非国民通信

ノーモア・コイズミ

財政出動路線には戻れない

2010-08-09 22:59:14 | ニュース

財政出動路線に戻れ…「反菅」会合に延べ250人(読売新聞)

 9月の民主党代表選をめぐり、昨年夏の衆院選政権公約(マニフェスト)への「原点回帰」を訴える同党国会議員らが6日、相次いで会合を開いた。

 参加議員は延べ約250人に達し、財政再建を重視する菅首相に対し、消費税の増税反対、財政出動路線への「復帰」を求める意見が続出した。今後、経済財政運営を巡る路線対立は激化する様相だ。

(中略)

 党内の首相への不満は、消費税や財政再建に対する首相の姿勢に向かっている。首相は自らの消費税発言が参院選大敗につながったことを認めつつも、5日の参院予算委員会では「財政健全化は重大な問題だ」と述べるなど、財政再建重視の考えを転換していない。「集い」に出席した衆院議員は「消費税増税を撤回しない限り、次期衆院選も惨敗だ」と指摘した。両会合とも小沢氏に近い議員が主導しているため、「小沢氏が出馬する環境を整える狙いがあるのではないか」との観測も出ている。

 首相サイドは財政出動路線に押され気味だ。政府・民主党が、子ども手当を増額する方向で調整に入ったのも、マニフェストを尊重する姿勢をみせることで、反発を和らげる思惑があるとみられている。首相も必死だ。6日夜には、都内の料理店で開かれた菅グループの会合に出席。「3年間は頑張りたい」と、続投への意欲を強調した。ただ、「側近議員にまで支持を求めなければいけないとは、首相も苦しい」との声が出ている。

 どうも記事を読む限りでは、必ずしも民主党内部で「財政出動路線に戻れ」との声が強まっているようには見えない、報道側が勝手に財政出動路線への回帰を感じ取っているだけのように見えなくもないのですが、ともあれ現執行部に対する不満の声が党内でも強まっているようです。ただ小沢一郎に近いグループの動きが活発とも伝えられていますけれど、その中でも一年生議員は(菅よりも)小沢との距離が近いという理由から先の党代表戦で樽床を支援していたような人も多かったはず、樽床と比べればまだ菅の方が財政出動路線に近いような気もするだけに、なおさら「財政出動路線に戻れ」なんて声が党内で上がっているとは思えないところもあります。財政出動路線への回帰を嫌う報道サイドが過剰に反応しているのではないでしょうかね。

 そもそも言えば財政出動路線へと舵を切ったのは麻生太郎であって、鳩山・小沢はその否定の上に出てきたわけです。麻生は麻生で党内基盤が十分でなく、財政再建を優先する与謝野とも組まなければならなかっただけにその政策は甚だ中途半端なものに終始しましたが、それまでの構造改革路線からは大きな変化だったはずです。しかし、内閣の支持率は激減しました。これ見よがしに改革を掲げるスタイルから財政出動路線への転換は、国民からNOを突きつけられたと言えます。あるいは国民新党の人気はどうでしょう? 国民新党は現時点で最も明確な財政出動路線をとる政党の一つですが、これもやはり有権者からはばっさりと否定された党でもあるわけです。私自身は今こそ財政出動をすべき時だと思っていますが、そこに国民の理解があるかは疑わしい、そうであるだけに与党内で財政出動を訴える声が主流になることはないような気がするのです。

「景気対策」7割、政府への要望で過去最多(読売新聞)

 政府に対する要望(複数回答)では、「景気対策」が69・3%で、昨年6月の前回調査から6・8ポイント増え、1978年に選択肢として以降、最高となった。内閣府は「景気は持ち直しているものの、高い失業率などの影響で国民の経済対策への関心が強まっている」と分析している。

 政府に対する要望のトップは、7年連続で「医療・年金等の社会保障の整備」の69・6%だったが、前回調査から1・2ポイント減少した。景気対策は2位で2007年調査の49・6%から、毎年増え続けている。また、「財政健全化の推進」は25・5%となり、選択肢が「財政構造改革」だった前回調査の16・9%から8・6ポイント増えた。

 ちなみに世論調査の結果はこんなものでした。しかし、この手の世論調査結果と実際の投票先との関連性はどれほどのものなのでしょうか。世論調査への回答結果と、投票時に重視するものは少なからず異なっているようにも感じられます。それはさておき、「財政健全化の推進」が25・5%とかなり増加しているそうです。最も「伸び」が見られる分野には違いないのでしょう。ただトップはあくまで「景気対策」です。その辺からすると財政再建よりも景気対策の方が優先順位が高いことを、国民も理解できているように見えるかも知れません。ただ景気対策にせよ財政再建にせよ、それがどのような手段によって達成できるのかという点で違いが生まれているように思います。

 景気対策の基本にして王道は財政出動です。では景気対策を望む国民が多いからと景気対策=財政出動を掲げた政党は、国民からどのような評価を受けたでしょうか? 財政再建にしても基本は歳入を増やすことであり、その確実な手段としては増税があるわけです。しかし財政再建を望む有権者が増税を掲げた政党を支持したかといえば、それもまた違いますよね。たぶん国民の多くは、景気対策も財政再建も、何でもかんでもムダ削減と公務員叩き、官僚否定で達成できると思っているのでしょう。だから手当たり次第に公的支出をムダ呼ばわりし、公務員削減を競い合い、不都合なことは何でも官僚のせいにする、そうした姿勢の鮮明な党ほど人気が高いわけです。故に景気対策の基本に忠実な党は割を食い、構造改革のような奇策や公務員叩きなどのパフォーマンスに走る党がのさばる、故に景気対策そのものは望まれながらも有効な対策は決して取られることがないと言えます。

 

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