のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

やっかいもの みんなきにしてすみにしましょ

2014年01月30日 | 冬の梨畑
現代社会のやっかいものといえば
経済的にも割に合わないゲンパツ
みんなが一生懸命“気”にかけて
“済み(廃炉)”にしたいものです

もうひとつのやっかいものは地球温暖化を引き起こすCO2

現在、地球温暖化防止のため
先進国は京都議定書に基づいてCO2の排出量上限を決めていますが
自国の排出削減努力だけで削減しきれない分について
排出枠に満たない国の排出量を取引することができます
この地球温暖化の原因とされるCO2を排出する権利を
企業間や国際間で流通するときにクレジットとして取り扱われていて
これをカーボンクレジット(炭素クレジット)といいます
排出権を売買する取引市場も開設されています

植物はCO2を吸って自らを成長させながら酸素に換えています
しかし、植物は腐ったり燃えたりすると、再びCO2を排出します
でも、植物を炭にしたらCO2は排出されません
ナシの剪定枝も炭素のかたまり
燃やすと灰とCO2に
チップにすれば分解するときにやはりCO2が再び空気中に
炭化して畑に還元すれば
その分、空気中のCO2は減ることになります
もしかすると
その炭素貯留分のクレジットを企業が買ってくれるかも
そうなったら廃棄する対象であった剪定枝が新たな資源になるかも…

実際のところは
炭素貯留という観点からのバイオ炭の施用コストの回収は
通常よりも大量施用を想定していることもあって
現状の国際間取引価格であるカーボンクレジット
(二酸化炭素取引)価格では非常に難しいと考えられます
そこで、バイオ炭による炭素農地貯留を行った農地で
栽培された農作物のブランド化によって
コストの回収を行おうという取り組みが
すでに京都府亀岡市で行われています

バイオ炭の持つ多孔質な構造は
土壌の保水性や透水性、肥料保持性を高めます
また、有用微生物の生息場所となることで
植物の根圏環境を改善し、病害虫への抵抗・予防を高めます
さらにアルカリ性を持つことから酸性土壌を中和する
という化学的改善にも寄与するという最適な土壌改良材

亀岡市では地球を冷やす“クール”な、野菜“ベジタブル”
略してクルベジ®としてエコブランド化しています

地域の未利用バイオマスの回収→炭化→たい肥との混合
→農地施用→カーボンクレジット取引&クルベジ®販売という流れを経て
温室効果ガスの削減と農山村部へ資金還流を導くという社会実験です
食卓から地球を冷やそう 亀岡カーボンマイナスプロジェクト

亀岡では主に竹を炭化していますが
千葉ではナシの剪定枝の処理も困っています
逆にそれを資源化、付加価値化できないかということで
亀岡プロジェクトに参加している大学研究室が
わが家で剪定枝の炭化実験が行いました

まず①ナシ剪定枝は炭にできるのか
次に②その炭からはどれほどの炭素を取り出せるのか
①については、毎年、剪定枝を焼いていますので
個人的には実証済み
②は大学研究室にお任せ
どの程度の数値になるのか、お楽しみ

どのように剪定枝を炭にするか
今回試したのはちょっと深い皿のように加工された
ステンレス製の“無煙炭化器”



以前、県の機関が試みた炭化プロジェクトでも採用されていましたが
炎がオープンなため防火上難あり
その上、“無煙”とはいえ剪定直後の枝を焼却するため
細枝を大量に投入した際には水蒸気の白煙が立ち上がって低い評価

ところが、炭が炭素貯留になり
ローテク・ローエネで短時間に大量にできる機材ということで
再評価されての再登場







やはり燃焼時の白煙の問題は未解決ながら
剪定後にしばらく乾燥させて焼却(炭化)すれば
白煙はいくぶん小さくなると思いますが
さてさてうまく事業化までいきますかどうか

みんな木にして炭にしましょ

冬枯れにどっこい私はここにいる

2014年01月24日 | ネイチャースケッチ


千だか万だか
霜で白けた景色の中で
私を見つけてとばかりに赤い小さな実が光っています

プロダクト・アウト(作り手が良いと思うものを売る)よりも
マーケット・イン(顧客が良いと思うものを売る)のほうが大事と
よく言われますが
そんなビジネスモデル理論をわかっているような
種を運んでもらえる鳥の視線に合わせている
千だか万だかです

夏の陽と風を集めた地のあぶら

2014年01月21日 | グリーンオイルプロジェクト
地元産の油=地油は搾っただけ
精製していないので栄養が豊富に残り、個性もいろいろ
原料の油脂作物栽培が耕作放棄地の解消につながることもあって
各地で地油づくりが取り組まれています

一昨年もヒマワリの種から食用油を採ろうとしたのですが
なぜか変色した油になってしまって失敗
種採取時の扱いが良くなかったという仮説のもと再度取り組んだ昨年
二年越しの搾油プロジェクトの結果が出ました

できました できました
透き通ったお日さま色の油になっています

ハイオレイックは12kgの種から200ccビン175gで14本
春りん蔵は21kgから33本
栽培労賃を除いた経費は一万数千円
頒布価格を600円とすれば30本程度で元がとれそうです

これでようやく自信を取り戻せましたので
今年はもう少し面積を増やしてみようと
できればわが家のドレッシング材料になれるくらいになると

さらにおもしろくなりそうです

可笑しくてやがて悲しき大根引く

2014年01月18日 | 農のあれこれ
新聞記事の受け売りです(全国農業新聞1月17日)

関ヶ原の合戦で西側についた上杉家は
会津百二十万石から米沢三十万石へ減封左遷
家来たちの首を切らずに農で生きようという道を探った
直江兼続が書いたとされる『四季農戒書』には
次のようなことが書かれているとか

田植えの時は、女は化粧して赤い腰巻をつけて
裾をめくりながらあぜ道を歩きなさい
男たちはこれをみていっせいにやる気を起こす

楽しく農業をやりましょうというお話でした

                    

冬焼けの空も抜けし我火の子

2014年01月13日 | ネイチャースケッチ
底冷えする日が続いて日陰の霜柱は午後になっても溶けません
晴れていても16時を過ぎると
剪定作業する指先が痛くなります

こんな日は日向ぼこが極楽なんですが
日向ぼこはお年寄りの特権のようで
まだまだ許されそうもありません
今日の朝日俳壇入選作にも
死ぬと言う大事忘れて日向ぼこ(さとうひろかず)
もう旅は叶はぬかとも日向ぼこ(ながのゆみこ)
など

子供は風の子 大人は火の子 というのだそうです
せめて晩には薪ストーブを前にしてお酒を一合

おでん酒我が生涯のふと楽し(はしもとせいそう)

冴ゆる夜のいよいよ蕪の白冴えて

2014年01月09日 | かしわかあさん
寒に入り一段と寒くなり
カブのポタージュスープなどが美味しい時期となりました

カブはその鮮度がものをいうゆえ出荷当日収穫なのに
霜が降りてからの収穫ではカブの表面に傷がつく
カブ農家の朝は早く、2時、3時から収穫を始め
霜が降りる前に作業を終えるのだそうです
道理で収穫作業を目にすることがないわけです

カブは柏の特産品ということで
道の駅レストランのオリゾナル地元ソフトクリーム第四段
蕪ソフトクリームが開発されました
カブのピューレをソフトクリームに練り込み
カブの葉を乾燥させたパウダーを振りかけるというもの
予想外の組み合わせかもしれませんが
想定以上のできばえという前評判

9日に大々的にプレス発表し、13日から販売という段取りで
わが家の加工室も当然いっちょかみ
年明けそうそうその準備に追われているところに
トマトケチャップのご依頼もいただいて
かしわかあさん加工室もフル回転です

未来の大人に夢たくす百二歳

2014年01月05日 | 農のあれこれ
もう半年も前にいただいていた本です
夏休みの課題図書にでもなりそうな
第11回ジュニア冒険小説大賞受賞作品でした

かわせひろし『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』岩崎書店 2013.3

作者は柏出身でレイソルサポーター
『ケッタ・ゴール!』 を書いた漫画家が小説家デビューです
科学好きの宇宙好きだそうで
大賞選考委員からも天文学的なことも押し付けずに説明していると
評価されています

主人公が暮らしているところは街の中心部から外れている分譲住宅地で
すぐそばに畑や田んぼが広がっていて
すこし行くと雑木林や小高い裏山にたどり着く…
これはもう作者が育った元風景に違いありません
お母さんに連れられて歩いたであろう田んぼの畦道や
友達と走り回ったであろう山道が舞台になっています

年少期の体験がいかにその後の思考過程に大きな影響を与えるか
という話に強引に持っていこうとしているのですが

4日の新聞(朝日e5面)で102歳の日のはら重明さんが
未来の大人に平和の尊さ、命の尊さを確実に伝え
戦争にNOを言えるようになってほしいと書いています
世代を重ね、知性を獲得していく命の連続は
広い宇宙に息づく大いなる力だとも

食べること、食をつくる農業のことも
未来の大人たちにもっと伝えていくことが
われわれのミッションのようです

102歳の私が希望を抱き続けられることを感謝せずにはいられない
と最後に日のはらさんはいっていますが
こうして発信できる自由にも感謝しなければなりません

安いより美味しいことが正義なのだ

2014年01月03日 | 農のあれこれ
与えられたものを食べるのか
好きなものを食べたければ自分で作るかあるいは作ってもらうか
あなたの食べ方が将来の農業を決めるのだ
と問題提起している新書を紹介したのはちょうど一年前でした
永田照喜治 
『それでも食料自給率100%は可能だ 天才農業研究者のシナリオ』
小学館101新書

今度は選ぶ食べ物によって政治思想がわかり
それが国のあり方まで決めることになるという意欲的な新書です
速水健朗
『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』
朝日新書439

以前のコメの輸入問題で大騒ぎなったように
食で結びついていたはずの国民性が
安全への意識、環境保全への意識、グローバリズムへの価値の置き方などから
分断されつつあるという仮説です

食の世界を「地域主義かグローバリズムか」という軸と
「健康志向かジャンク志向(安さ・量重視)か」という軸による
マトリクスで評価します
地産地消、スローフード運動、マクロビオテック
有機農業、道の駅、ファーマーズマーケットなどを
「地域主義で健康志向」に位置づけ
それを支持する人たちを“フード左翼”と呼びます
対して、コンビニ、冷凍食品、栄養ドリンク、ファストフード
メガフードなどは「グローバリズムでジャンク志向」に位置づけ
それを支持する人たちを“フード右翼”と呼んでいます

フード左翼とは工業製品となった食を農業の側に取り戻し
安全で安心なものに引き寄せようとする人たちで
環境、エネルギー、テクノロジーの課題に対して
身の丈に合ったシンプルで本質的な生活を選択するのですが
たとえば有機農業は土地効率が悪く自然環境保護、持続可能性が劣っていて
都市生活者一人当たりのエネルギー消費量や
集積して居住し公共交通機関を使う都市生活の方がエコだと指摘します

放射能や狂牛病、遺伝子組み換えなどは心配する人はとことん心配し
気にしない人はまったく気にしない
現代においては宗教よりも食生活が信仰の対象になりつつある
恐怖は売り物になるが科学データは売れないと
著者はどちらかといえばフード左翼に批判的です

確かにフード左翼は多様性を持つ都市のごく一部のものであり
画一的な地方をはじめとしてフード右翼が
圧倒的多数を占めているのが現実でしょう

しかし著者は、フード左翼が現実的な左翼になるためには
協力(オープンソース)と競争(バザール)を取り入れ
有機農業を否定しない選択として遺伝子組み換えの技術を認めよと
提案もしています
実はと、著者は最後に告白します
実は右翼から左翼に転向しそうなのだそうです
なぜならフード左翼の方が単純に「おいしいし楽しいから」
おいしいは正義だとも言っています


昨日の午後
年始休みということで近くのコスとこまで行ってみました
コスとこは倉庫店と称する米国型の会員制マーケットで
大ロットの商品を安価で提供しています
会員登録も行列を作るほどの人出でしたが
いつもこんなに新会員がいるのかと担当者に聞いたところ
今日はいつもよりは少ないとのこと
開店半年たってもまだまだ増えているようです

量は多いけれど安いからとついつい買ってしまいそうです
米国製冷蔵庫や大型の冷凍ストッカーまで売っていますので
こちらもお求めいただければ買い過ぎても大丈夫って感じです
まさにフード右翼を象徴するような店舗です

コスとこの規模と物量に精神的にも肉体的にも圧倒され途中棄権
隣接したコメだ珈琲店で一息入れました
こちらは豪勢なモーニングセットで有名な名古屋発の喫茶店
コーヒー一杯400円ながら入り待ち行列ができているほどの盛況
近くのMドーナツやMドナルドにはあまり人影がなかったような

MドーナツやMドナルドは日常のお店であって
正月だからという事情もあるかもしれませんが
コメだ珈琲店の手作り感が評価されたのでしょうか
チェーン店にはちがいないのですが
とすれば、こちらはフード左翼?
どっこい、フード左翼も頑張っています


新書に戻ります

左翼だ右翼だといっても
30年後のあなたの食事を想像してみてください
と著者は問題提起しています
高齢者の食事は工場設備と見まがう製品によって作られていて
それがわれわれの未来食かもしれません
とちょっと怖い予想をしているのも気になりました

松の内剣を鋤に打ち直す

2014年01月01日 | 散歩漫歩
わが家の隣の柳戸の観音さま
といっても間に家がないだけで数百㍍の距離はあるのですが
蓬莱山弘誓院福満寺さんでは
昨年から新年を祝う万燈会で参拝客をもてなしています

万燈で飾られた鐘楼への石段を登り除夜の鐘をつき
本堂で新年の護摩焚き供養に参加して
御札をいただいて年を越す

戦時中の金属供出で処理される寸前に終戦し
危うく溶かされそうになったところから生還した鐘を
つくというのも幸運をいただけそうな気になります



わが家の菩提寺である龍泉院さんには昨年
県内でも有数の座禅堂ができました

お隣の集落の医王寺さんは
“大正の法然”と称される弁栄上人と関係の深いお寺さんで
毎年12月には上人の法要が行われています
若い副住職の念仏は通る声で薬師堂全体を包みます

それぞれ宗派は異なりますが
地域住民は時には使い分けて
精神の平穏と地域の安寧を祈り、引き継いできました

最近、気がついたのですが
こんな身近なところに豊かなスピリチュアルスポットがありました
それぞれのスピリチュアル体験を組み合わせた
柏のパワースポット化計画によって
過疎化しているこの地のまちづくりができるかもしれません

そんな夢物語がいつまでも語り合えるよう
剣は鋤に打ち直さねばなりません