のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

静かなむらに従業員3800人のショッピングセンターがやってきた(のらやま通信261/1608)

2016年08月18日 | 散歩漫歩
どちらから?と問われたら「柏です。柏でも家の周りが田んぼと畑の田舎です」と答えます。田舎は田舎なりにこの10年ずいぶん変わりました。振り返ると道の駅しょうなん農産物直売所ができたこと(2001年)と40万都市柏市の農家になったこと(2005年吸収合併)はわが家の農業経営のターニングポイントでした。
 それまでもわが家の梨の販売については、お客様の紹介や送り先様がお客様になって下さるなどの形で直売シフトしていましたが、農産物直売所は自分の出したものがお客様に認められれば商品たりうるわけです。ばあちゃんが趣味で作っていた切花が墓参り需要に合致して売れる!自家用につくっていたインゲン、ミョウガ、切り干し大根がお金に換わる!わが家だけでなく仲間たちも創意工夫をし、ズッキーニ、花オクラ、ロマネスコなど面白野菜をつくってきました。
5年遅れて柏市内にもうひとつの農産物直売所「かしわで」がオープンしました。ふたつの直売所オープンから15年がたち、農家開設の直売所からインショップの地元野菜コーナーまで林立し、専業農家も直売にシフトせざるをえない時代になりました。
 地域の中で直売所の存在が当たり前となった今、直売所も環境の変化の対応に追われています。ひとつは大型化。来年度、我孫子市の農産物直売所「あびこん」が手賀沼湖畔の県の環境学習施設を改修して新たな直売所となります。もうひとつは、飲食サービスの提供。「あびこん」は移転に際してカフェを併設するそうです。先月「かしわで」にも農家レストラン「さんち家」がオープンしました。地元野菜をふんだんに使って農家のおかあさんが出汁から自前で作るビュッフェスタイルのレストランで評判は上々のようです。
40年間、柏の象徴であった百貨店そごう柏店がこの9月閉店となります。一方で郊外型の大型ショッピングセンターが次々とオープンしています。モラージュ柏、イオンモール柏、ららぽーと柏の葉、流山おおたかの森S・C、…。さらに 今年の4月には近くの国道16号線沿いにセブンパークアリオ柏がオープンしました。13万平方メートルの敷地にヨーカドーを中心にテナントが200店舗!従業員3800人!駐車場4000台!公園も併設しています。映画館、ボーリング場、カラオケ…、物販と飲食とレジャーとなんでもあって1日家族連れで過ごせるところ。4月25日のグランドオープンの日には開店前に3000人が並んだそうです。開業10日間で100万人突破。これはセブン&アイグループ史上最速の記録だということです。
道の駅しょうなん農産物直売所はどうするか?道の駅しょうなんは、2015年に国土交通省より地域活性化の拠点を形成する重点「道の駅」の候補となりました。地域活性化の拠点となる優れた企画の具体化に向け、地域での意欲的な取り組みが期待できるものとされます。
柏市の計画では『都市部と農村部を繋ぐエントランスパークとして整備し、地域の自然・人・農業にふれあい、学び、交流する拠点』と謳っています。直売所リニューアルのほかレストラン、体験農園、多目的広場、インフォメーションセンター等々、平成31年オープンを目標に検討が進められています。
市街化調製区域という都市計画決定、米の減反政策、ライフスタイルの変化による子供たちの流出などの要因がたまたま重なり50年ほど静かであったわがむらにも大きな波がやってきています。街のすぐ隣で、自然の風、鳥の声、虫の声、田畑を見やれば季節の移りかわりを五感で感じることができるということに価値があるなら、それを誰がどうやって作っていくのか。農業で生きていかねばならないとしたらどう農業で生き残っていけるか。街の人たちや外から人々を招き、その交流によって地域を活性化したいというのであれば、なによりそこに暮らすわれわれが生き生きと農的生活を楽しんでいなければなりません。そのうちに住みたいという人がきてくれるなら、こんなにありがたいことはありません。      (BY SACHI)


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