音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■ ベッチャー先生からのお便りの続き ■■

2009-03-26 23:57:02 | ■私の作品について■
■■ ベッチャー先生からのお便りの続き ■■
           09.3.26  中村洋子


★昨日のベッチャー先生からの、お便りの続きです。

先生のお母さまが先日、お亡くなりなったそうです。

「100歳と130日」の天寿を、全うされたそうです。

最近まで、先生のコンサートに、自ら足を運んで、

お出かけになるほど、お元気だったそうです。

心から、ご冥福をお祈りいたします。


★そのお母さまの「100歳の誕生日」に、

先生は、私が作曲した曲を演奏して、

お母さまに、聴いていただいたそうです。


★これは、一昨年、私が先生に献呈いたしました、

「10 Cello Duos for Young Cellist」という曲集の、

第一曲目の曲です。

「チェロ初心者向きの、いい曲がない」という、

先生のご要望に応え、先生と生徒が楽しみながら、

チェロを学ぶことが、できるように、

この曲集を、作曲いたしました。


★先生は、お孫さんのアントンさんと一緒に、

この曲を弾かれたそうです。

曲集を、お送りしたとき、

「アントンは、サッカーに夢中で、初見では、

この曲を、うまく弾けなかったよ」と、

笑いながら、おっしゃっていました。


★音楽学者であった、先生のお父さまは、

第二次世界大戦中、ベルリン空襲に巻き込まれ、

逃げている最中、不幸にして、

お亡くなりになったそうです。

先生がまだ、10歳前後のときでした。

「どの場所で亡くなったか、いまでも分からない」と、

悲しそうに、おっしゃっていました。

お母さまは、本当に苦労されて、

3人の子どもたちを皆、立派な音楽家に育てられました。


★先生が、心の底から、ご自身の音楽を、

聴いていただきたい方、つまり、お母さま。

そのお母さまの、最後の誕生日に、

私の曲を、弾いてくださったことは、

この上ない光栄なことと、思っております。


(写真は、土佐ミズキの新芽です)
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