ここ数日雪がちらつく寒い日が続きます。今朝、庭に出ると霜柱で土が浮き上がり、その上を歩くとバリバリと音を立てました。懐かしい感触です。そして今夜も、小雪舞う寒い寒い夜になりそうです。
さて、今日は相撲のお話から。先日幕を閉じた本場所ですが、久しぶりに13日目から千秋楽まで後半部分をテレビで観戦しました。相撲を観戦することは滅多にありませんが、3敗力士が並び誰が勝ち残るか手に汗握る熱戦が繰り広げられました。そして千秋楽、大関の貴景勝が三度目の優勝杯を手にしました。「静」と「動」が織りなす日本の国技、千五百年あまりも続く伝統文化です。
最近、相撲を観戦することは滅多になく、力士の名前も関西出身の貴景勝、宇良。場所中に引退した島根県隠岐の島出身の隠岐の海を知っている程度ですが、娯楽の少なかった子供の頃は、場所が始まるとラジオに耳を傾けました。田舎の散髪屋さんにテレビが登場すると店の前に人だかりができた時代です。相撲が始まろうものなら、お店の前はお祭り騒ぎでした。千代の山、鏡里、栃錦、若乃花、朝潮などが活躍した頃です。当時は国技館も超満員の垂れ幕が下がるほどの賑わいでしたが、時代の変遷と共に陰りが見え始め、最近は少し寂しい感がしないではありません。
秋祭りには街外れの神社の境内で相撲大会がありました。子供から大人まで急ごしらえの土俵の上でにらみ合いました。私はいつも序盤で敗退する弱い子でしたが楽しい思い出ではあります。
場所に足を運んだのは何年か前に一度だけ大阪場所を観戦した程度。あとは、5年前の4月末に物見遊山で東京・両国界隈を散策したことぐらい。ちょうど両国にぎわい祭りの最中で、国技館内も公開されていましたから、興味津々で見学したことがありました。(2017年5月3日付き「お上りさんの『東京見物』(その2)」)
この1週間は、寒さもあってお家で暖かくして読書に明け暮れました。NPOの帰りにジュンク堂書店から連れて帰ったのは、玉岡かおるの「われ去りしとも美は朽ちず」(潮出版社)でした。何気に玉岡かおるのブログを覗いたら、大塚国際美術館の創設プロジェクトに関わった群像の物語として新刊が紹介されてありました。また、先日読み終えた「帆神 - 北前船を馳せた男・工楽松右衛門 -」が第41回新田次郎文学賞、第16回 船橋聖一文学賞を受賞したとの記事もありました。おめでとうございます。
大塚国際美術館には何年か前に孫君たちを連れて行ったことがありました。陶板名画千点あまりを所蔵する美術館ですが、単なるレプリカと見るか、それとも原画を忠実に再現した陶板名画と見るのかは人それぞれですが、何十年も前に現地の名だたる美術館で観たその絵画を徳島県鳴門市で再会できたのは不思議な喜びでもありました。(2019年8月7日付き「孫たちと陶板名画美術館「大塚国際美術館」を楽しむ」)
この本は、大塚国際美術館開館に向けた関係者の並々ならぬ努力が描かれています。はしがきには「この物語は事実に基づき構成したフィクションであり、登場人物は実在する人々とは無関係です」とありますが、玉岡さんならではタッチで描かれています。寒い寒い夜のひととき、心温まるお話しを読み進んでおります。