のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

秋の日やクサムシの影底晴れぬ

2006年08月31日 | 今年の米づくり
さわやかな天候でした。空にはすじ雲が見られました。田んぼでは稲刈りが行われていました。

でも伝わってくるうわさはあまり芳しくありません。ナシや野菜同様、米にもカメムシの吸汁被害が相当程度あるらしいとのこと。先日発表された今年の米の作柄も日照不足から平年より低い数値でしたが、カメムシ被害がでるとなると、実質的な減収はさらに低下する可能性があります。

専門家によると、カメムシは昭和40年代頃まではマイナーな害虫だったようです。ところが、戦後の造林ブームで雑木林がスギ、ヒノキ林に変わり、スギ、ヒノキの種子をえさにするカメムシが増殖。高度成長期に果樹園も山の増殖地の隣まで広がって、カメムシが大害虫となったというわけです(堤隆文『果樹カメムシ おもしろ生態とかしこい防ぎ方』農文協、2003年)。

つまり、人間が大害虫にした虫だということ。今年のカメムシ大発生もスギ林の事情と関連しているようです。昨年春にはスギの花粉が大量発生し、花粉症被害が大騒ぎになりました。花粉は多かったということは、種子も多かったということ。当然、それをエサにするカメムシも大増殖。冬越しのカメムシも大量に。ところが今年はスギの花粉飛散量は少なかった。スギの種子も少ない。ということは、山から出てきて、他のエサを探るカメムシが多くなるということに。

近年、人間界の不景気とは裏腹にカメムシ界は好景気だそうです。休耕田が増えたことで一次繁殖源の雑草地が増加。田んぼや畑で減農薬が進んでいることも伏兵のカメムシが出現する可能性を高めているといいます。

花粉症と絡んでスギ、ヒノキの針葉樹林をどうするかという問題もありますが、減農薬を進めることで新たな大害虫が出現するということになりますと、その対応にも急いで取り組まねばなりません。現状はどの程度進んでいるのでしょうか。

うまいのは目玉だったのか蟷螂よ

2006年08月30日 | ネイチャースケッチ
樹上でカマキリがセミを捕まえていました。しっかりと両腕でセミを放さず、頭から噛り付いていました。良く見ると、右目をかじっているようです。セミははじめ勢い良く羽根を羽ばたかかせ、大きな音で鳴いていましたが、その音は次第に小さくなっていきました。

「夏の賑やかし者」アブラゼミが「秋の虫狩人」カマキリに食べられるというのは、夏の空気から秋の空気に移り変わった今日の天気を象徴しているかのようです。


草取る人影も覆う穂波かな

2006年08月29日 | 今年の米づくり
わが家の「コナギ米」の田んぼ。ひと目ではわからないでしょう?コナギがびっしり生えているようには。

何度か除草機を入れ、手取りも試みたものの、最後は白旗を上げた無除草剤4年目の田んぼです。見た目はよく育ってくれました。この田んぼで這いつくばっていたことなど、忘れてしまいそうです。

コナギに余分な窒素を吸われて、さぞかし美味しいコシヒカリになると思います。

         

ちなみに、「ちばエコ認証」だからコナギがびっしりというのではありません。コナギをしっかり抑えている「ちばエコ認証米」もありますから。この田んぼで除草剤を使わないのは、チャレンジ、チャレンジ。

後は適期に刈り取ることができるかですが、どうも今年は稲刈りが遅れそうです。例年、4月中に田植えをした稲は8月下旬に刈り取れることも多いのですが、今年はほんの数箇所でしか稲刈りがされていません。まだまだ青い感じです。

でも昨年も、まだまだかなと思っていたら一気に黄ばみ、刈り遅れた米も出たといわれます。今年もどうなるか、わかりません。


実るほど垂れる枝ぶり朝の露

2006年08月28日 | 今年の梨づくり
細い枝に3個の実がついていて、しかも皆大きい。今にも枝が折れそうです。

ナシ作りでは、枝の先端を上げることで養分を引き上げ果実を太らせる、というのが一つの常識です。川の流れとは逆に、樹や果実を育てる養分は下から上に流れるという理論です。

その理論からいえば、枝先が垂れてしまっては実は大きくならないはずですが、やはり、皆大きい。樹づくり、枝づくりのためには先端を上げた方が良いようですが、実づくりとしては必ずしもそうではないのかもしれません。もちろん、果実の母体となる樹や枝が元気でなければなりませんが…

枝先を下げてナシづくりをするというある農家の技術を、『現代農業』という雑誌で連載していました。彼はもしかしたらこんな光景を見て、ちょっと変わった栽培技術を気がついたのかもしれません。「観察力」のするどい方なんでしょうねえ。

木と木と木結べば未来につながる梨づくり負けるな梨農家

2006年08月27日 | 今年の梨づくり
8月17日朝日新聞夕刊に掲載された記事です。

神奈川の農業技術センターで、枝の先端を次から次へと接木して何本もの木を一本の木にしてしまうという技術によって、収量倍増、風に強くなるという成果が期待できるという内容です。この技術が画期的な救世主になるかといわれれば、そうともいえないかもしれませんが、少なくとも梨業界の最近では珍しい明るい話題です。何人もの知人、お客様から話題にしていただきました。

無登録農薬使用問題以降、販売不振が続き、今年の農薬のポジティブリスト制導入後は農薬の飛散問題でさらに肩身が狭くなっていました。制度導入1年目の今年は様子見の状態ですが、これからボディブローのように徐々に梨農家の体力を失わせていくのではないかと心配しています。

農薬飛散問題を解決するためには、少なくとも上方へ向けて散布しないのが必要条件か。そんな栽培方法が開発されないでしょうか。棚栽培でなくなるなら、その分、設備費も少なくなり、短期間で成果が上げることが求められる一方で、品種変更などの修正が容易にできるかもしれません。でも、永年作物という果樹栽培の特徴が薄れる?

まず白い傘開き出す湿る秋

2006年08月26日 | 今年の梨づくり
またまたキノコの写真。本来なら乾燥するはずのこの時期に、このようなキノコの姿を梨畑で見たことはない気がします。

前日、草刈をしてきれいなった梨畑でまず出てきたのは、いつもの白い傘のキノコでした。それだけ土に湿気があるということでしょう。

先日、長期天気予報が出され、全国的には残暑が続くということでしたが、週間予報では関東はさっそく曇りがち。今年はどうもお日様から見放されてしまったようです。

乾いてくれないと、そろそろ田んぼが心配になります。じめじめした田んぼでは稲刈りが大変ですし、その前に台風でも来たら皆ごめんなさい(お辞儀)をしてしまいます。

梨腹にならぬ間に季節過ぎ行く

2006年08月25日 | 今年の梨づくり
「幸水」梨の収穫が終わってしまいました。

例年、一つの品種の収穫期というのは3週間程度あるのですが、今年の幸水は4、5日短くなりました。当然、全体の収量も減。隣町の話では3割減とか。わが家でも、早々にご予約いただいた一部の方々のご注文にもお応えできず、また、道の駅直売所に出荷していた分もそっくり減収です。

その代わり、といっては何ですが、着果数を制限したお陰で小玉傾向といわれる中でも一部の畑では例年以上に玉伸びし、食味の方も天候不順で心配されましたが、予想外に高評価をいただきました。せめてもの救いでもあり、自信にもなりました。

あんなに玉伸びするなら、もう少し生らせておけば良かったという声もありますが、単純な「玉数×大きさ=一定」という数式では計算できないようです。今年の経験を糧にできるようにしたいものです。

表題の「梨腹」は正岡子規の句「梨腹も牡丹餅腹も彼岸かな」からいただきました。カリエスを病んだ子規は明治34年9月頃、毎食梨を食べていたそうです。食べ過ぎて苦しくなっても好物を選んで食べたのは、食べることが生きている証しだったからのようです(坪内稔典『季語集』岩波新書1006、168p、2006年)。

あけびの葉食べるコノハの粋な野暮

2006年08月24日 | 今年の梨づくり
昨日話題にしたアケビコノハを今日偶然に、草刈をしているときに見つけました。

前ばねは褐色で閉じていると枯れ葉のようですが、後ろばねはあざやかな橙黄(とうこう)色で巴(ともえ)状の黒斑があります。幼虫がアケビなどの葉を食うので、こんな名前になったのでしょう。成虫は桃などの果汁を吸う害虫です。

逃げられてはと、ちょっと潰してから写真を撮ったので羽の色は鈍くなっています。よくよく見ると、なかなか怖い顔をしています。なるほど、果実に穴を開けるほどの立派な口をしていました。

以前はよく見られ、夜になってライトを照らしながら梨畑の中を探したこともありましたが、ここ数年は被害もあまりありませんでした。

今年はいろいろな虫が見られます。天候のせいか、自然界にはエサがなく、農地に出てきているのでしょうか。

秋の蚊をたたく右手にも秋の蚊

2006年08月23日 | 今年の梨づくり
梨畑には下草が生えているので、朝夕がちょっと涼しくなる時期になるとヤブカがわんわわんわと出てきて、実の収穫中、払っても払ってもついてきます。草を生やさない清耕栽培ではヤブカはいないというようなことを聞いたことがあります。

写真のガは「ヤママユ」でしょうか。梨畑の外側にいたのですが、このガも梨の実を吸汁するのでしょうか。こんな大きなガをみると、つい、一口に「ヤガ」と呼ぶ「アケビコノハ」のような害虫のように思えてしまいますが…

新顔の出る幕あり鳳仙花

2006年08月22日 | 今年の梨づくり
幸水も残り少なくなり、「秋麗しゅうれい」という新品種を収穫しました。

幸水に筑水を交配してできた青梨です。袋をかければ名前の通りキレイな梨になるのでしょうが、袋をかけないため表面にサビがでています。見た目はブスですが、あっまーーい!!幸水とは異なる甘さです。カタログ上では糖度13%前後、酸味が少なく渋みなく果汁が多い品種といわれます。

酸味のある豊水の収穫時期に、酸味の苦手なお客様向けに導入してみましたが、まだ苗木のせいか、幸水が出ている時期になってしまいました。将来の有望品種と考えているのですが、さてどうなりますか。

今年はたった1回だけの収穫でしたが、来年はもっと収穫できるはずです。多くの方にお試しいただけると思います。お楽しみに。

味を知る棚の上にも獣道

2006年08月20日 | 今年の梨づくり
山間地でのサルやイノシシといった野獣による農産物被害の話はよそ事のように聞いていましたが、ここらあたりでも数年前からはそうも言っていられなくなってきました。

今年は二つの園で、タヌキかハクビシンか、なんらかの野獣による果実の食害が見られています。律儀にも、毎日1個づつ。この程度なら、まあしょうがないかと思えるのですが、樹上で半分かじられた実がぶら下がっているのを始めてみたときにはびっくりしました。ハクビシンなどは、一本の線上を歩くと言われており、これといった対策があるわけでもなく、これ以上害獣が増えないことを祈るのみです。


落ちた実をせめてかじれば青い息

2006年08月19日 | 今年の梨づくり
今年の幸水は、強い風が吹いているわけでもないのに、ときどき強い雨に見舞われているためか、自然落下しているものが普段より多い気がします。

中には軸が老化して落下したようなものもあり、熟すと同時に落下する「かおり」という梨と同じような感じです。天候不順で何か軽度な生理的障害でもあるのか、あるいは、肉質が先行しているのでしょうか。

見たくないものを目にした炎天下

2006年08月18日 | 今年の梨づくり
輪紋病にかかった「幸水」梨です。夏の病気の代表的なものです。今年確認したのは、これで二つ目。梅雨が長引き、8月になってもぐずぐずした日が続いていたものですから心配していましたが、この程度で収まればまあ良しとしましょう。

同心円状に文様ができて腐乱していくことから「輪の紋の病」というわけでしょう。夏の重要防除対象病害のひとつですが、予防効果の高い農薬ができてからはそれほど大きな問題にはならないようです。

つばくろの帰り支度か群れ夕餉

2006年08月16日 | ネイチャースケッチ
夕方、門の前の電線にツバメがたくさん留まっていました。あたりをみると、やはり無数のツバメがエサを探して低空旋回を繰り返していました。

春に初めてツバメを見たときも、門の辺りで何羽も飛び回って、挨拶にきました。このあたりが解散場所であり、また、南へ帰る時を知っていて、その集合場所でもあるようです。

…って、本当かぁ?