のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ぼかしづくりは難しい

2005年06月30日 | 今年の米づくり
 田んぼの追肥用に有機物をぼかした発酵肥料をつくろうとしたのですが、失敗したようです。
 初めは24日に、米ぬかとオカラと水分調整用の籾殻を混ぜ、新聞紙を敷いた20kgコンテナに入れておきました。翌日朝には少し暖かくなり、よしよしと思っていたのですが、それ以上に熱が上がらずに冷えてきて、少し酸っぱい臭いがしてきました。
 発酵肥料づくりの資料を再読すると、梅雨時は微生物の活動そのものは活発なのですが、発酵の第一段階に必要な「こうじ菌(糸状菌)」よりも他の細菌の方が先にエサ場を占拠してしまい、こうじ菌が増殖できないようです。すると発酵第二段階以降の乳酸菌や酵母菌も働けなくなるといいます。
 梅雨時は無理かと思っていたら、発酵肥料づくりの先生N氏に聞くと、梅雨時も真夏でもぼかし肥料はつくっているとのこと。現物をみてもらうと、水分が多すぎて嫌気性発酵してしまったのではという分析。それで、再度、米ぬかを加えて好気発酵するのを待ったのですが、やっぱり熱もあがらず、かといって腐敗しているような臭いもなく、材料がそのまま残っている感じです。N氏はもっと悪い状態から再発酵させた経験もあったそうですが、今回の件は理由がわからず。
 微生物に働いてもらうには、まだまだ経験が足りないようです。

あめんぼ号実演会

2005年06月28日 | 今年の米づくり
 6月なのに35℃にもなろうという蒸し暑い日。だだっ広い手賀沼干拓地なのに無風状態。汗だくになりながら、水田除草機「あめんぼ号」の実演会を行いました。
 今回は乗用ではなく歩行型一輪車の除草機。田植機だって一度乗用に乗ってしまったらもう歩けないというのに、なんで今さら歩行型なんだという気持ちもなかったわけではありません。でも、その期待が小さかった分だけちょっと得したかも。

 除草機の部分の基本的な構造は「ティラガモ」と同じ。条間の草は先端のフロート底部のレーキで押さえ込み、斜軸で回転する転車で株間の草をかき出し、オプションのスパイラルローラーで埋め込むというもの。転車はプラスチック製で苗の傷みが軽減されるとの説明でした(ティラガモは金属製で羽輪と呼んでます)。
 除草効果は今回は何ともいえません。印象としてはティラガモとほぼ同様か。圃場に合わせる設定調整も、ひとつひとつ現場合わせしなければならないことも同じような感じです。調整しやすいよう、今後、改善したいとのことでした。歩行型はハンドルを上下させることで除草部分の接地圧を微調整でき、設定が少しアバウトでもなんとかなる点は利点でしょうか。

 その代わり乗用は田んぼの中を歩かなくとも済むということが最大の利点です。しかし、今回の実演だけの印象でいうと、乗用が必ずしも利点にはならないかもしれないという疑問も持ちました。たとえば、オモダカの葉が苗と並んで伸びていたとします。手で抜かないと、機械ではとれません。そんな時、乗用ではわざわざ停めて田んぼに下りてオモダカを抜くでしょうか。歩行型ならこれまでの中耕除草機と同様、アクセルを戻し、土中深く手を入れ、抜いた草をバケツに入れるのもそんな億劫ではないでしょう。こんな小回りが効くのは歩行型の利点かもしれません。もうひとつ、ティラガモを載せた3輪管理機をトラックに積む場合、ブリッジが3本必要ですが、一輪車のあめんぼ号は6条タイプでも軽トラックに積めるとか。

 動力のついた中耕除草機との比較では、もちろん、利用を想定する雑草発育ステージが異なるのですが、条間の除草能力が無動力という非力さは株間の除草可能性で補うと考えれば、除草能力は同じようなものか。田んぼの中を歩き回ることも同じ。違いは4条田植機で植えた場合、2条用中耕除草機が往復しなければならないところを往路1回で済ますことができること。田んぼの中を歩くことをいとわず、除草はていねいにしたいと思っていて、これから中耕除草機でも導入しようかという方には、比較検討する価値はあるかも。先手先手で仕事を転がすことができる方という条件も付け加えなければならないかもしれませんが。

 さて、除草機2機種を実演させてもらったわが家としてはどうするか。田植機と除草機の条数を合わせることが大前提ですから、本当に除草機が必要かも含めて、次に田植機を買い替える時に考えることにします。実演に御協力していただいたメーカーの方々、実演会で情報交換させていただいた皆さん、ありがとうございました。

手賀沼トラスト農教室特講

2005年06月26日 | わが家の時時
 手賀沼トラスト農教室は月に2回、我孫子市根戸新田のトラスト圃場で行われています。その内、年に1回、2年生以上の方々を対象にわが家の梨園での特別講習があります。今年は昨日行われました。
 昨年までは5月に行われ、摘果作業の体験が中心のプログラムでした。昨年は半分の時間で肥料と農薬の話をして好評だった?ので、今年は摘果作業を終えたこの時期の講習になったこともあり、紙ひもの結び方の実習と主に農薬の使い方の講議をしました。
 会場は、今年何回か紹介してきた大きなクヌギの木陰。蒸し暑い日でしたが、快適快適。まずは「いぼむすび」と「しつけしばり」の紙ひもの結び方。「いぼむすび」は作物を支柱に縛り付けるときに最適。ひもを無駄なく使うこともでき、いろいろな場面に応用できます。「しつけしばり(写真)」はナシの枝を棚にしばるのに早く、しかも緩むことなくしばることができます。ひもを弛ませれば簡単に外すこともでき、ロープで重いものを引く時などにも使えます。どちらも頭で考えるのでなく、体で覚えないと。
 農薬の使い方の講議では、農薬は病害虫の防除方法のひとつの道具であって、農薬が安全か危険かではなく、あくまでも使い方が問題ということを強調しました。信頼関係を築ける使い方をするために、適用農作物、対象病害虫、濃度、散布量、散布時期、回数等、農薬の容器に記載してある内容の読み方を解説。たとえば「濃度1000培~2000倍」とあったとき、何倍で散布する?これは「1000培で使用しても薬害は起りません。2000倍で使用しても効果があります」という意味。ということは2000倍で使いましょうとの説明には、みなさん驚いた様子でした。

ティラガモ後2週間

2005年06月24日 | 今年の米づくり
 乗用水田除草機を実演してから2週間。

 写真は、うまく処理されているところです。株まわりには緑藻類が繁茂し、条間にはオモダカ?の幼葉がところどころに見られます。

 しかし、うまく処理できなかったところではカヤツリグサの大反撃を受けていて、このまま置いておくとたいへんなことになると判断。これが最後だぞと言い聞かせながら、中耕除草機をかけました。
 実演会で何人かが体験操作したために処理の精度に個人差がでたのか、あるいは操作速度や除草部分の接地圧の加減で処理精度に差がでたのか、一度だけの経験ではなんともいえません。岡山のK氏の「逆方向から同じところを2回除草処理をすることで効果を上げる」という助言を裏付ける結果になっているようです。

 除草効果を比較するために米ぬか除草処理だけの対象区も設けてあります。そこは緑藻類で被われ、藻の下からオモダカの幼葉がそれなりの密度で見られます。昨年とほぼ同様の状態で、楽観的にはこのままなんとか抑えられるのではないかという感じです。除草機で下手に処理したところより緑藻類で被われている分だけ気分も楽です。
 民間稲作研究所の稲葉先生は除草機を歩かせることで雑草の新たな芽を覚まさせてしまうという理由で、除草機の利用には疑問のようですが、ここでも、その説を裏付ける状況が見られます。しかし、今年、オモダカやカヤツリグサが以前よりも大発生しているのは、昨年、緑藻の下に放置したままにして、イネの葉陰で花を咲かせ、種子をつけさせてしまったからではないのか、本当にこのままでいいのだろうか、という心配を消せません。

 除草機を使うならきちんとていねいに処理しないとかえって雑草を増やしてしまうことになるというのが、現段階のまとめです。先人たちの教えの通りの当たり前のことでした。

水田除草機実演会第2段

2005年06月23日 | 今年の米づくり
 6月10日に乗用水田除草機の実演会を催しましたが、今回は歩行用除草機「あめんぼ号」の実演会です。本来、初期除草用の機械ですので、田植え後一ケ月以上たつ時点で実演をするのは除草効果を見るには不適切ですが、除草機の構造や特性を検討する機会になればと思います。お近くで興味をお持ちの方はぜひ、お誘いの上、ご参加ください。なお、ご参加の場合、前もって連絡をいただければ幸いです。会場は前回と同様です。


 日時:2005年6月28日(火) 10時

 場所:柏市千間橋字青柳10(手賀沼第二干拓地内の水田)
(我孫子市役所下の交差点を東へ約8kmのJASS我孫子の前の道を南に1.5kmいったところ。水田地帯のまん中ですので、遠くからでも確認できるはずです。)


赤くない赤トンボ

2005年06月23日 | 今年の米づくり
 早朝、田んぼに出かけてみて下さい。羽化したばかりのアキアカネ(と思う)がイネの葉にとまっていて、近づくと驚いて飛び上がります。ちょうど羽化する季節を迎えているようです。ヤゴの抜け殻もたくさん見られます。三日ばかり通ったのですが、今年は羽化する瞬間には立ち会えませんでした。羽化するのは夜明け前なのでしょうか。田んぼといってもすべての田んぼではないようです。これまで比較的水を溜めてきた田んぼだけかも。
 「と思う」と書いたのは実は羽化したばかりのアキアカネはまだ尾が赤くなっていません。アキアカネは初夏に田んぼ等で羽化し、暑くなると山間地に移り、涼しくなると低地に集団で下りてくるのだそうです。その時には尾も赤くなり、見なれた赤トンボになっているはずです。

ゴミムシは益虫

2005年06月21日 | 今年の梨づくり
 ナシの木の根元の草の中にはダンゴムシやらヤスデやらミミズやらたくさんの虫が棲んでいます。草を抜くとさっとすばしっこく逃げていく甲中がいます。ゴミムシです。写真に撮ったのは、セアカヒラタゴミムシでしょうか。
 名前や棲息環境から有機物を分解するムシかと思っていたら、肉食性のようです。ネキリムシやヨトウムシを襲う益虫とされるといいます。しかし、外敵への防御のために強い臭気を発散するヘッピリムシと呼ばれる仲間もいるようです。
 形の似たオサムシもゴミムシの仲間。手塚治虫氏が子どもの頃、このムシとよく遊んでいて、そこから「治虫」というペンネームが生まれたということを聞いたことがあります。最近は虫で遊んでいる子どもというのを見たことがありませんが。

ハクチョウの親子

2005年06月18日 | わが家の時時
 数年前から手賀沼に注ぐ染井入落としという小河川の河口付近にハクチョウが営巣していて、ちょっとした人気スポットになっています。毎日のように誰かが遊歩道の散歩を休止し覗いていたり、カメラで瞬間をとらえようと待ち構えています。今年は3匹の子ハクチョウも生まれ、さらに人気を得ているようですが、公園の野鳥と同じでエサをもらえると知っていて、人影をみると寄ってくるのが哀れを感じてしまいます。
 子ハクチョウの3羽のうち1羽が白い羽根で残りの2羽がグレーというのはなぜでしょうか。「見にくいアヒルの子」の話を思い出してしまいました。

ティラガモ1週間後

2005年06月17日 | 今年の米づくり
 10日にティラガモという除草機を無除草剤田んぼで実演してから1週間。その後の様子を見てきました。条間では泥のトロトロ層だけで新たに発芽している様子は見られません。株間には緑藻類と雑草が弱々しく残っている感じです。現時点での評価はほぼ満足できる状態かと思います。
 処理作業が田植え後20日経っていて、その時点で既に緑藻類、雑草が生えていました。条間のカゴローターは除草できますが、株間を処理したはずの羽輪とタインでは除草するまでの効果は期待できないようです。この点は実演時にメーカー側も力説していたことです。生えていた雑草の成長を抑制していることだけでもよしと考えるべきでしょうか。
 もちろん、田植え後の米ヌカ、大豆散布による抑制効果も加味されていることにも留意しておくことが必要です。もし、散布しなかった場合はどうなるのか、興味あるところです。
 

イネミズゾウムシの襲来

2005年06月16日 | 今年の米づくり
 田植え後、順調に成育していた苗ですが、ここに来てちょっと様子がおかしい。葉先の枯れた苗が増えています。よく見ると、口のとんがったちいさな甲中が。イネミズゾウムシ(とんがった口がゾウの鼻に似ているからの命名)のようです。
 イネの葉を食害し、成虫は空を飛び水中でも生活できるスーパー害虫。アメリカから侵入してきたといわれ、1975年に愛知県で確認されて以来、全国に広がっているようです。早植えの田んぼ程危険といわれます。
 稚苗を使う慣行栽培では田植え時に殺虫剤を散布してゾウムシやドロオイムシの害を防ぐのですが、わが家では一昨年からこの時期の殺虫剤を使わないようにしてきました。成苗という大きな苗をつくり遅い田植えにしているのですが、今年はどうしたのでしょう。十分成長しているまわりの田んぼではそれほどの被害はないようです。5月が涼しかったので、イネミズゾウムシの発生のタイミングとわが家の田んぼの苗の成育段階がちょうど合ってしまったのでしょうか。いまさら殺虫剤を使うというのも・・・。食害に負けないほどのイネの成長を待つしかないのでしょうねえ。収量に影響はでないといわれても、気になるものです。

中耕除草機の出番です

2005年06月15日 | 今年の米づくり
 雑草の姿を見る前に雑草を抑えてしまおうと、前日14日に消費者参加プロジェクトの田んぼで中耕除草機を歩かせました。10日のティラガモ実演会に刺激された形です。乗用除草機はまだ買えませんので、わが家に置いてあった歩行用の中耕除草機(動力除草機、パワーカルチ)を持ち出しました。実はこの機械、20年以上前から知人宅に野ざらし状態にしてあったものを缶ビール一箱で譲ってもらってきていたもので、機械いじりの得意なプロジェクトメンバーのTさんが動くように直してくれたリユース機械です。
 そして、今日15日、わが家のA圃に持ってきて、イヌホタルイ退治です。長辺100mの田んぼを何度もぺたぺたと歩いて往復するのは、やはり億劫です。田植機がそうであるように、一度乗用に乗ってしまったら、歩けなくなります。乗用が除草部分に動力を持たないティラガモは「除草」というよりは「抑草」。ならば乗用の動力除草機はできないか。もちろんティラガモはティラガモの存在理由はあるのですが。いや、先手先手で雑草に立ち向かわなければというのが昔からの教えでした。

 ところで、作業中にかぶっている大きな編がさ、これはお気に入りです。ちょっと見はお坊さんのたく鉢姿のようですが、陽の元では涼しい環境を作ってくれるし、雨の日には肩まですっぽり被って濡れにくい。しかも、頭が蒸れない。ナシが実ったら雨でも収穫する時があるのですが、上向きでも首筋に雨垂れが落ちてこない。てっぺんのとんがった編みがさは良く見ますが、こんな大きな編がさはなかなかありません。昨年秋、果樹組合視察で長野県伊那地方にいった時、天竜川下りの乗船場でみつけたものです。まわりから好奇な目で眺められましたが。

イヌホタルイ?

2005年06月15日 | 今年の米づくり
 わが家の田んぼ5枚のうち2枚が無除草剤で、残り3枚は除草剤を1回だけ使っていますが、除草剤を撒いた田んぼの一枚(A圃)で雑草がいっぱい生えてしまいました。棒状につんつんと茎だけ伸びている草で、イヌホタルイという難防除雑草だと思います。
 今年は初めて使う除草剤でした。通常の水田除草剤は3成分含まれているのですが、今年は2成分のものにしてみました。A圃では他の雑草はあまり見かけませんので相応の効果はあったのでしょうが、イヌホタルイは除草剤の成分から外れてしまったのかもしれません。でも、同じ除草剤を使っていても他の田んぼではそれほど雑草は出ていませんので、A圃だけイヌホタルイの密度が高かったのかもしれません。田んぼ一枚一枚の性格をみて除草剤も選ばなければならないという当然なことを思い知らされました。

ケムシ-モヒカン(1)

2005年06月14日 | 今年の梨づくり
 梨畑のまわりの雑草の中でちょっと変わったケムシを見つけました。なんというケムシなんでしょう。
 わが家の父は今でもカブトムシ狩りなどに朝起きするくらいなんですが、それほどのファーブル少年ではありませんでした。農家をしていると、子どもの頃にもっとムシに夢中になっていたらなあなんて思うことがあります。
 大人になってもムシが趣味という方は多いようです。もしムシを仕事にしようとすると、たとえば大学で生態学か応用昆虫学を専攻して、研究者か、あるいは農薬メーカーに就職というパターンでしょうか。ムシ好きが殺虫剤を研究するのは皮肉な現実ですが、ムシと共存しなければならない農業も就業先の選択肢の一つだと思いますが。