のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

丸く大きな梨の実は虫も好き

2011年08月25日 | 梨の虫
「幸水」も後半に入り
シンクイムシ被害も少なくなってきましたが
被害果は丸く大きな実に多いような気がします

写真のようなクモ?の卵が産み付けられている実も
やはり丸く大きな実が多いような……

何を判別材料にしているのか
虫も美味しい実を知っているのかと不思議に思います

研修に来ているKM嬢が
だったらクモを大事にして丸く大きな実にみんな卵を産んでくれたなら
シンクイムシ被害も減るのではと教えてくれました

なるほど
クモの卵はナシの実のオシリの部分に産み付け
ネット状のもので卵を守っています
シンクイムシも多くはオシリの部分から芯の中に入っていきます
クモのネットがあったらシンクイムシも入れないだろうという仮説です

これも天敵と言えるのかどうか
居所の競合という点では“天敵”ということになるのかもしれません


見事な実がシンクイムシの被害にあっているのがくやしくて
毎食の食卓にも乗せるのですが
余りに甘いので糖度計ではかってみたら……

             

わが家の「幸水」の最高値かもしれません
糖度計を入れたのが2年前ですが

今年は梅雨時から乾燥気味でしたので
「幸水」はいつもより甘いという評判のようです

これはいいこれはわるいといえる秋

2011年08月24日 | 今年の米づくり
気温は30℃にもなろうとした一日ですが
風にはさわやかさが加味されてきたようで
朝にはうろこ雲?も浮かんでいたような

そんな初秋
全国の?米農家は新米の放射性物質検査の結果を
固唾を飲んで見守っています

千葉県でも早場米地帯から順次検査していまして
柏市産のコメからはどこの地点からも放射性セシウムは「検出されず」
22日 “出荷・販売できる”と公表されました


わが家のコメについても収穫後検査しなければなりませんが
ひとまずはほっとしています


その一方で
市内で有機農業を志向する知人から芳しくない話を聞きました

有機農家のほとんどは宅配等の直売をしてきたのですが
例の事故以降 顧客離れが著しく存続できるか心配しているといいます

彼によると有機農産物を求めるお客さんは環境問題に関心が高く
当然放射能汚染に対しては拒否反応を示しているのだそうです

農産品ごとに“検出せず”の検査結果を提示しても納得してもらえず
これからの作付けも稲わらや米ぬか もみ殻などの
身近な有機物が使えない状況では有機を実現することは難しく
一部では落ち葉堆肥を関西方面から
“輸入”しようかという話まででているようです


この話を聞いて同情するとともに
“今日の有機農業”の置かれている状況の脆弱さも
また感じざるをえませんでした

物質循環と命の連鎖による営みの中で暮らすことは
人間本来のあるべき姿と思いますし
わが家も有機農業を目指したいと考えていますが
“今日の有機農業”は消費者と生産者が
有機的な信頼関係で結ばれているのではなかったのかと……

やはり
少数しかいないことの価値を共有することで結ばれるのでなく
有機農業がメジャーになっている社会を目指さねばならないでしょう

もしそういう社会になっていたら
今回の事故はどう受け止められたのかとふと思ってしまいます


雨の秋したるし汗が眼に染みる

2011年08月20日 | 今年の米づくり
前日に今期最高気温を記録したかというのに
秋雨前線南下で雨とともに気温も急降下

7月下旬も台風襲来の後に8月上旬まで戻り梅雨の様相で
ナシの生育にひやひやしたものですが
今度の雨で田んぼの稲が心配に

今年はどうしたわけか稲の背丈がいつもより伸びて
腰が弱くなっているところに大きな雨粒です
あちらこちらでお辞儀をしている田んぼが見られます

わが家の稲も御覧のような具合
ここは右側に台地斜面林をかかえ
風が不規則にあたるためか毎年のように倒伏してしまうのですが
今年もやっぱり……

これ以上深くお辞儀をしなくてもいいのですが
刈り入れまでまだひと月近くあります
願いはかなわないでしょうねえ

これがいいこれがわるいと言えぬ夏

2011年08月16日 | 農のあれこれ
写真は数日前に収穫した「なつしずく」
ちょうどお盆に間に合いました

ナシなら「なつしずく」の風味がいい とか
「幸水」の肉質とさっぱりした甘味がいい とか
どれもそれぞれよいところがあって
「これがよくてこれがだめ」と言えないのですが……

例の事故関連のニュースでは何もかもがだめで
それで「これがよくてこれがだめ」と言えないものばかりです



実は数日前からどのように発信したらよいのか迷っていました

すでにネット上では大きな話題となっているようですが
放射能防御プロジェクトという市民グループが公表した
『首都圏150ヶ所の放射能土壌調査』の結果です

記者会見の模様はこちらでも見られます

おそらくマスメディアでは
今夜のCS放送ではじめて取り上げられたのではないかと思われます

プロジェクトの目的にある
「正確な情報を共有し、放射能から未来を守るために」
というメッセージにも押されてわが家からも発信します


この調査は会員の市民が分析費用を自己負担して
自宅周辺土壌の放射能汚染度合いを調べた結果を
チェルノブイリ原発事故の区域分けで評価したものです

中には「強制避難 立ち入り禁止」の強制避難区域に次ぐ
義務的移住区域である「一時移住区域」レベルの数値の出た場所もあって
とてもショッキングです
今夜のCSでもあえて地図形式の結果は放映しなかったように思います

市民グループによれば
隣接した地点でも数値が大きく異なるところもあって
この調査結果によってどこが安全でどこが危険だとはいえない とのこと
行政による広域網羅的な調査の喚起が目的といいます


当然 わが家の近くはどうかと思います

残念ながら7,8km離れた地点ですが
第4区分の「放射線管理区域」に相当する数値でした


最終的な商品である農産物の汚染度を調べればよいという声もありますが
その場で生活する人の健康 特に子供たちのことを考えれば
空気中の汚染度だけでなく土壌の汚染度も
正確に把握して行動しなければなりません

放射能防御プロジェクトのサイトのトップページに例記されている
「ガンになる確立が少し上がるくらいでしょ。大げさに騒ぐのは逆に良くない」
とか
「福島県は大変そうだけど、ここは離れているから平気」
とか
「国が定めた基準値があるから食べ物は安心じゃないの」
とか
「よくわからないけどそのうちなんとかなるよ」
とか
「放射能は怖いけどどうしていいかわからないし、自分の生活だってある。
あまり気にしてもしょうがない」
という声はわが家も含めて周辺に暮らす大多数の声かと思います
それに対して市民グループは“ほんとうに大丈夫???”と問題提起しています

長期の宿題となりそうです

幸水の収穫が遅れています

2011年08月15日 | 梨の出荷
8月15日現在
7月21日~23日にいただいたご注文分を発送しています
ご希望に十分お応えできないことをお詫び申し上げます

特に大玉指定のご注文の発送が滞っています

「お盆になれば」とお応えしてきたのですが
「20日になれば」と修正中です

ナシは本来 秋の果物です
気温が暑いうちは果実を成長させ
涼しさを感じ初めてようやく熟させてきます

最近 朝夕はいくぶん涼しさを感じてきましたので
もう時間の問題と思われます

事情をご理解いただけますようお願い申し上げます

あぁ失敗は虫からみれば蜜の味

2011年08月14日 | 梨の虫
幸水の収穫がようやく本格的になってきましたが
一部の畑で虫の害が出てしまいました

シンクイムシです

たしかに減農薬で殺虫剤を通常よりも減らしています
ここ数年は同じ散布体系で大きな問題にはならなかったのですが
幸水のこの時期にこれだけの被害果がでるのは初めてです

シンクイムシの成長サイクルがどうだったか不明ですが
どこかで虫の発生と農薬散布のタイミングがずれたのでしょう

6月下旬から7月上旬にかけての梅雨明け前の高温期だったかもしれません
例年ならこの時期は虫よりも病菌対策の散布体系です
今年もそこまで考えが及ばず例年通りの農薬で済ませてしまいました

今年はいろいろなことがあってようやく収穫までたどり着いたのに
これです
でもちょうどあのころ例の事故対応で頭がいっぱいだったかも
だとすると この虫害もあの事故のせいだあ

人知れずわんさかわんさか夏の恋

2011年08月13日 | ネイチャースケッチ
今年は今頃になってカブトムシの登場です
しかもなぜか一本のクヌギにだけ数十匹のカブトムシが群がっています

あっ 写真はヤラセではありません
ヤラセをしようにも相手は虫ですからできやしません

クワガタムシは姿を見せません
この夏はいろいろな異変が話題になります

例の事故の影響だからと収めたくはないのですが

来年は繰り返せない強仕事

2011年08月11日 | 梨の土づくり
8月3日から新規就農希望の研修生がお手伝いに来てくれています

まだナシの収穫が本格的でないので
遅れに遅れていた元肥用のぼかし肥の切り返しと袋詰めをお願いしました

まだ温度が高く発酵中のものですが
ナシの収穫がはじまるとこっちをかまっている余裕はありません
見切っての袋詰めです
真夏日のうえに50℃ちかいぼかしを扱います
熱中症にならなくてほんとによかった

今年は200袋以上のぼかし肥ができました

             


でもこんな重労働も来年はできないかもしれません
というのは例の放射能汚染です

コメにも汚染が進んでいるのではと心配されていますが
稲に吸収された放射性物質の多くはもみ殻と糠にとどまって
白米で消費すれば問題にならない汚染度合いになるという話もあります
それはそれでいいのですが
問題はもみ殻や糠を身近な有機質として利用する堆肥づくりです

ぬかは昨年産米のものをできるだけ確保していますが
もみ殻は分析試験をしないと使えないでしょうねえ

そこここに儲け話は転がらぬ

2011年08月10日 | 農のあれこれ
いま農業関係の明るい話というと
本業の食糧生産や栽培技術や農業機械の話題ではなく
いわゆるアグリビジネスとよばれるような
たとえば市民農園とか農産物加工とか農家レストランとか

実は柏市でも農家にいろいろと仕掛けていまして
これからがどこまで農家を本気にさせられるかの正念場

山梨県清里周辺でも
土産物屋やカフェやペンションといったこれまでの観光資源でない
農村資源を活用した新しい試みが取組まれていました

             まずは“萌木の村”に隣接した好立地なところに
市が提供したという加工施設群

タイトル写真の草原を見降ろす高台に端正な平屋の建物が4棟並んでいます

             

ミルクプラントとジャム加工所と“だいずや”それにレストラン棟

ミルクプラントは牛乳を材料に
アイスクリームやチーズなどの乳製品を加工販売しています
ジャム加工所は近在でとれる果物をジャム加工し広く販売
カフェも併設されています
“だいずや”は契約栽培した大豆を原料にして
豆腐や納豆やオカラドーナツなど考え付くだけと思えるほどの
加工品を製造販売しています

             

施設は市が用意してくれたものの
それぞれは独立した事業体として経営されていて
たとえばジャム加工所はペンションでジャムを提供していた方で
評判のよかった方が経営しているとか

とかく大きな施設と大きな経営体になりがちなアグリビジネスですが
互いに競争させそれぞれの責任を明確にした賢い運営のように思えました


             

次は“おいしい学校”という名の農村レストラン

イタリアンレストランとパン工房と学校給食も食べられる和食コーナー
日帰り入浴もできるハーブ湯を併設した宿泊施設が
閉校した学校の跡地に作られています

なかでもイタリアンレストランの評判は高いようで
夏休みとはいえ平日でも順番待ちをしていました
パスタをいただいたのですがたしかに美味しい
本物は味だけでなくサービスもそれらしいもの
周りの景観とのミスマッチが魅力なのかもしれません

スタッフに伺ったところによると
開店当初は都内より有名シェフを呼んで来て指導を受けていたそうですが
今は自前のスタッフで回転させているとか

田舎だから田舎風がいいとばかりではないようです


             

最後は旧高根町のクラインガルテンあつみ園

中心施設は定休日で詳しい話は聞けなかったのですが
貸し農園で農作業をされている方をみつけて声をかけてみました

2区画100平米を借りていて横浜から通ってきているそうで
この市民農園の魅力は周辺に観光スポットがあって
農作業だけを目的にしなくてもよいこととか
八ヶ岳に登ってきた帰りに貸し農園に寄っていく知人もいるといいます

なあるほどねえ
そこここにビジネスチャンスが転がっているわけじゃないんですよねえ

清々し夏の夜の夢踊る里

2011年08月09日 | 散歩漫歩
ナシの収穫が始まる前にほんのちょっと時間がありそう
ということで前日午後3時ごろに出かけて
翌一日 山梨県清里周辺で遊んできました

清里というとバブル期には
ショートケーキハウス?と呼ばれるようなお店が並び
若い男女が集うまちでしたが
それ以前の学校の研修施設だけしかなかった頃から知っていたものですから
ここ20年くらいはすっかり足が遠のいていました

久しぶりに出向いてみると
駅前周辺にはまだバブル期の名残といえる建物も残っているものの
道路も広がりずいぶんと雰囲気もまた変わったようです
この時期
夜になると細身のスタイルのよい老若男女が集まってくる一角がある
というのでわれわれも覗いてみました

野外の舞台で本物のバレーを演じていました
もう22年も続いていて
都内周辺からもバレー愛好者が夏の恒例行事として通っているようです
宿でご一緒した老婦人は
3連泊してすべての演目を見るのだと
そして
もう一泊してはじめの演目をもう一回見ようかしらと話していました

               

翌日の朝はこんな感じ

               

屋外のステージです
標高1800mの高原の夜は上着がないと涼しいくらいで
自然の風が吹くとステージ背景の木々も揺れています
見上げれば月が光っています
こんな清々しい舞台をみたのは初めてです

当夜はラッキーでした
でも もし雨が降ったら……
それが雷雨だったら……
予約をいれてから心配になってしまいました

この企画のサイトをみると
実際に演目の降雨中止に際してちょっとしたトラブルもあったようです
企画側には通常の公演ではない心配事もあって
それを20年以上も続けてきているところにも
夜毎人を寄せ付け
ついつい応援したくなる魅力があるのだろうと思いました

百姓はコメをつくらず土つくる

2011年08月07日 | 農のあれこれ
7月から9月までの毎週日曜日朝 NHKラジオ第二放送で
農と自然の研究所で活躍されていた宇根豊さんが
講師として出演しています

以前から番組のことを聞いていたのですが
今朝初めて番組を聞くことができました

今朝の回は百姓仕事と農業技術は違うということがテーマで
機械を使ってどうしても技術論に陥ってしまうわが姿勢を指摘されたようで
ちょっと耳の痛い内容でした

テキストにも話される内容がほぼ同じ内容で記されていますが
朝に肉声を聞くのと
夜 寝ぼけ眼でテキストを読むのとでは体にしみる量が違います
声の持つ力を感じました

始まる時間が6時45分という中途半端な時間が玉にきずですが
涼しさの残るすがすがしい夏の朝のひと時
心洗われる話に耳を傾けるのもいかがでしょうか

一難去ってまた一難は常なれど

2011年08月05日 | 今年の米づくり
ナシへの放射能の影響が最小限だったことが確かめられて
ほっとしているところでしたが
今度はイネへの影響が心配されています

主食のコメだけに影響の大きさによっては
広範囲な社会問題に発展する可能性があります

コメづくりのネット仲間から
コメの放射性物質調査に関する説明会 会議資料の
サイトが紹介されてきました
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/kaigi_siryo/110803.html
今年はコメについてもうひとつ大きな課題があります
コメののカドミウム含量の規格基準が変わって
これまで1.0ppm未満だったものが
これからは0.4ppm以下に基準値が引き下げらています
食品衛生法に基づく食品添加物の規格基準が改正され
2月28日より適用されています

基準値を超えると食品として販売できず
廃棄等の処分が義務付けられています

カドミウム吸収抑制にはちょうど今頃の出穂期の前後を湛水管理するのが
効果的と指導されています
自然由来のカドミウムとはいえこれまた困ったものです

どちらも結果が出るまでまた不安な日々が続きそうです

いつまでもあさっては晴れの戻り梅雨

2011年08月03日 | 夏の梨畑
7月20日に台風に襲われていて以来
すっかり太平洋高気圧がいじけてしまったようで
もう10日以上 戻り梅雨のようなお天気が続いています

梅雨にはしっかり雨が降り
梅雨が明けたら夏の陽が燦々と降り注いで美味しいナシになる
それがナシ屋にとっての理想的なお天気の推移ですが
今年は困ったなあ…

と思っていたのですが
早い品種を試食してみると例年以上に甘い

ジベレリンという薬剤を処理をして
早めに収穫される幸水の出荷のために行われた
出荷組合の目合わせ会(査定会)での試食でも合格点でした
7月20日までのお天気の蓄えがあったためでしょうか

とはいえ
一日でも早く夏の日差しが戻ってきてほしいものです


写真はたった一本だけの極早生種の「愛甘水」
あちこちの挨拶まわり用に使われておしまいになってしまいます