のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

冬空を大樹の梢埋めりけり

2007年11月29日 | わが家の時時
元句 「冬空に大樹の梢朽ちてなし」 高浜虚子

南信紀行その2。

最近は恵那山トンネル手前の昼神温泉が話題に上ることも多くなりましたが、南信州にまで出かけるというのもなかなか機会がありません。そこで飯田市まで足を延ばしてきました。飯田市というと、南信の中心都市、天竜川の河岸段丘、曲がりくねったJR飯田線、道100選のリンゴ並木ぐらいのイメージでした。

         

これが中心市街地のシンボル「リンゴ並木」。道路分離帯のところにリンゴが植えられ、車道も含めて公園のように整備されています。ブロック舗装され白線の引かれたところを車両が通ります。ちょうど出かけていった前日にリンゴを収穫したばかりだそうです。

        

飯田城・城下町の幹線のひとつだったようです。車中心の時代、このような整備を沿道の地権者たちがよく理解しているというのが第一印象。でもその歴史を聞いてなるほど。

60年前の1947年4月、市街地の8割を焼き尽くした飯田大火が発生。町中の道路幅を広げ、さらに市街地を区切る防火帯道路もつくって復興してきたそうです。植栽もなかった防火帯道路のひとつに中学校の生徒たちがリンゴの苗木を植えて、リンゴ並木が誕生したといいます。

実は、こういう情報を得たのは飯田城二の丸跡に位置する飯田市美術博物館がこの春に企画した特別展示資料から。この施設も立派でした。

        

伊那谷の自然と歴史をテーマとした常設展示のほか、横山大観と並ぶ飯田出身の近代日本画の巨匠菱田春草の作品を中心に、地元有力者の美術コレクションも合わせて収蔵。ハード面だけでなく、展覧会や講座の企画も充実。柳田國男記念民俗研究所やら飯田市歴史研究所といった民間の文化活動も盛んのようです。これも「旦那文化」の一端でしょうねえ。

そういえば、飯田市歴史研究所が今年4月の市制施行70周年記念事業のひとつとして出版した『みる・よむ・まなぶ 飯田・下伊那の歴史』(B5版並製132p、1785円)も興味深い資料でした。近世以降の絵図や古写真などの図像資料をそれぞれの研究者が読み取り、解説しています。ふつうの市史や歴史資料集でないのが興味を引きます。購入してこなかったのが心残り。

         


タイトル写真は美術博物館前にお城のお姫様「長姫」お手植え?のエドヒガンザクラの大樹。樹齢500年ぐらい?河岸段丘を利用した飯田城内は大火からも免れ、空堀跡も残されていました。歴史好きの方にも興味の持てる街だと思います。

冬山の風を日々なる苗木かな

2007年11月28日 | わが家の時時
元句 「冬山の風を日々なる障子かな」 上川井梨葉

長野県伊那盆地に出かけてきました。また長野か、また温泉かとつっこみの声もあるかと思いますが、今回はナシの苗木購入を言い訳にしております。

中川町にK園という落葉果樹苗木生産業者がありまして、これまでも「王秋」やら「秋麗」といった新品種をこの業者から購入しております。ただ通信販売は20本単位以上の注文しか受け付けてくれません。毎年、この時期、店頭なら1本でも購入できるということで、一度尋ねてみようと思った次第です。

今回は「なつしずく」という品種を購入してきました。「平塚25号(幸水×菊水)」に「筑水(豊水×八幸)」を交配してできた早生青梨最新品種です。幸水並みの食味でありながら、幸水より1週間早く収穫できるというふれこみです。

まだ種苗法品種登録出願中というできたてほやほやの品種で高価ですし、幸水よりも早い品種ってどうなんだろうという気もあって、2本だけ購入してきました。試食していただけるまで5年ぐらいかかるでしょうか。お楽しみにお待ちください。

写真正面の雪山は中央アルプス空木岳かと思います。手前には果樹の苗木畑が広まっております。こんな場所がわが家の梨のふるさとです。

ブランコは葉越しにたかし今朝の霜

2007年11月24日 | わが家の時時
元句 「金柑は葉越しにたかし今朝の霜」(芥川龍之介)

今朝は大霜でした。氷も張りました。初氷だったかもしれません。そんな寒い朝でしたが、日中は穏やかな日和に。

手賀沼トラストでは恒例の「そば祭り」が開かれ、多くの方々がソバ打ち体験に集まりました。会場の裏山では焚き火が炊かれ、焼き芋が振舞われていました。焼きあがるまで子供たちは即席のブランコで大騒ぎ。

小雪を待って老樫旅立てり

2007年11月23日 | わが家の時時
防風林更新プロジェクト第二段です。

ほぼ二年前にわが家の東南側で防風垣となっていた樫の並木の2/3を切り倒したのですが、残りの十数本を切り倒しました。もう十年分以上の薪があって、これ以上の薪を積んでおく場所もないのですが、日陰解消のためです。仕方ありません。

緑が大事といわれながら、いま木々を都市周辺で存続させることがどんどん厳しくなっているように思います。

広い面積で林を持っていれば相続税やら開発圧力がある。隣地が開発されれば大木になったときに切り倒せなくなる。切り倒さなければまわりに日陰やら落ち葉で迷惑をかける。用材の需要はないし切り倒す費用がかかる。枝葉の始末も焼却すれば野焼きだといって消防署へ通報される。チップにして堆肥にでもと思えばチップにする際の騒音が気になる。まったくのお荷物になってしまいました。

ならばバイオ燃料の原料にでもならないかと思い及んだところで、なにそのまま薪にすればいいのではないかと。再生可能な、ゼロエミッションな燃料なんですから。

次にこの並木を切り倒すのは30年後?立ち会えますかねえ。

けふは凩のはがき一枚(山頭火)

2007年11月22日 | 冬の梨畑
北国は本格的な雪だそうですが、こちらも真冬並みの木枯しが吹いて震えあがっておりました。まったく勝手なものでして、先日まで早く寒くならないかと言っていたわけですから。

ナシの葉もずいぶん散ってきました。幸水はほとんどなくなりました。

今年の春から夏まで定点観測してきたところにできた花芽です。3ヶ月前には葉に覆われていましたが、秋の間に大きく成長しています。

こういうふうに芽が目立ってくると、どの枝を残し、どの枝を切ろうか、どの花芽を使おうかと思考回路のスイッチがつい入ってうずうずしてしまいます。根っからのナシ屋になっているようでして…

くろがねも花を咲かせる青女かな

2007年11月20日 | わが家の時時
この写真は一昨日朝のものです。ドラム缶のふたのところに霜が降りていました。

北信州では数十センチの積雪にもなっているとか。一気に冬になって農家ブログも各地から初雪、初氷の情報が寄せられています。

気象の温暖化と異常気象が同列で扱われることが多いが、夏から突然冬になる、春・秋がなくなるというのも温暖化のひとつの特徴であると、ラジオで話していました。

それほど寒くはなって欲しくはないし、ナシの木のためには適当に寒くなってもらわないといけないし… 

明日からなんの作業をしましょうかねえ。

畑焼く匂いただよう十日夜

2007年11月19日 | わが家の時時
今日の暦をみていましたら「とおかんや」とあります。

なんだろうとネットで調べてみると、「とおかんや 十日夜」は,旧暦の10月10日に関東地方で行われる収穫の祭リで,収穫後に田の神様が山に帰ることのお祝いだそうです。かつては十五夜、十三夜とならぶ行事だったといいます。

この日は田畑に入ってはいけないという言い伝えもあるそうですが、わが家では今日もしっかりと農作業でした。

赤き雲見上げるランナー抜き去りて四半時の道トラクター急ぐ

2007年11月18日 | 今年の米づくり
今日も昼過ぎまでは穏やかな天候でした。午後から離れた田んぼの様子を確認したら、機械が入れそうです。急きょ、稲株から伸びたひつじを砕くことにしました。

わが家には軽トラックしかないものですから、手賀沼干拓地内にある2箇所の田んぼへ出かけるにはとぼとぼと30分あまりの道のりをトラクターで往復することになります。案の定、帰りは日没の時刻になってしまいました。

午後3時を過ぎると黒い雲が広がってきて、急に西風が吹き出しました。木枯らし一号でしょうか。今期はじめてモモヒキをはいて作業に出かけたのはよい判断でした。


PS. 先日の「国際有機農業映画祭」ですが、ここで紹介していながらぐずぐずしていましたら前売り券が完売してしまいました。まったくもって失態です。

当日券はごくわずかで(現段階ではその数不明)、先着順だそうです。同じ内容で別途開催することはありませんが、来年も同様のことを企画したいという説明でした。

主催者の想定以上の手ごたえがあったのでしょう。次回に期待することにします。もし今回、見られる方がいらっしゃるようでしたなら、その様子をお聞かせください。

初霜や薪の火入れも久しぶり

2007年11月17日 | わが家の時時
早く寒くならないかと書いておりましたら、さすがに今朝には霜がうっすらと降りたようです。なかなか布団から出られなかったのですが、意を決して起き出して薪を木小屋から運んできました。

去年は11日にストーブに火を入れました。今年は今宵が火入れ初め。薪ならではの暖かさです。一度、これを手に入れてしまうと、ちょっと寒いだけでも欲しくなってしまいます。

農家をしていて、果樹農家をしていて感じる至福の一こまです。

寒さ呼ぶ天地照らす黄一葉

2007年11月16日 | 農のあれこれ
この秋一番の寒さになるというので西風を待っていたのですが、午後には穏やかな陽が差してきました。週明けにはさらに強い寒波が来るというので、それを期待しましょう。とにかくナシの葉を早く落としてくれないと…

イベントの紹介です。

11月24日、東京神田駿河台の明治大学リバティタワーで「国際有機農業映画祭」(実行委員会主催、有機農業推進議員連盟・キューバ大使館・アジア学院他後援)が開かれます。

有機農業に関する世界各国のドキュメンタリー映画を14本上映します。遺伝子組み換え農作物をめぐる動きを描いた「食の未来」(2004、米国)やキューバの街の中での有機栽培をレポートした「サルー!ハバナ キューバ都市農業リポート」(2006、日本)など。映画の間には自然農実践農家・有機農家との交流会もあるようです。

9時30分から20時30分の長丁場ですが、チケット提示で再入場可能ですので、興味あるものだけ選ぶこともできそうです。入場料は前売り2000円、当日2500円。できるだけ前売りでお願いしたいとのこと。詳しくはホームページへ。

乳くさし青銀杏の味問わば

2007年11月15日 | わが家の時時
近所から銀杏をいただいてきました。異様なにおいを発する外皮を剥いてもすぐには食べられません。堅い殻を割って、さらに加熱してはじめて口にできます。

そんな手間隙をかけてもおなかの足しにはなりませんし、特別甘くも苦くもない味です。どういう味かといえば、銀杏は…銀杏の味。しいていえば、おっぱいの味でしょうか。でも冬を迎えるこの時期に相応しい食材のような気がします。

わが家ではこれまで炒って食べるのがほとんどでしたが、タイミングをはずすと焦げてしまったり、水分が飛んで硬くなったり、第一、殻を割るのが大変と、いろいろでした。最近、銀杏の加熱の仕方を教えてもらいました。

紙袋に(封筒でも可)一掴みいれて、電子レンジで2分くらいでしょうか。袋の中で破裂する音がしたらできあがりです。堅い殻も簡単に割れ、中から緑色した弾力のある実が出てきて、ついつい手が出てしまいます。

食べ過ぎるとよくないとかいわれます。もしかしたら、食べるまでの手順がめんどうなので用意する方の身になってみれば、そんなにぱくぱく食べられてはたまらん。もっと心して食べよということで、そんな言い伝えができたのかもと思わせるほどの美味しさです。

霧の上に遠山の端見えそめて小春の日和定らむとす(島木赤彦)

2007年11月14日 | 晩秋の梨畑
朝霧が地上近く漂うほど冷たくなったようですが、日中はまさしく小春日和となりました。

今、梨畑ではスポット的に穴を開け、有機質肥料を入れるという仕事をしています。去年より10日ほど遅くなりましたが、まだ落葉が終わる気配はなく、作業が遅れている気がしません。

のんびりとだらだらとしていると、いつのまにか師走になってしまいそうです。

ほつかりと木株に日あり息白し

2007年11月13日 | わが家の時時
元句は「ほつかりと梢に日あり霜の朝」(高浜虚子)

昨年春に種つけたヒラタケが出てきました。この秋、2回目です。前回、なかなか出てこないなあと思っていたら、10月も下旬になって気がついたら大きくなっていました。毎食、なんらかの形で食卓をにぎやかしてくれました。

先日の雨でまた菌が動き出したのでしょう。またしばらくきのこでおいしいご飯がいただけます。