心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

57歳の夏

2007-08-19 10:18:28 | Weblog
 暑い暑い「夏」です。気温40.9度なんてとんでもない、と思っても現実にそんな記録を達成したところもある。「最近、何か変だね」というのが我が家の暑い夏の会話の一コマでした。そんな暑い夏に生まれて57年。そう、57回目の誕生日を迎えました。古い昔なら、そろそろご隠居の年齢かと思いますが、本人にはそんな気持ちはさらさらなく、幼稚な世界観のなかで戯れています。
 出産間近い娘も、わたしと同じ夏生まれです。そんな娘の、母親としての仕草・表情を垣間見て、人間の逞しさのようなものを感じました。ちゃんと子供を育てていくのでしょう。きっと。我が家では、ふたりの8月生まれの誕生日のお祝いは、いつも一緒でした。ことしは遠出をするわけにもいかず、家族そろって京都・知恩院にお参りしたあとは、少し足を伸ばして貴船に向かいました。市内との温度差10度前後と涼しく、美味しい川床料理を楽しみました。
 ところで、お盆休みも終わって静かになった昨日、久しぶりに大阪日本橋のLPレコードショップと古書店を散策しました。手にしたのは、「曼荼羅の世界」、「遠野物語を歩く~民話の舞台と背景」そして雑誌「現代思想」創刊号でした。その創刊号の編集後記に、こんなくだりがありました。「いま、ぼくらの周囲には、さまざまな価値観、さまざまな真理像が、バラバラなかたちで、脈絡もなく並存しあっている。そして、このごろ、そのことの不自然さが、多くの人々に指摘されはじめている」。30数年を経て新鮮に感じるから不思議です。創刊第一巻第一号は、1973年1月の発行です。わたしが大学を卒業し社会に足を踏み出す直前の頃にあたります。現在とは異なる形での大学改革(解体)が叫ばれた時代。右から左までの多様な出会いと体験を通じて、混沌とした精神状態のままで、社会に放り出された時代。人生も後半戦に入ると、このあたりを自分なりにもう少し整理しておきたいという焦燥に駆られます。南方熊楠との出会いも、そう。曼荼羅も、記号論も、構造主義も、要するに「さまざまな領域に通底する原点」を見定めたい。そんなことを強く思う歳になりました。
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