今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

クラッシュ 7

2006-03-05 15:28:21 | 逆転サヨナラHR
感動?何か違う・・・でも。

「人は誰かとつながっていたい」「あたたかい涙」感動ばやりの世の中だからなのか、宣伝文句には甘ったるい言葉が並んでいた。でも、そのつもりで見に行ったらちょっと違和感を感じた。

ロサンゼルスのある一夜とその前日の出来事。一件の交通事故からスタートしたストーリーはそれぞれの人物の物語へ別れていき、そしてまた交叉しながら集まってくる・・・。それぞれの味付けも、つなぎ方も見事な群像劇だ。

いい意味でも悪い意味でも人と人のつながりが濃い田舎と違い、都会で生活していると「自分と家族、その周りの人々」だけで生きているような錯覚を持ちがちになる。でももちろんそんなことはなくて、無意識のうちにいろんな人と「ぶつかって」、いろんな人の「おかげで」生活している。そこにアメリカが抱えるさまざまな問題をちりばめて描いたのがこの映画だと思う。「つながっていたい」のではない。「ぶつかっちまう」のだ。

登場人物たちがそうだったように、人間は誰かと「クラッシュ」した時、状況や事情によって善にも悪にもなり得る。だからここに出てくる人種差別の問題を部外者の我々が道徳的観念だけから「あかん」というのはちょっと違うと思う。

でも、こういう映画が政府や企業、あと写真の男とかが企んでそうな「巨悪」だけじゃなくて、自分たちの中にもある「小さな悪」についても考えるキッカケになったらいいのにな。

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