のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

クロタラリアという緑肥

2005年04月30日 | わが家の時時
化学肥料、化学農薬の限界に直面して、最近は緑肥を活用して土作りする農家も増えてきました。わが家でも以前からナシ畑にライ麦や、転作水田にソルガムというイネ科の緑肥を使ってきました。
昨年秋に、ナシの剪定枝処理用に20年来耕作放棄されてきた畑をお借りしました。夏の間は空きますのでその間に土作りをしようと、クロタラリアというマメ科の緑肥をはじめて播いてみました。
初期生育が旺盛で、空中窒素を固定するために地力増進効果が高いといいます。2ヶ月ぐらいで草丈が1.5~2mになり多量の有機質を供給し、直根性の根が硬盤を破砕。さらに、サツマイモネコブ線虫に特異な密度抑制効果があると、カタログは謳っています。来年には美味しいサツマイモができるかも。

多目的防災網を広げると

2005年04月27日 | 今年の梨づくり
ナシ畑に多目的防災網を張り出して20年余りたちます。平米当たりの単価が100円前後もするものです。10年程度、耐用年数があればと期待しているのですが、だいたいどこの畑もこれまで2回かけ直しをしています。その間には網もいろいろな試行錯誤がありました。
初代の網の色はブルーでした。劣化耐性を重視した製品でしたが、網を透過する光の減少が大きくなるためナシの生育に影響がでるという指摘があり、二代目は白色の網になりました。しかし原料に不純物を含まないために、紫外線による劣化に弱くなりました。そこで最近は両方の中間の性格ということで、水色の網が出てきました。はたしてこの製品がどれほどの耐性があるか、結果は少なくとも5年後です。
網の色以外にも、網の織り方にもいくつかのパターンがあります。基本的には横方向が2本のナイロン糸になって9mm角に編んであります。網を強化するために横方向の糸を3本にしたり、9mm角の中に2本の糸をクロスして編みこんでカメムシの侵入を防ぐよう目を細かくしたものもあります。ただ、糸を2本から3本にしただけで重量が重くなったり、まとめたときにかさ張ったり、目が細かくなると風をうけやすくなったりと、それぞれ弱点もあります。もちろん価格も上がります。
まだ新製品が出てくるかもしれませんが、現段階では、どっちみち消耗品だから色は白色で廉価な基本形でいいかなと考えています。

激しい雷雨にヒヤヒヤ

2005年04月26日 | 今年の梨づくり
ナシ畑を上からみると白い花が少なくなり、緑色の葉が多くなりました。
今日の午後には激しい雷雨がありました。この時期、強い日射と寒気が同居することが多く、雷雨に伴い雹が降ってくる可能性が高くなります。これまでも何回か、痛い経験をしているものですから、ナシの交配も終わるとすぐに多目的防災網をかけることにしています。今日現在、まだ一部の畑しか広げていなかったものですから、ヒヤヒヤしていました。

苗のプールに水を入れました

2005年04月25日 | 今年の米づくり
籾を播いてから10日目の昨日。苗が3cm程度まで伸びてきました。苗箱を広げたシートに枠をつけ、水を張ってプールにしました。苗箱を並べる前に苗床を均平にしたつもりでしたが、やはり水を張るとあちこちに凸凹が。
ところで苗は3列に並べていたのですが、1列の苗だけなぜか伸びが悪い。どうも乾燥による障害がでたようです。播種機も籾も同じ条件でした。違いは苗箱の上に敷いた保温シート。障害の出た列は新品でした。新品シートは光の透過率がよく、内部が高温になって乾燥してしまったようです。なかなか微妙なものです。

アブラムシも出てきました

2005年04月24日 | 今年の梨づくり
草中のテントウムシの幼虫は住処を奪われてどうなるか。見上げるとあちらこちらに黒いアブラムシが見られます。花の下の葉も丸まってしまいました。ナシの木によじ登ればエサにありつけるでしょう。しかし、交配が終わると農薬を散布します。今回はアブラムシの特効薬でも含まれます。エサはなくなるし、テントウムシ自体も殺虫剤で死んでしまうかもしれません。
天敵がいるのだから害虫は天敵に任せようという考え方があります。わが家のナシづくりでは、ハダニについては殺ダニ剤(殺虫剤とは違います)を散布せず、ハダニの天敵(これもハダニの一種)によってほぼ防除できています。テントウムシの幼虫がアブラムシをどんどん食べている様子も数多く観察しています。しかし、テントウムシ他の天敵だけでアブラムシを制御できた経験はまだありません。
天敵防除というのは化学農薬による防除とは異なり、エサとなる害虫が存在しないと天敵も存在しえないことから、ある程度の被害を許容しなければなりません。それ以上の被害が広まらなければいいのですが、アブラムシの場合はその繁殖力が天敵の繁殖力を上回るというのがこれまでの印象です。天敵の力を借りながら、重要なポイントでは化学農薬を使用して確実に防除するという考え方で、これまで化学農薬の使用を削減してきました。殺虫剤の散布間隔は以前と比べたら3倍以上にしています。その間に天敵が活躍することを期待しています。
もちろん、幼葉が出てくるこの時期の害虫はアブラムシだけでないということもご理解ください。

ライ麦畑の住民

2005年04月23日 | 今年の梨づくり
ライ麦を刈取ったあとをよく見ると、なにかグロテスクな黒い虫があちこちに見られます。テントウムシの幼虫です。テントウムシは害虫アブラムシの天敵ですが、まだあまりアブラムシが出ていないこの時期に、もうこんなにテントウムシがいるとは驚きです。ライ麦が居心地のいい環境をつくっていたのでしょうか。

ライ麦刈取り

2005年04月23日 | 今年の梨づくり
ライ麦はモアという機械で刈取ります。腰の高さにまで伸びたライ麦も一瞬のうちに砕かれ、一帯が青臭い草息に包まれます。
畑の土の表面を被うことをマルチといいます。有機質マルチは土の乾燥を防ぎ、光を遮断するけれど通気性がよく、土中の微生物や根の働きには良い環境をつくります。ナシの場合、春に土中の病菌が雨などにより飛び散り、エキ病という枝が枯れる病気があるのですが、それを防ぐことも期待されます。

一花交配

2005年04月20日 | 今年の梨づくり
人工交配はこんな感じです。ナシの花芽からは8つの花がでてきます。たとえば1mの枝があって10cm間隔に花芽があるとすると80個の花が咲きます。しかし、収穫するまで育てるのは3個くらい。77個の花は必要ありません。
虫や風で自然に交配すると多くの花に実がついてしまい、養分がロスしてしまいます。精農家の中には一つの畑には一つの品種のみ植え付け、開花時には防災網を張ってしまう方もします。虫が勝手に交配しないようにして、花芽の中の一つの花だけを人工交配していくのです。一花交配といい、確実に花粉を着けていくことによってその後の果実の生育が目に見えて抜群です。
しかし、交配は気温が20℃くらいまで上昇した穏やかな気象が適しているといわれます。時間にすると10時から15時くらいが勝負です。年によっては開花期の天候に恵まれない時もあります。人工交配だけに頼るのは少し不安が残ります。その上、一花交配は人手が必要です。着果してから実を選る(摘果)時にパートさんに入ってもらうより、交配の時期にパートさんに入ってもらう方が効率的という声も聞かれます。
わが家では天候に賭ける度胸もないし、なかなかそこまで条件を整えられません。できるだけ花芽の数を減らし、交配は虫にも風にもお手伝いしていただきます。その上で一花交配して、摘果作業をできるだけ効率的にしようとしています。

ライ麦も腰までもう少し

2005年04月20日 | 今年の梨づくり
ナシ畑では交配中(写真は昨日)。足下では緑色を濃くしたライ麦が絡み付きます。膝を超え、腰の高さになろうとしています。茎を割ると、中に幼穂の姿が見えています。出穂は来週あたりでしょうか。その時期にライ麦を刈ります。ライ麦の邪魔ももう少しですが、そのころには交配ではなく、摘果作業に移っているかもしれません。

花粉を取り出す5

2005年04月18日 | 今年の梨づくり
開葯器ででてきたものからアセトンという溶液を使ってゴミを取り除きます。すると、ほんの一握りの花粉が取り出せます。
花粉は生きています。高温、高湿状態に長時間置いておくと死んでしまいますので、乾燥剤といっしょに冷蔵庫等で保存します。実際に交配するときには、「石松子せきしょうし」という増量剤を使います。赤い細かい粉末で、着色料としての効果もあるようです。保存していた花粉は寒天の上に播き、発芽?している割合によって増量率を決めるのがきちんとした使い方ですが、わが家はそのまま適当に増量してしまいます。
わが家では自家製の花粉だけを使用していますが、最近は中国から輸入した花粉を使う農家も多くなりました。こんなところでも国際化が進んでいます。