された前例がないであろう(考えた人くらいはいるのでしょうけれど)奇策を考えますと「二重都道府県籍制度」とか「ふるさと投票制度」とかはどうでしょう。日本は今なお頑なに二重国籍を認めない国であり続けているのはさておき、せめて投票する選挙区に関しては「二重都道府県籍」があっても良いのではないかな、と。つまり、「仕事のために住んでいる都道府県」もしくは「生まれ育った都道府県」のどちらかの有権者として投票先を選択できるようにしてみるわけです。

 地方で生まれても、仕事や進学のために都会に出て行く人は多いです。そうして都市部の有権者が増加し、地方の有権者は減っていきます。結果として、議席の増減がなければ都市部の「一票の価値」は薄まり、地方の「一票の価値」は重くなる、一票の格差が生まれるわけです。これを単純に地方の議席を減らすことで済ませようとする人もいますが、東京に出て行った地方出身者の頭数を、生まれ育った故郷の方でカウントしてみるのも面白いのではないでしょうか。

 ふるさと納税と称して、実際に自分が住んでいる自治体「以外」に納税できる制度もあります。ならば、自分の現住所を含む選挙区「以外」の選挙区で投票できたって悪くはないでしょう。ふるさと納税よろしく任意の投票先を都合良く選べてしまうと組織票の動きなどで問題となり得ますので、投票先は「現時点で住んでいる選挙区」か「自分が生まれた地域の選挙区」もしくは「有権者の一親等の親族が住む選挙区」ぐらいに制限すれば、恣意的な乱用は概ね防げます。仕事で東京に住んでいても、東京の声を国会に届けるばかりではなく、故郷や親族の住む地方の声を国会に届ける方を望む人だっているはずです。そして人口の移動が生み出す一票の格差を補完するものともなりますから。

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選挙は続くよ

2016-07-17 22:23:01 | 政治・国際

 さて参院選が終わったと思いきや次は東京都知事選が告示され、今月も選挙絡みの報道は多そうですが、結果はどうなるでしょうか。なかなか候補者を正式に立ててこなかった民進党も、毎度のことながら共産党候補が与党系への対抗馬になってしまうことだけは避けたいのか、今回もまた最後の最後で鳥越俊太郎氏を担ぎ上げてきました。党の性格によく合致したキワモノといった感じですが、これを受けて宇都宮健児氏は立候補を取り下げることに、共産党はあくまで社民党化を目指すようです。

 一方で与党系の候補者としては党が擁立する増田寛也氏と立候補を強行した小池百合子氏が並び立つ形となり、「保守分裂」などと書き立てられることもあるわけです。ただ前回の選挙でも、自民党の本来の候補は舛添であったにも関わらず、安倍晋三の取り巻きの中には公然と田母神を応援する人も出るなど、与党どころか首相に近しい人の間でも「分裂」していたことは、覚えている人も多いのではないでしょうか。前回の田母神枠が小池百合子だと考えれば、与党筋に関しては前回選挙時点と構図はあまり変わらないとも言えます。

 さて野党側は前回選挙で舛添に次ぐ票を獲得していた宇都宮健児が辞退してしまったわけです。民進党の軍門に降るという共産党の方針が大きく影響しているものと思われますが、結果はどうなるのやら。ネット世論を見ると、前回選挙でレイシスト層は専ら舛添を攻撃し、民主党支持者は宇都宮を誹謗していたものですが、今回選挙においてレイシストの攻撃の矛先は舛添的ポジションであろう増田ではなく、細川ポジションの鳥越の方に向かっているように見えます。まぁ、真の多数派である無党派層がどこに入れるのかには、あまり影響がないのかも知れませんけれど。

 順番が逆になりましたが、参院選の結果はどう見るべきでしょう。改選の対象となった2010年を基準に増減を見るのか、それとも前回選挙である2013年を基準に判断するのかで、印象が変わるところも多いような気がしますね。たとえば共産党で言いますと、民主党に大敗を喫した2010年選挙に比べれば今回選挙は健闘したと見えなくもない反面、勢力を盛り返した2013年に比べれば後退と目されるべきです。他の党も概ね「考え方次第」みたいなところがあって、都合の良い尺度で「しかるべく成果を出した」と党首が自己弁護に走るのか、それとも「望み通りの結果を得られなかった」と自省するのかで、トップの資質がうかがわれるように思います。

 

参院選、「野党に魅力なかった」71% 朝日世論調査(朝日新聞)

 参院選の結果を受けて、朝日新聞社は11、12日、全国世論調査(電話)を実施した。自民、公明の与党の議席が改選121議席の過半数を大きく上回った理由を尋ねると、「安倍首相の政策が評価されたから」は15%で、「野党に魅力がなかったから」が71%に及んだ。

 

 なお世論調査によると、上記引用の通り「安倍首相の政策が評価されたから」ではなく、「野党に魅力がなかったから」と考えている人が圧倒的に多いことが分かります。確かに野党筋の主張は「アベ政権否定が第一」みたいなところがあって、安倍内閣時代の肯定的な変化も否定的な部分も盲目的にダメ出しするばかり、日本の戦後政治70年の中で今ほど野党側の主張に説得力が乏しい時代はなかったのではないかな、と私などは感じるわけです。与党、と言いますか自民党の政治家もダメになった部分はありそうですが、それ以上に急激なペースで非自民党の政治家が劣化しているのではないでしょうかね。有権者に伝わったのは、彼らがとにかく安倍晋三を嫌っているということばかりで(それでも民進党にとっては地方議会で連立与党を組むパートナーのはずですが)、それ以外の主張はあまりにも希薄だったのではないかと。

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「人並み」とは

2016-07-10 21:21:34 | 雇用・経済

「仕事は人並みで十分」の新入社員、過去最高に(読売新聞)

 新入社員を対象にした公益財団法人「日本生産性本部」などのアンケート調査で、そう回答した人が58・3%と過去最高だったことがわかった。「人並み以上に働きたい」という回答(34・2%)との差は調査が始まった1969年度以来最大だった。同本部は「就職活動が『売り手市場』のなか、比較的容易に就職でき、競争心が高まっていない面がある」としている。

 就職率が低迷した時期には、「人並み以上」の回答が高くなる傾向にあったが、就職率が好転した近年の状況を反映した形となった。

 また、会社で目標とするポストの設問では、「社長」が10・8%と過去最低になった一方で、部長や課長などの中間管理職が計36%と10年前より13ポイント増えており、相次ぐ企業不祥事を背景に、重い責任を負うトップを回避する傾向もみられた。

 

 さて本日のネタはこちら、曰く「過去最高」との触れ込みですが、なんだか毎年似たような報道を見ている気がしてしまうのはどうしてでしょうね。とりあえず「仕事は人並みで十分」と回答した人が過去最高で、「人並み以上に働きたい」という回答との差もまた調査開始以来最大なのだそうです。この辺の数値は就職率に左右されるようで、不況であれば「人並み以上」の回答が高くなる傾向があり、「人並みで十分」の回答が増えたのは就職率の好転を反映したものだとか。

 まぁ、経済的な豊かさと精神的な豊かさは比例すると言いますか、経済的に貧しければ「人並み以上」に働かないと生活が立ちゆかなくなる人だって増えるわけです。逆に経済的に豊かな社会であれば「人並み」に働けば「十分」な対価が得られると言えます。現代において経済の衰退以上に人間の自由を束縛するものはないのでしょう。景気が低迷して就職難の時代ともなれば、生きていくためには好むと好まざると「人並み以上」の働きを競わされる、それを強いられるようになってしまうのですから。

 なお会社で目標とするポストについては「社長」が10・8%と過去最低、部長や課長などの中間管理職は計36%で10年前より13ポイント増えたのだそうです。報道では「重い責任を負うトップを回避する傾向」と伝えられていますけれど、現実はどうなのでしょう。会社が傾けば末端の非正規は解雇という最も重い責を負わされますが、個人事業主に毛が生えた程度の零細の社長ならいざ知らず大企業の経営者ともなれば、会社を潰しかけてもヨソの会社に好待遇で迎え入れられたりするものです。日頃を振り返っても、より辛い立場に置かれがちなのは中間管理職の方ですよね?

 それはさておき、「人並み」とは具体的にどういう水準なのでしょうか。「人並みで十分」との回答にノータリンは「競争心が高まっていない」と論評していますけれど、今時の新入社員が考える「人並み」とは実際のところ、どれぐらいのレベルなのでしょう? たとえば婚活女子が口にする「人並みの年収」とは、最頻値や中央値どころか算術平均を大きく上回る、一握りのエリート層だけに到達可能な年収であったりするわけです。一口に「人並み」と言っても実は相当に「高望み」をしていることもあると言えます。

 現に新卒で正社員として就職できる人だって今や当たり前ではない、部長はおろか課長になれるのだって当たり前であるどころか少数派になっているのが現実です。「人並みで十分」と回答した新入社員が思い描いている「人並み」とは、少なくとも日本で働いている人の平均を下回るようなものでは決してないような気がします。せいぜいが「光の当たる部分」だけを基準にした「人並み」であり、それを実現できるのが日本で働く人の過半を形成することは決してない――それぐらいの高い水準なのではないでしょうかね。

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地方の声は聞かない方向で

2016-07-04 21:53:17 | 政治・国際

合区の4県、「容認」は2割 朝日・参院選世論調査(朝日新聞)

 朝日新聞社は22、23の両日、参院選の情勢調査とあわせて世論調査(電話)を実施した。「一票の格差」を小さくするため、隣り合う選挙区を統合する「合区」の対象となった鳥取、島根、徳島、高知の4県では「選挙区は都道府県単位がよい」が7割前後にのぼり、「二つの県を一つにした選挙区があってもよい」は2割前後にとどまった。4県では合区への反対が根強いことが浮き彫りになった。

 

 ……とまぁ、先月末になりますが、こういう世論調査結果も出ていました。一票の格差を是正するという建前で議席を削られた地方では「容認」する声が2割に止まるとか。裏返せば、8割近くは反対と言うことですね。それほどの反対がありながらも、民意は無視されて合区が強行されてしまったわけです。結局、一票の価値が重くなる=有権者数が減少している=すなわち「弱い地域」は切り捨ての対象なのでしょう。

 翻って東京はというと、実際に影響を受ける合区の4件とは裏腹に6割近い賛成が得られています。一票の格差是正とは、公平性に名を借りた都市部のエゴに見えてくるところです。東京一極集中の時代、政治家も東京都民の声を重視しがちなのかも知れませんが、何とも寂しい結果ではないでしょうか。なんだか公平性を口実に、富める人と貧しい人の税率を同じにしてしまったような感じでもありますね(まぁ、実際に消費税などはそういうものですが)。

 これもまた憲法の定める一票の価値の平等のためには当然のことなのだと言い張る人も多いですが、それこそまさに現行憲法の欠陥であり、その辺は改正が必要なのではないかと私には思われるところだったりします。地方の「国会に代表を送り込む権利」が削減されるのを防げないどころか正当化してしまう、そんな憲法は悪法でしかありません。私は憲法を改正すべきだと主張します。

 

 各県で年代別にみると、高知の30代は「合区容認」が比較的多く、「県単位」と5割近くで拮抗(きっこう)した。鳥取、島根でも30代は「合区容認」が多めで、3割以上を占めた。

 

 一方で30代――と伝えられていますが恐らくは「相対的に若い世代」――は全体に比して容認傾向が強いことも伝えられています。その辺も時代の流れなのか、年代によって政治に対する感覚も異なっているようです。私なんかは地方(というより自分の住む自治体)の政局も絡めて国政を考えがちですが(だからこそ地元議会では自民党と連立与党を構成しながら国政では「自民党の対抗馬です」と平然と偽る民進党の卑劣さが許せない)、若い人は地方とは切り離して天下国家を考えるものなのかも知れません。

 総じて自分の住む地域の問題よりも、新聞やテレビそしてインターネットを通じて目にする「全国区の話題」の方が若い世代には「近しい」ものと感じられるのではないでしょうか。選出される政治家もまた「若手」ほど、地域性に乏しいと言いますか、選挙区との「しがらみ」を持たず、自身の地元の話題よりも天下国家を語る方を好んでいるように見えます。そうした若い感性にとって、地方の議席が削られていくのは些細な問題であり、関心を持たれるべきは日本全体のことと思えてしまうのでしょう。

 建前として国会議員は地方の代表ではなく、字義通りに「国政」を語るために選出された人々なのかも知れません。しかし、そうした人々がもたらしたものはどうでしょうか? 己の選挙区との「しがらみ」を持ち、地方に利益を引っ張ってくる政治家が普通に存在した時代にも問題は多くありましたけれど、では地方の利害など顧みず天下国家ばかりを語る政治家が圧倒的主流派になった現代は、過去に比べて希望の持てるものになったのかどうか。少なくとも私には、今の時代はバランスが悪い、もう少し「地方の代弁者」が許容されても良いのではないかと感じられます。

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唯一神に一票を

2016-07-01 22:22:31 | 政治・国際

 来る参院選で「民主」と書いて投票すると自由民主党にカウントされるべきか社会民主党に数えられるべきか、それとも民主&維新の党として扱うべきかと選管が頭を抱えているそうです。ならば東京選挙区で「唯一神」とか「イエス」とか書いて投票した場合は、果たして適切な候補者の票として認められるのでしょうか。まぁ私は都民ではないとで残念ながら悩んでも仕方がありません。

 さて、自分の住む選挙区でも投票したい政党(の候補者)がいないだけに、ちょっと真面目に泡沫候補の主張を読んでみたりもしたのですが――色々と批判はあれども当選している人は"立候補者の中では"「選良」なんだなと思いました。ともすると厚遇であるように思われがちな国会議員ですが、結局なりたがるのは議員が「家業」になっている人を別にすれば後は「奇特な」人ばっかりのようです。チラシの裏に主義主張を書き連ねるのは簡単ですが、衆目の監視や悪罵に晒される生活を敢えて選ぶのは、やっぱりマトモな神経の人では難しいのでしょう。

 せめて同日選挙にできれば膨大な選挙費用が節約できたのにと惜しまれる東京都知事選挙の方はと言えば、当初は民進党が蓮舫を擁立しようとするなど石原に猪瀬に舛添の後が蓮舫では「都知事選とは傲慢さを競うコンテストなのか」と思ったりもしました。その後は民進党だけではなく自民党も、党が出したい候補者からは賛同が得られず難航している模様です。そうこうしている内に党が意図せぬところから立候補宣言が出たりして、それは当人の積極性よりも党のガバナンスの緩さを感じさせるところでもありますね。

 一方で無所属では在特会の高田誠氏が立候補の意思を表明していると聞きます。この高田氏、専ら通名の「桜井」の方で知られており出馬にもそっちの名前を使うものと予想されますが、選挙での本命であろう自民党が最初に出馬を打診した(そして色よい返事をもらえないでいる)のも別の桜井氏と言うことで、もし自民党から桜井氏が出馬すれば、これまた選管を大いに悩ませることになるのかも知れません。とりあえず誤解が生じないように、在特会の方の候補者を支持する人は通名ではなく本名の「高田誠」と書いて投票したら良いと思います。

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