心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

大衆演劇からクラシックまで楽しんだ1週間

2023-12-02 10:45:45 | Weblog

 カレンダーを捲ると今年最後の1ページ、12月です。橘始黄(たちばなはじめてきなり)。橘の実が黄色く色づく季節になりました。我が家のカリンの木も紅葉の季節を迎えて2個の実が黄色く色づいてきました。朝のお散歩で立ち寄るお不動さんの境内では、銀杏の木が黄色に染まり、そろそろ落葉の時季を迎えています。
 さてさて、この1週間を振り返ってみると日本の伝統芸能に触れたことがまずは浮かんできます。阪急電車の池田駅から歩いて8分ほどのところにある大衆演劇場「池田呉服座」、二代目恋川純率いる桐龍座恋川劇団公演です。シニア仲間たち十数名で初観劇を楽しみました。
 小さな劇場でしたが、平日にもかかわらず80名前後のお客が見守るなか、劇と芸能ショーが繰り広げられました。役者さんたちの精一杯の演技にあっと言う間の3時間でした。大阪だけでなく全国の演劇場で公演をされているようで、この日も多くのファンの方々から胸元に1万円札が添えられました。
 ひとつ印象に残ったのは、座長の挨拶でした。「私たちはお客さまに育てられている」「お客さまの反応を見ながら臨機応変に演じ方を工夫し舞台を務めさせていただいている」。なるほど。これって顧客満足経営に近いものを感じます。大きな劇団ではなさそうですが、地道に日本の伝統芸能を受けついでいらっしゃいました。と同時に、コロナの頃は大変だったろうなあと思いました。この日は夕刻、大阪・梅田に戻って皆でワイワイガヤガヤ。気分だけは「若い」シニアたちの一日でした。
 火曜日には、雅楽師・東儀秀樹さんの講演「雅楽の宇宙観とイリュージョン」を聴きました。最近は雅楽だけでなくロック、クラシック、ジャズなどとのコラボも積極的に取り組んでいらっしゃいます。15センチほどの篳篥(ひちりき)の音色がこんなにも美しいものであることを初めて体感しました。東儀さんいわく、最近の小学校の教科書から叙情歌が消えて行っているのだとか。その理由のひとつが言葉が難しいからなのだとか。ある種政治的な視点から拒否反応をもつ方々がいることも承知していますが、大切な何かを失っているような気がしないではありません。寂しいことです。
 講演の後半はさながらコンサートのようでした。この日は、越天楽幻想曲やジュピター、ハナミズキや浜辺の歌、さらにはボヘミアンラプソディなどの演奏に千数百人の聴衆が聴き入りました。この歳になってCDを買い求めサインまでいただいたのは初めてのことでした(笑)。
 そして一昨日は、某周年記念コンサートでクラシックからジャズ、映画音楽、ミュージカルまでを楽しむ機会がありました。こちらも素晴らしい音楽空間を堪能しました。テノールとピアノ、フルートとピアノ、ジャズピアノトリオと様々なセッションで快い時空間を楽しみました。私の大好きなモリコーネの映画音楽「ニューシネマパラダイス」。この映画は何度となく見ています。アンコールで演奏された「星の彼方に」は、むかし愛犬ゴンタと仕事帰りの深夜お散歩中によく聴いていた曲です。この歳になると、曲と思い出が重なってある種独特な思いが胸にこみあげてきます。

 いつの間にか12月。師走を迎えて世の中が慌ただしく動き出しているのに、呑気な1週間を過ごしたことになります。これで良いのかなあと思いつつ、スマホのメモ帳には忘年会の印が未だ5つもあります。この歳になっても若者気分です。でも、あまり調子に乗ると良くないのになあと思いつつ、世の流れに任せて夜の巷を歩くお爺さんになります。

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