今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

フォッグ・オブ・ウォー 5

2004-09-28 23:42:48 | タイムリーヒット
マクナマラという魔法の呪文みたいな名前のジイさんの「現世への置き土産」

自分の若かった頃の話や戦争の思い出などをダラダラ2時間。普通なら身内の葬式でだけ流してほしい類のもんだが、呪文オヤジは元国務長官。しかも「アメリカのトラウマ」ベトナム戦争のキーマンだもんだから、1800円取られるというわけだ。
香典払って何がよかったといえば、このジイさんが潔く「すんませんでした」と謝っちゃってるところだ。確かに戦争は一人の力で起こしたわけではないし、死にそうなジイさんを誰も責めないだろう。だけど都合の悪いことだと急に記憶が消える便利な脳ミソの政治家が多い中で、これだけの大物が一部分ではあるけど「あれは間違った判断だった」「アメリカは最強の国だけど、それを誇示するべきじゃなかった」ってハッキリ言っちゃってる。しかもその「間違った判断」後の状況にかなり近い現在のアメリカでだ。こりゃ気持ちいい。

権力を持った人間ほど、保身のため自分の非を認めたがらない。ウチのオヤジだってそうだった。父親という権威を守るためにする「オレがダメだというからダメだ」という発言。中高生の頃はその理不尽さに大いに反抗したもんだけど、一緒に酒を飲む年齢になってからは「あれは悪かった」と弱い部分も見せてくれる。そんな時は親ながらちょっとカワいいと思う。
だからフォッグ・オブ・ベースボールさん。アンタも隠れてないで今のうちに謝っといたほうが絶対いいよ!来世への振り逃げは難しそうだし。

教訓:華氏911がブームだからといってドキュメンタリーを軽い気分で見に行くと、北爆より激しい睡魔に襲われるぞ!

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堕天使のパスポート 5

2004-09-26 22:01:30 | タイムリーヒット
国を捨てて自由を求める女と愛する国を追われた男。サスペンスタッチの娯楽作に仕上げてあるが、テーマはかなり重い。

我々日本人にはあまり縁のないような気がする移民という問題。しかしオレもテレカを偽造して売ってたのはイラン人と決めつけてたし、歌舞伎町で惨殺と聞くと中国・台湾系の黒社会を連想していたことを考えれば、日本にもそういった人々はたくさん存在するのだ。そんな遠い話ではない。
日本など諸外国と比べて経済的に恵まれている国に、出稼ぎとか経済難民と呼ばれる人々が流入してくるのは避けられない問題だと思う。彼らの安い労働力が自国民の仕事を奪いかねないのでお上は対抗策をとるわけだが、それが厳しくなればなるほど就労ルートは地下に潜り、この作品にも出てくるような悪党たちの暗躍の場となる。

代表的なのが広島に本拠を置く某組織だろう。赤い帽子が目印のこの集団は右も左もわからないドミニカ人を連れてきては日本人の十分の一程度の低賃金で酷使、東京や大阪、名古屋の集団と激しい抗争を繰り広げている。ただ近年は大資本のバックアップをうけた東京の組織や、カカア天下の親分率いる名古屋の組織に押されて低迷。現在、首位と21.5ゲーム差の最下位である…。あれ、話変わってる?

唯一笑えたのが、偽IDにおびえる黒人の主人公へ言った中国人の医者のセリフ
「大丈夫!黒人はみんなおんなじに見えるから!」
確かに…。でもそんな事言って大丈夫か?

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千の風になって 4

2004-09-26 02:03:51 | デッドボール
会社の上司あたりが結婚式でよくやる「大真面目で内容はとてもいい、だけどたまらなく退屈な祝辞」みたいな、どうにもこうにも、ちゃかしようのない映画である。

1:前出のインファナル…とは違って「登場人物が絶対死ぬとわかっている」物語。
2:ベースになっているのは本当に気の毒な実話。
3:描かれるのは親から子、子から親、そして夫婦の間にある無償の愛。
果たして社会の役に立っているかは疑問だが、自分を無事に生んでここまで育ててくれた親には感謝したくなったし、こう見えて結構涙もろいので3ポイントで合わせ技1本となるかと思ったが、全然。逆の意味で(涙)

予算削減なのか、出資者のカラミなのか?ポイントポイントで出てくるメイン以外の登場人物があまりにも…。ストーリーに引き込まれる直前で必ずフッと我に返されてしまう。
今の時期なら旬の味覚、秋刀魚に添えてあげるのが一番いい使い道だと思うんだけどなぁ。

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ぼくセザール 10歳半 1m39cm 5

2004-09-25 01:41:49 | タイムリーヒット
セザールの身長、1m39cmの高さに固定されたカメラが映し出したのは子供たちの視線で展開する小さな冒険物語。ナレーションが少々うるさかったところはあるが、その心情描写はリアルで「理不尽な大人の理屈」や「いい大人、悪い大人」について考えさせられるいい話だと思う。

でも、そんなもんより自分としては少年の夢に出てくる屁のシーンが一番だった。31年の人生で見た最強・最大・最速の屁。そんなくだらないシーンにまさかお堅いフランス映画の中で出会えるとは!
クラスで笑いを取りたい時「ウンコ」と「オナラ」があれば無敵だった低学年。そしてまだ意味がよくわかっていないながら「下ネタ」に無限の興味を持ちはじめる高学年。その変化というか成長、男子(だんし)なら誰でも心当たりのある、毛の生えるちょっと前の「あるある物語」だ。

見逃していたこの映画を旅先の札幌で見た後、ホテルのサウナに入って座ろうとしたら…
ススキノで食べたみそラーメンのニンニクがまずかったらしい。音はしなかったのに密室は沈黙に包まれた…。

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トゥー・ブラザーズ 4

2004-09-20 19:58:14 | デッドボール
キャッチコピーは「世界...が泣いた!」
でも、よーく見てみたら「世界」と「が泣いた」の間に、ちいさ~く で おすぎとピーコと、あと松島トモ子だけ って書いてあった(ウソ)
確かにトラの子供たちは「ナマケモノが見てた」のレッサーパンダくんばりに可愛かったし、CGを使わずあれだけの画を撮ったのはたいしたものだと思う。でもやっぱりトラはトラ。基本的に「甘える」と「怒る」の2種類の演技しかできない新人俳優にいきなりセリフなしの主演は荷が重かった。
テーマも「肉親の愛」なんか「人間のおろかさ」なんかどっちつかず。主役の演出に時間がかかりすぎたのか他のキャラには手間がかかってないし、カワイイといってもトラ。観客がどのキャラクターにも感情移入できないのが辛かった。
唯一コイツいい味出してるなと思ったのが地域を統治している「殿下」という男。小太りで横に美女を従え、親の七光りで今の地位にいるけど覇気うすめ。某国の「○軍様」にかぶっててニヤケてしまった。

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インファナル・アフェアⅡ無間序曲 6

2004-09-19 20:36:35 | タイムリーヒット
おとり捜査の警官とマフィアが警察に送り込んだスパイ。ただのイケメンムービーかと思ってたら、そのしっかりしたストーリーに感動させられた前作。
これはそのヒットに気を良くした偉いさんの気まぐれで出来たサイドストーリーらしいが、スターウォーズを思い出してもわかるように、昔に戻っちゃう話というのは「主人公が絶対死なない」ので盛り上がりきれない面もあった。
それでも一本の作品として楽しめるのは元々のキャラ設定に厚みがあったから。おすぎじゃないから若い男前に興味はないが、男たちの駆け引きや巧みな複線はなかなか。ちょっと前まで「ジャッキーと敵と自転車を盗まれる人」くらいしか出てこなかった香港映画とは思えないレベルだ。
今度日本でもユースケ主演で「踊る大捜査線」のサイドストーリーを作るらしいが、ただでさえホラーとマンガ原作のしょぼい映画化が多い現状で、世界に出しても恥ずかしくない出来を期待したい。

追記:今回イマイチ集中できなかったもう一つの理由、この物語の重要な鍵を握るウォン警部。アンソニー・ウォンという香港の有名な俳優さんが演じているんだけど、どうしても河野洋平にしか見えない。

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父と暮らせば 6

2004-09-17 00:24:40 | タイムリーヒット
最近、映画のエンドロールは長い。エンディングテーマみたいなヤツがフルコーラス終わってもう1曲かかったりする。でもこの映画は違った。出てる役者がたったの4人。しかも一人はセリフなしの置物みたいな出演だから、1時間半を見せきった残り3人の熱演には拍手を送りたい。
これまでの原爆映画というと「はだしのゲン」のように悲惨な状況を派手な映像で連発する映画が多かったが、この作品では娘の「生き残ってしまった者の苦しみ」を通して戦争のむごさを見事に隠喩。「私は幸せになってはいけない人間なんだ」地味な表現だけにかえって「ふだん喋らないヤツのふとした一言」みたいな重みがあって心に染みた。
こないだまでリハウスガールだった宮沢りえも30歳を越した。「たそがれ清兵衛」の好演など、色気とは違うはかなげな魅力をもった和風美人に成長したように見えるが、10年後は油断するな!ママの血は侮れないぞ。
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テイキング・ライブス 4

2004-09-14 16:00:19 | デッドボール
連続殺人の犯人が被害対象に次々となりすまし…という予告を見てその部分にひかれて観に行ったのに、ただの小賢いサイコキラーもんやんけ!
しかも観客にだけ上映開始30分で犯人が読める展開なので、残りの1時間半はずっとA・ジョリー見ながら「気をつけろようしろ、うしろに来てんで…うわぁ!」とドキドキするだけのビックリ箱。ドリフのコントちゃうねんから、あれで1800円は辛いわ。
ちょっとだけドラマ「24」でメジャーになったK・サザーランドが出演してるんだけど、どうしてもジャック・バウワー捜査官に見えてしまう。コソ泥役であっさり死んでるのに「実はタダものじゃないはず。なにかあるに違いない」とウラ読みしてしまったファンは少なくないはずだ。
役者にとってハマリ役っていうのは渥美清しかり、田中邦衛しかり痛し痒しやなぁ。

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スウィングガールズ 8

2004-09-12 22:25:49 | 逆転サヨナラHR
「オレ、明日からジャズやるわ」本当かどうかわからないが、明るくなってから後ろの中学生が言っていた言葉が監督冥利ってやつだろう。女子高生の物語だが「女子ぃ~」ぽくなく、むしろカッコいい。オヤジの音楽、ジャズをここまでポップな物語に仕上げた手腕には敬意を表する。ウォーターボーイズの成功でフジテレビに見初められ、ちょっとわかりやすくなりすぎているきらいはあるが、くだらなくて安っぽいギャグも健在で腹を抱えて笑わせてもらった。
毎日いろいろつらいこともあるけど、見たら元気になれる娯楽映画のお手本のような一本。
でも矢口監督の最高傑作は絶対「ひみつの花園」だと思うわ。
…と思って調べていたら待望のDVD発売らしい。即買だぁ!
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ヴァン・ヘルシング 5

2004-09-11 17:34:53 | タイムリーヒット
♪ふんがーふんがーフランケン、ざますざますのドラキュラ、ウォーでがんすの狼男が揃い踏みのリアル「怪物くん」。さすがハムナプトラの監督だけあって画面のキモさと中身の無さは他の追随を許さない出来だ。エキスポランドのお化け屋敷のテーマにはバッチリだけど、それにしちゃ制作費使いすぎやろ!
劇場を出たら隣の映画館でスマップ香取の「NINNIN」、その隣では「ヴィレッジ」をやっていた。もしかしてひそかに藤子不二雄特集?ということは「ヴィレッジ」で村人のドアに赤い印をつけた犯は………イタズラ好きのドロンパに違いない!
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MASK DE 41 7

2004-09-10 18:43:07 | 逆転サヨナラHR
昭和から平成になって弱くなったもの、プロレスとオヤジの威厳。かつて「強いもの」という幻想だけで恐れられていた両者の弱さ、悲しさを見事に描いた力作だ。しかし一番強く伝わってきたのはその裏側にある本当の強さのほうだった。
「プロレスラーなんて八百長だ」「オヤジなんて給料運び」みたいな風潮があるが、年に数回戦うだけで強いとされているK1やプライドの選手が、200試合以上戦うプロレスラーと同じ過酷な日程に耐えられるか?バカにしているオヤジの給料、バイトで稼いだらどんだけ時間かかるかわかってるか?
平成生まれのアイドルが出てくる時代だけど、いろいろ変な事件が起こったり、経済成長が行き詰まってすさんだ空気の流れる今、昭和の良さを見直したらどうだろう?別にジジ臭い説教たれるつもりはないが、日本人がもっとイキイキしていた時代には、技術とか情報流通の進歩で失った大切なものがあったような気がする。
この映画に出てくる古き良きプロレスファン達を眺めていて、そんなこと、考えていた。
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LOVERS 5

2004-09-08 01:48:12 | タイムリーヒット
はじめはありがちな監督の「この娘かわいいでSHOW」かと思ったら、意外と「えらくたいそうな三角関係」の物語になっていてちょっと驚いた。でもありゃ、やりすぎだ。
「HERO」といいこの作品といい、やたらと映像が派手で中身が薄れ、「絵画的な色とか美しさ」にばかりこだわっているように見える。ハリウッドを意識してのわかりやすさ重視だろうけど、それまでが地味だけど堅実な映画を撮る監督だっただけに「小金儲けてイキってる田舎者」みたいでちょっと恥ずかしい。
浮いてるのはワイヤーでつったカラダだけじゃなくて、作風の方やんか。
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いかレスラー 4

2004-09-03 23:15:41 | デッドボール
いかレスラー。明らかに仲間内のノリで決めたタイトルで、恥ずかしい企画書を書き、
スポンサーを集め、役者と出演交渉し、ロケ地を借りて(しかも全員に「いかレスラー」
と説明して)作品にこぎつけた尽力にはまず敬意を表したい。ようやった!
しかしだ。やるならやるで対象に愛を持ってもっとトコトンやるべきちゃうんか?
この映画、オレがシベ超シリーズが好きなことを知っている友達の勧めで見たのだが、
根本的にシベ超とは違う。シベ超は「好きで好きでたまらんものを映像化したけど
技術が伴わない」学園祭のコピーバンドみたいな作品だ。でもこれは「力のある人が
ボクこんなんもできるんですわと遊びを見せた」売れっ子アーチストの小遣い稼ぎの
カバーアルバムみたいなもん。スポ根の素材にプロレスを使ってみただけで
愛もリスペクトもない。カフェにおいてありそうな写真のやたら多い雑誌に「おバカ
映画」とか紹介されて、おしゃれキッズから小金を巻き上げようって魂胆丸見えだい。
騙されるな!この監督の代表作は「まいっちんぐマチ子先生」だし、次回作は
「まぼろしパンティVSへんちんポコイダー」だ!気をつけろ!
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