のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

新高の完熟見立て講座ーっ!

2005年09月25日 | 今年の梨づくり
写真の二つの実、右側の実の方が赤く色づいているようですが、さてどちらがより熟したナシでしょうか。答えは後で。

新高は暑さの苦手なナシのようです。今年も9月に入っても30度を越す日が続き、日焼け玉が数多く見られます。果肉が熟して色づいたのでなく、果皮表面が果肉より先行して色づいてしまう症状です。毎年シーズン初めには見られるもので、品種の性質からくる生理現象といえるかもしれません。もちろん、こういう症状にならないような手立てを講じるのが先で、要するに葉を繁らせ果実を日陰にしておくということですが、なかなかいうことを聞いてくれません。

こういう性格を持つということは、新高は果皮表面の色づきで完熟度合いを判断できないといえるようです。

実はわが家では10年以上前まで完熟加減の見立てが悪く、肉質の固い新高を収穫、出荷していました。甘いナシではあるけれど、ゴリゴリした肉質の固いナシでどうしてこんなナシが喜ばれるのだろうと感じていました。生産者自身がこれですから、消費者の方はなおさらでしたでしょう。

新高というナシが一般に知られるようになったのは、東京に隣接した市川市のナシ農家の貢献が大きいと考えています。直売に早くから取り組み、直売期間を長くするために商品となる晩生のナシが必要だったと思われます。一玉1kgにもなろうという大玉を作り、「ナシの王様」と称して商品化していました。時はバブル。農産物が低価格で停滞している現在と違い、ナシ農家としても絶頂期だったかもしれません。その様子を見ていた周辺のナシ産地でも市川に続けとばかりに新高の生産面積を拡大し、広く出回るようになりました。それとともに新高の評判は落ちる一方で、本来、大玉にするのが新高の作り方なのに市場から大玉はいらないといわれる始末です。

その原因には生産量が増大し需要と供給のバランスが崩れたこともあるでしょうが、完熟度合いの見立てを習得していない生産者が多いということもあるかもしれません。販売品種としては最後の品種で、早く収穫を終わらせたいと考えるのも無理はありません。しかし、商品ですから最後まできちんと面倒をみたいものです。

では、どういう状態が完熟なのか。わが家周辺での情報交換から得た結論は、実の形状にヒントがありそうです。

写真の左側の実が熟していて、右側の実はまだ未熟と思われます。その違いはナシの実の底の凹みの大きさです。左側の実の方が底の凹んだ部分の面積が大きくなっています。「外輪山」の部分がライトに照らされ光っていますので、その直径の違いがわかると思います。その部分に親指を這わすとちょうど入ってしまう感じです。右側の未熟果は尻の穴が閉じた状態といえばなるほどと思っていただけるでしょうか。

これらの実を横から見ると、未熟果は縦長なのに熟した実は横に偏平した感じです。新高は熟期の最後に横に膨張するようです。幸水もよく観察すると同じような傾向があるようです。細胞が膨張することにより果肉の密度が下がり、固かった肉質もサクサクした歯触りになります。果皮表面の照度も明るくなります。日焼けした実はどちらかといえば赤黒いのですが、完熟した実はオレンジ色に近くなります。横に膨張すると考えれば、尻の穴が大きくなることも納得できます。

大玉で甘味があって(幸水、豊水より糖度はあります)、サクサクした歯触りの新高は上品な独特な風味も出てくるようです。ナシの王様とよばれるのにふさわしいと思えてきます。

そういう新高が理想ですが、日焼けした新高は肉質には不満が残るものの、とにかく甘い!ちょっと歯ごたえがあって甘いナシが好きという方にはこれまた好評というのも困ったものです。

新高が始まります

2005年09月23日 | 今年の梨づくり
9月初めから続いた豊水の収穫が本日最終日となりました。明日から新高の収穫が始まります。

気温の高い日が続いているために成育も良く糖度も上がっているのですが、暑さに負けた焼け玉も多く見受けられます。

暑い気候は早生(幸水)、中生(豊水)は熟期を遅らせるのに、晩生品種(新高、新興)は早くさせるようです。ということは、収穫期が集中するということ。しかも今年は豊作傾向。収穫しても収穫しても翌日畑に行くと、熟れた実がもいでくれーと訴えてきます。うれしい悲鳴とはいえ、体力も限界です。

また台風です。今年3回目です。幸水、豊水、新高、それぞれの収穫期が始まるかという時に合わせたようにやってきます。過去2回は大した被害もなく無事に過ごしましたが、三度目の正直とならなければよいのですが。

今年も大きな稲穂ができました

2005年09月20日 | 今年の米づくり
今年の稲刈は9月14日から19日まで、午前中はナシの収穫、午後に稲刈というパターンで行いました。晴天が続いていたため心配していた地盤も問題なく、無事に終了できました。9月上旬に稲刈した田んぼの中には、地盤が柔らかくコンバインの通った跡が「昇竜」の姿に残っているところがあります。今年は後半に稲刈をした方が当たったようです。といっても、穂が色づいているのに待っていては刈り遅れてしまいます。

9月になっても暑い日が続き、穂が色づいているのに葉が色づかないものだから、刈り遅れ気味ということを聞きました。ナシも同じなんですが、いつ収穫するかが美味しさを決める大きな要素のようです。しかし、その見極めがなかなか難しく、単に経験だけでない技術の差なんでしょうねえ。わが家の稲刈りは果たして適期にできたのでしょうか。

さて、大きな苗育成、育苗中無農薬、2本移植、深水管理で3年目のコメづくりでした。まわりの農家から「大きな穂だねえ。これコシヒカリ?」なんて聞かれるほど、まわりからも注目されてきたようです。省力でありながらそこそこの収量、そのうえ上位(と思われる)食味。これ以上望むなら、有機栽培を目指すしかない?!

無除草剤3年目の田んぼは

2005年09月18日 | 今年の米づくり
有機肥料だけ、除草剤を使っていない3年目の田んぼの稲姿です。稲穂の下に雑草が繁茂しています。コナギなど穂と変わらない位置まで葉を伸ばしています。

この田んぼは昨年、一昨年と納得米プロジェクトで作付けていたところです。せっかく有機肥料、無除草剤で2年やってきたのだからと、3年目の今年、わが家で引き続き同様の管理をしてきました。

とはいえプロジェクトとは違い、手作業で除草するわけにはいきません。深水管理、米ぬか散布をした後、6月に2回、新型機械除草期の実演会の会場に提供して抑草を目論みました。それでも草を抑えることはできず、もう一度パワーカルチという除草機を歩かせもしました。1回目の実演会の除草機の条数が田植機の条数と合わず、苗を傷めてしまうというアクシデントにも見舞われました。場所によっては分けつが悪く雑草の姿が目立っていました。

こんな状態でしたから、趣味の稲作、わが家の自家用のコメをつくっているのだからと、減収の言い訳も用意していました。ところが玄米にしてみると、なんと!!収量は反当8俵以上の計算になりました。茎数が少なくとも穂が大きく、米粒も大きい?有機肥料、除草剤無使用の底力でしょうか。刈り取り前、来年は除草剤を使おうと考えていたのですが、もう一年挑戦してみようかと思い始めているところです。

ワラ焼きは必要なの?

2005年09月17日 | わが家の時時
稲刈が済んでから好天が続いているものですから、あちこちの田んぼから煙りが上がっています。

来年の作付けの際に邪魔にならないよう廃ワラを焼いているのですが、せっかくの有機物なのにと思ってしまいます。秋の早い時期に耕うんしておけば春までには分解して堆肥となるはずなんです。もし、分解しないようなら土中に分解する微生物が少ないのですから、そこから土づくりをしてはいかがと、ついお節介で助言したくなります。

こちらはこれから稲刈り。風の向きによっては、作業中、煙りに燻される身を考えて欲しいものです。

研修生、お疲れさま

2005年09月16日 | わが家の時時
8月22日から今日までの4週間弱の間、千葉県農業大学校の学生O君がわが家に研修生として泊まり込んでいました。今年の冬に続いての2回目の受け入れです。

ちょうどナシの出荷時期に当たり、毎日仕事に追われ、研修指導なんて余裕はどこかに吹き飛んでいました。TV、携帯ゲーム、コンビニの好きな現代っ子で非農家出身の彼がどこまでついて来れるか心配もありましたが、なんとかやり通しました。この経験はこれからの自信にしていいと思います。

しかし、彼が将来農業に就くかどうかはわかりません。農家で研修生を受け入れる役割には後継者育成、就農準備、職業体験を伴うニート対策などいろいろと想定されますが、研修生自身の将来を再考するきっかけにはなって欲しいものです。

稲刈り始まる

2005年09月14日 | 今年の米づくり
ナシの収穫、出荷の中でなんとか余裕を作り出して、本日、南風?!の吹く中、稲刈り初日を迎えました。今日の田んぼは心配していた田んぼのぬかるみもなく、快調に40a以上刈り取りました。

今年もまわりの農家から大きな穂だねえといってもらえました。果たして収量は?食味は?ぬかるみを心配していたほど遅くまで水を溜め、秋雨にも台風の風にも負けない茎太のイネで止め葉も最後まで働いていましたので、美味しいコメになっているはずですが。

これから数日、午前中はナシ、午後はコメの日々。ただでさえ人手不足の中、今度の連休、ナシをお求めに直接お見えになるお客様がたにはいろいろとご迷惑をおかけします。

本日の発送

2005年09月10日 | 今年の梨づくり
台風も無事通過し、豊水ナシの収穫、出荷の最盛期を迎えています。連日、蒸し暑い日が続いていて、実の熟し加減もいくらか遅れているようです(暑いと実の成育が進み熟期が遅れます。ナシは秋の果物ですから涼しさを感じて熟します)。この分でいくと、秋のお彼岸のころまで豊水ナシを収穫できそうです。ご注文をお待ちしています。

コメも、一時、登熟が進んだかに見えましたが、いくぶん遅れているようです。まだ葉の緑の色が濃いようなイネはもうすこし待った方がよいコメになるというような話がでています。地盤が軟らかいのでちょうどいいかもしれません。

本日は8月10日頃のナシ発送ご注文分を発送しました。発送予約分は数日のうちに発送できると思います。

台風14号の影響は

2005年09月07日 | 今年の梨づくり
台風14号が九州から日本海を抜けて北海道へ向かっています。夕方には茜空の中を黒い雲が北へ流れていました。午前中、ナシの収穫中でも目の前で風でポトンと実の落ちるのを見ました。午後はさらに風が強くなったので被害といえないまでもいくつもの実が落ちたでしょうねえ。

昨日、山形の知り合いの農家からリンゴが送られてきました。「収穫にはちょっと早いのだけれど、台風が来ているので」という断り書きが添えられていました。たしかに酸味の強いりんごでした。

今回の台風は91年の「りんご台風」と呼ばれた台風19号と進路が似ていて、北のりんご農家はもしかしたら徹夜で実をもいでいるかもしれません。コースが東にずれれば、明日はわが身。お見舞い申し上げるとともに、心中お察しします。

バケツ稲その後その2

2005年09月03日 | 今年の米づくり
前回のバケツ稲報告から40日。写真の右から1本の苗から、2本の苗から、3本の苗から、4本の苗からのもの。どのバケツも一株はさらに大きくなりました。どれも40本ぐらいの茎数になっています。穂の出ている数を数えれば差はあるのかもしれませんが、印象では苗1本も4本も変わらない姿です。これほど差がないとは予想していませんでした。

さて、水田では春の連休前に田植えをしたところから稲刈が始まっています。からっと晴れた夏の日が少なかったためか、土が乾いていないままコンバインを入れたところぬかるみにハマってしまい、仕方なく手刈りをしている光景もみました。
わが家の田んぼもまだ水の残っているところもあり、あと1週間か十日、その間に乾いてくれませんかねえ。・・・という甘い期待を、明日からの数日、秋雨前線と台風14号が打ち砕いてくれそうです。