心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

師走のぽかぽか陽気に弾む心で「歩き遍路」

2020-12-11 14:40:03 | 四国遍路

 ドタバタの1週間が終わり、きょうは静かな一日を過ごしています。それではドビュッシーのピアノ曲を聴きながらブログを更新することにいたしましょう。テーマは先日行ってきた「歩き遍路」です。3日間とは言えいろんな場面が浮かんでは消えていきます。思いつくままに綴ります。
 今回は香川県綾歌郡宇田津町の第78番札所・郷照寺から坂出市を経て高松市の第85番札所の八栗寺に至る8カ寺を巡りました。初日は街中にある郷照寺、天皇寺、国分寺。二日目は標高280mの白峰寺と365mの根香寺、そして一宮寺。三日目は284mの屋島寺と230mの八栗寺を登ったり下りたり。覚悟はしていたものの、そのアップダウンが足腰に堪えました。
 二日目は朝6時半に宿を出発すると、日の出とともに朝日に輝く五色台が目の前に聳えます。久しぶりの「遍路ころがし」をふうふう言いながら歩いておよそ2時間。白峰寺に到着です。本堂、大師堂とお参りを済ませると、小休止のあと次のお山をめざしてまたもや下ったり登ったり。
 根香寺に向かう途中の遍路小屋に無人のお接待がありました。「ハーブ園で栽培したハーブティーです。ご自由にどうぞ」「頑張ってください」と記されています。冷えたローズマリーのハーブティーを美味しくいただきました。若竹学園の皆様、ありがとうございました。
 根香寺は、白峰寺から歩いて1時間ほどのところにあります。到着すると美しい紅葉が歓迎してくれました。今回の歩き遍路では、遍路道に沿って紅葉や真っ赤な実をつけた秋の草木が目を楽しませてくれました。
 お参りをすませて根香寺から鬼無の街に向かいますが、その道中は急な坂道が続きます。けれども、その途中に何度か車道に出ます。遠くに瀬戸内海を望みながら、ゆるやかなカーブの続く車道を気持ち良く歩きました。大きく深呼吸してポケットから取り出したのはiPodです。「千の風になって」「この街で」「ふるさとの山に向かいて」.....。新井満の歌を聴きながら歩きます。穏やかな解放感が全身に充満します。これぞ「歩き遍路」の醍醐味でしょうか。気持ち良く次の一宮寺に向かいました。
 三日目は朝7時に出発しました。琴電湯元駅前から屋島の山頂をめざします。登りは道幅も広く舗装された登山道で、地元の方々にとっては格好のウォーキングコースでもあります。でも、ジグザクに延々と続く固い舗装道は私にとってはきつい道のりでした。
 屋島寺をお参りしたあと、展望台から壇之浦を眺めました。義経の弓流し、那須与一扇の的などの源平絵巻の舞台が目の前に広がります。絵巻では海上での戦の風景が描かれていますが、潮が引いた壇之浦は馬でも進めるように見えます。なるほどと納得した次第。
 展望台からは次に向かう五剣山を見ることができます。その中腹にあるのが八栗寺です。急な坂道を下っていくと、「猪注意」「猪のしかけ」の看板がちらほら。民家が近くなると猪よけフェンスまであり、扉を開け閉めして外に出ます。いったん街中に下りたあと、さらに歩を進め五剣山(八栗寺)に登っていきます。展望台からはさきほど登った屋島山を望むことができました。よく頑張りました(笑)
 そういえば根香寺に向かう途中には「もしイノシシに出会ったら」という看板がありました。「①何もせずに放っておきましょう(餌やり厳禁)②ゆっくりと後退し、静かにその場を立ち去りまし
ょう③決して威嚇したり、追い払おうとしないでください」と。幸いにも、およそ千キロを歩いていまだかつて猪さんにお目にはかかっておりません。
 予定よりずいぶん早く高松駅まで戻ることができたので、この日は予定より2便も早く大阪駅前行きの高速バスに飛び乗って帰阪をいたしました。結願まで志度寺、長尾寺、大窪寺の3カ寺です。年明けのある時期に冬の四国路を歩いて結願をめざすことにいたします。

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