のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ヂーゼルの泥掻く音にわれも揺れ

2006年04月30日 | 今年の米づくり
穏やかな連休初日、納得米プロジェクトチームの田圃に続いてわが家分の無除草剤田んぼも第1回目の代掻きをしてきました。

手賀沼干拓地内の田んぼまでトラクターで走ること、30分。柏市域と我孫子市域に分かれていて、それぞれ1枚つづあります。我孫子市域は今年から農薬の空中散布が中止されます。農薬のドリフト問題(農薬が対象作物以外に飛散してしまうこと)から柏市でも中止は必然ですが、今年は散布するとのこと。わが家の無除草剤田んぼは柏市域にあるので、無農薬とはいかないのが残念。

さすがに連休です。田んぼには何台ものトラクター、田植え機が競っています。


泥沼田 オケラの泳ぐ 大海原を見ゆ
 
南風に向かい 浮遊するカラスと 目を合わす

納得米プロジェクトの1回目の代掻き

2006年04月29日 | 今年の納得米づくり
昨日、稲苗のプール化をした後、納得米プロジェクトの活動圃場36aで1回目の代掻きをしました。ちょっと水が多めかなと思ったのですが、活動4年目の今年はメンバーだけにお任せ。

        

除草剤を使わない稲作では1回目の代掻きと2回目の代掻きの間に雑草を発芽させるために、ひと月ぐらい間隔を空けることが推奨されています。田植えは5月15日過ぎか。ちょっと遅くなってしまったのですが、明日からの好天で雑草が発芽することに期待しましょう。

ようやく苗のプール化

2006年04月28日 | 今年の米づくり
14日に播種した稲苗がようやくプールに入れられるほど伸びてきました。昨年は播種して10日目でしたが、今年は14日目。連日気温が低いので、昨年よりも生育させたこともあるのですが、やはりこの間の気温、日照が不足していたようです。納得米プロジェクトのメンバーのお手伝いをいただいて、プールに水を溜めました。

        

新品の保温マットを敷いた列の苗箱の生育が悪いようです。常識的に考えれば、使い古しのマットの方が汚れていて、光を通さず温度が上がらないことから、生育が悪くなるかと思いきや!、です。反対に光を通しやすいマットの方が生育が悪い。夜間は逆に新しいマットの方が熱の放射がしやすいからなのかと推測してみましたが、はたしてどうしてでしょう。

アクセス10,000件御礼

2006年04月27日 | わが家の時時
わが家のHPへのアクセス件数が10,000件に到達しました。これだけのアクセスがあったことに御礼申し上げます。ありがとうございました。

開設したのは03年の7月ごろでした。カウンターが一時リセットされていますのでトータルの件数ではありませんが、発信している側とすれば単純に喜んでおります。最近はこのブログに時間をとられ、HPの更新がおろそかになっているのを心苦しく思っています。

過去のブログをみると、05年2月5日に3000件突破しています。この一年で件数が急激に増えているのは、家の光協会の雑誌『地上』(05年4月号?)でブログが紹介されたこともひとつの要因ですが、HPのトップページに水田除草機実演報告の案内を出したことが大きいように思います。除草剤を使わない稲作をしたい農家が水田除草機に関する情報を集めたく、除草機の名称で検索すると我が家のHPもヒットされるという仕組みです。


最近もまた、農家のブログ、新着のみです、すいません。というサイトにもわが家のブログをリンクさせていただきました。このサイトは日々更新される農家のブログをリストアップして情報提供しています。大規模経営農家から新規就農者、カリスマブロガーまで全国あちこちの農家からの発信はたいへん興味深く、自覚をしていないと時間を忘れてネットサーフィン(ちょっと古い言い回し?)してしまいます。

それらの農家のブログの内容をみると、毎日の作業や苦労話、作業しながら感じた思い、身の回りの自然描写、地域社会のイベント紹介など様々です。主に消費者へ向けてのメッセージという形が多いようですが、わが家のような農家がみても、「やっぱり同じような苦労している」と共感したり、「へえ、そういうこともあるんだ」と感心させられたり、明日へのエネルギーの糧になるものが散在しています。

農家のブログはこうあるべきだなんて論じるつもりは毛頭ありませんが、研修にくる若い子たちには作業日誌のつもりでブログを書くよう薦めています。内容は単純なものになったり似たようなものになったりするかもしれませんが、ブログに書くことによって身の回りの細かなことまで観察したり、ブログを通じて不特定多数の方に見られるかもしれないという緊張感から客観的に自分の姿を見つめる視点を身につけることなどが期待できるのではないか。情報提供といっていながら実は自己研鑽の一手法ではないかなんてと考えています。

というわけで、これからも「自己満足+α」というスタンスになってしまいますが、よろしくお付き合いください。

不順な天候にナシも萎縮?

2006年04月26日 | 今年の梨づくり
 
        

ナシの花が終わり、新梢が伸びているときですが、ナシの樹のある部分からさっぱり伸びなかったり、葉がちりちりと萎縮しているものが例年以上に見られます(写真上が発症枝、写真下は健常な新梢)。「梨萎縮症」と呼ばれる症状です。木材腐朽菌という病菌が引き起こしているのではという仮説や、ウイルス説、生理障害説など原因も様々なようで、国の研究機関でも対策をはっきりと打ち出せない状況です。

症状の軽い箇所など、幼果をすべて摘み落とすと遅れて展葉が始まり、夏には周辺と変わらなくなってしまう場合もあります。そういうものなど、養分を送る管に血栓のようなものができていて、そこから先の成長部と送れる養分のバランスがとれると正常に成長できるのかと思えてきます。

発症箇所の基部のあたりに枝の枯れこみがあって、そこの腐朽部を切除してやると(外科的対処法!)、樹勢が回復する場合もあります(くわしくはわが家のHP『04年の梨づくり』2003年12月19日記事)。これなどは木材腐朽菌が原因のように思えます。経験的には主に「幸水」の樹齢25年以上の樹にときどき見られ、経済樹齢30年とかいわれるひとつの根拠に数える人もいるようです。

今年のような不順な天候の年に多発するというのは生理障害説もあるのかもしれませんねえ。

緑の掛け布団

2006年04月25日 | 今年の梨づくり
今日も関東のあちらこちらで雹が降ったそうです。近くにも遅霜で新高ナシが着果できなかったという農家がいます。まだ不安な日が続きそう。で、ナシ畑のライムギを刈り敷き、緑の掛け布団で地面を覆うことに。人にとっては緑のじゅうたんでしょうが、ミミズにとっては掛け布団。



気象庁の発表した3ヶ月予報では蒸し暑い梅雨になるとか。果実のためにはあたってほしいものです。

5月の黒い丸い使者

2006年04月24日 | ネイチャースケッチ
寒い日が続いたり、急に雨が降り出したり、5月並の気温になったりと変わりやすい天候が続いています。桜もナシも花が早かったものだから、暖かい春かと勘違いしていましたが、そういえば年初めの頃の長期予報ではこんな不安定な天候を予想していましたっけ。ナシの花の咲き始めのころは早い出荷になるかと思われましたが、平年並みになりそうな感じです。

それでも5月の黒い丸い使者が庭先のフジの花にやってきました。



クマンバチ?(地元ではそう呼んでます)はフジの花以外では見かけませんが、いったい普段はどこにいるのやら。気性も激しいらしくて、ミツ採取の邪魔になりそうものなら、ぶーんと威嚇されてしまいます。

ライムギ畑?

2006年04月23日 | 今年の梨づくり
12月にナシ畑に播種したライムギが腰の高さほど伸びてきて、穂の先を見せ始めました。ライムギパンを作るわけではないので、そろそろ刈り取り時期です。

ナシ畑にライムギを蒔くのは緑肥にするためです。緑肥とはその名の通り、緑の肥料。植物を育ててそれを肥料にするもの。麦類は茎葉の有機物も多く、ライムギなど10a当たり500kg以上になるといわれます。それだけの稲わらを持ち込むのは一苦労ですが、ナシ畑の中でライムギを蒔けば運び込むエネルギーをかけずに、冬季の太陽エネルギーを有機質に固定化した究極の省エネ肥料?

麦類の地下の根は地上に伸びたと同じ深さにまで伸びて、根があった部分は地中への空気孔になります。刈り取った麦わらはひと月以上、畑の敷き藁となって有機質マルチになって土壌環境を守ります。麦につくアブラムシが天敵のテントウムシを引き寄せる「バンカープランツ」になります。

一方で、ムギが育つ段階で地中の肥料分を吸収し、本来のナシの生育に悪影響を与えるのではないか。特に春先はスタートダッシュしたいナシと養分、水分が競合してしまうではないか、という欠点も。

何事もプラスとマイナスがあります。プラスがマイナスを上回るなら利用するということでしょうが、なによりテントウムシを使いこなせるかもしれないというのが、なんとなくわくわくさせられます。

ネオニコチノイド系

2006年04月22日 | 今年の梨づくり
昨日と今日の二回に分けてナシ園で農薬を散布しました。今年収穫できるナシに対しては4回目の散布です。

はじめは昨年晩秋の殺菌剤で黒星病の越冬菌対策。2回目の散布は有機栽培でも認められる機械油。ハダニ、カイガラムシといった越冬害虫を油で物理的に覆ってしまい窒息させます。開花前の3回目の散布も黒星病対策の殺菌剤。4回目の今回は殺菌剤と殺虫剤をあわせて散布しました。

今年は寒いためか、アブラムシの姿はあまり見えませんが、新梢の伸びるこの時期の主な害虫はアブラムシ。殺虫剤にはネオニコチノイド系を使用。殺虫剤には有機リン系やピレスロイド系などの種類もありますが、ネオニコチノイド系の農薬はタバコに含まれるニコチンに似た作用を持っており、人に対しては急性中毒性は弱いが昆虫には選択的に毒性を発揮すると言われています。経験的にはアブラムシの特効薬と考えています。

散布翌日のナシ畑を見回ると、やはり虫たちに異変が。あちこちで小さなシャクトリムシが糸を引いてぶら下がっています。まだ死んではいないようですが、そうとう弱っている様子(写真下)。咲いた花にもハナアブ?がついましたが、梵天にすくっても逃げません(写真上)。やはり虫たちには毒でした。

……もナシ棚に上る

2006年04月21日 | 今年の梨づくり
昨晩、果樹組合が仲介した交配用のミツバチが帰りました。

ミツバチがいる間は薬剤散布しないよう申し合わせてあります。前回の散布から2週間ほど空きましたのでさっそく今朝早く散布していましたら、ざーっと通り雨です。我が家の畑ではそれほどの勢いではなかったのですが、数百メートルほど南にいった畑では本降りだったとか。

寒気が入っていて不安定な天候だからというアナウンスはありました。パソコンで雨雲の動きをチェックし空模様をみて判断したのですが、もう少し気持ちに余裕があればということになってしまいました。

しかし、やれる時にやっておくというのが自然相手の農業には鉄則でしょう。結果オーライなら、それで良し。だめならやり直せばいい。そんな心構えです。長年、農業で生きてきた我が家の祖父の処世心得も「機会を逃さないこと」。やらないで後悔するよりも、やって反省するほうが気分的にも楽ですから。

ミツバチが帰ると、ナシ園全体を覆う多目的防災網を開く作業も待っています。

閉じられた空間に置くと活動が制限され多くのミツバチが傷つくので、ミツバチ導入中、網は開いておくよう指導されています。我が家は導入していないので関係ないようですが、花の交配をするのは何も借りてきたミツバチだけではありません。土着のミツバチもいますし、アブやハエなど小さな虫たちがブンブンやっています。そういう虫たちも花の上に網が広がっていると、姿が少なくなります。虫たちは上空高いところから花を見つけてミツを求めて降りてきて、また空高く飛び上がって巣に帰るようです。

多目的防災網の大事な役割は降雹対策。ここ数日の気象状況でもわかるように4月、5月が降雹シーズンですから、ハチが帰ったらできるだけ速やかに網を広げなければなりません。ですから我が家の母も棚の上に。棚に直接乗っているわけではありません。足場線が張ってあって、その上を歩きながら上棚の線に沿ってまとめてあった網を開いていきます。



棚の上からナシの枝を見下ろすと、枝の配置や様子がよく見えます。ここは枝が少ない。ここは枝が混んでしまった…。鳥の目からも見て剪定をすればいいのですが。

簡易製材プロジェクト

2006年04月20日 | わが家の時時
正月から我が家で薪作りに取り組んできたTさんとSさん。次のミッションは簡易製材。

樫の木といっしょに切り倒したスギ、ヒノキをただ薪にするのはもったいない。でも板、柱にするために製材屋さんに委託するほどの量でもない。ならば自分たちで製材できないか。

ということで、チェーンソウを利用した組み立て式の簡易製材機の写真を見つけ出し、見よう見真似で作り上げてしまいました。試運転はまずまずの出来映えでしたが、使い勝手を考えるとまだまだ改良の余地あり。ちょっと分厚い板や柱が結構な量、出来上がりそうです。どこかに小屋でも立ち上げますか?

このほかにも樫の大きな幹の部分の木っ端も薪にせず残してあります。木工が趣味のSさんの手にかかれば温かみのある調度品に大変身。しばらくは我が家の裏庭はTS木工製材工房になります。

チームTSの活躍「きこり編」は手賀沼トラストのブログで紹介されています。

籾の発芽

2006年04月19日 | 今年の米づくり
先週の金曜日14日に播種した籾が発芽してきました。揃いも良いようで、まずはひと安心です。

今年の種子籾は塩水選をした時には本来目指した比重にまで充実した籾が非常に少なく、比重1.17の塩水選を断念。寒さのためか浸水期間も例年に比べて余計にかかってなかなか催芽してこなく、心配していました。

「百姓は晴れれば日照りを、雨が降れば洪水を心配する」というような台詞が、確か映画『七人の侍』の中に出てきたように思うのですが、農家は天を見上げながらいつもおどおどしているもののようです。それを克服?したいならビニールハウスを建てたり、暖房ボイラーを設置したりすることになるのですが、天の恵みの恩恵に与ったり、天の気まぐれに付き合ったりしながら、さて今度はどんな手を使おうか、こうなったらどうしようなどと、いろいろと思案する暮らしも毎日が暇なく飽きないものです。

とはいえ、また明日は寒冷前線が通過して降雹のところもあるとか、こんな気まぐれは訪れてほしくないのですが。

10年分の薪

2006年04月18日 | わが家の時時
今年の正月に切り倒した樫の木を薪にする作業をTさんとSさんにお願いしていたのですが、たいへんな時間をかけてようやく薪積みまで終了しました。その量、約30㎥。我が家の薪ストーブで使う10年分でしょうか。ありがとうございました。



その量もさることながら、なにしろ太い幹です。まさか斧で薪割りをしたわけでなく、油圧で薪割りをする本職用の薪割り機を使用しましたが、重い幹を扱うのですから骨を折ったと思います。



我が家の薪割り機はこんなもの。最近はホームセンターにも簡易式のものが置いてあるようですが、10年くらい前に購入したものです。趣味の機械と思われていましたが、今年は大活躍しました。

ようやく平年並の気温に

2006年04月17日 | ネイチャースケッチ
先週の日曜日9日以来の好天となりました。クヌギの緑も色を深めています。

これまでも条件の悪い中、人工交配作業をしてきましたが、気温も平年並みとなり、どうにか幸水ナシの交配の適期に間に合いました。今年は開花中に寒気(というほどでもないですが)が居座り、開花期が比較的長くなりました。その間、交配作業もできず、結果的に摘花作業が進んだため、これからの摘果作業が楽になりそうです。今日、明日と申し分の無い交配日和で、交配については最悪の事態は回避されそうです。そんなひと安心から物事をプラス思考で見られるようになりました。

とはいえ、交配が終われば、今度は多目的防災網を広げる作業が待っています。また寒気がやってきて雹など降らさなければいいのですが。

分蜂の始末に立ち会う

2006年04月15日 | わが家の時時
果樹組合の農家へある幼稚園から園内の木に分蜂しているがどうしたものかと問い合わせがありました。ナシの花の交配用にミツバチを導入している時期です。もしかしたら周辺地域へ迷惑をかけてしまったかもしれません。市川の養蜂業者へ連絡をとり、その始末に立ち会ってきました。

分蜂したハチはサルスベリの幹の下側で直径30cmくらいのかたまりになっていました。体の色は全体に黒く、土着の日本ミツバチのようです。交配用に借り入れている西洋ミツバチは黄色い色をしています。果樹組合としては、まずはひと安心。



業者の方はちょっと近づいてみてハチが攻撃的でないと判断するや、防御服もつけず素手にへらを持ち、空いた巣箱に掻き取り入れました。ハチは黒いものを外敵と見るようで、黒い髪の毛を隠すために頭だけは白い手ぬぐいを被っています。



ハチがまだ飛び回っていましたので、女王蜂が入ったと思われる巣箱をしばらく分蜂していた場所に置いて、巣箱に入るのを待ちました。フェロモンが出ているので、自分の巣なのかどうかはわかるのだそうです。

分蜂というのは、単純にハチの数に比べて巣が小さくなったから起こるというわけでなく、むしろ積極的な世代交代のようです。その理由に、新しい女王ばちの誕生に際して出て行くハチはもとの女王ばちを含む一群といいます。それまでの巣(本家)を後継の新女王ばちとその子供たちに譲り、もとの女王ばちは子飼いの働きばち(老兵)を引き連れて隠居所に引き込むというのが実態のようです。

それまでの巣にいれば安全は保障されますが、分蜂すれば新しい巣が見つかるかリスクが高くなります。場合によっては新しい巣をつくる場所を見つけられずに飢え死にしてしまうかもしれません。種の保存のため、子孫を残すために身を引くということのようです。

もうひとつ興味深い話を聞きました。生まれたばかりの若い働きばちは巣のまわりで仕事をし、ベテランほど遠いところまで飛んで行き、蜜を集めてくるのだそうです。遠くへ出かければ身の危険は高まります。遠くのまだ未開拓の花園から蜜を運べばそれだけ自分の一族に貢献できる。もし戻れなくとも仕方がない。だからハチの死骸は巣の周りにはないといいます。

老兵はわが身を投げ打って子孫のために尽くす。種の保存のための単純な行動規範。ハチに教えられました。