■チャイコフスキーの「四季」と「中級程度の12の小品」の楽譜について■
09.5.9 中村洋子
★ゴールデンウイークも終わり、日常が戻ってきました。
皆様は、いかがお過ごしでしたか。
私は、休み中「3人のチェロ奏者のためのトリオ集」
「Trios fuer drei Cellisten」を、作曲していました。
★この曲集も、ドイツのたくさんのチェリストたちに、
弾いて頂けることに、なるでしょう。
チェロ学習者が、音楽の喜びを感じながら、
気軽に、取り組むことができ、
同時に、プロの演奏家にも、真剣に演奏し、
楽しんでいただけるような曲、となるよう、
配慮いたしました。
★そのような意図の曲集として、チャイコフスキーが作曲した、
「四季」Op.37bis(1876年出版)と、
「中級程度の12の小品」Op.40(1879年出版) を、
挙げることが、できます。
かつては、チャイコフスキーの楽譜は、
良いものを入手することが、かなり困難でしたが、
最近は、優れた版がたくさん、出版されています。
★私が持っています楽譜は、Edition Peters や
Editio Musica Budapest などですが、
最近、Schott 社から、
「新チャイコフスキー全集に基づく演奏譜」が、
刊行されました。
信頼が置け、見やすく、お薦めしたいと、思います。
★「四季」につきましては、各月の冒頭に、
曲を象徴する詩が、英語とドイツ語で、記されています。
チャイコフスキーが、曲で描こうとしたイメージや世界が、
よく、伝わってきます。
詩を読んで得られるイメージを、自分で心に描きながら、
演奏することは、奏者にとって、
想像力を養ういい訓練になると、思われます。
★ピーター・イリッチ・チャイコフスキー
Peter Ilyich Tchaikowsky 1840 ~ 1893 は、
「中級程度の12の小品」Op.40 、
「12 Pieces of Medium Difficulty」を、
1878年2月、フィレンツェ滞在中に書き始め、
同4月、ロシア・カメンカの自宅に戻り、完成させました。
出版は、翌年の1879年の1月です。
★チャイコフスキーは、1878年8月の手紙で、
このように、言っています。
「私はいま、異なった種類の、いくつかのシリーズを、
全部、完成させました。私が書いたのは、ピアノソナタ、
3つのヴァイオリン小品集、12のピアノ小品集、
24の子どものためのピアノ小品集、6つのロマンス、
混声合唱のための作品 です」。
★この時期、彼の創作意欲が、溢れんばかりに、
満ち満ちて、いました。
大曲だけでなく、同時に、若い音楽家に対し、
愛情に満ちた小品集の“贈り物”を、たくさん書きました。
★これら小曲集は、図らずも、彼のリリックで、
優しく、叙情的な内面を、日記を綴るように、
素直に、正直に告白している作品、といえます。
この「12の小品集」の初演は、1879年12月21日に、
チャイコフスキーの弟子である、ピアニスト・作曲家だった、
タネーエフ Sergey Ivanovich Taneyev が、いたしました。
★1878年11月の、チャイコフスキーの手紙によりますと、
出版途中の楽譜を、タネーエフに渡し、校閲を依頼し、
出版前に、初演したようです。
★チャイコフスキーのピアノ作品には、まるで、
オーケストラのような響きを、もった曲が多く、
「12の小品集」も、そういう響きを、楽しめます。
これを、子ども時代に、練習しますと、
オーケストラ作品に親しむ、よい手引きとなります。
★また、大変に美しい曲が多く、
他の楽器に編曲され、よく、演奏されています。
名チェリスト・ピアティゴルスキー Piatigorsky も、
アンコール作品として、この「12の小品集」から、
2番「悲しい歌ト短調」を、
「6つの小品」Op.51 から、6番「感傷的なワルツ」を、
演奏していました。
これらは、CDの「Naxos Great Cellists Piatigorsky」
「Concerts and Encores」で、実際に聴くことができます。
★それを聴きますと、旋律の歌わせ方、
チャイコフスキーの息づかい、間の取りかた、リズムを、
ピアティゴルスキーのチェロから、個人レッスンのように、
おおいに学ぶことが、できます。
曲の強拍が、ただ「重い」のではなく、「一瞬の打撃」を、
「引き伸ばす」ように、演奏すると、
どんなに、生き生きとしたものになるか、
いい例と、言えましょう。
(写真は、野草ハルジョオンの蕾)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
09.5.9 中村洋子
★ゴールデンウイークも終わり、日常が戻ってきました。
皆様は、いかがお過ごしでしたか。
私は、休み中「3人のチェロ奏者のためのトリオ集」
「Trios fuer drei Cellisten」を、作曲していました。
★この曲集も、ドイツのたくさんのチェリストたちに、
弾いて頂けることに、なるでしょう。
チェロ学習者が、音楽の喜びを感じながら、
気軽に、取り組むことができ、
同時に、プロの演奏家にも、真剣に演奏し、
楽しんでいただけるような曲、となるよう、
配慮いたしました。
★そのような意図の曲集として、チャイコフスキーが作曲した、
「四季」Op.37bis(1876年出版)と、
「中級程度の12の小品」Op.40(1879年出版) を、
挙げることが、できます。
かつては、チャイコフスキーの楽譜は、
良いものを入手することが、かなり困難でしたが、
最近は、優れた版がたくさん、出版されています。
★私が持っています楽譜は、Edition Peters や
Editio Musica Budapest などですが、
最近、Schott 社から、
「新チャイコフスキー全集に基づく演奏譜」が、
刊行されました。
信頼が置け、見やすく、お薦めしたいと、思います。
★「四季」につきましては、各月の冒頭に、
曲を象徴する詩が、英語とドイツ語で、記されています。
チャイコフスキーが、曲で描こうとしたイメージや世界が、
よく、伝わってきます。
詩を読んで得られるイメージを、自分で心に描きながら、
演奏することは、奏者にとって、
想像力を養ういい訓練になると、思われます。
★ピーター・イリッチ・チャイコフスキー
Peter Ilyich Tchaikowsky 1840 ~ 1893 は、
「中級程度の12の小品」Op.40 、
「12 Pieces of Medium Difficulty」を、
1878年2月、フィレンツェ滞在中に書き始め、
同4月、ロシア・カメンカの自宅に戻り、完成させました。
出版は、翌年の1879年の1月です。
★チャイコフスキーは、1878年8月の手紙で、
このように、言っています。
「私はいま、異なった種類の、いくつかのシリーズを、
全部、完成させました。私が書いたのは、ピアノソナタ、
3つのヴァイオリン小品集、12のピアノ小品集、
24の子どものためのピアノ小品集、6つのロマンス、
混声合唱のための作品 です」。
★この時期、彼の創作意欲が、溢れんばかりに、
満ち満ちて、いました。
大曲だけでなく、同時に、若い音楽家に対し、
愛情に満ちた小品集の“贈り物”を、たくさん書きました。
★これら小曲集は、図らずも、彼のリリックで、
優しく、叙情的な内面を、日記を綴るように、
素直に、正直に告白している作品、といえます。
この「12の小品集」の初演は、1879年12月21日に、
チャイコフスキーの弟子である、ピアニスト・作曲家だった、
タネーエフ Sergey Ivanovich Taneyev が、いたしました。
★1878年11月の、チャイコフスキーの手紙によりますと、
出版途中の楽譜を、タネーエフに渡し、校閲を依頼し、
出版前に、初演したようです。
★チャイコフスキーのピアノ作品には、まるで、
オーケストラのような響きを、もった曲が多く、
「12の小品集」も、そういう響きを、楽しめます。
これを、子ども時代に、練習しますと、
オーケストラ作品に親しむ、よい手引きとなります。
★また、大変に美しい曲が多く、
他の楽器に編曲され、よく、演奏されています。
名チェリスト・ピアティゴルスキー Piatigorsky も、
アンコール作品として、この「12の小品集」から、
2番「悲しい歌ト短調」を、
「6つの小品」Op.51 から、6番「感傷的なワルツ」を、
演奏していました。
これらは、CDの「Naxos Great Cellists Piatigorsky」
「Concerts and Encores」で、実際に聴くことができます。
★それを聴きますと、旋律の歌わせ方、
チャイコフスキーの息づかい、間の取りかた、リズムを、
ピアティゴルスキーのチェロから、個人レッスンのように、
おおいに学ぶことが、できます。
曲の強拍が、ただ「重い」のではなく、「一瞬の打撃」を、
「引き伸ばす」ように、演奏すると、
どんなに、生き生きとしたものになるか、
いい例と、言えましょう。
(写真は、野草ハルジョオンの蕾)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲