のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

盆のなし諦めますか変えますか

2011年07月31日 | 梨の品種
ただ今 このシーズンのナシ発送の予約を承っています
そこでどうしても旧盆見舞いに間に合わせたいというご要望をいただきます
ところが今年は開花も平年並みでしたし
このところの戻り梅雨のような天候のため盛りになるのは旧盆明けか
となると 今年は幸水ナシで旧盆向けにお応えするのは難しいようです

でもお盆前には店頭に千葉県産のナシが並んでいます
なぜお宅はできないのということになるのですが
お盆需要に間に合わせるための成長促進させる技というか薬剤がありまして
わが家ではそれを幸水ナシに使わないようにしています

それでもやはり一方でお盆需要というのは根強くあるわけですから
それに応えることも大事なことです
そこで数年前から旧盆に間に合う早生種のナシを探しています

一つは「愛甘水」という品種
愛知県の生産者が育種した品種で現地では6月のうちから出荷しているようです
わが家でも試しに育てていますが
甘み 肉質ともに満足できるものの果肉がすぐに褐色変してしまうのが欠点

もうひとつは6年前に国の研究機関が育成した「なつしずく」
写真でわかるように「二十世紀」と同じ青ナシ系統のナシ
去年はじめて試食してみたのですが肉質は柔らかくち密で果汁も多い
これはいいとこれから増やしていこうと思っているのですが
いくつか欠点もあるようで…

果皮の色と食味に一定の関係が認められず
収穫後期になるとみつ症という豊水と同じ生理障害が出てくるといいます
美味しくなるのは花の満開後115~120日後頃とか
あれ 今年はいつごろ満開になったっけ?

また収穫後期になると自然落下する性格もあるようです
でも「幸水」より一週間は早く収穫できる品種と言われます
費用体効果ならぬリスク対利益をどう判断するか
もう少し試食を続けなければならないようです

この夏は「検出せず」がよりどころ

2011年07月28日 | 梨の出荷
わが家のナシの放射性物質試験結果が出ました
放射性ヨウ素 放射性セシウムともに「検出せず」でした

畑土壌の試験結果の値と公表されている移行係数を掛け合わしても
検出されるような値にはならないだろうと確信はしていたのですが
分析機関からきちんとした報告をいただいて
まずはほっとしています

今回はわが家のナシだけでなく
道の駅直売所に出荷する生産者全員から検体を提出し
いずれも「検出せず」だったそうです

同時並行して柏市農政課が独自に検出試験を始めていまして
数日のうちにはその結果が出るだろうと思われます
これにより市内のナシ生産者(果樹組合)のほぼ半数の試験が行われます

また県果樹連でも県内生産地のナシを検出試験をしていまして
それらの結果がみな「検出せず」なら
いわゆる“ちばのナシは安心”宣言ができるかもしれません

しそこない繰り返す間に時が過ぎ

2011年07月25日 | 梨の土づくり
今年も梅雨のうちに秋の元肥用のぼかしづくり
と6月のうちにぼかしづくりを始めました

今年の原料は
米ぬか    4
魚かす    2 (N6-P7-)
もみ殻くん炭 2
くず大豆   1
くず米    1
天然ミネラル 0.2(ケイ酸62%)
過リン酸石灰 0.2(P 17.5%)

数字は原料の体積比

今年の特筆はもみ殻くん炭
いつもより黒いぼかし肥料になりました

が…
いい臭いはするもののなかなか熱が上がりません
いつも使っていたオカラを使っていなかったためか
そういえばいつもより締まった感じがする
生のもみ殻を使わなかったから内部に空気がなくて
カビも働かないのか
とあれこれ考えてみますが
熱の上がる前に切り返して水分を供給しましたら
徐々に上がってきました

水分が足りなかったのかと気付いたのですが
いつもと変わらなかったはずですから
どうやら気温が高くてカビも動けなかったということではないでしょうか

6月下旬といえば梅雨の真っ最中のはずが
今年は梅雨が明けたかのような乾燥気候

米袋200袋分を2回の積み込みでつくりますので
一回目はまだ熱がさめきらないうちに見切りで袋詰めしまして
先日 2回目の積み込みをしました

            

その時 そういえばと思いだしたのが
昨年の不良果を刻んでタンクに詰めておいたナシの実エキス
表面に白いあくのようなものが浮かび実の形の残っているものがあるものの
液体は澄みワインのようないい臭いがします
うまく発酵したようです

2回目のボカシにはこのエキスをつかって水分調整したら
うまく発酵するのではとやってみましたが… 
これもまたなかなか熱が上がりません

早くしないと収穫時期になってしまいます

時ならぬ春告鳥競う大暑かな

2011年07月23日 | 今年の米づくり
朝は上着がほしくなるような気温の大暑でした
だからというわけではないのでしょうが
いつもなら夏になれば山のほうに移動しているはずのウグイスが
セミといっしょに競って鳴いています
ホーホケキョと聞こえますからウグイスだと思うのですが

セミの鳴き声も今年はさびしいような
いつもはうるさいほどのヒグラシも聞き耳を立てないと聞こえないような
まさか例の影響ではないでしょうねえ

そんな涼しい大暑の朝
水田への農薬の空中散布が行われました
有人ヘリからリモコンヘリに代わり
農薬の飛散も随分少なくなったせいもあるでしょうが
湖畔の遊歩道を散歩する人たちも
以前なら鼻口を押さえて逃げていたのに
農薬を散布していますと声をかけてもしばらく見物する人もいたりして
これまでになくフレンドリーな雰囲気の中で作業ができました

悪名高き農薬の空中散布ですから
われわれ作業の介助員も内心ピリピリしていました
まさかこれも農薬よりも厄介な例の影響ではないでしょうねえ

身の回りにはたばこや酒といった体を壊す可能性のある嗜好品から
紫外線やウイルスのほか電磁波や化学物質まで
様々なリスクが存在します
本当はできるだけそのようなリスクは少なくしたいのですが

今年のナシDMは本日発送しました

2011年07月19日 | わが家の時時
例年 7月15日過ぎにわが家からナシのダイレクトメールをお送りしておりますが
今年は 本日19日にヤマト運輸のメール便にて発送しました

ご心配をおかけし たいへん申し訳ありませんでした

今年はわが家の母が加工部門で仕事を入れており
父も後継者君もなにかと野暮用があって事務作業が遅れておりました

数日以内でお手元に届く予定です
もし到着しないようでしたならご連絡ください

今年もよろしくお願い申し上げます


すぎの梨園

なでしこに続け太陽王ACLへの道

2011年07月14日 | 柏レイソル
昨夜は日立台で
今朝はTV前で至福の時間を過ごすことができました
応援するチームが好成績だと
体の中の免疫系が活性化される気がします

昨夜の太陽王も面白いようにパスが回る時間があり
“女子サッカーのバロセロナ”と称せられるなでしこジャパンと
似ているじゃないかとビールが美味しい

この調子でシーズンを折り返し最終的に3位以内をキープできたら
来年はACLで中東へ応援ツアーだー!

最近明るい話題のないご当地のこと
このところ「かしわのはは」シリーズでほくそ笑んでいる週刊誌Aも
先週号では「いまかしわが注目されるもう一つのワケ」なんて記事で太陽王を紹介して
なんとか埋め合わせした気になっているのかもしれないけれど
そんな輩を見返すためにもぜひこの調子で行きましょ

嬉しさも中ぐらいなり梅雨明ける

2011年07月12日 | 夏の梨畑
やっぱり早々に先週の9日には今年の梅雨が明けてしまいました

小さい頃の「梅雨明け」というとまぶしいほどの青空が待ち遠しくて
これから始まる夏休みへの期待を膨らませたものでしたが
今年などは「えー! もう明けちゃったのー!」み・た・い・な

もっと雨がほしかったなあと思いながらも
ちょっと足踏みしているかなと思われたナシの実の肥大が
梅雨明け宣言に合わせたかのようにふたたび動き出して
中には果皮と実の中身の成長の歩調が合わず
写真のように破裂してしまうナシもあったりして

でも今年はこういう実(成育の悪い年に多く見られます)は少なくて
いつも急に大きくなる豊水にみられるような軸折れが…
「収穫まであとひと月
最終コーナーを回ってラストスパートです」み・た・い・な

このまま晴天が続くとなると果実の肥大や糖度は期待できますし
病気の心配もありません
代わりにハダニなどの害虫を心配しつつも
せっせとスプリンクラーで散水に精を出しながら
「昼寝でもして大きくなるのを待っていますか」み・た・い・な

あーぁ そんな暮らしをしてみたい

まだ遠き湧き立つ雲に悪夢みる

2011年07月10日 | 農のあれこれ
写真は10日の午後三時ごろ北の方向の積乱雲をみたところ

降水レーダーによると栃木県北部で大雨になっている模様です
今にもおどろおどろしい雲に街や田んぼが飲み込まれそうな光景ですが
まだ100km以上もあります
青空に湧き立つ雲はずいぶんとよく見えるものだと感じた次第

たしかにこの積乱雲が南下してきたら
大雨洪水だけでなく落雷や突風
もしかしたら雹まで心配しなければなりません

雲の動きによってはその対応に動かねばなりませんが
しばらくは100km先の状況を思いやりながらも
その動きを注視するというのが“正しく怖がる”ということでしょうか


昨日 似たような話をある放射線生物学者の方から伺いました
先生を交えて放射能について勉強会をしようと呼びかけた個人的な集まりが
あったものですからそこに参加してきました

放射線が遺伝子に与える影響を研究する基礎科学が専門分野の先生
日本放射線影響学会という学会に所属していて
その学会では今回の原発事故に関して公式見解をQ&A形式で
公開していると紹介してくれました

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/gimon.html

学会のURLも京都大学の中にあって
いわゆる「原子力村」とは距離があるようです
またQ&Aも随時更新されているようですので学会の誠実さも感じられます

具体的な心配や疑問に対する回答はHPに譲るとして
先生の話を自分なりに整理すると…


現段階の科学的知見を元にすると

①放射線はDNAを傷つける

②DNAは小さな傷なら自然に修復されることもあるが
 大きな傷になると突然変異を起こすことがある

③突然変異した細胞がガン化するという仮説はあるが
 まだガン化プロセスは解明されていない

④現在の関東地方の放射線量は
 発ガンリスクが有意に高まる線量であるとはいえない

⑤一方 ナチュラルキラー(NK)細胞は癌細胞やウイルス感染細胞に
 特異的に結合して排除にあたることが知られている

⑥NK細胞のような免疫力の働きに期待するためには
 ストレスの少ない生活が大事

⑦放射線の小さなリスクにこだわりストレスを抱える生活をすることの方が
 もしかしたら免疫力を弱めて発ガンリスクをより高めてしまうかもしれない

⑧当然 成長段階にある子どもは大人よりもリスクは高く
 お母さん方の心配は理解できるので
 放射線量や食べものの汚染具合をこれから注意深く見守っていくことが大事


“現状を客観的に把握し冷静な行動をしつつ かつ 用心は怠らない”
ということだと理解しました
でもよく考えれば当たり前の話

ならば なぜこういう当たり前の話が飛んじゃって
風評のようなものが世の中にはびこってしまったのか

行政府の対応とかマスメディアの責任とかいろいろ原因はあるのでしょうが
「宣伝」と「PR活動」の概念の違いが広く共有化されていないから
じゃないのかと最近思えてきました

お恥ずかしい話ですが 以前は
PRとはプロパガンダpropaganda(宣伝)の略だと勘違いしていました
PRは Public Relationsの略と最近教えてもらいました

辞書によれば 「Public Relations」とは
「個人や組織体の存在あるいはめざしている方向に対して
 世論や一般消費者から支持を得られるように活動すること」

とあります
つまり 一方的な「宣伝」とは別の概念で
支持を得られるよう「関係性」を構築することのようです

具体的にいうと
「この商品は美味しい」とか「この商品は安い」と発信するのが「宣伝」
「この商品はこんなふうにしてできました」と発信するのが「PR」
ということでしょうか

今回の原発事故については裏付ける情報がないまま
はじめから「安全だ」「電力不足になる」と一方的に宣伝されたことで
情報自体の信頼が失われてしまったのではないでしょうか


先日 柏市農業委員会は柏市に対して
農産物の放射能汚染の検査を積極的に推進するよう要望書を提出しました
「柏市の農産物は安全です」と“宣伝”したいという声を抑えて
柏の農家は放射能汚染に前向きに取り組んでいますという姿勢を“PR”した
と考えています
柏市果樹組合もほぼ同様の主旨の要望書を提出しています

放射能汚染検査してでてきた数値は事実かもしれませんが
それはわれわれ農家の責任ではありません
しかし
その事実を隠したならわれわれ農家の責任が問われます

われわれは信頼される農家でありたいと考えています

田でなくば愛でる形の葉も花も

2011年07月08日 | 今年の米づくり
写真は田んぼのギャオスことオモダカの花と実

去年おととしと田んぼの草取りをしないで済ませてしまったのですが
さすがに3年目になるとあちらこちらから
ウサギの耳のような大きな葉や白い花が稲の葉の間から見えてきました

このまま置いたら加速度的に増えて行くのは経験済み

今年の梅雨の後半は雨の日がなかったものですから
ナシの管理がひと段落した7月になってオモダカ抜きに

で この時期のオモダカ退治ははたしてどうしたらいいのでしょうか

田んぼの中のオモダカは葉を5,60cmにも伸ばして花をつけたものと
10cm程度の小さなものの2種類が見られます
オモダカは種子と地下茎の先の塊茎から発芽するといわれています
今花をつけているのは昨年残した塊茎から発芽したもの
ちいさなものは種子から発芽したものと思われます

6月初めの中干し前なら
田んぼの泥の中から塊茎を探しだすということもできますが
この時期では塊茎はあきらめて株元から掻き取るのがせいぜい
しかし 60cmも伸びた葉のついた株元を田んぼの外まで持ち出すのはたいへん
すぐに手元のバケツはいっぱいになってしまい
100mをすすむのに何度道まで戻って草を捨てたことか

さりとて抜いた株元を田んぼの中に置いてくると
またそこから復活してくるということも経験済み

そこで今年以上に草の数を増やさないという最低限の仕事をしようと
葉をちぎった株元と実の付いた花茎だけを外に持ち出すか
ということにしたのですが はたしてどうするのがいいのでしょうか

選択性の除草剤を上から散布するという方法もあるのですが…

雲の峰こっちは雨なくセミがなく

2011年07月07日 | 夏の梨畑
5日の夕方 梅雨空にはふさわしくない積乱雲でしたが
このあたりには一粒の雨も落とさず南下していきました

予報では降るぞ降るぞといわれながら
ここ半月以上 雨らしい雨が降っていません
先日は砂埃の立つほどの大南風でした

今日も雨雲レーダーを見ると国中 関東以外雨模様なのに
箱根の山より東に行くと雨雲は急に南下 房総沖へ下っていました

このまま梅雨があけてしまうのだろうかとは
ナシ仲間の挨拶になりつつあったのですが
業を煮やした形で乾燥しやすいナシ畑から今日から散水を始めました

こんな乾燥気象に喜んでいるのはネギ農家
梅雨時にはいつも泣かされてきた赤さび病が昨年夏の猛暑でほとんど消え
今年も農薬を散布しなくともきれいな葉をしています


七夕の今日 ヒグラシが鳴いているのを初めて聞きました

去年は6月15日

その前は6月24日 その前年は7月1日 さらに前年は7月9日でした
毎年早くなっていたのがまた4年前に戻っています
さて 今年はどんな8月を迎えるのでしょうか

名物はあるないでなくつくるもの

2011年07月03日 | わが家の時時
2011年夏の滋賀・福井紀行その4

今回の本来の目的は福井市にある農産物加工所の視察
農産物直売所と同じ建物内にあって加工施設はJAが提供しています
野菜の出荷農家は兼業農家が多く納品数は少ないとのこと
その代わり花の生産者は比較的多く
切り花売り場が野菜の1/3くらいはあったかもしれません
お盆の三日間に17,000本の切り花が並んだこともあるそうです

             

農産物加工はJAが直接経営する餅部門と
JA女性部員が運営する惣菜・お弁当部門に分かれます

そして この加工所の主力商品はなんと“おはぎ”
平日でも早朝から作って直売所の商品陳列台に山と積んでも
お昼ごろまでにはほぼ完売
お彼岸にもなるとその3倍は売れるといいます

             

普通の幕の内弁当にもおはぎが一個入っています(タイトル写真)
おはぎのパック詰めも
3個 6個 10個入り(!)の3種類が用意されています

福井はおはぎをよく食べる風習のようなものがあるのか伺ったところ
まったくなかったとのこと
風習があるなら街の和菓子やさんでもおはぎを扱っていると思うけど
それもないといいます
これからはここの加工所発のおはぎ文化が根付くのかもしれません

さっそく試食してみるとおはぎの餡子は美味しいものでしたし
大きさもわが家の提供しているものと比べたら倍近い大きさ
それでいて価格も値ごろ
たしかに割安感はあります

たまたま加工部のメンバーのなかにおはぎの得意な方がいて
出品しているうちに確固とした評判を得るようになってきたといいます


平成11年に農産物直売所と農産物加工施設にJA支所も入った
この複合拠点施設建設の計画が持ち上がり
農産物加工施設を利用する女性部会員を募ったところ
各支部から複数のグループが手を上げたそうです
それを無理やり一本化せずに各グループ毎に施設利用日を決めて
加工グループの共同利用にしたところが想像を超えた判断です

平成13年に複合施設はオープンし
女性起業という言葉にも後押しされ
仕事のおもしろさに取り付かれた10年だったといいます
しかし
実績が積み上がるほど食品衛生管理等の問題も大きく問われるようになり
また 一方で参加メンバーの高齢化も課題になってきました
そこで各グループを一本化し
今年の4月には“企業組合”として新たな組織を立ち上げ
これから組織の活性化や後継者の育成を図っていきたいと
抱負を語ってくれました


その土地の名物とか名産とするためには
歴史や自然などから裏付けられる文化的背景が必要ではないか
と一般的には考えられると思うのですが
必ずしもそういうことが重要ではない場合もあって
人の情熱が紡ぐ物語からでも名物は生まれるという事例かもしれません