非国民通信

ノーモア・コイズミ

本当の台湾

2022-11-27 23:33:07 | 政治・国際

 さて26日には台湾で統一地方選挙が行われ与党の大敗であると伝えられています。隣国の人間として理解しておくべきは台湾の有権者にも様々な立場があり決して一色ではない、と言うことですね。日本のメディアに登場するウクライナ人が例外なくゼレンスキーの信奉者でロシアに対する勝利を渇望しているのと同様、日本のメディアに登場する台湾市民は反・中国の独立派に限定されがちですけれど、独立派の政党に票を投じるのは半分くらい、という現実は意識されるべきでしょう。

 翻って日本は先週も書きましたとおり良くも悪くも政治的な対立が少ないと言いますか、与野党の勢力争いはあっても国論を二分するような性質はなく、政権交代の頻度も著しく低いわけです。民主党が決定し自民党が施行した消費税増税のように与野党が入れ替わっても方向性の変わらないものは典型ですし、外交に至っては少数野党すらも親米一色に染まりがちで、こうなると選挙の意義はどこにあるのかと思えてきます。

 アメリカを再び偉大な国とすべく他国への介入を厭わないバイデン政権の下、台湾独立派に肩入れするパフォーマンスは繰り返され、日本も歩調を合わせる形で中国の脅威を盛んに煽り立てています。ウクライナを巡るロシアとアメリカの勢力争いと、台湾を巡るそれは少なからず似たところがあるわけですが、ここで日本が果たすべき役割は何でしょうか。岸田政権は防衛費を増額してミサイル攻撃能力を強化する方針を掲げていますけれど、他にやれることはあるはずです。

 犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛めばニュースになる、とは昔から言われます。では軍事演習などはどうでしょう。自国の軍事演習と隣国の軍事演習、アメリカ陣営の軍事演習と、アメリカから敵視される国の軍事演習、その実施頻度と報道の扱いは必ずしも比例しません。中国やロシア、北朝鮮による軍事演習は挑発行為として盛んに報道されますけれど、それに先だって周辺地域でアメリカと衛星国による軍事演習が行われていたことは──調べれば分かるので隠されてこそいないものの──積極的に報じられることはないわけです。

 ウクライナが反ロシア派だけの国家でないのと同じように、台湾もまた独立派だけの地域ではありません。それがアメリカの世界戦略に適わないものであったとしても、事実は受け入れられるべきでしょう。独立派の背中を押して大陸政府との対立を深めようとする勢力に唯々諾々と従って軍備を増強していくのか、それとも親中派の声にも耳を傾けアメリカに背いてでも台湾と中国政府の平和的な関係構築を促していくのか、もし日本がアメリカの衛星国ではなく独立国であろうとするのなら、それぐらいは考えても良いように思います。

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野党共闘

2022-11-27 23:29:58 | 政治・国際

和歌山知事選、前衆院議員の岸本周平氏が初当選…新人2氏を破る(読売新聞)

 和歌山県知事選は27日、投開票され、新人で前衆院議員の岸本周平氏(66)(無所属=自民、立民、国民、社民推薦)が、政治団体「新党くにもり」前代表で無所属の本間奈々氏(53)、共産党公認で党県常任委員の松坂美知子氏(66)の新人2人を破り、初当選を果たした。

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目次

2022-11-27 00:00:00 | 目次


なんだかもう、このカテゴリ分けが全く無意味になりつつあります……

社会       最終更新  2022/10/10

雇用・経済    最終更新  2022/11/13

政治・国際    最終更新  2022/11/27

文芸欄      最終更新  2021/ 3/21

編集雑記・小ネタ 最終更新  2022/11/ 6

 

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それぞれ国内に異論があるわけで

2022-11-20 23:16:04 | 政治・国際

ロシア軍と通じている? 住民同士で不信感 ウクライナ東部(AFP BB)

【11月13日 AFP】ウクライナ東部ドネツク州スビアトヒルスク。がれきの中で配給の食料を受け取る人の列には、絶対に顔を合わせまいとしている2人の住民がいた。

 リュドミラ・オルロワさん(61)はAFPに対し、エウドキヤ・ヤロワヤさん(76)に裏切られたと涙を浮かべて語った。「この町が(ロシア軍から)解放される4日前、9月7日でした。彼女はロシア兵に、私が自分の車をウクライナ軍に使わせていたと言ったのです」

(中略)

 6月、スビアトヒルスクがロシア軍に占領された時、親ロシア派で当時のウォロディミル・バンドゥラ町長は「解放者」が来たと歓迎し、ロシア国旗を掲げて会見を開いた。9月にウクライナ軍が町を奪還すると姿を消し、現在は国家反逆罪で指名手配されている。

 

 日本の報道を見ている限り、ウクライナ人は一人の例外もなくゼレンスキー体制の信奉者でロシアとの戦争継続を支持しているように見えますが、実態はいかほどのものでしょうか。日本も先の大戦中は現在のウクライナと同じく翼賛体制が敷かれており、自国の戦争に対して批判的な人々の声は封殺されていたわけです。しかし戦中の日本も現代のウクライナも、権力によって抑え込まれているだけで本当は自国の政府に賛成していない人もいることでしょう。

 以前に触れましたが、ウクライナはソヴィエト体制下でロシア系住民の居住地域を組み込み版図を拡大させてきました(参考、ウクライナ拡張の歴史)。それだけに反ロシア派だけではなく、親ロシア派もまたウクライナ人の中には多いわけです。そして本来は親ロシア派もまたウクライナ国民であり同国民として等しく尊重されなければならないはずですが、西側のメディアは反ロシア派だけをウクライナ人として伝えてきました。このような報道を、プロパガンダと言います。

 日本は与野党で方向性の一致する部分も多く、滅多に政権交代が起こることもないなど諸外国に比べると政治的な対立の少ない国と考えられます。国民も基本的に親米一色でロシアに勝つまで戦争を支援する方針でブレがありません。しかし余所の国はどうなのでしょうか。ウクライナでも親ロシア派が選挙に勝って政権を握ることはなんともありましたし、反ロシア派が政権を握ったケースでは「選挙に負けたけれど暴動で覆した」こともあるわけです。もう少しウクライナ国内の「異論」にも注目して良いと思いますね。

 2020年のアメリカ大統領選では選挙に負けたトランプ候補の支持者が議事堂に乱入するなんてこともありました。結果的にあれは恥ずべき事態として処理されましたが、やっていることはウクライナのオレンジ革命やマイダン革命と大きく異なるものではないはずです。違うのは、少しばかり計画性に欠けたことぐらいですね。ウクライナで親ロシア派の政権を崩壊させた暴力革命は、NATO陣営にとって好都合であるが故に肯定されていますけれど、もう少し客観的になるべき時が来ているのではないでしょうか。

 アメリカでも民主党と共和党、バイデンとトランプとで政治的な距離はあります。今回の戦争がロシアとNATOとの争いであってウクライナは舞台に過ぎないことを理解しているバイデン及び民主党と、ロシアとウクライナの二国間対立にアメリカが余計な出費を強いられているかのように勘違いしているトランプ及び共和党とでは、当然ながら外交方針も異なるわけです。正しく現状を認識しているのは前者である一方、結果的に平和に貢献するであろうものは後者という印象ですが、いずれにせよ両陣営の関係は世界中に影響を及ぼします。

 これはヨーロッパ諸国でも似たような対立があり、アメリカを盟主と仰ぐ伝統的な政治家は自陣営勝利のためウクライナへの軍事支援を惜しまない立場を取る一方、新興の右派はウクライナの戦争のために自国が負担を引き受けていると現状を解釈し、結果的に和平志向の主張を繰り出している傾向も見られるわけです。日本の場合は前者が圧倒的多数派を占め、本当の意味で平和志向の左派は極少数派に止まり、後者に相当する結果的な和平路線の右派もいないと言えますが、もう少し我が国にも政治的な多様性が欲しいですね。

 なお先日はポーランド領にミサイルが着弾し人的被害も出たとのことで、これはウクライナの迎撃ミサイルによるものとする説が有力です。最終的には「ロシアのせい」という結論に持ち込まれると考えられますが、現地のポーランド人はどう思っているのでしょうか。例えるなら、北朝鮮が打ち上げた粗大ゴミを迎撃しようとした韓国のミサイルが対馬あたりに着弾したようなものです。日本ですと、これ幸いに韓国叩きに盛り上がる人が結構な勢いを持ちそうな気がします。

 韓国ですと左派が日本との戦後問題を厳しく問う一方で、右派は反・北朝鮮の同志として日本に融和的な傾向があります。では日本の右派はと言いますと、政治家レベルでは反共の同盟相手として韓国寄りの人がいないこともありませんが、国民レベルではむしろ逆の立場を取っている人が多いわけです。北よりも韓国を非難したい人の声が大きくなり、政治家がそれに媚びることは十分に考えられます。

 話をポーランドに戻しますと、伝統的な政治家であればやはりNATO陣営の勝利のため、多少の犠牲は容認することでしょう。自国民がウクライナ発のミサイルに巻き込まれても、ロシアに勝つまで態度を改めることはないと言えます。しかし自国第一主義を掲げる右派がポーランドでも勢いを増すようであれば、「ウクライナの戦争のために自国民が犠牲になった」と結果を許容しない方向に傾いていくことも考えられます。

 ましてやウクライナ西部は第二次大戦の結果としてウクライナ領に組み込まれたものであって、歴史的にはポーランド支配の方が長い地域です。一見すると反ロシアで堅く手を結んでいるように見えるポーランドとウクライナですが、一方の側から関係が崩れていく、という未来もまたあり得ると言えます。まぁNATO陣営の結束が崩れてくれれば結果的には世界規模での争いが避けられますので、それはそれで良いことには違いありません。

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野党共闘

2022-11-20 23:15:08 | 政治・国際

愛媛県知事選、無所属現職の中村時広氏が4選確実(朝日新聞)

 愛媛県知事選は20日投開票され、無所属現職の中村時広氏(62)=国民民主推薦=が、共産新顔で党県委員長の林紀子氏(60)を破り、4選を確実にした。投票率は33・95%(前回39・05%)で、過去最低だった。

 中村氏は防災、減災対策や人口減少への対応、地域経済活性化などを訴え、支持を広げた。選挙戦では、推薦した国民民主のほか、自民、公明の県組織から推薦を受け、県内の経済団体など幅広い支持を得た。林氏は四国電力伊方原発の稼働停止や県立学校の再編計画見直しを訴えたが、届かなかった。

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看板を変えても現実は変わるまい

2022-11-13 23:05:07 | 雇用・経済

 先週はツイッター社の日本法人で行われたという一斉解雇について触れました。我が国では「外資系企業は簡単に首を切られる」という言説と「日本では社員を解雇できない」という言説が共に深く根付いているわけですが、両者の整合性はどうなのでしょうか。その企業の本社がどこの国であるか、という観点から優遇や差別がある可能性は否定しませんけれど、少なくとも制度上は外資系企業でも日本国内のルールが適用されるはずです。

 殺人は、どこの国でも禁止されています。しかし禁止されているはずの殺人は、やはりどこの国でも発生しています。不当解雇も然りで、仮に禁じる規定が存在していたとしても、それが「できない」ことにはなりません。ましてや殺人であれば非親告罪として警察組織による取り締まりの対象となりますが、不当解雇に関しては親告罪ですらないわけです。やりたければいつでも可能ですし、やったからと言って公的な罰が下るものではない、日本における解雇の位置づけはそんなものです。

 もちろん自力救済として、個人的に訴訟を起こすことで解雇に対抗することは出来ます。特にアメリカの場合は訴訟リスクが高く、解雇が差別的な理由で行われていると判断されれば企業側に巨額の賠償金が課される可能性もあるわけです。しかし日本においてアメリカのような訴訟リスクが企業側にあるかと言えば──日本に暮らしていれば誰でも分かるように、答えはNOです。

 

経団連の影響力占う試金石、「中途」改め経験者採用呼びかけへ…消極的な印象払拭(読売新聞)

 経団連は、新卒者ではない従業員の採用で一般的に使われている「中途採用」という言葉の使用をやめ、「経験者採用」に統一するよう会員企業に呼びかける方針を固めた。「中途」が与える消極的な印象を払拭し、円滑な労働移動を促して経済の活性化につなげる狙いがある。

 2023年春闘の経営側の交渉方針などを示す「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)の素案に盛り込んだ。まず来年から経団連の会員企業向けの書類やアンケートなどで「経験者採用」の表記に統一する。会員企業にも採用活動などでの使用を推奨する。

 

 さて経団連が「中途採用」を「経験者採用」と言い改めるよう呼びかけているそうです。曰く「中途」が与える消極的な印象を払拭し云々とのことですが、どうしたものでしょう。そもそも中途採用=経験者採用ではなく、異業種・未経験職種の中途採用だって珍しくないわけで、むしろ通年で求人を出しているような事業者ほど「未経験者歓迎」を唄っている実態からは大きく乖離した名称に見えます。

 以前にも書きましたが、私の勤務先は中途でしか人を採用していません。ただし親会社は反対に、ほぼ新卒でしか社員を雇っていません。他の企業グループでも似たようなところはあるように思います。社員を0から教育できて、かつ離職率も低い大手ホワイト企業であれば新卒一括採用を可能としている一方で、離職率が高く年間を通して人員補充の必要に迫られている中小ブラック企業は中途採用を行っているのが実態ではないでしょうか。

 つまり新卒一括採用で成り立つことが一流企業の証であるのに対し、三流の企業は必然的に中途・通年採用しか選択肢がないわけで、こうした実態が中途採用のイメージを損ねているとは考えられます。しかし、これを「経験者採用」などと言い改めたところで何かが変わるかどうかは大いに疑わしい、というのが私の感想です。

 加えて「円滑な労働移動を促して経済の活性化につなげる狙い」とも伝えられていますけれど、新卒社員の3割が3年で離職するなど若い世代については既に円滑な労働移動が行われているわけです。では若年層の早期離職に伴う労働移動が経済の活性化に繋がっているかと言えば、こちらも当然ながら答えはNOでしょう。

 若年層の雇用が流動的であるのは「転職先が見つかるから」です。若さとはそれ自体に価値を見出されるもので、社員の採用もキャバクラの営業も変わるものではありません。若ければ、需要は必ずあります。今の会社を辞めても次がある、だからこそ若い人は会社を移ることへのハードルが高くない、ゆえに新卒で入った立派な会社でも3割が3年で離職する雇用流動化が起こるのです。

 一方で経験を重ねても加齢による評価の低下を補うことは実際問題として著しく困難です。経験があるからと言って中高年を採用する企業は多くありません。「紐では押せない」となんて言い回しもありますが、中高年の雇用を巡ってこそ然りではないでしょうか。中高年が若者のように引く手あまたであれば、3年で3割くらいの人は転職するかも知れません。しかし労働市場に中高年の需要がない限りは、いかに経済誌が中高年バッシングを繰り広げたところで何の意味もないと言えます。

 「第二新卒」なんて言葉もあります。これも広義の中途採用に含まれるところですが、とりあえず新卒を採れない二流の企業が「経験はなくとも若い人を」募るのにはお似合いでしょうか。逆に経団連の呼びかける「経験者採用」とは、字面上は若さより経験に重きを置くような印象を受けますが、では「若くはないが経験はある」人に採用の門戸を開くのかと言えば、そのような意図は伝えられていません。経験を重んじた採用への切り替えを訴えているのではなく、単に呼称を別のものとすることでイメージを変えようというだけですから。

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覇権主義の終焉へ

2022-11-06 23:12:48 | 政治・国際

「戦争やめ国民の生活救え!」 欧州各地でEU、NATO抗議デモが多発 燃料高騰で「凍える冬」が目前に(長周新聞)

 フランスの首都パリでは8日、市民数万人の反政府デモがおこなわれ、参加者らは経済不況や国民の生活費高騰への対策が乏しいことに抗議し、「マクロン、お前の戦争を我々は望んでいない!」「マクロンは辞任せよ!」と声を上げるとともに、「NATOからの脱退!」「ウクライナへの武器供給を停止せよ!」と求めた。このデモを呼びかけたのは国民戦線(党首ルペン)から離脱した勢力による新党「愛国者」で、EU、NATOからの離脱を主要スローガンに掲げている。

(中略)

 ドイツの首都ベルリンでも8日、「いい加減にしろ――凍えるより抗議せよ! 暖房とパンと平和を」のスローガンの下、8000人が物価高に抗議し、早期停戦と対ロシア制裁の解除を求めた。右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が呼びかけたもので、参加者らは「国益が第一」「ロシアの石油とガスが必要だ」「NATOは武器を送るな」などのスローガンを書いたプラカードを掲げた。

 

 ここではフランスとドイツの事例が伝えられていますが、興味深いのはどちらも右派からの動きであると言うことですね。イタリアでも新首相は火消しに躍起になっているようですが、連立を組む右派政党の中にはNATOの戦争への肩入れや対ロシア制裁に批判的な声が強い、そしてアメリカでも共和党下院トップのマッカーシー院内総務は「ウクライナは重要だが、白紙小切手は出せない」とも明言しています。

 NATO側の責任を問う論者の一人であるジョン・ミアシャイマーによると、ウクライナの問題はロシアにとって死活問題であり、いかなる犠牲を払っても目的を遂行する必要がある以上はロシアの勝利に終わる、と語ったそうです。一方で同様にNATO側の問題を指摘するエマニュエル・トッドは、NATOに与さない国の勝利を許せばアメリカの覇権主義が揺らぐ、アメリカにとってこそ死活問題である以上はいかなる犠牲を払っても最終的にはアメリカの勝利に終わると語りました。

 どちらかと言えばトッド氏の認識の方が正しいようにも見えますが、ただしそれは伝統的なアメリカ政治の担い手──つまりはバイデンなど──が政権を握っている限りのことかも知れません。トランプ元大統領のようにアメリカ政治の王道から逸脱した考え方をする人々に言わせれば、外国への軍事支援はアメリカの国益を損なうもの、コストの負担ばかりを求められるものと映っているようです。そうした人々の影響力が強まった場合は、必然的にアメリカ外交にも変化が現れることでしょう。

 諸外国へと拠出される日本の政府開発援助を見て、その資金は日本人のために使われるべき云々と主張する人も少なからずいるわけです。そしてNATOへの肩入れを批判している欧米の新しい右派の世界観も、これと同じようなものだと考えられます。あくまで日本の権益確保のための投資であり、NATOの覇権を確保するための戦略であっても、その目的まで視野が及ばない人々にとっては単純に「外国のためにお金を使っているだけ」に見えてしまうのですね。

 NATOの勢力圏を維持したければ、そのために対価を支払わなければならないのは当然のことです。そしてアメリカが覇権国家であり続けようとするのであれば、決して傲慢に振る舞うだけでは達成することが出来ません。バイデン大統領が奮闘しているように、衛星国を糾合してアメリカの傘下に入らない国へと圧力をかけ、絶えざる制裁によって非同盟国が欧米と肩を並べる国へと成長することを防ぐ努力が必要です。ただ、それには相応の費用もかかることは理解されるべきでしょう。

 トランプ元大統領は世界中に展開するアメリカ軍の駐留経費について幾度となく不満を表明していましたが、ではアメリカが「他国のために」軍隊のコストを負担することを拒むようになったら世界はどうなるでしょうか。アメリカと衛星国が「自国優先」と称して国外への軍隊の展開を止めれば、当然ながらアメリカの覇権が維持されることはなくなります。それによってアメリカは世界を支配する偉大な国ではなく普通の国になってしまうわけですが──世界平和のためには逆に好ましいことであるかも知れません。

 西側諸国は自らを「国際社会」などと称しては排他的な結束を強め、アメリカの傘下に入らない国への圧力を強めています。しかし経済力や軍事力で先行して来た西側諸国も世界人口に占める割合は5分の1が良いところで、その覇権の維持が不可能であることは明白です。世界をNATOの支配下に置く戦略はもはや成り立たず、そうなった以上はNATOに与さない国とも共存していく以外に選択肢はありません。

 迫るアメリカ中間選挙の後も一層の存在感を残すであろうトランプ元大統領やヨーロッパで台頭する極右勢力の多くは、自国優先と称してNATO勢力の結束を乱す政治姿勢を持っています。ただNATO陣営と非NATO陣営の対立が先鋭化する中では、むしろNATOの自壊こそが争いの種を取り除く上で最良の結果をもたらすことでしょう。ソ連が解体しても拡大を続けてきたNATOが解体されることで、ようやく特定国の覇権主義から解放された世界が期待できるようになると言えます。

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真実はいつもひとつ

2022-11-06 00:18:08 | 編集雑記・小ネタ

Twitter社員「時代のおしまい」 解雇開始、日本でも(日本経済新聞)

【シリコンバレー=奥平和行】米起業家のイーロン・マスク氏が経営権を握った米ツイッターで4日、大規模な人員削減が始まった。対象は数千人規模にのぼるもようで、日本法人で働く社員も対象になった。ツイッター上には退職した社員からのものとみられる投稿があふれている。人材の流動性が高い米シリコンバレーの企業でもこれほどの規模のレイオフ(一時解雇)は珍しく、余波が続きそうだ。

 

 経済誌において「日本では社員を解雇できない」と定義されていることは周知の通りですが、現実世界ではどうでしょうか。ツイッター社の日本法人でも大規模な解雇が行われたと言うことですが、これが正しいのであれば「日本では社員を解雇できない」という定義が間違っているか、外資系企業には治外法権が適用されているかのどちらかですね。

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野党共闘

2022-11-06 00:16:40 | 政治・国際

福島県知事選、内堀氏が3選確実 原発事故による避難地域の復興訴え(朝日新聞)

 福島県知事選は30日投開票され、無所属現職の内堀雅雄氏(58)が、無所属新顔で郡山地方労連副議長の草野芳明氏(66)=共産推薦=を破り、3選を確実にした。投票率は42・58%(前回45・04%)で過去2番目に低かった。

 内堀氏は、東京電力福島第一原発事故による避難地域の復興や2期8年の実績を訴え、支持を固めた。選挙戦では自民、立憲、公明など各党の県組織と市町村長に加え、農協や医師会など各団体の支援を受けた。

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弾圧の精神を受け継いだ国

2022-10-30 22:40:01 | 政治・国際

 昔は反ソヴィエト、現代は反ロシアが西側諸国における一種のステータスであり、とりわけノーベル賞選考などでは非常に大きな加点ポイントであり続けています。ノーベル反ソヴィエト賞の受賞者ではなくとも、「ソヴィエト政権に弾圧された」という肩書きで華々しい西側デビューを飾った人は少なくありませんが、それが変わる時代はいつか訪れるのでしょうか。

 

「ロシア語の本、処分したい」 脱ロシア意識するウクライナ市民増加(AFP BB)

【10月23日 AFP】ウクライナの首都キーウの書店で、ユリア・シドレンコさん(33)は古本をまとめて処分していた。中には幼なじみにもらった本もあったが、最近になって魅力がなくなってしまったという。

 理由は、ロシア語で書かれた本だからだ。

「2月24日以降、わが家にロシア語の本を置いておくスペースはもうありません」と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻を開始した日を挙げた。

 大切にしていた本もある。「20歳の誕生日に友人たちから寄せ書き入りでもらった本です。(思い出として)写真を撮りました」。さらに児童書を手にし、自分の子どもたちは「ロシア語の物語は絶対に読まないはず」だと話した。

 この書店には、シドレンコさん以外にもたくさんの本を運び込む人が次々と訪れていた。スーツケースを携えて来る人や、車に積んで来る人もいる。

 同書店は自宅で要らなくなった蔵書を処分したいという顧客の要望にヒントを得て、ロシア語の本を古紙としてリサイクルに回すキャンペーンを始めた。

 

 2014年2月、キエフでの暴動によって大統領を追放し政権を掌握した反ロシア派武装勢力はウクライナ語を「唯一の」公用語に定めると宣言しました。こうした姿勢は当然ながらロシア系住民が多数を占める地域の離反を招くことになったわけですが、一部地域での反ロシア主義は依然として強まっていることが分かります。ロシア語はいわば「敵性語」で、日本にも同様の動きが見えないでもありませんでしたが、ウクライナのそれは専ら無批判に受け入れられているようです。

 先週(参考、ウクライナ拡張の歴史)書きましたとおり、現在のウクライナは歴史的にはロシア(及びポーランド)と見なされる地域をソヴィエト体制下で版図へ組み込み大国化を果たしました。そうであるからには国境内の異文化を尊重することなしに国家を統合することなど出来るはずがないのですが、旧ユーゴスラヴィアのように国内の排他的ナショナリズムを押さえ込めなかったことで分裂を招いたと言えます。そして、この結果を全く反省していないこともまた窺われるところです。

 西側諸国としては、全てをロシアのせいにする心の準備が出来ているのかも知れません。どのような非道が行われようともまずはロシア側を犯人と断定する、根拠が覆されても一切気にしない(参考、西側諸国は証拠なんて求めていませんでしたが)、そしてウクライナ側の問題であることが明白になったとしても、そもそもロシアの侵攻が悪いのだと論をすり替えることでしょう。こうした人々は自国の戦争報道に関しても同じような反応をするであろうと私は確信するところですが、いずれにせよ現代のウクライナで行われている時代錯誤の焚書や敵性語認定を容認することは、それこそ社会の健全性を損なうものであると思います。

 

 キーウ生まれで、小説「巨匠とマルガリータ」などで知られるロシア人の著名作家ミハイル・ブルガーコフの博物館は圧力にさらされ、ウクライナ全国作家同盟が閉鎖を検討している。

 ブルガーコフは帝国主義者で反ウクライナ的だと非難されている。特にやり玉に挙げられているのが、博物館の目玉になっている「白衛軍」という小説だ。

 

 引用したニュースの後半では、ブルガーコフの博物館が閉鎖の圧力に晒されていることが伝えられています。ここでブルガーコフは「ロシア人」と書かれていますけれど、キエフ生まれのキエフ育ちでロシア人と認定される条件、あるいはウクライナ人と認定「されない」条件って何なのでしょうね。ブルガーコフが誕生した1891年の時点では国家としてのウクライナは存在しませんので、ウクライナ国籍など誰も持ち得ないわけですが、しかし同時代の人間でも後世に「ウクライナ人」と認定された人はいくらでもいます。

 まぁ我が国でも父親が外国籍であると言うだけで非・日本人扱いされる政治家もいれば、アメリカ国籍のノーベル賞受賞者を「日本人」と呼んだり、大相撲を筆頭に「日本出身」という言葉で同じ日本国籍保有者を日本人と「そうでない人」に分ける意識が根付いているわけです。ウクライナでは元・グルジア大統領であるサアカシュヴィリ等の外国人政治家に「ウクライナ国籍を付与」して閣僚起用するなどの例があり、誰をウクライナ人として誰をウクライナ人としないかは、いわゆる「ユダヤ人」認定と同じく至って恣意的なものなのかも知れません。

 それはさておき「ブルガーコフは帝国主義者で反ウクライナ的だと非難されている」そうです。これについては全くの初耳でした。ブルガーコフといえば、(ソ連側と争った)白衛軍へのノスタルジーを抱いている、体制を否定的に描いているとしてソヴィエト政権下で強く批判され、表舞台からは長らく遠ざけられていた人です。むしろそれだけに西側からは反ソヴィエトの英雄として称揚されてもおかしくないのですが──西側の傀儡国家においてソ連時代と似たような扱いが続いている状況は意外に思います。

 先日も書きましたが(参考、反米と親欧米)、私がブログを書き始めた頃はいわゆるネット右翼の最盛期で、よく「反日」という言葉が使われていました。その適用範囲は無限大で、要するにレイシストの意向に沿わないものは何でも「反日」と認定されたものです。たぶん、ウクライナの現在が似たような状況なのでしょう。ゼレンスキー翼賛体制の信奉者だけが真のウクライナ人で、彼らのお眼鏡にかなわない人はブルガーコフのように「反ウクライナ」認定されてしまう、そんな時代なのだと言えます。

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