心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

「トリエステの坂道」~少しお疲れ気味かも。

2019-07-10 17:04:11 | Weblog

 「たとえどんな遠い道のりでも、乗物にはたよらないで、歩こう。それがその日、自分に課していた少ないルールのひとつだった。サバがいつも歩いていたように、私もただ歩いてみたい。幼いとき、母や若い叔母たちに連れられて歩いた神戸の町と同じように......」(須賀敦子「トリエステの坂道」)。
 時々、スマホのメモ帳に印象に残った作品の一部をメモしておく癖があります。この文章はいったいいつ書き留めたのだろうと思いながら、改めて読み返してみました。すでに、前へ前へと歩んでいく歳でもなく、さりとて立ち止まっているわけでもない。不思議な気持ちで書棚から「トリエステの坂道」を取り出しました。といってもこのエッセイは、20ページほどの小品です。トリエステは北イタリア、東端のスロベニア国境に近く、その先にはこの春行ったハンガリーがあります。須賀さんの文章から美しい風景が広がります。絵画を見るような色彩を感じる文章、それが須賀さんのエッセイです。そんな須賀さんがお亡くなりになったのは69歳。私も今夏そんな歳を迎えます。
 昨夜は、十年ほど前に録画しておいたBS朝日のテレビ番組「イタリアへ…須賀敦子 静かなる魂の旅 第1話 トリエステの坂道」を、ぼんやり眺めていました。(上3点の写真はその画面です)
 どうも最近、小説やエッセーを読む心のゆとりがありません。講座運営のほか様々な役割をこなしながら、夜な夜な講座のホームぺージやfacebook、twitterの面倒までみている始末。あっという間に時間が過ぎていきます。一定の技術的な見識があればなんということはないのでしょうが、どれもこれも手探り状態です。昨夜も東京の甥にアドバイスを受けて作業を進めました。そろそろ後継者を捜さしておかないと泥沼から這い上がることができなくなってしまいそう。そういう意味では、このブログにかける1時間ほどの時間が、私にとっては一番ゆったりとした時間なのかもしれません。

 そんな次第で、PCのディスプレイを眺める時間がやたら多くなって、時々遠くがぼんやり霞んで見えることがあります。目薬をつけても気休めにすぎない。そんなある日、DAISOで面白いものをみつけました。トレーニングメガネというものです。「1日3分でリフレッシュ」というのが謳い文句ですが、メガネのレンズの代わりに、無数の小さい穴が空いたものが付いています。いわゆるピンホールメガネというものです。説明書には「1日3分間、メガネをかけて上、下、左、右と眼を動かしてください」。すると「ピントが合う範囲(焦点深度)が広くなり、ぼけていたものが見えやすくなります」とあります。消費税込みで108円のメガネですが、試してみるとなんとなく、そうかなあと思います。時々このメガネをかけては目を上下左右に動かしています(笑)。
 「歩き遍路」まであと8日。予想どおり参議院選挙の投票日と重なってしまいました。週末、期日前投票に行って来ることにいたしましょう。一票の重みといいますが、最近なにか軽いものを感じるのは私だけでしょうか。

 

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