のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

梨の実、いろいろありの実(のらやま通信260/1607)

2016年07月18日 | 梨の品種
梨の品種、世間一般に広まっている品種は「幸水」「豊水」「新高」「二十世紀」くらいでしょう。近頃は「あきづき」「かおり」も知られてきましたが片手で数えられる品種数しか見られません。梨は九州から北海道まで栽培されている果物です。国の研究所で品種改良されできた品種だけでなく、それぞれの地域のオリジナルの品種もあります。埼玉の「彩玉」、栃木の「にっこり」、鳥取の「新甘泉」は知名度もあることでしょう。千葉にも「わかひかり」といったオリジナル品種がありますが知名度はまだまだこれからです。
 そんな中、わが家で現在栽培されている品種は早い時期から順に「なつしずく」「幸水」「秋麗」「豊水」「あきづき」「新高」「新興」「王秋」「晩三吉」「新雪」とあります。さらには現在「香麗」「なつみず」「甘ひびき」「豊華」の4品種を育成中です。そんなこれから世に出てくるであろう育成4品種の紹介をします。

●香麗
神奈川県農業技術センターで育成された品種。収穫期は7月下旬~8月上旬で、「幸水」より2~3週間早い極早生品種である。大きさは400g程度となり極早生品種としては大玉になる。糖度は13%を越え、酸味はほとんどない。果肉は「豊水」並に柔らかい。

●なつみず
 こちらも神奈川県農業技術センターで育成された品種となる。収穫期は8月上旬で、「幸水」より10日程度早い生品種である。大きさは400~500g程度となり、香麗よりさらに大きくなる。糖度は13%を超え、わずかに酸味はあるが甘みと酸味のバランスがよく食味良好である。

●甘ひびき
 愛知県安城市の個人による育成品種となる。収穫期は8月上旬で、「幸水」より10日程度早い早生品種である。大きさは「幸水」より大きく600g程度で大きなものは1㎏を超えるという。糖度は13%を超え、酸味は「幸水」より弱く、ほとんど感じられないほどだという。

●豊華
 埼玉県菖蒲町の個人による育成品種となる。収穫期は9月下旬で「新高」とほぼ同時期である。大きさは「新高」と同じくらい、650g以上となる。糖度は14%を超え、とても甘く、肉質は柔らかく果汁が多い品種だという。

上記の4品種のうち、上3品種は「幸水」より早く収穫できる早生品種です。中でも「甘ひびき」に注目しています。他の品種は2本しか植えていませんが、「甘ひびき」は昨冬10本新植しました。「甘ひびき」は今や『マツコの知らない世界』で紹介されるなど、これからの梨業界を担う品種になると期待されています。これらが食べられるようになるには、まだまだ数年かかります。今から待ち遠しいです。
梨と言えば、昔は「長十郎」、今は「幸水」「豊水」が一般的ですが、10年後20年後には変わっているかもしれません。今ある主要品種である「幸水」は1959年に、「豊水」は1972年に、「新高」は1927年に品種登録された品種なのです。「幸水」が品種登録されてから半世紀以上、そろそろ新しい有望品種が出てきても良いかもしれません。
現在、わが家は日本梨だけでなく、他の果物も栽培し始めています。桃やスモモ、りんご、洋ナシ、サクランボ、キウイフルーツなど。キウイフルーツ以外はどれも数本しかなく、まだ趣味の園芸レベルですが、これからわが家に合った品目を見極め、梨だけでない大人も子供も果物を楽しめるフルーツパークを目指していきたいと思います。      (co-sk)


非凡に通じる洗練された平凡

2014年09月28日 | 梨の品種
わが家のナシの新顔です
「にっこり」といいます

栃木県で育成されました
種苗法で栽培地が制限されていた時期に圏外から市場出荷されて
賠償問題まで巻き起こしたお騒がせ品種

つまり、栃木県の税金を使って育成したナシで
栃木県の生産者より先に千葉県の生産者が儲けるのはけしからん
少なくとも栃木県内の生産態勢が整うまでは
県外で生産することは許さないというわけです

県外の生産者が手数料を支払うことで
ようやく栽培できるようになりホギを共同購入
三年目で4つほど収穫できました

絵にかいたような真ん丸なナシです
肉質はきめ細かくほんのり甘みがあります
「新高」に代わる品種として注目されたのですが
どうもインパクトが足りません

でも、その洗練された平凡さが積み重なることによって
非凡さが形作られるのかもしれません




甘い話は早い話やばい話

2014年08月14日 | 梨の品種
毎回、糖度計遊びの報告で恐縮です

「幸水」が盛りを迎えていますが
次の品種「秋麗」が色づき始めています
具合の悪い樹から色づきますから
まだ、本物の評価ではありません

しかしながら、それにしてもです。
今回、“20.6”というすごい数値が出てしまいました
複数回、計測しても20前後の数値が出ましたので
大きな間違いはないと思います

ここまで甘いと甘すぎます
一切れ食べるとお茶が飲みたくなります
もう一切れという気にもならないくらいです

甘い甘いという評価をいただくのはありがたく
来年へ向けての意欲もわいてくるのですが
収穫も前進気味で糖度も高いというのは
本当にこれでいいのかという疑念もわいてきます

今年など果実の肥大も悪くないし
病害虫の被害さえなければ収量もそこそこのような気がします
一方、具合の悪くなる樹が増えてきているのも確か
樹づくり、土づくりに問題があるのかもしれません

ここ十年ほど半発酵させた有機質を積極的に地中に投入してきました
その成果がようやく表れてきたともいえますし
地中50cmぐらいの穴を掘って投入したというその方法が
例えば土の病気を拡散させてしまっていないのか
などいろいろと考えてしまいます

こんな懸念が取り越し苦労であればいいのですが
とにかく、今年のナシはこれからの品種も甘そうです

なんだけど最後はあなたのベロメーター

2014年08月10日 | 梨の品種
台風11号が西日本を縦断していきました
各地に水害をもたらしています
身勝手なことで罰があたりそうですが
当地にはもう少し雨が欲しかった…
幸い当地ではお湿り程度の雨とすこし風が吹いたくらいで
助かりました

すこしの風でも落ちた実はあるわけで
そのひとつ、「秋麗」をかじってみると甘い!!
まだ青臭さが残り肉質も固いのですが
糖度は充分

計測器があるのだからということで計ってみると
14.8という数値
さすが「秋麗」です
今年も期待できます

あくまでもこの数値は参考値です
わが家のナシの糖度を保証するものではありませんので
悪しからず

色ものは待てば待つほど熟成し

2014年08月05日 | 梨の品種
幸水より一足早く収穫できるはずの「なつしずく」
確かに8月初めには色づきはじめ
そろそろかなって思っていると朝には落ちてしまったいたり
おいしいのがあったと思ったら
これはまだもう少しかなと思うものもあったり
幸水よりはっきりと早く収穫できるわけでもないなあ
なんて
わが家の栽培品種一覧に載せてお勧めしているわりには
弱気な評価でしたが
どうもというか、やはりというか
その性格をきちんと把握していなかったようです

「二十世紀」と同じ青梨というのは知っていました
だから追熟するんです
青みが残っているくらいなものを
落下する前に収穫し青みがなくなるまで追熟させると
ほらね、糖度も13.6度までなるんですよ
赤梨のように日を置いても肉質は悪くならないし
収穫直後の青臭さも消えます

何よりこの時期ですから
仏さまのお供えものにぴったり
来年からはこれをセールスポイントにしましょう

暑くても生らずばきるぞこうたろう

2013年10月02日 | 梨の品種
3年前、モモの苗木と共に自家用にリンゴの苗を買ってきました
モモは3年目でも見事に実を生らせてくれました
リンゴはそうはいきません

購入した苗は「こうたろう」と「シナノゴールド」の二本
どちらも酸味のある品種
最近、あの甘酸っぱい「紅玉」の姿が店頭で見えなくなって
そうなら自分で作るしかないというわけです
温暖化により長野県でもリンゴが作りづらくなっているといいます
千葉ではなおさらです

それでも今年、「こうたろう」が一個だけ生りました
よくぞ生ってくれました
ありがたくいただきました
リンゴの味がしました



こちらも初めてわが家で生ったナシの「にっこり」
栃木県で開発された品種
栃木県のみでしか栽培できない段階で
千葉の農家が販売してしまい問題となり
種苗法の存在を教えてくれた品種です

今年からようやく権利が消失し
大手を振って販売できるようになっています
晩生としてはきめ細かな肉質で
大きくなって形もいい
「新高」に代わる品種として注目されました

ただ、千葉で作ると甘みが足りないようで
やっぱり本家本元で作ってもらう方がよろしいようで

蝉しぐれ佳人を前に鳴きやみぬ

2013年08月15日 | 梨の品種

連日の猛暑にも体が慣れてきたのか
夜には涼しい風を感じられるようになりました
その一方で、毎日大量の飲料と試食するナシによって胃腸が疲れてきて
夏バテ気味
例年のこととはいえ、加齢による体力低下も一因
若い世代に期待したいものです

さて、幸水も終盤を迎え、次の品種、「秋麗 しゅうれい」も収穫始めました

この甘さはやはりみなさん、未体験のようで
初めて試食される方はびっくりされています
「息を飲む甘さ」とは言いすぎですが、新品種も定着しそうです
ありがたいことです

幸水のご注文に供給が不足気味なこともあり
「秋麗」の味をより多くの方にも知っていただけるよう
これからのナシ発送の際に無作為に「秋麗」の実を入れさせていただくかもしれません
富くじに当たるような感じで幸水と味比べをしていただければ幸いです


品種には品種それぞれ意地があり

2013年07月29日 | 梨の品種

本格的な幸水の出荷前に早生種のお披露目です
本日、道の駅直売所に出荷しました

ごく早生の「愛甘水」は愛知県の農家が交配育成した赤梨系品種
果肉は少々粗いものの糖度が高く、幸水よりも早く熟すのが最大の特徴
難点は果肉の変色が早いこと
それさえ目をつむってもらえれれば
本場愛知県ではハウス栽培で6月中に出荷しているとか
誰よりも早くナシを食べたい方にはお勧め

10年くらい前に苗木を購入し、試しに育成していたのですが
なんとなくよい印象が得られず興味を失せている間に
次々と樹の具合が悪くなり、最後の一本だけが残っています
大きくなって樹に力がついてきたのか、よい実も収穫できるようになり
最近、再評価しています


「なつしずく」はわが家期待の青梨系早生品種
外観のきれいな青梨で、肉質はち密でやわらか、糖度は12%程度
ほんのり風味のあるすがすがしげな甘さは猛暑を優しくしてくれるかも
旧盆のお供え用にも幸水と色違いでそろえたら祭壇もにぎやかになるのでは
そんな期待も膨らみます

幸水より1週間程度早く熟すということで導入したのですが
薬剤処理した促成幸水とほぼ同時期に重なって
生産者の間での評判はいまひとつ
上品な姿と食感を消費者の方々にどこまで受け入れてもらえるか
苗木が育って収量が増えてくるこれからが正念場です


幸水前に経済性のある早生種はあるのか
各地の試験場でも開発・育成中で、新しい品種がいくつも提案されています
直売を主体とする県内のナシ農家には
ナシ以外のブルーベリーやイチジク、プラム等を試みている農家もあります
わが家もナシの新品種や昨日のようなモモの可能性を模索していくことになりそうです


幸水の予約受け付けは終了しました

2013年07月28日 | 梨の品種

本年もたいへん多くのナシ発送のご注文をいただきありがとうございます

たいへん恐縮ですが
「幸水」の予約件数が想定件数を超えたため、予約の受付を終了しております
現在は幸水がなくなった場合に
次の品種の「秋麗」あるいは「豊水」に変更されるかもしれない
という条件付きでお受けすることになります

他の品種につきましてはまだ発送予約をお受けしております

幸水がないからというわけではないのですが
今年初めてモモを収穫しています
品種名は「つきあかり」といいます

モモというと「あかつき」に代表される大きな白い果肉のモモが思い浮かびますが
みずみずしく軟らかい果肉であるもののなんとなくぼんやりとした印象
子供の頃、庭先に一本のモモの木があって
虫食いだらけでしたが、しっかりした甘いモモにはなかなか出逢いません
ならば自分で作りしかないというわけで
ナシ畑の端に2本のモモの苗木を植えました

「つきあかり」の果肉は黄色で溶質、糖度は14%前後とカタログにはあります
果重は200g程度の小ぶりなモモですが
黄肉桃特有の香りが楽しめます
昔食べたのもこんな感じだったような

                 

苗木を植えたのは3年前
“モモクリ三年”とはよくいったもの
3年目にはわが家で食べきれないくらいの実をならせてくれました
「つきあかり」が品種登録されたのが平成22年ですから、その年に購入
どこよりも早く、というかまだ市場流通するまえの
生産者ならではのぜいたくな一品です

道の駅直売所を通じて皆さまにおすそわけと少量出荷したのですが
店頭に並ぶ前に売れ切れたようです
そんなに地場産モモがめずらしいならモモ農家にもなろうかしらん


ナシを愛する人に贈る甘露かな

2013年07月16日 | 梨の品種
ナシ直売のDMができるまえに早くも今年産のナシが収穫されました
極早生の「愛甘水 あいかんすい」です

早い時期に収穫できるというのが最大の特徴で
果肉が少し粗いものの今年は特に甘い
糖度13度にもなっていました

一本しかないのであちこち配って終りになってしまいます
早生といわれるもう一品種の
「なつしずく」がこのくらいの時期に収穫できるといいのですが

どや顔も小さく見える異次元キャラ

2012年08月21日 | 梨の品種
過去に糖度15.8という記録もありますが
これは採り忘れの過熟果

ところが今回計測した「秋麗」はちょうど食べごろ
それで糖度15越え
やはり「幸水」とは異次元の甘さです

幸水が後半に入ってきました
次の主力品種「豊水」に入る前にわが家は「秋麗」がそろそろ出番です

今年はカメムシ被害がなければ相当の収量があったのですが
どれだけ商品になれるか

近いうちに道の駅直売所に出荷しますが
確実に入手されたい場合にはご連絡ください

こうたろうシナノゴールドになつおとめつきあかりは桃で豊華は梨

2011年12月16日 | 梨の品種
伊那に出かけてきたもうひとつの用事は果樹の苗木の購入でした
プロ向けの苗木屋さんで
少量の場合は通販をしてもらえませんので直接受け取りにいきました

苗木のふるさとは写真のような木曽駒ケ岳のふもと
数日前には雪が降ったようです

タイトルのうち「こうたろう」「シナノゴールド」はリンゴ
「なつおとめ」「つきあかり」はモモ
「豊華」はナシ
収穫時期や交配の親和性を考慮してそれぞれ1本づつ
リンゴとモモの栽培はいわば素人
作りやすさも品種選びのポイントです

「シナノゴールド」は黄色種ながら酸味のある品種で
“甘酸適和の優良食味”という評価
「紅玉」好きには期待できそうです

「豊華」は“ゆたか”と読むのだそうです
「豊水」を「幸水」と聞き違えないために“ゆたか”と呼んでいるので
混乱しそうです
果重650g以上で果肉は軟らかく糖度は14%
熟期は9月下旬から10月上旬で「新高」とほぼ同時期
耐病性があって防除回数の大幅削減が期待されるという触れ込みです
リスクの大きな「新高」に代わる品種として試験的に育ててみます

十六夜の月や甘露の滴りぬ

2011年10月12日 | 梨の品種
10月のわが家のいち押しのナシ『王秋』です
まだ店頭でも馴染みがないので毎年PRしています

形状がラグビーボールのようで果皮の色もきれいとはいえませんが
果肉は晩生種としてはさくさくときめ細かく
甘味と酸味を持ち合わせた果汁はまさに『10月の豊水』
完熟すると洋ナシのような感触になって
一つの品種で二つの美味しさを楽しめるともいわれます

(慈梨×二十世紀)と新雪を掛け合わせてできた品種

形状と追熟したときの美味しさは中国ナシ「慈梨」の性質
果肉のきめ細かさと酸味は「二十世紀」ゆずり
晩生で保存がきくのは「新雪」ならでは
それぞれのご先祖の良いところ取りの品種です

ひと月以上も常温保存が可能で
お歳暮代わりにご利用いただいているお客さまもいらっしゃいます

綺羅星に高名あれど核はなし

2011年09月28日 | 梨の品種
いえ ブドウの話です
岡山の生産者からブドウが送られてきました 8種類も
わが家のナシと交換です
最近のブドウはほとんどが種なしで皮も薄いものが多いようです

箱の中には『ぶどう物語』というチラシが入っていました
ブドウ作りを始めた時は特産のピオーネに専念しようと思っていたのですが
多品種を作っている「お師匠」に出会ってから方向転換
その面白さにはまってからは歯止めがきかず
今では41品種にもなってしまったとか
50品種になったらそれ以上には増やさないと考えているそうですが
ご自分でも「今のところ……」と言い訳もついていました

わが家もそれぞれの時期にそれぞれの美味しさをと
ナシの栽培品種を増やしてきましたが
ブドウの品種の多さにはかないません
ブルーベリーも品種がたくさんあって
知人の生産者はもうパソコンで管理しないと分からなくなってしまう
と嘆いていました
それぞれの個性をみながら世話をするというのも
たいへんだけど楽しいという子育てに通じるものがあります

こんな話題を提供してくれる生産者の思いの詰まったチラシ
わが家の通信も好評です
この夏 東京のOKさんからこんな一言をいただきました

「のらやま通信」やご家族の日記は興味深く読ませていただいております
梨の味がグーンとアップします

こんな一言に支えられてこれからも発信していきます

生き残るための土俵に月のぼる

2011年09月12日 | 梨の品種
いまナシの盛りは「豊水」ですが
きょう「秋麗」の最終収穫と「あきづき」(写真)の試し採りをしました
「南水」も赤く色づき「かおり」も落下?!しはじめています

まさに百花繚乱 9月のナシの覇権争いも興味深いところです

「幸水」がナシの横綱なら「豊水」は“梨園のプリンス”か
「豊水」は才能は誰もが認め成績も横綱を凌ぐこともあるけれど
ときどきまさかの“星”を落としてしまうひ弱な大関といったところ
続く「新高」は巨漢を生かしてしばらく関脇の座を維持していましたが
未熟なうちに出荷するという“勇み足”が癖になっていて
小結から平幕に落ちそうな雰囲気

わが家で推している「秋麗」や「王秋」などはまだ十両レベルですが
「新高」を蹴落としてやろう
あわよくば「豊水」まで食ってやろうという勢いの平幕が「あきづき」
そろそろ小結に昇進しそうです

いまは「幸水」が長期に渡って横綱を張っていますから
ナシというと8月のイメージですが
「幸水」以前は「長十郎」と「二十世紀」の東西二横綱時代
運動会にナシを食べたという記憶を持っている中高年も多いのでは

本来 ナシといえば9月の果物でこの時期には
実はいろいろな品種が出ては消え出ては消えています
「豊水」や「あきづき」のようなナショナルブランドだけでなく
各県の試験場が育成している聞いたことのないような品種があります
そんな地域ブランドを見つけて味わってみるというのも
楽しみの一つかもしれません

ただ生産者としてはいろんな品種があるよって
見本園をつくっていてもお金にはなりにくいものです
美味しさだけでなく作り易さや労力配分に見合った
経済品種を選択しなければなりません

「秋麗」は高い糖度と「豊水」の酸味の苦手なお客様向けの
オプション品種という位置づけです
「王秋」は晩生種の保存性と良好な果肉が特徴です
「あきづき」はこれまで端境期にあたっていた秋のお彼岸向けのナシです
そして今後増産しようとしている品種が早生の「なつしずく」
「幸水」前のちょうどお盆需要に間に合うかという品種です

これでこれまでの「幸水」「豊水」「新高」の三大品種の時代を終息させ
新たな多品種のラインナップ体系が完成したかと思っていたのですが
先日 種苗会社からのカタログが届いてから心が騒いでいます

「幸水」よりも早生の品種でありながら高い糖度のナシや
「新高」と同時期で巨漢で果肉が軟らかく糖度も高いというナシが
新登場していました
これらはまだ幕下のレベルですが
将来の有望品種に先行投資するという楽しみもあるわけで
だからナシつくりはやめられない