うまれる 8

これは金取る興行にしたらあかん。
自分が過去に虐待を受けたため初めての妊娠に戸惑いを見せる、不妊症に悩む、重い障害を持った子供を産み育てている、そして死産…いろんな夫婦の出産に関してのドキュメンタリーだ。自分の時と何となく重ねあわせ、何もできないダンナの無力感や母になっていく嫁さんの変化を思い出しながら、強く感じたのは親は子に育てられてるなぁということ。仕事なんかでも立場が人を育てるというけれど、親になることで学んでいくことがどれほど多いか。製作費の10倍くらいの値段で国が買い取って、無料上映したりテレビで流すべき作品だと思った。

ラストソルジャー 7

こりゃ拾いもん。
みんなのジャッキー・チェン製作総指揮、もちろん主演による中国の戦国時代を舞台にした、戦いたくない農民と運悪く彼に捕まってしまった敵将の物語。大層な主張を押し付けるのでなく、ジャッキーお得意のコメディ風味をきかせたバディムービーになっていると思う。ハリウッドで遠慮がちだったジャッキーじゃなく、ホームグラウンドで撮ってるから、のびのびした作品になった。やっぱりジャッキーはこうでなきゃ！

ハリーポッターと死の秘宝part1 5

後片付けって面倒くさいよね。
第1作をまだ初々しかった嫁とデートで見に行ったシリーズの最新作。ウチにはうるさいガキが2人でき、ハリーもその分だけ大人になってしまいました。はじめはメガネの冴えない少年が魔法でどんどん魅力を開花させる展開で楽しかったけど、世界的に大ヒットしちゃったせいで続けなくちゃいけなくなったここ何作かは、あまり成長もなく、いつまでたっても倒せないあの人を追いかけてるだけ。登場人物は増やしすぎて子供には到底理解不能になってるし、これは一体誰のための物語なんだろう？次でやっとこの「広げすぎた風呂敷」をまとめるみたいだけど、まさか魔法に憧れる少女ハーマイオニーの全部夢の中のお話でした、みたいに変えられんやろうな。

100歳の少年と12 通の手紙5

染みてこない。
白血病でわずかしか生きられない少年が、ひょんなことから出会った口の悪いおばちゃんと、最後の10日間を前向きに生きる話。見た目はかわいいが人生を達観したマセガキと、口は悪いが実はいい人なおばちゃん。二人のギャップが物語の味付けにはなっているけど、結局「難病もの」からは離れられてない。「病気の子はビュアで周りの人たちもみんな暖かくて」というバターンからは脱してるだけに、もったいないなぁ。

ふたたび 5

ジャズは古さが味にもなるけど…。
ハンセン病で50年近く隔離されて過ごした老人が、初めて会った大学生の孫と一緒に成せなかった夢をかなえるために旅をする。設定も展開もすごくよくなる可能性を持った素材だったと思う。でも人物描写と編集が雑。あとシニア向け映画にしても演出が古くさい。だから理解したいんだけど、イマイチ物語に入り込めなかった。ただ最後近く、50年間抱くことすら許されなかった親子の抱擁シーンだけは涙がでた。いかん、最近男女の抱擁には全く感動しないくせに、男同士の抱擁は無条件に泣けてきちまう。

義兄弟 6

男臭いんだけど、でも。
北の工作員と彼らを追う韓国の捜査員がお互い組織を終われ、ひょんなことから一緒に仕事するようになる…一風変わったバディムービーだ。本来ならあり得ないファンタジーだけど、それを見せきったのは主役の2人の演技力。ダンカンさんみたいなガンホの笑いの部分と堺雅人みたいなドンウォンの爽やかさが、本来なら重苦しくなる空気を見事なエンターテイメントに変化させていたと思う。一時の韓流ブームは終わって、バハア向けの古くさい恋愛モノがなくなった分、「息もできない」みたいな骨太な作品や、こんな見事な娯楽作が日本にもやって来て、韓国映画の地力を感じさせられる。頑張れニッポン！ドラマの焼き直しとかなんとか戦艦とかばっかりやってると、世界に取り残される一方だぞ。

裁判長！ここは懲役4 年でどうすか 6

まあ、簡易裁判所くらい。
裏モノライター北尾トロの裁判傍聴エッセイを映画化。邦画でも裁判を扱った作品は結構あるし名作も多いけど、これはそんな中でも異色の1本だ。被告でも裁判関係者でもない傍聴マニアからみた様々な裁判の描き方はひたすら軽く無責任。そりゃそうだ、赤の他人だもん。劇中に出てくるいろんな裁判を見ていると、決して趣味がいいとはいえないけど、おもろいこともあるだろうなあとは思う。そんな人の野次馬根性はくすぐる1本だ。どうっすか？こんなもんで。

マチェーテ 6

ガハハ！バンザイ！
ロバート・ロドリゲス監督によるガハハアクション映画。メキシコのタフガイが悪党どもをバッタバッタ殺しまくる。エロは大したことないのに成人指定なのはそのドギツさから。ただそこを作り物と笑って見られるオトナなら、頭空っぽにしてスッキリできる話だろう。やってることは「十三人の刺客」の三池さんとあんまり変わらないんだけど、あっちは何か不快で、こっちは笑えるのはなんでだろう？どよ～んとした日本の曇天と、メキシコのカラッカラの青空の違いかな。