のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

五月の朝のしののめ うら若草のもえいづる心まかせに(萩原朔太郎)

2008年05月29日 | 今年の米づくり
タイトルは萩原朔太郎の『旅上』という詩の一節。

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し

で始まる有名な詩の最後の段です。

タイトルの一節の前段は

「われひとりうれしきことをおもはむ」

しかし、実際は、
朝日を浴びながら田んぼの中で悶々としておりました。

田植をしてから十日。代掻きから約2週間。
苗も活着したようだからそろそろ田んぼの除草剤をと
出かけていきましたなら雑草の方もぞっくり。

もっと早く除草剤を散布すべきだったか…

わが家の田んぼでは納得米プロジェクトの田んぼ以外では
除草剤を一回だけ使用しています。
いろいろ除草剤にも種類はあるのですが
できるだけ早く散布するというのが普通かも。

最近は難防除雑草対策として農薬成分数を増やした新薬があって
そういうのは散布時期が「5日後から25日まで」というように
比較的時間的に余裕のある薬剤も出回っています。

田んぼの除草剤は、含まれている成分数で分類すると、
2成分、3成分、4成分ぐらいに分けられます。
当然、成分数の多い方が防除効果が高いと思われます。
前作での雑草の状況などから使用する薬剤を選択します。

防除しきれない雑草が増えてきたことから
4成分の除草剤が新開発されてきています。

形状で分類すると粒剤、フロアブル剤、ジャンボ剤の3種類。
粒剤には10a当たりの散布量で3kg剤と1kg剤があります。
粒剤は小さな粒々。フロアブル剤は液体。
ではジャンボ剤はというと…

最近、田植え後の田んぼに
なにやら白い塊を投げ込んでいる光景を見たことはないでしょうか。
あれがジャンボ剤です。
水に溶ける薄い包みのなかに農薬の入ったカプセルがあって
投げ込むとカプセルが速やかにあたり一面に広がっていきます。

10a当たり10包を投げ込むだけですから
除草剤散布の労役からも解放されたと
ジャンボ剤やフロアブル剤をここ数年使ってきたのですが、
たっぷりの水がないと均一にならなかったり
風が吹いていると風下に防除成分が偏ったりと
使用条件は限られているようです。

その対極にあるのはむかしながらの粒剤の3kg剤。
何が3kgかといえば10aに散布する量が3kg。
1kg剤は1/3の少量でも3kg剤と同等の効果があります。

わが家では今年から3kg剤復活へ。

梨棚や初夏の繭雲うかびたる(水原秋桜子)

2008年05月27日 | 夏の梨畑
明日からまた天気が悪くなるようで、
5月中の良いお天気が今日が最後とか。

4月13日に行われた
手賀沼トラスト農教室高学年生対象の接木講習
その結果が出始めました。

5本の接木をしたうち
2本は成功したようで、芽から茎葉が伸びています。
(写真の左側)
2本は失敗した模様。
芽はまったく動いていません(写真右側)。
残りの1本は芽が少し動いているのですが、
この程度なら穂木が持っている養分で伸びる程度。
もう少し様子をみないと判断できません。

それでも半分の確立で接木が成功するというのは
優秀、優秀。

行すゑは誰肌ふれむ紅の花(芭蕉)

2008年05月26日 | 今年の米づくり
今日は七十二候のいうところの「紅花栄べにばなさかう」
紅花が盛んに咲く頃だそうですが、
見回しても紅花畑なぞはありませんので
稲苗に詠み替えます。

「行すゑは誰口入らむ稲の苗」

写真は捕植用に取り置いていた苗の根です。
播種後40日はたっています。
ここまで育苗できれば
ほんとうにしっかりした苗にできるのですが、
今年も背丈も20cm近くに育ってしまい、
葉の色が落ちてきたように見えてきましたので
播種後35日までに田植を終えてしまいました。

他の農作業の関係等で
毎年5月20日過ぎに田植を行う地区があります。
今年はその地区では
苗作りに失敗したという農家が多かったと聞きました。
「失敗した」というのは根張りが悪く
田植え機に乗せるのに苦労したというのです。
育苗期のある段階に何らかの障害を受けたのでしょう。

わが家の場合は逆に根張りが良すぎて
旧型の田植え機ではかき取れずに欠株になったのでは
と思えるような部分も。

欠株があっても補植に入れたのは半日だけ。
しっかりした苗があっても
欠株にならないような田植え機に新調しなければならないのかも。

山一つ背中に重し田草取(蓼太)

2008年05月25日 | 今年の納得米づくり
午前中、雨の降る中、
納得米プロジェクトメンバーが一回目の除草作業をしました。

田植えから一週間、苗が根付いた頃を見はかり、
株間除草機「あめんぼ号」と手押し除草機を走らせました。
すでにコナギらしき雑草が発芽していて
今年も悩まされそうです。

雑誌や「除草剤を使わない稲作」仲間で紹介されている
金属チェーンを田んぼの中を引きずって
除草するという方法もどうかと検討したのですが、
今年は「あめんぼ号」を使いこなそうと
がんばるようです。

今年の苗はもうしっかりと根付いていて
順調に生育しそうです。

雨はお昼ごろに上がり、
夕方には鮮やかな夕焼けが広がっていました。

満目の緑に坐る主かな(高浜虚子)

2008年05月24日 | 梨の虫
今年は雨が多いので
ナシのアブラムシが出てくるのが遅れていましたが、
気温の高い日もあるためか、そろそろ出てきました。

普通のアブラムシならナシ畑で
いつも飼っているようなもので特別驚かないのですが、
今回は初めてみる害虫です。



見た目はアブラムシのようですが、
よぉーくみると
(細かいので目の焦点が合わなくなっているもので)
虫の形状が違うような…

取り付いている場所(葉)も違います。
普通のアブラムシはその植物の最も弱い部分、
生長点付近の茎や幼葉に取り付き、
その周りをおこぼれをもらおうとアリがうろついています。



写真のムシは幼葉とはいえないようなしっかりとした葉にいました。
アリは見られません。
つぶしてみると赤い体液が出てきます。
その元のほうの茎にはカイガラムシいたような跡がみられます。
葉の位置は園の外周部で農薬のかかりにくいところです。

でもカイガラムシのように貝殻を被っているような様子はなく、
蝋のようなものに包まれているのでもなく、
さてさて、わかりません。

やっぱりアブラムシの仲間なんでしょうねえ。

薔薇を剪る鋏刀(はさみ)の音や五月晴(正岡子規)

2008年05月23日 | 夏の梨畑
今日も一日五月晴れ。
真夏日になろうかという暑い一日でした。

そんな空の下、
バラではなくナシの幼果を切るはさみの音が続きます。
わが家の一次的な最初の摘果作業がまだ終わっていません。

定点観測している「豊水」の実は横径26mmぐらいですが、
早い時期に開花・交配できた新高や豊水は30mmになるものもあって
摘果の終えていない枝は実ばかりが目立ってきました。

明日からまた雨とか。
なんとか5月中に一通りの摘果作業を終えたいのですが。

郭公や草の高さの草のいのち(高橋馬相)

2008年05月22日 | ネイチャースケッチ
緑肥用に蒔いていたライ麦が背の高さ以上に伸び、
すがすがしい風に穂波ができていました。

「さわやか」という形容詞は秋の気候に
「すがすがしい」は春の気候に使うとか。
あっ、逆だったか。違う言葉だったか。
先日のラジオで気象予報士が話していました。

そんな五月晴れの中、カッコウが今年初めて鳴き渡っていきました。

ちなみににもうひとつ、ラジオからの気象用語雑学。

「五月晴れ」とは本来、
旧暦の5月、梅雨の中休みの好天をさしていたが、
いまでは梅雨前の好天の意味で広く使われていて、
それでも誤用とはいえないそうです。
でも「五月雨」はやっぱり梅雨時の雨をさしているとか。

吾孫子の古き沼より採りて来し藻草に蛭の子が生れたり(土屋文明)

2008年05月20日 | 今年の米づくり
季節はずれの台風の影響で暴風雨。
雨があがった半日、田んぼの補植をしていました。
たっぷりの水にさざなみがたって、
歩き回るだけで目が回って酔いそうでした。

田んぼに漬けてあった稲苗の間にはヒルが集まっていました。
ウマビルというようです。



昔はよく血を吸われたものだと曾祖母が話していましたが、
これは吸血はしないといいます。
ヒルが生き残っているということは
それだけきれいな水といえるのでしょうか。

ところで、タイトルの歌に詠われている沼というのは
手賀沼のことだといいのですが。

髻(もとどり)を捨るや苗の植あまり(蕪村)

2008年05月17日 | 今年の米づくり
続いて稲苗の話題。

写真の右側がわが家の苗。
中央および左側は近くの田んぼで残っていた植え残りを
ちょいといただいてきたもの。

まず茎の太さが違います。そして葉の数が違います。
わが家は4葉。他の二つは2.5葉。
たとえ1週間早く田植えをしてあっても、
先日までの天候の中では
もしかしたらわが家の苗の方が生育ステージは
先行するかもしれません。

もう一つの違いは第1葉の位置。
他の二つはわが家の苗の第1葉位置の倍くらい高いところにあります。
茎が太くて節の間隔が短い。
これで倒伏させたら腕が悪いというもの。
苗に負けぬよう精進、精進。

けふばかり男をつかふ田植えかな(千代女)

2008年05月16日 | 今年の米づくり
かつての田植えの主役は早乙女たちだったのでしょう。
田植えのときだけは男たちを指図していたのかもしれません。

でも今は機械が主役です。
田植え機を操る人間が主役です。

今日、
この春から就農しているわが家の長男が
田植え機デビューしました。
「苗運びよりも楽だ」とか。
来年からは長男が田植えの主役になりそうです。

さなへ草ううる時とてさみだれの雲も山田におりたちにけり(賀茂真淵)

2008年05月13日 | 今年の納得米づくり
寒い日が続いています。
とうとうわが家では薪ストーブが再登場してしまいました。

稲を播種してひと月。
3.5葉から4葉、15,6cmになっています。

連休までは順調すぎるくらいでしたが、
ここへきて生長がとまってしまったような印象。
まあ、そんなことはないのですが
葉色は例年より薄いような気がします。
やはり日照不足の影響でしょうか。

40日育苗で5葉の成苗を目標にしてきましたが、
これまで35日くらいで20cmにも徒長し、
がまんできずに4.5葉で植えてきました。

今年はローラーをかけて徒長を抑えてみましたが、
その効果もあるのかもしれません。
ちょっとずんぐり、しっかりしているように見えるのは
ひいき目かもしれません。

天候が不安定であってもこの苗なら大丈夫でしょう。
ずーっと露地で風雨にさらされ、
ローラーまでかけられてストレスを与えられて生長しました。
温室育ちではありませんから。

この様子だと40日くらい置けそうですが、
35日目の次の日曜日に納得米づくりの田植えです。

梅の木の心しずかに青葉かな(一茶)

2008年05月11日 | 春の梨畑
タイトルは梅ですが、写真はナシです。

ナシの幼果が生長しています。
青葉もどんどん展葉しています… が、
今年は指導機関より疫病発生注意報が発表されています。
10年ぶりだそうです。

土壌中にある疫病菌が枝葉に感染することから
草生園では発生しにくいといわれます。
わが家のようなライ麦で地表全体を覆っている園でも
写真の罹患(と思われる)部分が確認されました。

似たような症状で黒星病があります。
こちらはもう少しあちこちで見られます。
今年は雨が多いため湿度が高く、
病菌が繁殖できる条件になっているのでしょう。

明後日、台風が近づくという予報。
まだ、不安定な天候が続くようです。