心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

忙中閑あり

2015-03-08 09:39:50 | Weblog

 ここ数日、雨が降ったり止んだりで、なにか湿っぽい日が続きます。これも、春に向かってのお天道さまのお目覚めなんでしょう。今日は、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(アバド指揮、ベルリン・フィル)の演奏を響かせながらのブログ更新です。この曲、知人の遺作展を観たムソルグスキーが亡き友の描き残した絵画の印象に自らの思いを重ね合わせたものだそうです。10曲の小品のひとつひとつに絵画の世界がひろがります。いながらにして、まさに展覧会を覗いているようでもあります。
 そんな休日の朝、雨上がりの花壇を覗いてみると、クリスマスローズが開花していました。2年越しで育ててきた品種も、今年は花芽をつけています。その晴れ姿を見たいものです。
 一方、居間では、生花の梅の枝先に、可愛い梅の花が開き、仄かに春の香りを漂わせています。「蟄虫啓戸」(ちっちゅうこをひらく=冬ごもりをしていた虫たちが動き始める)。春は、もうそこまでやってきています。
 先週は仕事で右往左往させられました。なんとか次のステージに繋げることができましたが、落ち着きのない一週間でした。それでも夜になると、意識的に場面転換をします。
 一昨日の夜は、同業他社の方々との例会に顔を出しました。意を同じくする老若男女の集まりですが、同業とは言いながら、集まったのは多士済済、話が盛り上がります。先行き不透明な時代。我が業界も内側から組織の新陳代謝が進んでいます。場所はアベノハルカスでした。日本一ののっぽビルから大阪の夜景を眺めるのは初めてでしたが、暗闇の中に浮かぶ通天閣、天王寺動物園、御堂筋。足元に大阪の夜景が広がります。
 その翌日は、私にとっては異業種の方々とのお勉強会でした。こちらはややハイレベルな会合です。たくさんの知見をいただきました。その帰り道、某女史と寄り道しました。洒落たレストランでもと思いましたが、知ってる店があるからとついて行くと、勤め帰りのサラリーマンで賑わう新梅田食堂街の居酒屋「三起」さん。この意外性が楽しい(笑)。わいわいガヤガヤと騒々しい店の一画で、美味しい料理とお湯割り焼酎をいただきながら、2時間ばかり話し込んでしまいました。
 その帰り道、本屋さんに立ち寄りました。そこで手にしたのは、発売されたばかりの、多様性を考える言論誌「kotoba」2015年春号でした。今回のテーマは「南方熊楠」。最近遠ざかっていた熊楠ですが、私の拘わりの人物です。昨晩は夜遅くまで眺めておりました。
 特集記事の前文には、こう綴られています。「明治期にアメリカ、イギリスに渡り、ネイチャー誌他に多数の英文論考を発表した南方熊楠。日本の民俗学誕生に決定的な役割を果たし、神社合祀反対運動はエコロジー運動の嚆矢となった」「強烈な独創性に裏打ちされた天才、権力と真っ向から対立した「知の巨人」の全貌に迫る」とあります。3年前のこの時期、別冊太陽が同じく南方熊楠を特集したことがありますが、そのときのサブタイトルは「森羅万象に挑んだ巨人」でした。

 忙しいから、何か新しい知見がほしくなる、勉強したくなる、本を読みたくなる。私の悪い癖です。ひょっとしたら、リタイア後の私は、ゆったりとした時間を持て余して、逆に本を読まなくなるのかも......。
 いえいえ、そんなことはありません。私の家は二つの市の境界線にあって、近くに二つの図書館があります。先週の日曜日、徒歩で20分ほどの所にある隣市の図書館分館に行きました。これまで、お隣の市の図書館は利用できないと思い込んでいたのですが、尋ねると、本のリクエストはできないけれども、借りることはできるのだと。さっそく貸出カードを作っていただきました。
 これで、地元の二つの図書館を利用できるようになりました。リタイアしたら、週1日は図書館でお勉強でもしましょう。もう1日は畑仕事?さあて、残りの5日は何をするか。そんな計画を考える楽しさを最近思うようになりました。
 読みたい本があまりにも多い。聴きたいレコードは際限がない。悶々としているうちに、天からお誘いが来るのでしょうよ。きっと。(笑)

 

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