のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

観音は近づきやすし除夜詣(じょやもうで)(高浜虚子)

2007年12月31日 | 近隣スケッチ
近在では唯一、鐘のある柳戸の観音様、弘誓院。すぐ近くにありながら、ほんとうに久しぶりに除夜の鐘をついてきました。

23時45分に突き始まってから出かけても、人出は例年よりも少ないとかでカウントダウン直後には順番が回ってきました。係りの人が数珠で鐘の数を数えていましたが、何番目かは聞けませんでした。

社会的にはあまりよいことがなかった2007年を鐘の響きとともに打ち砕き、わが家としても明るい話題の多い2008年にしたいと願いました。

静かな大晦日です。

虔(つつ)ましう年の新戸(にいと)をひらくおと今きかむとす鐘なりやみて(九条武子)

客とめん山をはなるるしぐれ雲(杉風)

2007年12月30日 | 雲図鑑
午前中、もち米を蒸す湯気もあって汗がでるほどでしたが、お昼ごろ一転にわかにかき曇り強い風と雨が。少しして黒い雲が行きすぎ青い空が覗いてきました。気温は5℃以上下がったようです。

西から今期最強の寒気が押し寄せていて、そのさきがけの寒冷前線だったのでしょう。劇的な天候の変化でした。

師走晦日は餅つきをしています。毎年、子供たちやそのいとこたちが手伝ってくれていたのですが、今年は次女だけ。

このくれもまたくり返し同じ事(杉風)

されど

君は君我は我なり年の暮れ(高浜虚子)



いえいえ

年は唯黙々として行くのみぞ(高浜虚子)

ということで

抱きしめて逢ふ夜は雪のつもりけり(泉鏡花)

2007年12月29日 | 冬の梨畑
今宵、雪は降ってません。雨が降っています。写真では、カビが籾殻を抱きしめています。

ナシの株元に置いていた籾殻が白いカビに包まれていました。どういう類のカビかはわかりません。籾殻が分解する過程で菌類が活躍してくれることは歓迎ですが、はたしてナシにとってどうなのか。少し疑問に思っています。

籾殻は身近な有機質ですが、分解しにくい性格があって生のままでは使いにくい傾向があります。ですから昔から堆肥の原料や炭にして利用されることが多かったのだと思います。

知人のところから大量に籾殻が入ることがあり、ナシ畑の地表を覆う資材として使うなら大きな問題はないだろう。株元の抑草効果があるだろうと考えていました。

しかし、この白い菌類がナシの根幹部の胴枯れやモンパ病菌と同類のものであるなら、良かれと思ってしてきたことが逆に病菌を繁殖させてしまっていることになります。実はそうではないかと思われる事例が観察されていまして、はてさてと考えているところです。

梨あるが故に客が来鶲(ひたき)も来

2007年12月27日 | 冬の梨畑
元句 梅あるが故に客が来鶲(ひたき)も来(高浜虚子)

わが家の息子殿のレポートによると、ドイツでは気温が零下二桁の日もあるらしい。

このあたりでは朝には大霜でも、西風が吹かず日が出てくればぽかぽかしてきて、畑でも上着がいらないと思えるときも。そういえば昨日はちょっと吹いていましたが、今年は西風が吹かないですねえ。

取り置いていた冬の梨(新雪)が痛んでしまったので、畑に放り投げて置いたら鳥たちが目ざとくみつけて数日で軸だけになってしまいました。

黙然と灸の煙追う冬篭り

2007年12月26日 | わが家の時時
セリエAのサーカーチームだったか、日本人鍼灸師の専属トレーナーがいて成果を上げているという新聞記事がありました。

学生時代の後輩が市内で鍼灸マッサージ治療院をしているものですから、数年前から節目節目で利用しています。

今回は、剪定作業が始まる前に体のゆがみをリセットしておくつもりででかけました。これまでは肩こり対策がメインで、鍼、マッサージの施術が中心でした。

「この夏からは腰や脚の疲労にも悩まされている」と訴えると、「それだけ体全体にこりやはりが蓄積されてきたのでしょう」というつれない回答。「運動選手のようにトレーナーがいて、毎日、体をリセットできるわけではないのですから、せめてストレッチ体操でもしてくださいといったのに、やっていないでしょう」とも。

それでも「寒さに当たっても体がこわばるのので、冷え対策のお灸をするのもいいですよ」という助言で、最近、自分で灸をすえはじめました。うーん、熱い、痛い、気持ちいい…これって…

鍼にしても灸にしても、その痛みを感じながら体の反応や気持ちよさを探る小さな旅。劇的改善は期待できませんが、少なくとも体もリセットして新年を迎えたいものです。

手で顔を撫づれば鼻の冷たさよ(高浜虚子)

2007年12月25日 | 今年の納得米づくり
寒い一日でした。

自分の食べる米は納得する方法で作った米を食べたいという消費者といっしょに取り組んでいる「納得米プロジェクト」。まだ体制が固まっていないのですが、6年目の挑戦が始まりました。

20cm以上にも伸びたひこばえの藁分解を早めるために、ハンマーモアで砕き、それからロータリーで耕します。

ここ数年、大規模稲作農家では鋤で表土を大きく反転させるようになりました。ひこばえや雑草を埋め込むほかに、土の乾燥も期待できるようです。作業性だけでなく収量もよいのでしょう。

でも水田の中で鋤を引くには50馬力以上の大型のトラクタ-でなくては。わが家の装備では無理です。機械化がほぼ行き着いている感がある稲作。昨今の鋤ブームは機械屋さんの陰謀か、はたまた、米農家の飽くなき向上心か。

暮れていく道の底びえ目あぐれば月はみ空にあかるみゐたり(木下利玄)

2007年12月24日 | ネイチャースケッチ
世の中、クリスマスやら三連休やら年末やらとなにかと騒がしいのですが、剪定のはじまったナシ農家にとっては雨や雪が降れば休み。さもなくば西風が吹こうと根雪があろうとも畑が待っています。

こんなときはラジオ番組が通常と同じように進行していることが比較的心の平穏を導いてくれるものです。ありがたいことにいつもスペシャルとか特別番組が並んでいるTVと異なり、最近はラジオが特別の日だからとあまりはしゃがなくなっているように思います。

今夕、5時近くなってもそれほど暗くならないので、東の空を望むと大きなお月様が…、冬至を過ぎたからもう日が伸びたのかと勘違いするほど。

氷雨すれば涙ながしぬやせやせてさめはだなせる冬木立ども(田波御白)

2007年12月23日 | 冬の梨畑
この冬の「もずのはやにえ」、ミミズをよく見かけます。

例年ですとミミズのほかにカメムシやらカエルやらいろいろな虫が引っかかっているのですが、ミミズばかりです。その数もここ1,2年よりも多いようです。

寒い冬になって獲物が少なくなることを見越して用意したのか、それとも秋が暖かくミミズがいつまでも活動していて獲物にし易かったのか。

ミイラ化したミミズは青空よりも氷雨が似つかわしい?午前中、久しぶりに本格的な降雨。緑肥として播種したライ麦にはちょうどよいお湿りのようで。

餅白くみどり児の唾泡細か(中村草田男)

2007年12月22日 | わが家の時時
我孫子市の一角で農地、林地をまちの方たちといっしょに作ろうという「手賀沼トラスト」の年末恒例の餅つき。小雨降る中、大勢のみなさんが集まりました。

その場で食べるだけでなく伸し餅にしたり、今年収穫した古代米や黒豆をいれた餅も搗いてみました。これで年内の行事は終わり。さて、来年は…

会が正式に発足して10年目を迎えます。活動の充実はしつつも大きな展開は見出せないまま、取り巻く環境は厳しくなっています。周辺農地の担い手の高齢化はいよいよ待ったなしの状態になり、それとともに開発圧力もふたたび盛り返してきた感じです。

単純にむかしのままがいいというのではなく、秩序ある土地の有効利用をしたい。そのためにはわれわれも汗を流そうという志しの集まりです。うまくコーディネートすれば、この微力を活かすことができると思うのですが。

寒玉子割れば双子の目出度さよ(高浜虚子)

2007年12月20日 | 冬の梨畑
今日は一日、トラックの運転席だったような。午前中は野田までくず大豆を引き取りに行き、午後は友人が仲介してくれた卵殻を運んでいました。

昨年も(といっても今年の一月でしたが。2005年はこちら)同じ生産組合から分けてもらいました。今年は大豆の作付け面積も増え、天候にも恵まれ収量は増えたといいますが、くず大豆自体の量は例年の半分。約10kg袋で130袋を確保しました。

米、麦、大豆を輪作する生産組合。有機栽培の可能性を伺いましたが、借地ということもあって雑草の種を残すことができず難しいという話でした。暗に「机上の空論」と笑われたのかもしれません。実際に栽培する方にしてみればそれが現実でしょう。

卵殻はマヨネーズ工場かどこかからの廃棄物のようです。フレコンバッグに1t入っています。ほとんど袋代+輸送料ぐらいの価格で手に入れることができました。こんな条件でまた出るとは限りません。4袋確保しました。

大豆は窒素分、卵殻はカルシウム分の肥料になります。しかも産業廃棄物の一種で費用も低く抑えられます。原資ですからその後の手当てが面倒ですが、安く手に入るものを集め回らねば。そうそう、「安心して使えるもの」ということも付け加えなければなりません。

最近は面倒とかそんなことは言っていられない状況になってきました。原油価格高騰のあおりで燃料や資材費が上昇。ここ数年頼りにしてきた魚粉も中国の買占めで品薄、高騰。バイオエタノール原料のトウモロコシの栽培面積が増えたこともあって化学肥料の価格も上昇しているそうです(日経新聞)。

農業もグローバル経済の歯車のひとつと実感する冬です。これからはより身近な「おから」の活用も考えていかないと。

傷(て)を負いてたもとに逃る兎かな

2007年12月18日 | わが家の時時
ナシ畑で作業している時でした。パン、パーンと3,4度銃声が鳴り、同時に複数の犬の吠える声。また近くでやったなと思っていると、野ウサギがこちらの方へ駆けてきます。え?!ウサギを狙ったのか?

野ウサギはいかにも動転している様子。いつもなら一直線に飛んでいくのに、おろおろしながら足元をかすめ走り去りました。ちょっとして二匹のビーグル犬が匂いを嗅ぎ分け嗅ぎ分け追ってきました。が、少し先で匂いが消えてしまったようです。あっち行ったりこっちに来たりしながら盛んに吠えまくっていました。どうにか逃げ抜けたか。

そのうち銃を肩にかけたKYがやってきました。「どうもすみませんね。えへへ」犬が畑の中を走り回っていることへのいいわけだったのでしょう。とんだ挨拶です。

「こんなところで撃ってはだめじゃないか。空に向けて撃ったんじゃないだろ」「ウサギを狙ったんだから畑に向けて撃つしかないよね」とっさに次の言葉が浮かびませんでした。

もう一人KYが後から歩いて来ました。「空へ向けて撃つ以外、禁止されているじゃないのか。畑には人がいるんだぞ」「 …… 」

後ろ姿を見て初めてウサギをぶら下げ持っていることに気がつきました。逃げてきたウサギとはつがいだったのか。野うさぎは「すぎの梨園」のイメージキャラクターです。ナシ畑でころころした糞をしていたであろうウサギが、この日、少なくとも一匹いなくなりました。

連日、銃の規制についてマスコミが取り上げている最中です。こういうKYたちが銃を所持、使用していると思うと、ほんとうに怖くなります。禁猟区域の設定も見直さねばなりません。

冬がれや田舎娘のうつくしき(正岡子規)

2007年12月16日 | アグリママ
去年も同じような写真を撮ったなと思い出しました。そこに目がいくというのは、こういう光景には母や祖母の手仕事の温かみが感じられるからでしょうか。

先日の干しダイコンを試しに直売所に出したところ、大口の予約注文が入りました。

いまどき自宅で沢庵大根を漬ける世帯もあるのだと感心しかけたのですが、いやいや待てよ。すぐに食卓に並べられるように大根だって白菜だって切ってからパックされる漬物が求められるようです。きっと食堂とかの業者さんではないだろうか…。

実際は自宅で沢庵大根を漬けているお客さんかもしれません。しかし、太巻き寿司が一本のままで売られていたものが、いつの間にか一口大にプレカットされている時代です。はたしてそれでいいのかなあと思いながらも、農家も食品加工に仕事の活路をみいだそうとしています。

かくして台所から包丁とまな板の姿が見えなくなる日も近い?

火龍あり 流星群あり 冬の天

2007年12月15日 | ネイチャースケッチ
今夜あたりまでふたご座流星群の観測適期だそうです。

小学校高学年から中学校の頃、一時期、天文少年でした。簡単な天体望遠鏡をたしか祖父に買ってもらって、冬の夜、月や土星に向けて覗いていました。祖父も望遠鏡を覗いてみたかったようです。

約76年周期で地球に接近するというハレー彗星が接近した1986年、もう一度、わが家で天文ブームが起こりました。

明治42年(1909年)生まれの祖父の自慢はハレー彗星を2回見たということでした。1986年の前は1910年ですから、祖父は1歳。当然、記憶にはないのですが、当時は大変な騒ぎになったという話を聞かされていたようです。77歳まで長生きをしたいものだということだったと思います。ロマンチシストであった祖父は85歳まで長生きしました。

ハレー彗星の次回接近は2061年とか。とてもそれまで長生きできません。祖父にはかないません。せめて夜空を見上げて、流星を探しましょうか。


いかがして八十のおやの目の前にいきてかひある月をみせまし(藤原為家)

うつくしき妻あり我に光よき鍬あり我に楽し人の世(佐佐木信綱)

2007年12月13日 | わが家の時時
定年前のその先生は古典の授業を受けもっていました。ときどき万葉集の中から引用して授業にめりはりをつけていました。戦地に徴用されたとき、万葉集の文庫を肌身離さず携帯し極限状態をしのいできたそうです。そういう話を生徒たちはいつも上の空で聞いていたものです。

高校の授業の内容は覚えていないのですが、ぼろぼろになった万葉集のことはなぜか心に引っかかっています。


この秋、NHKBSのプログラムで女子卓球選手が奥州・日光街道を歩き通しました。芭蕉の「奥の細道」にちなみ、毎日、句をつくっていました。

どこかの街で、俳句会の主宰者にどうしたら良い句ができるかと尋ねると、その方は良い句を鑑賞すること。歳時記のようなものが手元にあるといいですねと答えていました。


というわけで、自分へのご褒美に短歌・俳句表現辞典シリーズ全6冊(大岡信監修、B6判512~632頁、遊子館)を買ってしまいました。

このシリーズはもともと『日本うたことば表現辞典』全9巻だったものを「よりハンディー」に再編集したもので、万葉から現代の短歌、俳句、狂歌、川柳をテーマ別、歳時記分類した実作者・研究者のための表現鑑賞辞典にしているといいます。

いつか体が動かなくなったときでも、これらを眺めては旅の空の下で遊んでいたいものです。

栗の樹のこずゑに栗のなるごとき寂しき恋を我等遂げぬる(若山牧水)

2007年12月12日 | わが家の時時
ようやくナシの落葉処理を終え、緑肥のライ麦の播種も終わりました。さあ、あとは剪定です。これから約3ヶ月間、飽きることはないのですが、早い春に追われるのでしょうねえ。

さて、今日は栗の苗木です。写真は接木された部分です。果樹組合が仲介して果樹苗を共同購入しているのですが、ナシだけでなく栗や梅、イチジクなども扱っています。ナシの苗は先日、長野で購入しましたので、今回は栗の苗です。

つくばの果樹研究所で開発された最新品種「ぽろたん」です。日本栗の大きさでありながら渋皮が中国甘栗のようにぽろっと剥け、もしかしたら栗業界の風雲児?くらいの評価の高いものです。

「ぽろたん」の苗木が出回ったのは今秋から。まだ高価ですし、数にも制限がありまして、ナシをお求めにいらしたお客様が栗拾いができるよう、2本の苗木は庭先に植えました。モモクリ3年とかいわれます。ほんとうにぽろっと剥けるのか確かめるのはいましばらくお待ちください。