今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

トニー滝谷 6

2005-02-22 00:24:58 | タイムリーヒット
死臭、いや詩集を読んでいるような映画だった。

ダメな映画のパターンというのがひとつある。主人公が気持ちをナレーションで語りすぎる映画だ。演技や映像で表現できないから、やたらと「あの時ボクは~だった。」などと喋らせ、観客をげんなりさせるのだが、この作品には驚いた。

心情どころか、ト書きを登場人物が喋る。しかもナレーションでなくセリフとしてだ。原作の文章の雰囲気を残すために取ったこの方法が、とても不思議な空気を生んでいる。
普通、原作のある映画もやはり作品自体は監督のモノのだと思うがこれは違う。全編が市川準でもイッセー尾形でもなく、村上春樹のモノだ。映画というよりも、小説の朗読プロモーションビデオつきという感じ。

その空気は決して不快ではないのだが、写真の彼の対極にいるような生気の薄い男、トニー滝谷は小説ではよくても映像化されると妙にリアルで、劇場を出てからちょっとヘコんでしまった。

ヒット作の少なさの割りにこんなにインパクトのある人はいない!そう思う人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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あゝ!一軒家プロレス 7

2005-02-20 18:58:32 | 逆転サヨナラHR
あゝ!素敵な税金対策!

俺のお笑いの原点、そして理想郷である「元気が出るテレビ」をかつて作ったおじさんたちが「カネかけて本気で遊んだ」映画。前項で書いた子供にはできない「おとなの遊び」だ。
だから内容なんてどうだっていい。「一軒家プロレス」自体はソフトオンデマンドの前身の会社が「ビデオ安売り王」向けに作ったセルビデオ(10年くらい前)からあったし、そりゃもう穴だらけだけどそこは「シベ超」なんかと違う確信犯のカッコ悪さ。

CGに特殊メイクにワイヤーワークに死亡遊戯…全てやって全て役に立たず、くだらない。「普段のテレビやAVではできないけど、こんな事やりたかったんやろな」と想像するだけで楽しい。しかも悪役を自分たちテレビ屋にしてるあたりはさすがだ。

AVで儲かったお金でモノを買ったりするんじゃなくて、収益なんて考えないオナニー映画を贅沢に撮る。落語に出てくる若旦那じゃないけど、なんともイキな「遊び」じゃありませんか。

写真の若旦那はイキじゃないなぁ。そう思う人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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舞台より素敵な生活 5

2005-02-18 16:52:46 | タイムリーヒット
子供ってすごいわ。

子供嫌いの売れっ子脚本家が近所に越してきた少女に影響され、スランプを脱出していくという話。
一番良かったのは脚本家が少女に付き合わされ、おままごとを厳しく指導されるシーンだった。
脚本家は「すごい!これこそ芝居の基本であるエチュード(即興芝居)だ」と感激するのだが、女子ならお母さんになって土と草のご飯を作り、男子なら仮面ライダーとショッカ-になって(役割でよく揉めたけど)トォーっとかいいながらジャングルジムから飛び降りる。考えてみたら子供の頃、毎日でもやっていた遊びだ。

それがいつからできなくなったんだろう。「遊び」というのはお金を払って何らかのサービスを受けに行くことになり、お金がないと遊べない。ヒマなのにする事がない。そんなオトナが多いはずだ。

そういった点では公園や学校の校庭だけで何時間も遊べる子供は遊びの天才だ。子供を育てている、教えてやっていると言うのは傲慢。オトナだって子供からいっぱい学ぶ事があるんだということを気付かせてくれたこの作品だが、ちょっとゴチャゴチャしすぎ。

素材がいいんだから、もっとシンプルにして主題に時間をかければいいのに。劇場を出て、メイクしすぎの女子高生を見た時のような気持ちになった。

写真の彼は遊びの天才みたいに言われるけど、彼の遊びってカネかかるんだよなぁと思うはクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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ボーン・スプレマシー 5

2005-02-17 02:32:02 | タイムリーヒット
カンペキってツマンない。

記憶をなくしたCIAのトップエージェントが「自分探しの旅」で派手に奮闘するお話。妙にカメラを揺らしすぎるブレブレアクションもイマイチ垢抜けないM・デイモンも気にいらないが、まあそこは趣味の問題としよう。

でもこの物語、面白くないのは主人公が強すぎるからだ。記憶を失った事以外は全ての行動が完璧。敵どころかCIAの同僚までも簡単に組み伏せ、どんな包囲網も簡単に突破。やることなすこと全て先手を打つ。元同僚のセリフにあったのだが「彼に思いつきの行動はなく、そしてミスもない」そうだ。

ウルトラマンの例を出すまでもなく、ヒーローにはやられることが必要だ。怪獣の攻撃を受け、カラータイマーが鳴る。やばい!どうしよう。そこから反撃するから観客はスカッとする。ジャッキー・チェンでもシュワでもドラえもんでも必ず追い詰められ、ギリギリの状況を何とか切り抜ける。それができなかったのが「十三(じゅうそう)の超ナルシスト外人」ことS・セガールだ。強い自分を見せたいがため、作品中カスリ傷ひとつ負わない彼の映画。沈黙していたのは戦艦や要塞よりも、むしろ観客の方だった。

それでもノーミスという方はまだいるかもしれん。でも理解できないのが「思いつきで行動せず、全ての行動に目的がある」というほうだ。ならなにか?「天気がいいから散歩にでたら犬のフンを踏んだ」のは日光浴によって体内の血液の循環をよくするためで、「コンビニでHな雑誌の表紙に引きつけられたけど、ビニールのテープで綴じてあってちょっとガッカリした」のは男性の性衝動に関する調査とでも言おうってのか?
空港からの帰りに時間があったから「思いつきで」映画館に入り、ツマらん作品をみてしまう「ミスを犯し」ちまった俺としてはジェイソン・ボーンがホンマに羨ましい・・・

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アレキサンダー 3

2005-02-12 01:58:50 | デッドボール
金返せ!より時間返せ!

ムダが多い。スケール感だけに頼りきりの戦闘シーンが見にくい。名誉やら栄光やら「普段絶対いわへん」能書きのセリフが長すぎ。でもこの作品の最大の失敗は「SWAT」などではそこそこカッコよかったコリン・ファレルが金髪ヅラを被るとアレキサンダーではなく、昔「元気が出るテレビ」で一世を風靡したヘビメタ、バーバラアキタダにしか見えなかったことだろう。

ヨーロッパではヒットしたが、アメリカでは大コケ。日本でも失敗ほぼ確実というこの作品。そりゃ、何の自分には何の関係もない国の家柄と誇大妄想でのし上がったヒーローの伝記をこうダラダラやられたら写真の人じゃなくても怒るわ。例えるなら、学校の体育館に監禁されて金○日の伝記映画を5時間くらい見せられた感じ。俺じゃなくてもトイレ2回はいくわな。


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Ray 7

2005-02-11 03:17:17 | 逆転サヨナラHR
エリー♪マイラーブ♪そーすぃーと♪

大学生の頃コンパでカラオケに行った時に、ちょっとカッコイイつもりで歌ってた「いとしのエリー英語版」のおっさん。そんな存在だったレイ・チャールズの伝記映画。(ちなみに全くモテなかったが、それはレイの曲のせいではないのはわかってるつもりだ)

あとで2時間半もあったと聞いて驚いた。↓の「オペラ座~」とは違った意味で音楽まみれ。ジェイミー・フォックスがレイの人生をたどっていくんだけど、苦悩やヤクやオンナやいろいろあっても、やっぱりライブ!ライブ!ライブ。「へぇ~この曲もレイ・チャールズやったんや」という驚きを感じながら曲に酔いしれている間にあっという間に時間が過ぎてしまった。

J・フォックス(こう書くと「バックトゥーザフューチャー」の兄ちゃんみたいだが違うで)はこの映画でアカデミーにもノミネートされているんだけど、盲目でほとんどサングラス着用だったレイの感情を目の表情ぬきで見せているのがすごいわ。あの演技ならフジテレビの「ものまね王座決定戦」でも優勝間違いないだろう。

映画館じゃあんまり売ってないだろうが、ウイスキーでも飲りながら見たいオトナの映画だ。

日本でこの路線やるなら写真の彼らしかいない!そう思う人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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きみに読む物語 4

2005-02-07 02:35:14 | デッドボール
みんな、何か勘違いしてない?

「冬ソナ」「セカチュー」に始まり挙句の果てには「電車男」まで、感動の涙まで人にお膳立てしてもらえないと流せないかわいそうな人たちのための「純愛映画」とやらが目白押しだが、宣伝コピーによれば「純愛ブームの真打ち登場!」らしいわ。頼むから、もうカンベンしてくれ。

金持ち娘とビンボー青年が恋に落ちたけど、「身分が違う」と周りに引き裂かれ…ベースはロミオとジュリエットから延々と続く定番。そのあとの展開も「え?そんなんでいいの?」ビックリするくらいよくあるパターン。そんな「純愛パーツ」を詰め込むのに必死で、肝心の主人公の心情描写には手が回らんかったようだ。
簡単に感情が動きすぎ!そりゃ世の中に一目惚れもあるのはわかるし、結局くっつくんだからええやんと言うかもしれないが、恋愛で一番ドキドキする部分って「自分は好きだけど、相手はどう思ってるんだろう。どのタイミングで告白すれば…」そんな葛藤の部分を全カットはどう考えてもおかしい。

主役登場→運命的な相手との出会い→あっさりうまくいく→ちょっとだけ幸せな日々→でも訪れる障害(病気とか環境とか)→懸命に愛する努力をする2人→もう一発くらい不幸の追い討ち→でも2人にとってラッキーな偶然→ちょっとだけ幸せ→クライマックス→ハッピーエンドもしくは「死んでも君を愛し続ける」
思い出して欲しい。全部このパターンにあてはまってないか?間違えたらあかんよ「純愛映画」というのは「純」粋な「愛」を描いた映画であって、単「純」なあらすじの「愛」の映画ではないですから。そこんとこよろしく。

彼(イラスト)もちょっと勘違いしてるんちゃう?そう思う人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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オペラ座の怪人 6

2005-02-05 19:42:33 | タイムリーヒット
もしかして、これって…

世界的に有名なミュージカルの映画化。恥ずかしながら見たことなくて、ストーリーも初めてちゃんと知った。オペラ座という古い劇場に住むといわれる怪人が、親をなくした若手女優に恋をして、人知れず支えになってきた。でも、昔馴染みの優男に彼女を奪われて暴れまくる。平成風にいうと「引きこもりのストーカーの純愛ラブストーリー」。写真の本とテイストは近いんじゃないだろうか?

確かに音楽もセットも凄いけど、あくまでミュージカルを見たファンが「復習」するための作品だと思う。観客の想像力で補っていた部分を鮮明に描き出す。ミュージカルなんて高いし、そうやすやす見られるもんじゃないから映像化するのはいいことだけど、でもやっぱり舞台向けに書かれた作品だなとつくづく思った。いくら素晴らしい設備で見たってライブDVDは箱の中のものでしかないのと同じだ。

面白かったのが、その姿は謎とされる「怪人」が劇場の支配人にちゃんと給料を要求しているところ。いくらぐらいもらって、いつ買い物いってたんだ?

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渋谷物語 3

2005-02-02 19:28:06 | 危険球退場
俺は渋谷が嫌いだ。

渋谷に溢れるファッションそしてエンターテインメント。確かにターゲットは若者だが、作っているのは決して若者でなく、それを食い物にしようとしている企業だ。彼らは新しいもの好きの若者に自分たちが作った流行を提示し、若者の方も「渋谷で流行ってるみたいだから」という理由だけで何も考えずに受け入れて、金を落す。そこには若者特有の活気や想像性、自分の価値判断がない。じゃなきゃ、あんな寺尾聡と山城新伍しか持ってなさそうなサングラス(写真)が流行るワケないやろう!
だから若いヤツが多くても何かダラダラしてるし、感じるパワーは企業発信のものだけ。現代日本の最先端だけど、同時に日本がダメになっていく原因を作っていく街。「田舎モンが若者文化っぽいものを浴びるための街」それが渋谷だ。

長いこと「渋谷」にだけついて書いたが、それはこの渋谷を作った男たちの物語に語るべきところが全くないから。そりゃ何もないところから頑張ったのはわかるけど、その影でどんだけ泣かされた人達がいたのか分かってる?ヤクザが弱者から吸い上げた金で「俺達はすごかった」自叙伝作るのはどうかと思うぞ。

別に30過ぎたからこんな事をいうわけではなく、大学生の頃に渋谷からバイト先のNHKに通っていた時から、どうもしっくりこない街だった。今話題の「悪の巣窟」NHKだが、社員食堂が3つもあってとても重宝したなぁ。

受信料払ってるから食堂で食わせろ!そう思った人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
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