音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ Bach Sinfonia 13番 を特徴付ける 「掛留音」 の深い意味 ■

2014-02-22 00:23:14 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Bach Sinfonia 13番 を特徴付ける 「掛留音」 の深い意味  ■
   ~ KAWAI名古屋 第 13回 Invention アナリーゼ講座 ~
                            2014.2.22   中村洋子






2月 26日 ( 水 ) は、カワイ名古屋で、

「 第 13回  Bach インヴェンション・アナリーゼ講座 」 を、

開催いたします。

今回は、「 13番  Inventio & Sinfonia  a-Moll 」 です。


★前回、12番 A-Dur で、生涯忘れない 「 暗譜 」 の方法を、

お話しましたが、今回はそれを、さらに深く掘り下げます。

そのためには、 Bach の自筆譜と Edwin Fischer

エドウィン・フィッシャー(1886~1960)の、

名校訂版を、勉強することが欠かせません。


Edwin Fischer 校訂版は、その曲がどういう構造で、

成り立っているかを、細部にわたって、

見事に、示唆しています。

しかし、それを理解するには、演奏者の絶え間ない、

不断の努力が、必要です。


確実な 「 暗譜法 」 を、獲得するには、

まずその曲が、どのような 「 和音 」 の連結から成り立っているか、

それを、理解する必要があります。

さらに、各々の 「 和音 」 の性質を、考える必要があります。








Bach に限らず、調性で書かれた作品の

Harmony を分析するには、

「 和声 」 と 「 非和声音 」 とを区別し、そのうえで、

「 非和声音 」 の性質や性格も、知る必要があります。

しかし、それは決して、難しいことではありません。

一つずつ、じっくりと覚えていけばよいのです。


★今回は、 「 非和声音 」 の中で、特に、

「 掛留音 ( suspension or retardation )」 に絞って、

分かりやすく、説明します。


★「 suspension 」 とは、掛けること、掛けられることが、原義です。

suspender = ズボン吊り、という派生語がありますが、

この掛留音のイメージに、近いものがあります。

「 retardation 」 は、引き延ばす、という意味です。


★シンフォニア 13番では、 21、 22小節のバス、 26小節内声、

33、 34小節バス、41、 42小節上声、49、 50小節上声、

53、 54小節内声に、 「 suspension 」 が使われています。







★是非、この部分のみ、ピアノで弾いてみてください。

どこかで聴いたことがある旋律だ、と思われませんか?

そうです、「 Französische Suite Nr.3 フランス組曲 3番 」 BWV814 の

第 3曲 Sarabande の、 1小節目上声、 9小節目内声、 21小節目内声に、

大変よく似ています。



Edwin Fischerは、シンフォニア 13番 を 

Andantino-Einfach (simply)に、

「 Französische Suite Nr.5 フランス組曲 3番 」 の Sarabande を、

tranquillo e legato というテンポに設定しています


このテンポの設定を含め、 「 suspension 」 の見分け方、弾き方、

についても、詳しくお話いたします。

 



■ 日  時 :  2014年 2月 26日(水) 午前 10時 ~ 12時 30分

 ■ 会  場 :  カワイ名古屋   コンサートサロン・ブーレ

 ■ 予約   :      Tel. 052-962-3939

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

 東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

       スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。


 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

 Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

  全国の主要CDショップや amazon でも、ご注文できます。

★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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