薬の神じゃない 5

寄り道しすぎかな。
中国で白血病患者のために安いインド製のジェネリック医薬品を密輸した実話ベースの物語。素晴らしく意義深い話だけど、ちょっと装飾しすぎかなと。ダメ人間が突如改心する主人公のキャラも、なんか不自然なチームメンバーも、さらに不必要なアクションシーンも。映画としての華を作りたいのはわかるが、そっちに目がいって、逆に大切なところが散漫になる。まあ、ヒットさせてナンボなんだろうけど。

朝が来る 7

特別養子縁組の両側、産んだ側ともらった側の母の想いを河瀬直美監督が丁寧に描いたドラマ。光の使い方が見事だし、ミステリーとしての作りも素晴らしいかった。
さらにそれを支えた永作博美はじめ女優陣の熱演にもやられた。女というか母の強さ、大きさに男は全然敵わないわ。アラタも添え物だったもの。

スパイの妻 5

いや、山ちゃんの妻だし。
とは思いつつ、10代から見続けてきた蒼井優は見ておきたくて劇場にいった。でもなんか「私演技うまいでしょ」が鼻につくセリフ中心の舞台劇のような作りに違和感。物語も途中から急にテンポが変わって面白くなったけど思いきり尻すぼみ。全然お見事ではなかったのが残念だわ

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 4

元のアニメとか全然知らない男が、ファンのために作った映画に文句言うのは野暮かもしれない。ただ、えらく評判がいいので見に行った価値はあまりなかった。あれだけいろいろ都合良すぎる設定にして、言わせたいのが「あいしてる」だけ？そんな上澄みだけのピュアな純愛なんてまさに絵空事。ベタベタな泣かせの展開に乗っかって涙を流し、いい人気分になってる方々、それも自由だけどさ。

みおつくし料理貼 6

全部盛りでは…
原作の大ファンだ。主人公は不幸だけど才能に恵まれた少女。周りの人たちの愛に支えられ、過酷な運命に打ち勝っていく。今気づいたけど、少年ジャンプやん！
役者陣は頑張ってたと思う。でも小説10冊くらいの物語を2時間にするのは厳しい。シンプルな料理への創意工夫が物語の魅力なのに、それをお盆に並べまくっちゃダメだ。春樹さんが自分の権利を使いたいのはわかるけど、違う形でゆったり取り組んでほしかった。

浅田家 7

感情をこじ開けるカギ
自分の家族をコミカルな設定で撮影した写真集「浅田家」をベースにした物語。主演はニノ。家族と写真を軸にした物語が疲れていた心に染みて涙が何度も。どんな時でも温かく迎えてくれる家族の包容力と、それを作る親の愛。それを思い出させてくれる写真。沼田家の写真も撮らなくちゃ。

星の子 5

賢こすぎるのも、考えもん。
芦田愛菜ちゃんの6年ぶりの主演作。実はその作品にもちょっと関わってたし、長男と同い年なのもあって気になる存在だった。
結論から言うと、今の芦田愛菜のための映画。16歳だけどこんなしっかりした芝居ができてすごいでしょって見せつけられる感じ。新興宗教にハマる両親と学校での現実との間で揺れる中学生の役だけど、賢さと芯の強さが滲みでてしまってる。子役しながら本を読み漁り、慶応の付属でも優秀な成績だという知性は羨ましいけど、女優さんとしては幅が狭くなってしまってるなと思う。たぶんもう少しで引退するような気がする。

ミッドナイトスワン 7

ズシーン。
重いストレートを受けたキャッチャーのような気分だ。草彅くん演ずるLGBTのお姉さんが、たまたま預かった親戚の中学生のバレエの才能に気づいて…という話。リトルダンサーなどと比べるむきもあるが、そんな甘くない。現実の生きにくさをこれでもかと連投してくる作品だ。明るく見えてても闇はある。夢は人生を変えるキッカケにはなるけれど、代償も。お前どうすんねん？厳しく問いかけてくる1本。決してデートでは行かないで下さい。