2009.12.15
中国の習近平国家副主席が14日午後、3日間の公式訪問のため羽田空港に到着した。習近平氏は胡錦濤国家主席の後継に最有力視されており、日本へのお披露目の機会となる。
さて、この習近平副主席の来日をめぐって、首相官邸と宮内庁とがもめている。宮内庁には、外国要人が天皇陛下との会見を希望する場合、1ヵ月前までに正式に申請をしてもらう日本政府の慣例があった。公務多忙な陛下の日程調整を円滑に行うのが目的で、1995年に文書で定められたものという。
こうした慣例がある中で、首相官邸は今月に入って宮内庁に天皇陛下と習近平副主席との会見を申し入れたのに対し、宮内庁は一度は断ったが官邸側が押し切って会見が実現することになった、という。
ちょうどこの直前、小沢一郎民主党幹事長らは多勢の訪問団員を引きつれて中国を訪れ、胡錦濤主席とも会談をしていた経過から、小沢氏の意向が反映されたのではないかとの憶測も流れている。
このことについて、羽毛田宮内庁長官は『天皇の政治利用だ』と批判したことに対して、小沢幹事長が『一役人が内閣の決定にどうだこうだと言うのは、憲法の精神を理解していない。反対なら辞表を提出した後に言うべきだ』と猛烈に噛み付いた。
羽毛田氏は『(特例会見の非を)言い続けることは私の役回り。辞めるつもりはない』と反論したという。
こうしたうちわの言い合いの中、昨日習近平氏は来日した。そして今日陛下との会見も行っている。どこの国の、誰にしろ外国の賓客として受入れをきめた以上、その人の目の前で、会う、会わないの是非をめぐってもめるのは全くもって失礼な話である。少なくともお帰りになってからあらためて議論すればよいことだ。
さてこのことについて、野党となった自民党は格好な敵失として猛然と攻撃している。気に入らないことを言う奴は辞めさせろとは何ごとか、というわけである。なるほど、この方がもっともな気がする。
隣の大国である中国との関係はしばしばギクシャクした時があった。将来中国の国家元首と目される人との会見は日中親善にとって決して悪いことではない。
しかし、ルールを破ってまで会見を実現させたことは、政権によって天皇の会見が恣意的に扱われたことにならないか、それは天皇の政治利用にならないか、疑問の余地がないとは言い切れまい。
さらに、会見の設定をめぐり、中国側から強い意向があったともいわれる。もし鳩山首相がそれを忖度したとすれば、はきちがえた友好である。そんなことはなかったと信じたい。
新政権は、外国の要人を迎え入れることでこんなにドタバタしていてはいささか心配である。
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