『夜空のいちばん高いところに、凄いほど光る月がかかっていて、
まちはひるのようにあかるかったが、寒い晩だった』
今夜はこんな表現がぴったりです
このところ毎晩 ここ数年がそうであるように
寝る前に藤沢周平の短編を一編づつ読んでいます
あるいは勢い二編を読むことも
先年映画の元にもなった「山桜」など
清々しい心地のまま寝付くことができました
なお 上の文章は「山桜」と同じ文庫本に収められている
「幼い声」の冒頭の一節
そして やはりこのところ 毎晩モミガラくん炭を焼いています
米農家にとってモミガラは厄介者
以前だったら庭先で山にして
二昼夜ぐらいかけて焼いていたものですが
風が吹いたりすると不用心ですし
最近は野良焼きそのものが悪者のように扱われてしまいます
もっともモミガラ焼きのあの臭いは
鼻の奥に残るような独特な臭いで近所迷惑には違いありません
わが家ではナシの株元に積み上げ
防寒・防乾・抑草資材として使ったり
全面散布したりしてきました
もちろんボカシ堆肥資材の一つとしても使っています
ところがやはり 廃棄物処理という側面がぬぐえず
ついつい億劫な作業になっています
今年も籾すり後 ナシ畑の中に積んだまま12月になってしまい
さてどうしたものかと思案しておりました
昨年は発酵資材を試したりして
それなりの手ごたえがあったものですから
堆肥づくりでもしようとみな袋に詰めて積んでおいたのですが
一年後 そっくりそのまま残っています
というのは
積み込んだり切り返したりする適当な場所が決められず
ついつい先延ばししてきました
そんな時 ホームセンターの農業資材のコーナーに
モミガラが結構な値段で売られているのを見ました
そうしたら近くの農産物直売所でも
あまりホームセンターと変わらない価格で売られていました
モミガラが売れるくらいならモミガラくん炭はさらに売れるんじゃないか
世の中 園芸ブームです
モミガラくん炭の土壌改良剤や被覆材としての効能は
広く知られています
ところが身近であった資材が
今はなかなか手が届かないところにいってしまった
きちんと供給できればビジネスチャンスはある…
と まあ そんな大仰な話ではないのですが
以前から目をつけていたモミガラくん炭機を購入しても
一回に500リットルのモミガラを焼いて200リットルのくん炭
だいたい3袋分になって一袋1000円で売れば
なんだ100回焼けば元が取れるじゃないかと狸の皮算用
通常7,8時間かかるところを
ファンで強制的に風を送れば2,3時間でくん炭が製造可能
というのがモミガラくん炭機の売りセリフ
このくらいの時間ならあまり近所迷惑にもならないだろう
モミガラくん炭機なら火災の心配も少ないし
第一 売れるかもしれないと思えば作業の張りが違います
売れなくたって田畑に還元すれば土づくりという将来への投資です
夕方 火を入れてしまえば
あとは焼きあがれば自動的に通気口がしまる仕組みです
寝る前に排気口を閉めれば翌朝には出来上がり
でも実際は
2,3時間で焼けるところが5,6時間かかってしまう
これはモミガラに雨をあててしまい湿気てしまったからで
今年の分は仕方ありません
さらに翌日の昼になってもまだ完全に消化されていないことも
ビニール袋にとりこんだら熱で穴があいてしまったり
極めつけは一回の炭焼きでは2袋分しかくん炭ができないこと
やはり狸の皮算用になりそうです