のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

地中より空に水やるような夏

2010年08月30日 | 夏の梨畑
このところまったく雨がありません。
高い気温に加え、この乾燥状態が農作物に与えるダメージは
経験したことのないレベルで想像もできません。

潅水できるナシ畑ではもうひと月以上も散水を続けています。
50mmホースにスプリンクラーを設置し、
十日に一度くらいの割合で夕方から5,6時間散水しています。

散水していても地表面は乾燥しますし、地割れも見られます。
地中の塩分が出てくるのか、
地表が白くなっているところもみられます。
湿ったのちに乾燥するので
かえって地表が固められるような気もします。
それでも水をやれない畑のナシの木よりも
葉が生き生きしているようにみえます。

一度、散水をはじめるとそれを前提とした根の状態になり、
散水をやめられなくなるともいわれます。

どのように散水すれば効果があるのか、
やらないよりは効果があるだろうと
よくわからないまま試行錯誤が続きます。

遠雷がいやに遠くに響く日々

2010年08月26日 | 梨の出荷
“35度近くまで気温は上昇するでしょう。
山沿いの地域では雷雨にご注意ください”

ここ数日、毎日同じ気象情報が流れています。
今日も当地では雨が降りません。
西の方では今日も入道雲が発達しているようですが…


幸水の収穫も大詰めを迎えていますが、
受注量に収穫量が追いついていません。
幸水全体の収穫高も例年よりも少ないようです。

たいへん恐縮ですが、
遅い時期に幸水をご注文いただいたお客さまには
発送できない可能性が高まってきました。
こういうことは
これまで25年以上直売を続けていて初めての事態です。

もう少し様子を見たいと思いますが、
他の品種(豊水、秋麗等)に代えていただくか、
キャンセルとさせていただくか
ご連絡いたします。

同じ血を引く兄弟は似て非なり

2010年08月23日 | 梨の品種
最近育種された二種の青ナシです。
左が早生の「なつしずく」、右が中生の「秋麗 しゅうれい」です。

「秋麗」の果皮に赤いサビが出ていますが、二つはよく似ています。

それもそのはず、「なつしずく」は
「幸水」と「菊水」を掛け合わせた「平塚25号」と「筑水」の子。
「秋麗」は「幸水」と「筑水」の子。
兄弟とも従兄ともいえる仲。

肉質は柔らかくち密で果汁も多いという性格はそっくり。
特徴をそれぞれ一言でいえば、
「なつしずく」はモモのような風味があり、「秋麗」はたいへん糖度が高い。
二種とも人気の出そうな雰囲気はあります。

消費者の方は美味しければそれでいいのですが、
生産するとなると作りやすさとか熟期なども問題です。

「なつしずく」はまだよくわかりません。
苗木の段階では樹勢は良いようです。
「秋麗」は栽培して5年以上たちますが、
植え付けた畑がよくないのか、いまひとつ勢いがでません。
また、研究開発機関の資料では
「病害虫に対しては慣行防除で対応できる」とありますが、
特に黒星病に弱い気がします。

そのうえ、「なつしずく」は8月上旬、「秋麗」は9月上旬が収穫期といわれるのに、
なぜか今年はほぼ同時に熟期を迎えた実がでてきました。
「なつしずく」は苗木だからずれるのは仕方ないとして
「秋麗」がもう色づきはじめたような…
「幸水」が遅れているから「秋麗」も遅れるのかと思いきや、です。

これも今年の特異事例なのか、それとも実際の傾向なのか。
晩生の「王秋」も資料では10月下旬が収穫期となっていましたが、
実際につくってみると10月中旬ごろから収穫しても美味しいようです。

いずれにせよ、今年は受注に足りなそうな幸水の穴埋めに
「秋麗」を使わせてもらいますか。
「幸水」でご注文いただいていてお応えできるかわかりませんという
お客様の中でそれなら「秋麗」に変更してもいいよという方がいれば
ご連絡ください。
数量限定で検討させてください。

きみ抜けた穴に落ち入る虫の声

2010年08月21日 | 梨の出荷
日中はまだ猛暑が残っていますが、さすがに夜は涼しくなりました。
秋の虫がにぎやかになってきました。
ナシ畑に残ったセミの抜け穴も寂しく見えます。


幸水の収穫は盛りを迎えていますが、
大玉については本日発送できたのは7月18日ご注文分でした。

中玉の発送は進んでいますので、
大玉から中玉へご注文を変更していただければ
比較的早めに発送できます。

ご連絡をお待ちしています。

特異日の得意な今年のまだ異変

2010年08月20日 | 今年の米づくり
千葉県北西部でも早生種のコメの刈り取りが始まり、
今年のコメの作柄の様子が伝わってきました。

例年との大きな違いは籾の乾燥度が非常に低いということ。
例年ですと、刈り取り直後の水分量は27~28%程度。
それが今年は21%~22%。

これを15%前後に乾燥させ籾すりをするわけですから、
見方によっては燃料費がかからず、よかったとなるわけですが、
じゃあ、その田んぼと稲はどうだったかといえば、
葉は緑濃く、コンバインのクロ―ラも泥んこになって
後の掃除が大変というくらいの湿田状態。
この夏の猛暑ですからどの田んぼも直前まで水を張っていましたから
当然の話です。

田んぼに水があって、イネにも水分が十分あって、
それでいて籾の水分が少ないのはなぜか。

この猛暑の中、イネは自分の体を維持するのに精いっぱいで
籾の方まで水分なり養分が生き届いていないのではないか。
こんな解釈が大方の見方のようです。
玄米検査では暑さの影響を受けた白い玄米やカメムシの被害粒が
例年より多く見られたといいます。

カメムシは異常発生注意報が出されているくらいですから致し方ないとして、
今年は例年に見られないイチモンジセセリとかコブノメイガのような
害虫の被害も確認されているそうです。
これも気温が高いことによる影響だろうといわれています。


もうひとつ、特筆すべき異変は、
イネがまだ青い田んぼほど倒伏し始めているということ(写真)。

イネの倒伏は、普通、地形的立地条件で風や軟弱な地盤が原因となるものや
窒素肥料の過剰施肥、収穫直前の台風の影響などが考えられますが、
今年はこれらの要因とは関係なく、遅い時期に田植えをした田んぼほど
倒伏傾向がありそうとのこと。

これも6月以降の高温傾向でイネが急成長し、
茎が軟弱になっているからではないかと言われています。
わが家の田んぼも遅い田植えの例外ではなく、
周辺で一番青い葉色なのにもう傾き始めました。

倒伏していて、その上、今は猛暑で乾燥しているのに
稲刈りが始まるころには天気がぐずつき始めるようなら
もう、踏んだり蹴ったり。

酷暑でも一週遅れの秋の幸

2010年08月18日 | 梨の出荷
ようやく幸水の収穫も本格的になってきました。
たいへん恐縮ながら、大玉クラスは
本日、7月17日にいただいたご注文分を発送しました。

今年は7月以来の猛暑?酷暑?により糖度の高い果実になっていますが、
この間、まともな降水のなかったという極端な乾燥状態により
小ぶりのまま色づくものと
肥大しているものの熟期の遅れているものに二分される傾向があります。
そのためご注文の大玉クラスにつきましては
これから収穫、出荷が進みますのでご了承ください。


小玉、大玉に二分される要因としては
乾燥という特異な気象条件によって樹勢の違いから大小の差が大きくなることと
もうひとつ、
交配時の花粉量の差が表れているのではないかと考えています。

今年の交配時はたいへん厳しい状況にあり
豊水開花中の4月17日には降雪まで記録しました
それまでも寒い曇天が続いていましたので
いつもの梵天による人工交配では受粉が難しいと判断し、
花粉を直接吹き付ける交配器を試みています。
その効果が大玉になっているのではないかと思っています。

というのは、単純に樹勢の差だけで果実の大小が決まるなら
大玉がずらりとぶら下がっている木に小玉が見られることはないはずです。
これは授粉時の花粉量の違いでしょう。
なぜ同じように人工交配したのに小玉傾向の木があるのかといえば
樹勢であったり交配時のタイミングが合わなかったためと思われます。

今年の春は、全般としては花粉量が足りなかったと思われます。
それは例年より変形果が多いことからもわかります。
その中でいつものように大玉がこれから収穫できるというのは
交配時のひと手間の効果ではないかと単純に喜んでいます。

青々し幸水よりもなつしずく

2010年08月13日 | 梨の品種
新品種「なつしずく」です。
待ち切れずに3年目の苗木に5個だけならせてしましました。

家族で試食したところ、みなこぞっておいしいと。

              

肉質は白く(写真は白熱灯下のため黄色く見えます)、きめ細かく、
みずみずしく、甘みには少しモモのような風味も感じられます。
糖度を測ってみると13度、14度。
この値は今年の特異値として、幸水並の糖度は期待できそうです。

特筆は、この時期でこの肉質です。
まさに適期です。
まだ未熟な感じの残る幸水よりも1週間は早いでしょう。

当たり前のように8月上旬に市場に出荷される
ホルモン剤で成長を早められた幸水とかち合うことになりますが、
勝ち残る可能性はありそうな気がします。
これも有力品種として増やしていきたいものです。

すみません しつれいします ありがとう

2010年08月12日 | わが家の時時
対馬ツアー報告 第8弾

二日目の晩、舟志エコツアー研究会の皆さんとの交流会で
林業家のKさんと意気投合。
「鰐浦の天然記念物の『ひとつばたご』の苗木を育てているので持って帰れ」
「それではお返しに、千葉のナシを送りましょう」ということになり、
天然記念物の『ひとつばたごと』とはどんなもんじゃと思いまして、
3日目の早朝、対馬北端の集落、鰐浦へ抜け駆けしてきました。

8月6日のツアー報告第5弾でも紹介しましたが、
港に面して家財道具を納めるコヤ群が立ち並んでいる集落です。

手元に「芝浦工業大学建築工学科 畑研究室
住居・集落研究35年の記録」という冊子(2009年3月発行)があります。
知人からいただいておりました。
畑研究室では35年にわたり離島から東アジア、地中海沿岸の住居・集落を
フィールドワークしていまして、1989年に鰐浦を調査しています。

それによりますと、89年時点で74戸、244人の人口とか。
集落の当時の平面図をみても、
家の数などは20年後の現在とそれほどの変化はないようです。
家財道具や物品を収納するコヤが屋敷の外に集めて配置されるのは
東南アジアでよくみられる文化といいます。

一般的には、まとめてコヤを配置するようになったのは
火災から守るためと説明されているのですが、
この冊子には、それだけではないであろうと興味深い感想が記述されています。

つまり、季節の変わり目や来客があるたびに
家とコヤのあいだでモノを出し入れしなければならず、
その折に日常的に村の人の目にさらされることになって、
隠し事のない共同体としてのムラ生活が維持されるのではないかという仮説です。

なるほど、限られた環境・資源の中で生き抜くためには
そうでもして信頼関係を維持していたということかもしれません。
集まったコヤの意味について少し合点がいった気がしました。

             

             

集落内でこんな看板を見かけました。
20年前にも同じ看板はあったのでしょうか。

             

そして、これが「ひとつばたご」の苗木。
いくら落葉樹とはいえ、真夏の今の時期に移植ができるのか不安でしたが、
林業家のKさんが勧めるのですから大丈夫なんでしょう。
乾燥する場所が好きだが
根付くまではたっぷりと水をあげてというアドバイス。

本来、大陸系の樹木で、こんな形で異種が国内に分散するのはいかがか
という声もあろうかと思いますが、
対馬の思い出の木にしたいということでお目こぼしを。

すみません しつれいします ありがとう

変わり目はいつも後からわかるもの

2010年08月11日 | 夏の梨畑
ナシの収穫は先日から始めたのですが、
ふたまわりしたところでストップです。
昨日は収穫作業自体をお休みにしました。

連日の猛暑と乾燥によりたしかに糖度はあるのですが、
種子がまだ白いものもみられました。
多くの実はまだ青く、大きな実になっています。
盛りになるまでもう少しお待ちください。

台風4号が対馬付近を通過して日本海を北上しています。
7月の対馬滞在中は三日間とも穏やかな日でしたので、
台風がきたならあそこはどうなっているのだろうと考えながら
水田の畔草刈りをしていました。

週間予報ではまだ猛暑が続くようです。
でも、北へ流れる雲を眺めていましたら、
もしかしたらあんな猛暑は無いんじゃないか、
本当にもう秋になるんじゃないか、なんて思えてきました。
全くの個人的な勘ですが…

どこにでも嫌われ者は顔を出し

2010年08月10日 | 今年の米づくり
庭先のミニミニ田んぼの様子です。
ウキグサが繁茂し、コナギかオモダカの類か水田雑草まで葉を広げ、
すっかり田んぼらしい姿になりました。

土はその場にあったもので、
田んぼから移してきたものではありません。
ウキグサも水田雑草も種がそこにあったとは思えません。

何者かがどこからか持ってきたのでしょうが、
本物の田んぼまで100mくらいか。
カエルが背負ってきたのではないでしょう。
やはり鳥なんですかねえ。

さあ食いねぇアワビにサザエもう食えねぇ

2010年08月09日 | わが家の時時
対馬ツアー報告 第7弾

今回のツアーの本来の目的その2は舟志地区エコツアーのモニター。

舟志地区というのは対馬北端に近い漁山村で、
集落に同じ苗字が多いということもあってみんな名前で呼び合う仲。
もともと海の幸、山の幸の豊かなところに
ずいぶん前に廃校になった小学校の校舎があって
ある会社の社有林をヤマネコ保護のために自由につかってと提供されて、
昔のいたずら小僧たちがじっとしていられるはずがありません。

行政が廃校校舎を舟志の森自然学校という宿泊施設に整備し、
地区のリタイアした方々を中心にエコツアー研究会を結成。
彼らが企画した山を学ぶコースや海で遊ぶコースなどのプログラムを体験して
アンケートに答えます。

            

まずは山を学ぶコースから。

ここはある会社から提供された社有林のスギ・ヒノキを切り倒して
ヤマネコの餌となるネズミ等を増やすためにナラなどの落葉樹を植栽した
「舟志の森」。
スギの皮で屋根や壁をひいたヤマネコ山荘が奥に見えます。
かつて家から離れた山へ仕事に出かけたときの簡易宿泊小屋を
再現したそうです。

            

ここにもニホンミツバチの巣が…
このあたりはヤマネコの姿が確認されていて
その痕跡、つまりヤマネコの糞を探しながら林道を散策。

            

まわりの山林の多くはきちんと管理されていて
間伐した幹は皆同じ方向に並べられています。
大雨になったときに水で流されないようにという知恵といいます。
途中で、林業家の経営するシイタケ栽培地の見学と合わせて
林業経営の楽しさや苦労を直接話を伺いました。

「この木は親の親が植えてくれた木で樹齢80年。こちらはまだ40年」
ものごとを考える時間のスケールが違います。
いまは島外にいる後継者も帰って来てくれるのではないかと
期待しているとのこと。
そうでなくてはこれらの木々もご先祖様の思いも朽ちてしまいます。

            

里に降りたら炭焼き釜の見学。
窯の構造には大陸系の技術がはいっているとか。

            

続いて、海遊びコース。

深い入江の奥の漁港から漁船とボートに分乗して秘密?の磯へ。

            

道を通って行くなら地図があればなんとなく場所の位置が特定できるのですが、
いくら地図があっても海上からみているとどこの磯なのか、
目印になるような施設などは見あたりません。
見えるのは大海原と似たような岬と入江だけ。
小さいときから遊んでいる地元のみなさんは
ここがどこなのかはわかっているのでしょうが。

着いた磯に桟橋があるわけではありません。
岩の間にいかりを投げ込み、舟を固定。水の中に飛び込んで上陸です。

            

島の北東側にあたるこの磯には西側の浜でみたような
プラスチックゴミはありませんでした。
海中メガネで覗くと青い色した小魚が足元を泳いでいます。
研究会のメンバーの方が「ほら、あわび」って
ちょっと潜って取ってきてくれました。
ナイフで細かくして、海水で洗って
今さっきまで生きていたアワビをいただきました。

             

残念ながら潜水の心得がないものですから
真似してみようと思って上半身が水の中に入っても
足は空を切るようなもの。
2mぐらいの深さの海底にアワビの姿が見えたからといって
素人が簡単にとれるようなものではありませんが、
同行していた唯一の若者はセンスがあるようです。
次々に拾ってきて、対馬の漁師にならないかと誘われていました。

              

              

              

そして、夜はお決まりの交流会。
もうこれでもかというくらいのアワビにサザエにイノシシ肉。
もしかしたらアワビは一生分食べてしまったかも。

わがものにわがもの顔の侵略者

2010年08月08日 | わが家の時時
対馬ツアー報告第6弾。

一泊目は参加者が4,5人の班に分かれて民泊。
別の班が泊ったSさん宅は農地の最奥部、最後の人家。
有畜農業を実践しつつアスパラガス生産をメインとする専業農家ながら
農家民宿の先輩格。

ここから先は山林とその先に急な斜面があって海岸という立地で、
急斜面を下りたところにプライベートビーチ?を持っています。
船外機つきの漁船を操って海の幸を集めてきては
民宿のお客さんにサービスしています。
ツアー二日目午前中の磯遊びとバーベキューのお昼ご飯をいただきました。

舟に乗せてもらい沖から振り返ると雲と山林以外のものは見えません。

             

             

ところが、その磯浜は流木ならぬプラスチックゴミで埋まっていました。
打ち寄せられたものを拾ってみるとハングルや漢字の文字が…

             

             

浜を区切る突端までいってその先をみてもゴミがどこまでも続いています。
異国の見える丘展望台付近はきれいな海岸でしたが、
島の西海岸の多く、人気の少ない海岸までは
流れ着いたゴミには手がつけられないようです。

             

             

海岸にたどり着くまでの林道沿いには
なにか祠のようなものが並んでいました。
木製の蜂洞だそうで、いま対馬はニホンミツバチブーム。
山林なら所有者に断りなく蜂洞をおいてもよいとかで、
養蜂でも先輩格のSさんは花の数よりも
蜂の巣の方が多いのではないかとにがり顔。