のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

縁に臥し闇の虫鳴りに漂う

2007年08月30日 | 梨の出荷
以前なら夜なべ仕事に伝票入力なりの発送事務ができたのですが、今年などは気力を持続できるのが夕食まで。

少しの間と思って横になっていると、秋の虫たちの交響曲にいつか泥沼へ。起きなくてはと遠くのほうで叫んでいるのが聞こえていても、ついぞ抜け出せず…


涼しい日が続いて、いよいよ豊水の出荷が本格的になりそうです。

わらしべを掴む長者は夢の夢

2007年08月29日 | 今年の米づくり
当地でもすこしずつ稲刈りが始まっています。稲刈りどきになったとたんに秋の長雨?です。涼しくなって体の方は楽になりましたが、農家にとっては頭の痛い問題です。

今年のコメ作りは開花期の曇天とその後の猛暑で悪条件が重なって、品質の面も含めて不作ではないかといわれています。確かに周りの田んぼの穂は軽そうな感じです。

例年のことでもありますが、わが家の稲穂(写真左側)は慣行栽培のもの(写真右側)よりは大きな穂になっています。はたして収量はどのくらいになるのか、暑さの影響で白濁米が多いのか、気になるところです。

葉の色は周辺よりも青みが強いのですが、「わらしべ」の黄変具合を比較すると、周辺と大差なく稲刈りができそうです。というより、しなければならないようです。

はっきりとかわせみ色にとびにけり(中村草田男)

2007年08月27日 | ネイチャースケッチ
野鳥3題。

今朝、この水路に通りかかったとき、瑠璃色をした小鳥が飛び出していきました。先日まで水田用水からの排水で増水していたのですが、いまは谷津のしぼり水だけの静かな流れになっています。

もしかしてカワセミ?清流の象徴のように呼ばれていたカワセミもあちこちで見られると聞こえてきていましたが、こんな身近なところで見られたのは初めてです。

        

今度はサシバです。わが家の近くにその営巣地があると野鳥の会の人たちが時々観察にきたり、カラスといがみ合いながら飛び交っている様子をみることはありました。

今日の午後、屋敷前のナシ畑の防災網の中を50cmもあろうかと思える大きな鳥が飛んでいました。ドバトでも追いかけて迷い込んでしまったのでしょうか。里の野生生物のピラミッドの頂点に位置する中型の猛禽類です。追い回して傷つけてもいけませんので、自ら網を抜け出ることを待とうと思います。

        

最後は名もわからぬ小鳥の巣です。ナシを収穫していましたら、ナシの枝の上になにやら鳥の巣のようなもの。防災網のかけられた畑の中です。まさかと思いながら巣の上に手をやると、鳥の羽のような感触。思わず手を引っ込めました。

もう一度思い直し、巣を持ち上げてみたら、中から4羽の雛鳥が飛び出してきました。相当に大きくなっていましたが、まだ飛び立てない様子です。4羽それぞれ草むらの中に逃げ込んで行きました。はたして生き延びられるのか、それとも蝉狩りに夜な夜な集まるネコの餌食になってしまうのか。

定期的に農薬のかかる場所です。それでも外敵のこない防災網の中が子育てには適していたのでしょう。防災網は必ずしも防鳥網にはなっていないことがわかりました。


ありの実も月ほどなれば見上げたものを

2007年08月26日 | 梨の出荷
今日で幸水がほぼ収穫終了しました。

それにしても今年は大きな幸水になりました。特に大きなものを計量してみると、800gを超えるものも。6玉で5kgになる新高の大玉並みです。

一位は883g、二位は860gでした。

こんな大きな幸水、ふたたび出会えないかもしれません。記念に写真に残しておきましょう。

今夜、十四夜。

新入りの秋麗しく実りけり

2007年08月24日 | 梨の品種
「幸水」の収穫もあと数日となりました。作業する人間は猛暑で打ちひしがれましたが、ナシの評判も上々で、収量も上がりました。でも、梨仲間の話題はすでに次の品種「豊水」へ。7月下旬に心配していた「みつ症」がやはり出ているようです。7月下旬の気温が低いと、果肉の細胞が破れて透き通ったような状態になるといわれています。

わが家では試し取りしている段階ですが、例年並みであるような…。実際はもう少し収穫が進んでみないとわかりません。目を見開いて選別にあたらねばならず、体力を取り戻せないまま、神経の消耗戦に突入しそうです。

さらに、今度は高温の影響です。「豊水」の次の「新高」が夏の暑さと乾燥で、日焼け果が多くなるのではという注意が呼びかけられています。定期的に散水に努めることぐらいの対応しかできないのですが、その作業も収穫・出荷中となるとなかなか…。

幸水、豊水、新高の3品種をつくっていると、くじではないのですが、冷夏、猛暑、どのような年でもどれかは当たる。逆に、どれかははずれる。3品種すべてが豊作になることはないともいえます。冷夏と猛暑がそろった今年、幸水が豊作になったのは神の思し召し?

と、悪い話ばかりではありません。

幸水と豊水の端境期の今頃に収穫できる新品種を育成中。「秋麗しゅうれい」という品種です。幸水と新水という品種のかけあわせの青梨で、糖度が高いのが特徴です。問題は表面にサビがでること。

ようやく今年から少し収穫しているのですが、昨日、紹介がてらに秋麗を試食してもらったお客様が、「今日の秋麗を全部ちょうだい」とふたたび本日、来訪されました。「美味しいし、珍しいからまわりに配るの」ということでした。

まだよくわからない品種で、どの段階で収穫したらよいのか試しているんです、とか、汚い顔しててね、なんて言い訳していますと、「皮を剥いて食べるのだから、表面のサビなんて関係ないわよ」とのこと。まさに。

ちょっとびっくりの反響です。「かおり」に並ぶ将来有望なニッチ品種かも?

秋暑し終わりは初めの葉隠れ芽

2007年08月21日 | 夏の梨畑
3月より定点観測してきた幸水の実は17日に収穫しました。収穫した実を写真に記録しようと考えていたのですが、配慮が足りず、どの実かわからなくなりました。

そこでその実が生っていた枝の写真です。よくみれば新しい芽ができています。初夏に生まれて、これから秋にかけて充実した芽に成長します。葉が落ちればまた3月のような姿に。人は休むことを知ってしまっているのですが、ナシの樹は休むことを知りません。

「武士道と云は、死ぬ事と見付たり」とは武士道を説いたの葉隠聞書の一説ですが、我が家流にいえば「野良仕事とは終わりは初めと見つけたり」です。

空蝉の世は流れてもわれ覚えず

2007年08月18日 | 梨の出荷
このところ国内最高気温記録の更新やら旧盆休みやら某A省のトップ人事やらと、いろいろと世の中はきちんと動いているのですが、わが家はナシを収穫して箱詰めして発送して伝票整理して、そして寝る前にこのブログをチェックして、の繰り返し。こんなブログ書いているなら早く寝たほうが良いのですが。

久しぶりに熱帯夜から開放されて、はて、あの日は何をしたっけ?娘たちと何か話をしたっけ?などと考えても、何も浮かばない。そんな日が続いています。まあ、例年のことですが、年をとったせいか、一層何も覚えていない。

もう少しで幸水の収穫の山場を越えられそうです。


先日のラジオで、イソップ物語?グリム童話?の「アリとキリギリス」の元の話は「アリとセミ」だったと話していました。ドイツでは気温が低くセミが生息できないとかで、セミのかわりにどこでも見られるキリギリスになったということです。そうか、ドイツにいるわが家の長男は今年は蝉時雨を聞いていないのだなと思いを馳せました。

また、最近は気温が上昇しているため、7年とか8年とか言われてきた地中にもぐっている期間が短縮され、6年とか5年で成虫になるものもあるとか。うーん、こんな小さな虫でも梨園で大量に出現するとモンスターになってしまいますねえ。

残り湯に沈めしからだ五十翁

2007年08月16日 | わが家の時時
子供のころ、暑い日にはプールなどが身近になかったものですから、野菜を洗う大きな水槽や風呂で水浴びをしたものです。

ここ数日の猛暑日。午前中の作業を終えた昼食前、汗を流すだけでなく体の熱をとるため、昨夜の残り湯のなかに浸かっています。汲んだばかりの冷水では冷たすぎるのですが、残り湯はちょうどよい水温。まさに極楽極楽。

窓の外のせみ時雨は暑さにまいっている人間どもを嗤っているかのようににぎやかです。

遠雷のさらに遠のく墓参り

2007年08月15日 | わが家の時時
群馬県館林市では最高気温が40℃を超えたとか。今日は畑でナシを収穫していてもめったにないことですが、息苦しさを感じる暑さ。

夕方、北の方では積乱雲が発達していましたが、当地は雷鳴だけでした。

作業中の水分補給は500mlのペットボトルでは足りず、2リットルペットボトルが必要でした。

旧盆中ですが、幸水の収穫・出荷が最盛期を迎えています。墓参りもいけません。

命をいただき命繋ぐことは知ることなれど目にすこそ哀れ

2007年08月14日 | わが家の時時
アゲハチョウ?の幼虫がモクモクと地面を這っていました。どこか目標があるのか一目散という感じでした。

と、どこに隠れていたのか、カマキリが飛びかかり、あっという間にご馳走にありつくことに。カメラを向けるとキッと睨み返されてしまいました。秋までに十分に栄養を取り、たくさんの卵を産まねばなりません。そういう気迫さえ感じさせました。

今の今までモクモクと勢い良く動いていた命がカマキリに移った瞬間でした。ナシもコメも命。それをいただくことでわれわれも元気にならなければ申し訳ありません。

猛暑日にツクツクボウシひとつ鳴く

2007年08月12日 | ネイチャースケッチ
昨日は隣まちの我孫子市で気温35.4℃を記録したとか。今日も「暑いねえ」が挨拶になる一日でした。利根川と手賀沼に挟まれた我孫子で猛暑になることは少ないのですが、水面を渡る風も熱風だったようです。

そんな中、梨の収穫中にツクツクボウシがひと鳴きしたのを聞きました。そういえば昨夜は秋の虫の鳴き声も。

猛暑日とはいえ、立秋が過ぎたことを虫たちはきちんと感じているのだなあと感心したのですが、聞いたのは一回だけ。

もしかして暑さでボーっとしていて、幻聴だったのかも。

猛暑日の2リットルの水も汗となり

2007年08月11日 | 夏の梨畑
定点観測、まず最終回でしょう。横径が100mm近くにまで成長しました。重さも500gは超えたでしょう。作業的にはいろいろあったものの、結果オーライのナシ作りといえるでしょう。

春に気象庁が予報した「暑い夏」が今頃やってきたようです。収穫も朝飯前に一仕事をするのですが、飲んだ水もすぐに汗として吹き出します。

        

不揃いのナシたちもまた畑の子

2007年08月10日 | 今年の梨づくり
今年の幸水、畑によっては変形果が多いようです。たとえば、上の写真の実。写真の上と下の部分が生育不良になっています。横に割ってみると…

         

生育不良な部分の種が見られません。この部分だけ、うまく交配できなかったようです。

今年の幸水の開花期は例年より長引きました。桜なら花の時期が長いことは良いことですが、いいかえればその時期、寒かったりぐずついた天候だったということ。適期にうまく交配できなかったり、咲き出したときにはもう交配相手の異種の花粉がなかったり。

幸水、豊水の混植園では問題はないのですが、幸水単植に近い部分ではこんな実が多くみられます

いくばくの涼風に聞く実るとき

2007年08月09日 | 梨の出荷
連日猛暑ですが、畑で収穫作業していると、涼しい風が吹いてくるなあと思える時があります。立秋を過ぎたからなあ、などとわかったようなことも思います。

ナシは本来、秋に熟す果実。その年の最高気温を記録した日から1週間とか10日過ぎたころに、幸水を収穫できるなどと聞いたことがあります。今年のように梅雨明けが遅れ、8月になってどんどん暑くなるような気候では、こういう定理は成り立たなくなります。

もうひとつ、収穫の目安にするのが開花日からの日数。満開後110日から115日で収穫開始。今年の満開日は4月14,5日ぐらいでしたので、110日とすると8月2,3日。115日とすると8月7,8日あたり。今年のわが家の場合、この満開後115日説に合致しているようです。