今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

大いなる休暇 7

2005-06-30 00:35:21 | 逆転サヨナラHR
幸せってなんだっけ?

のんびりとした田舎の島で起こるほのぼの大騒動。別に田舎暮らしにあこがれるわけじゃないけど、今の自分にとっては気持ちのいい作品だった。

20代までは「最先端の都会で、かっこいいことや一番おもしろくて刺激的なものを追いかけること」が幸せだと思っていた。でも30を過ぎ家族が出来て、子供の寝顔を見る時に感じる何ともいえない幸せの虜になっている自分がいる。丸くなったとか、年取ったからでもない。例えるならハンバーグや唐揚げじゃなくて、イカの塩辛の旨さがわかってきたような感じだ。

実際は田舎だからといってあんなにいいヤツばかりじゃないだろうし、中身的には不満もあるけど、最初と最後に出てくる「幸せのカタチ」が秀逸だからオススメできる。いろんな意味で「ガキにはわかるまい」な映画だ。

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妖怪大戦争 3

2005-06-29 00:43:11 | デッドボール
見事に叩きだしたよ!この点数。さすが角川だ。

映画を見出して「あ、しまった。他のにしておきゃよかった」と後悔した経験は、おそらくかなりの人にあるだろう。俺もよくあるんだが、これはすごかった。試写会のプレスシートを受け取った瞬間。おそらく史上最速だ。
仮に我慢して2時間強、完走したとしよう。湧いてくる疑問は「この映画、誰のために作ったの?」子供向けにしては妖怪や設定がグロすぎるし、大人向けにしてはストーリーが薄っぺら過ぎる。従って老若男女誰が見ても???な作品。さすが数は多いけど作風の荒い「職業監督」の三池さんだ。

でも脱力感から立ち上がれないまま、スタッフロールを見ていて気づいた。この映画で一番イキイキしていた人達。荒俣、京極、宮部・・・プロデュースチーム「怪」というヘンなユニットで参加、出演もしている作家の皆さんだ。なるほど、角川書店がガッポリ儲けさせてもらっている作家先生への接待か!

合議制だったら絶対ありえない、儲け度外視の接待映画。今時こんな作品撮れるのは、ここの社長と北の将○様くらいしかいないだろう。アントニオ猪木じゃないが「角川歴彦だったら、何をしても許される」らしい・・・。
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いらっしゃいませ、患者さま。  7

2005-06-28 23:49:27 | 逆転サヨナラHR
まんざらコメディでもないな、コレ。

潰れかけの病院にひょんなことから風俗界の風雲児が入院。ナース指名制など常識破りのサービスを充実させて病院を建て直す。雰囲気的には月曜ドラマランドみたいな作品。でも、笑いながら見ていて考えさせられる部分も多かった。

サービス業全盛のこの時代にあって、サービスに熱心でない業界がいくつかある。この物語に出てくる医者もそうだし、弁護士や宗教、あと俺の勤める放送業界も入るかもしれない。これらに共通するのは「お上の免許でやっていて優遇を受けている」「基本的にお客さんが依頼・依存する立場」だということだ。そのため競争相手が制限されるのであまり潰れることもなく、「~してやっている」という意識が強いから「これ以上何しろっていうの?→サービスなんかいらんやん」という流れである。

でもこの映画を見て、そうでもないやんと思った。やり方によっちゃもっとサービス考えて、少ない競争相手すら蹴ちらせるんちゃうかと思った。ひとつ、すごくいいセリフがあった。「お客さんがそんなことまでやってくれるの!と驚くのがサービスだ。そこにお客さんはお金を払う」というものだ。

果たして今のテレビを見てそんな風に驚くようなことがあるだろうか?またそれを目指して番組作っているヤツがどれだけいるだろうか?放送時間をずらしたり、CMの前後ですごく煽ってみたり、姑息な小手先の作業に躍起になっている人達。そんな世界に嫌気がさしている自分に「文句もいいけど、もっと別の手段考えてみろや」そう言われたような気がちょっとだけした。
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最後の恋のはじめ方 6

2005-06-24 01:20:12 | タイムリーヒット
ナンボや?

デートドクターという「モテない男にオンナの口説き方を指南する」商売の男が、自分も恋しちゃって・・・という結構ありきたりなストーリーではあるんだけど、そのダメな男たちがやってる事が過去もしくは現在の自分と重なって重なって、一人で勝手に恥ずかしくなってしまう映画だった。

デートなんかで見に行ったら、彼女がウケるたびに自分のことを笑われているようで居た堪れない気分になるから、男子諸君はなるべく一人で見に行った方がいいかも。でも、相談料ってどれぐらい出したらいいんやろう・・・?

まあ、そんなことを考えながらも軽い気分で楽しめる作品なんだけど、腹立つのは邦題だ。原題は主人公の名前でもあり、何かを引っ掛けたりくっつけたりという意味の動詞「Hitch」。ヒッチハイクのヒッチだ。シンプルだし内容にもあってすごく粋なタイトルなのに、それが何で「最後の恋・・・」に変わっちまうんだ?
大体、恋する時は誰でもその瞬間は「この相手が最後で最高の相手だ」と思ってするもんやろ。「あと残り何回の恋」なんて聞いたことないわ。回数券か!あるなら売ってくれ!買うぞ(自滅)

映画会社が自称「運命の人捜索中」のヒマなOLに媚びたような邦題の分だけ減点1。でも気をつけろ!連中は仕事が忙しくなくても、1000円均一のレディースデイにしかこないから儲けは少ないぞ。
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バットマン ビギンズ 7

2005-06-22 00:40:57 | 逆転サヨナラHR
江戸っ子向き映画だ。

タイトル付けには苦心したようだけど、要するに「バットマン エピソード1」。
元々のアメコミにはなかった設定をでっち上げたわけで、序盤の修行の仕方とか、リーアム・ニーソンとかスターウォーズとかなりカブる部分が多くて大丈夫かなと正直思った。
でもそんな心配は無用だった。後半、バットマンの秘密が次々に明らかになっていくくだり。「007」みたいな秘密兵器に秘密基地。魅力的なアイテムが続々登場し、元男子としては心躍らずにいられなかった。

俺がバットマンを好きな理由は「趣味のヒーロー」だから。スーパーマンとかスパイダーマンみたいに超能力も持ってないし、人類を救う運命にも生まれてない、ただの奇特な金持ち兄ちゃんが「自分の良心を満足させる」だけのためにメッチャ金つかってヒーローに成り上がる。その普通さというか、若旦那の道楽ぶりがたまらなく好きだ。

現実世界でバットマンクラスの道楽者となると、「自分が目の前でみたいだけで」世界最高峰の格闘家を集めて「アブダビコンバット」っていう大会を開くアラブ首長国連邦の王子くらいだろうか。ビル・ゲイツとかも、唸るほどある金を何とか団体に寄付するばっかりじゃなくて、「へぇ~さすがビルだねぇ」といわれるような桁外れの遊びを見せてくれたらもっと人気出るのに。

金は貯めるより、いかに粋に使うかが大事ですよ、旦那。執事のあの爺さん(神田出身)がそう教えてくれたような気がする(ウソ)
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50回目のファースト・キス 6

2005-06-21 23:28:56 | タイムリーヒット
一晩寝るとその日の記憶がなくなってしまう。そんなヒロインにあきらめずに毎日口説き、デートを重ねるうちに・・・いや、映画としてはとてもロマンチックでいい話だと思うよ。

でも映画を見ながらずっと考えてしまったのは「忘れる」ということについてだ。
「忘れるということは人間の能力だ。だって全て忘れられなかったら、苦しみを捨てられないし、パンクしてしまう」昔聞いたそんなセリフで正当化するつもりはないけど、俺は結構忘れっぽいと思う。友達の相談を受けたりしても、その時は真剣なんだけど自分の喋ったことをほとんど覚えていないし、嫁さんから何かやりっぱなしで片づけを忘れて怒られることはほぼ毎日。でも、もう15年以上前の失恋の記憶は今もハッキリあるし、何だったらセリフまで再現できるくらいだ。
一方で、仕事できるし俗に言う「賢い」女性なんかによく聞くのは「前の男のことなんかこれっぽっちも思い出さない。存在がなかったものとして生きている」というすごいフォーマット力(りょく)。

後者の方は辛い過去を無意識下で封印して・・・なんて理屈で説明できるのかもしれないけど、前者(俺のことや)の場合、覚えとかなあかんこと忘れるし(コンパに来た女の子の名前とか)、「思い出の地」に行くたびにいい年して胸が苦しくなってしまう。この記憶の取捨選択ってのはどうやったらコントロールできるんだろう・・・

あとこのヒロイン、寝ずに徹マンとかやったらどうなるんかなとか、酔いつぶれて昼間から寝ちゃったらどうやろ?とかそんな邪な事を考えながら見ていたけど、ここでこんなことを書いた事すらあっという間に忘れちまうんだろうな、俺。
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ザ・インタープリター 5

2005-06-19 23:30:08 | タイムリーヒット
再発見だ!

ストーリーは今となってはごくごく平凡な普通のサスペンス。この作品の見所、それはニコール・キッドマンの表情以外にありえない。これまで何本か彼女の作品は見てきたが、特に印象は残らなかった。でもこの作品で見せたあのおびえた表情と眼差し。ショーン・ペンのいつもながらの渋い演技なんてへのツッパリにもなりゃしない。とても明日で38歳になる女性とは思えないキュートさだ。

国連内部で初めて撮影したのが話題にはなっていたけど、「へぇ~、こんな風になってるんだ」という見学者気分のものでしかなかったし、そもそも国連という設定もインタープリターを使いたいだけの後付けっぽい。さらに通訳の彼女がテロの計画を知るくだりにも無理がありすぎるから、本来だったら3~4点だけどニコールに免じてボーナスポイント!

それにしてもあんないい女を手放したトムはつくづくアンポンタンや。
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ライフ・アクアティック 3

2005-06-17 23:31:57 | デッドボール
そりゃ、ユニークな作品だよ。

前作「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で面白そうな予告に騙された監督の新作。これが3作目なのに一部では天才!とか言われてるし、前評判も悪くなかったから見に行ったらこれがまた典型的な「おしゃれ映画」だった・・・。

ヘンなキャスティングが生む空気、個性的なセットやCG。冒頭で使った「ユニーク」って言葉は日本では「面白い」系の形容詞だが、正確には「独創的」という意味。この作品、まさにオンリーワンではあるけれど、全く面白くない。というか、何がいいたいのか最後までわからん。

もしかしたら監督の頭の中では成立しているのかもしれないけど、クスリとも笑えず、これっぽっちも伝わってこないメッセージ。宣伝用に絶賛している「オシャレ著名人」たちが褒めてるのは映像のスタイルとかファッションばかり。あんなダラダラしたヘタウマ映画、本当にいいと思ってんのか?

「王様は裸だ!」じゃなくて「もうこんな本末転倒やめようや!」誰も言わんから、とりあえず言っとく。
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戦国自衛隊1549 5

2005-06-14 00:34:08 | タイムリーヒット
懐かしい!ザ・角川映画だ。
薬師丸ひろ子がまだセーラー服を着ることができた頃、角川映画が全盛だった時代があった。ガキだった俺はテレビか、でき始めのレンタルビデオでオヤジが借りてきたのを見るしかなかったけど、小学生でもわかる単純明快なストーリーを結構楽しみにしていた記憶がある。でも20億円以上の予算を投入した迷作「天と地と」で大コケし、社長の人生までコケて映画制作から手を引いてたのに、久しぶりの登場。やっぱりやってくれるわ。

まず、自衛隊が戦国時代へタイムスリップしたっていう設定だけでワクワク!舞台やキャラの説明がほとんどないとか、細かいことはいわない。そんでもって戦国自衛隊というわりには結局自衛隊同士が戦う話になってるとか、無理すぎるシナリオを「歴史には自然治癒力がある」というよくわからん理屈でごまかしているとか、濃姫(考えたらすごい名前だ。濃い姫って・・・ゴリエみたい)の芝居がビックリするくらい大根だとか、どうでもいいやん。だってだって、角川映画なんですもの。

的場浩司とか嶋大輔が元ヤンらしく古臭い死に方をするところとか(的場のは里見八犬伝かと思った)、最後の大ボスとの対決が「スターウォーズ帝国の逆襲」みたいなところだとか、とても「平成の民」が作った映画とは思えない。
そうか!監督は自衛隊の前に観客を昭和にタイムスリップさせたかったんか!

(追記)ちょっと気になって、久しぶりに歴史の参考書を開いてみた。織田信長は1534年生まれ。ということは映画の舞台になっている1549年には15歳・・・。
映画見た方、あのおっさんのどのあたりが15歳でした?角川万歳!SF万歳!
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ホステージ 4

2005-06-12 23:48:18 | デッドボール
え、これで終わってるの?
ベストセラー小説の映画化というからちょっと楽しみにしてたのに、「24」ファーストシーズンをちょっとショボくした感じのストーリーで新鮮味は感じなかった。ブルースの娘含め、子役はみんな不細工だし、悪者は頭いいんだか悪いんだか中途半端。それに最後も根本的に解決してないやんコレ。
嗚呼、「○下○義」といい、これといい交渉人モノにはイライラさせられっぱなしや。
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星になった少年 5

2005-06-08 23:31:32 | タイムリーヒット
オトナの世界の戦略がこうやって才能の芽を摘み取っていく。

「誰も知らない」でカンヌで主演男優賞を獲った柳楽優弥くんの受賞後初主演作。動物モノといえば子猫物語でチャトランを何十匹も犠牲にしたフジテレビの十八番。「ワイドショーを沸かせた天才子役にかわいい象の話、感動あり、こりゃいけますよ!」電通あたりの会議室でやたらと横文字の肩書きの長いおっさんが言っているのが目に見えてくるようだ。

柳楽くんは本当に天才子役なんだろうか?「誰もしらない」ではドキュメンタリー出身の是枝監督が長い時間をかけ、寂しい都会の犠牲になった子供たちの自然な表情を丁寧に時間をかけて紡いでいった。だから印象に残ったのは彼だけでなく兄弟全員。演技より演出の勝利だったと思う。

なのに賞を獲ったからといって引っ張り出してきて、要求するのは神木隆之介くんみたいな「子役らしい」演技。元々目がキツいもんだから愛想はないし、普通の少年をやらせてあげればいいのに今回のキャラクターは「象の声が聞こえるいじめられっ子」。そんなヤツの演技なんて自然にできるわけがない。すごくとっつきにくい主人公になってしまっていた。

象はかわいかったけど少年は怖い。あと常盤貴子の母親には無理ありすぎ。いい時頼みのオトナの戦略に使い捨てされることなく、頑張って欲しい。byマコーレ・カルキン

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電車男 6

2005-06-07 23:03:41 | タイムリーヒット
原作は2ちゃん上で展開した実話。話題になってすぐ映画化が発表されたからあえて読まなかったんだけど、おもろいモンみせてもらった。
普通の恋愛映画って、主人公なりヒロインなり、登場する誰かに自己投影して楽しむものだけど、この映画は違った。観客は恋に苦しむ電車男とその仲間たちを上から眺める神の視点。徐々にレベルアップしていく彼らを応援しつつ楽しむ。RPGとかシムシティとかそんなゲームをやってる気分に近かった。
奥手な電車男の恋がうまくいくたびに、2ちゃん上のサポーターたちが「奇蹟だ!」を連発するんだけど、↓の大げさな映画を見た後だっただけに「確かにそっちの方が小さいけど奇蹟だよな」と妙に納得してしまった。

まあ不満をあげれば、簡単に恋が成就しすぎちゃう物足りなさと、ヲタクがメガネとって髪切ったら阪神浜中そっくりのイケメンっていうありえなさくらいか。でも一番ありえないのは2ちゃんにあんなに良心的な人達だけが集うことかも・・・。
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四日間の奇蹟 4

2005-06-06 22:35:35 | デッドボール
「いま、会いにゆきます」で一山当てたTBSだったけど、今度は東宝じゃなくって東映と組んじゃったのが失敗の元?泣かせよう泣かせようという攻撃は相変わらずだったけど、今回は「あざとい」印象を強く受けてしまった。

なぜだろうって考えたら、設定があかんわ。「いま・・・」は嫁さんはなくなってたものの、登場するのは普通の家族だった。でもこれに出てくるのは、ちんちくりんな事故で左手の自由を奪われた天才ピアニストにその事故で孤児になった障害児。さらに身寄りのない薄幸の美人。おまけにピアニストを演じるのは富良野で寅さんに教育され、あきらかに歪んでしまった素朴だけが売りの兄ちゃん。「かわいそう・・・」って思わしたいのかもしれないが、それだけで涙にはつながらないし、それぞれのキャラが濃すぎて誰にも感情移入しにくい。

公式ページによると「感涙度120%」だそうだけど、タイトルとチラシの写真だけでだいたい内容の想像つくし、実際それ以上のことは何も起こらなかった。
一匹釣れると3匹4匹平気で狙いに来るのがテレビの世界だけど、注意しないと2匹目のドジョウだってなかなか捕れない、わけですよ。
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ニライカナイからの手紙 6

2005-06-04 23:29:18 | タイムリーヒット
5年前の夏休み、初めて沖縄に行った。大阪から沖縄本島までと本島から石垣までが、同じくらい遠いことに驚きつつプロペラ機に乗り、日本最西端の与那国、最南端(有人の)波照間を回った1週間だったが、一番好きになったのが帰る間際に2泊しただけの竹富島だった。
すっかり開発が進みリゾートホテルだらけの他の島と違い、新しい建物は建てることが出来ず、島で一番高いのは3階くらいの高さの展望台。車もほとんど見かけないし、島に1軒だけあるガソリンスタンドの営業時間は昼12時半から1時の30分だけ。そんなゆっくりした時間の流れに時間貧乏性の俺ですら「のんびりさせられて」しまった。
そんな竹富が舞台のこの映画、母と娘の切ない物語もよかったが、それより島と蒼井優の美しさがオーバーラップして見えて仕方なかった。

都会では小学生の女子が顔に色を塗りたがり、どんどん自然が開発されていく。確かに一応キレイにはなるだろうし、便利にだってなるだろう。でもその代償に失っている素肌のみずみずしさ、心和ませてくれる白い海岸。どっちが大事だろう?

蒼井優もノーメイクってわけではないだろうし、実は竹富だって条例で開発を禁止した「作られた昔のままの沖縄」っていうだけで、決して本来の自然な姿ではない。でも、それでも「美しいものを残していこう」と考えてるだけいいやんか。

子供を持つ親になった今、次の世代に遺産だとか便利さだけじゃなくて、ちゃんとキレイなものは残してやらんとあかん。それも俺らの責任だ、そう思った。
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ミリオンダラー・ベイビー 8

2005-06-03 23:04:05 | 逆転サヨナラHR
アカデミーを総ナメにしたのは知っていたが、試写で見た知人の評価がイマイチだったのと、イーストウッド監督の作品は重いので期待せずに行ったんだが、これが拾いモンだった。

最近良く「こだわり」という言葉を聞く。元々は「いつまでも過去にこだわる」というように、どちらかといえば後ろ向きな意味の言葉だが、最近は「素材にこだわって」だとか「こだわりメイク」など単に「人と違うでしょ!私んトコは」というイミで軽く使われることが多く、そんなヤツに限って何でこだわってるのか?という理由が見当たらない。こだわりのソバ食って、こだわりパンツは履くけど人生は流されっぱなしという輩が多いような気がする。

何でこんな話を書くかと言えば、この作品に出てくる登場人物たちが「人生にこだわりを持っている」人達だからだ。決して富や才能、運に恵まれてはいない状況で、周りからは変わり者と思われるくらい頑固に自分のやりたいことに熱中し、ポリシーを貫く。女だとかオジイだとか関係ない。単純にカッコいいと思った。だから彼らがその「こだわり」を失わざるを得なかった時の行動も理解できた。

こんな物語が映画になって高い評価を受けているという現象は、いかに現実社会が打算的で「仕方ない」に支配されているかを如実に表していると思う。あなたは人生に、今日一日にどんな「本当のこだわり」を持って生きていますか?産地直送だとか、天然の粗塩だとか、しょーもない事の前にそこんとこを考えたい。
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