名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

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川内原発差し止め、大津地裁と真逆の決定

2016-04-07 10:50:35 | Weblog
2016.4.7(木)

2016年3月11日に関電高浜原発の差し止めに係る大津地裁の決定について、本ブログで次のように書いた。

 (滋賀県の住民が関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを求めた仮処分の手続きで大津地裁が9日、住民側の主張を認め、運転を停止するよう命じた。
 この決定は直ちに法的拘束力を持つので、関電は運転中の3号機を10日夕刻、原子炉を停止させた。稼働中の原子炉を司法判断で止めるのは初めてとなる。4号機の方も原子炉が緊急停止するトラブルが起き、既に冷温停止状態になっており、異議や執行停止の申し立てが認められない限り、関電は二機を再稼働できない。
 訴えた住民らは立地県の福井ではなく、高浜原発の半径70キロ圏内に暮らす人たちである
 山本善彦裁判長は、
 「原発の安全対策を講ずるには福島第一原発の原因究明を徹底的に行うことが不可欠」と指摘し、原因究明が進まない中で、新規制基準を策定した規制委員会の姿勢を「非常に不安を覚える」と批判した。そのほか、基準地振動、住民の避難計画、津波対策などについても安全性の立証や疑問が残るとした(10日付中日新聞)。
 これに対して関電は近く異議と決定の執行停止命令を大津地裁に申し立てる。
 こんな司法判断が出る中、東日本大震災の発生から今日(11日)で5年の日を迎えた。大震災と原発事故という二重の大災害は、今なお全国に17万人を超える避難者を抱える。
 今日現在の死者の確定数は15,894人、不明者は2,561人、避難生活などで亡くなった震災関連死は3,410人、合計21,865人に達している。
また、仮設住宅で暮らしている人は57,677人、福島原発事故によって県外に避難している住民は2月26日現在、43,139人にも達しているという。
一方、がれきの処理は一見それなりに進んでいるように見えるが、除染のためにたまった土や汚泥、汚染水などは行き場がなく、仮置き場に山積みされている。メルトダウンした原子炉の廃炉処分は遅々として進んでいない。
 こんな状況の中で、国も電力会社も地元自治体も、さらにその住民さえも原発の再稼働に前のめりになっている。避難区域の人々の苦渋に満ちた姿がテレビなどで放映されているが、それでもこれらの人たちは、今回の大津地裁の決定を苦々しく思っている。心の貧しさにそれこそ涙が出る。)

 今回の決定を出した福岡高裁宮崎支部(西川知一郎裁判長)は、「絶対的な安全性は社会通念になっていない」との前提の上に、「九電は立証を尽くした」とした。
 すなわち、原発の安全性の判断は「どの程度の危険性なら容認するかの社会通念を基準にするしかない。巨大な火山噴火のように影響は極めて深刻でも発生の可能性が低い災害は社会通念上無視しうる」と指摘。
 また避難計画についても、「人格権を違法に侵害する恐れがあるとは言えない」とまで断じた。
 いずれにしろこれは、大津地裁の決定とは真逆のものである。メディアは、これは裁判官の考え方の差がもたらしたものだと伝えている。
 政治と結びついた事件の判断は、従来はどちらかと言えば政治の流れにおすみつけを与えるものであったが、宮崎支部の判断は「従来の司法の姿勢から抜け出し切れていない」(後藤・安田記念東京都市研究所、新藤宗幸理事長)ものである。
 裁判官といえども思想信条に自由があるからどんな判断をするかは自分の信念に基づいて出すことに文句をつける訳ではないが、裁判官誰もが心が豊かとはいえない事例に接するにつけ、寂しさを感じざるを得ない。


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