のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

社会共通資産としての農地を引き継ぐために (2/3)(のらやま通信257/1604)

2016年04月28日 | 農のあれこれ

数年『農教室』を受講すると毎年同じような作業をすることになるので、何か新しいことに取り組みたいという会員もでてきます。そんな中から、自分の食べる米を自分が納得する方法で作ってみたいという声が出てきました。近接地で新たな水田を用意できるほど地元でまだ認められていませんでしたので、わが家の田んぼでやってみますかということに。でも、わが家も経済活動として米作りをしているので、その田んぼでできた米は全量買い取ってもらいますよとお願いしました。それがわが家の「納得米プロジェクト」、消費者自身が農作業をする米のオーナー制度です。食べる米を自給するというのですから、当然、農業機械利用が前提となる規模の水田です。トラクターも田植えきもコンバインも消費者自ら操作してもらいます。それがこのプロジェクトの魅力のひとつでもあったようです。
初年度は5人が20aの田んぼで、その後メンバーが増えて10人で50aの田んぼで米作りをしたこともありました。10aあたり8俵の米が収穫できると、一人当たり4俵。4人家族なら平均的な米の年間消費量1俵に相当します。家族の食べる米を消費者自身によって自給できることになります。初めの5,6年は除草剤を使わない米作りを目指してぬか除草や機械除草などいろいろと試みたのですが、雑草を抑えられず手取り作業が年毎に負担になり、途中から除草剤を使用することに。わが家の『納得米プロジェクト』は13年続きました。わが家からすれば50a分がオーナー制として常に売り先が決まっていたのはありがたいことですし、人手を要する苗作りなどでは一緒に作業をしてもらい、たいへん助けられました。
『手賀沼トラスト』が活動を始めて10年が過ぎるころから周辺の農家の理解も得られ、いろいろと声をかけてもらえるようになりました。また、樹林地の地主であるHさんが亡くなり、H家の畑50a、水田20aも管理しなければなりませんでした。しかし、任意団体のままでは農地を正規に借用できませんし、組織としてこれだけの面積を管理する組織力もありませんでした。そこでわが家の『納得米プロジェクト』のメンバーを中心にH家から作業受託する任意団体をつくり、観光サツマイモ農園の運営と米作りを始めました。『手賀沼トラスト』としては法的問題を解決するため2011年7月にNPO法人化し、農業機械操作のできる会員も増えきました。2014年からは手賀沼に面した遊休農地10aにヒマワリ、ナノハナの景観作物を栽培して、我孫子市の補助金対象事業に取り組んでいます。今年は新たに手賀沼に面した20aほどの遊休農地で景観作物を栽培し、来年からは80aの水田で周辺住民を巻き込んだ米作りもはじめる計画を立てています。街の人たちを巻き込んだ任意団体を立ち上げてから17年、ようやく農地保全の担い手として周りから期待されるところまできました。

一方、都市近郊でありながら純農村風景のままのわが家周辺でも耕作放棄地が目に付くようになりました。基盤整備された水田はまだ規模拡大をめざす稲作農家に利用集積されていくのですが、畑はなかなか新しい担い手は見つかりません。野菜専業農家であっても労力面から規模拡大には限度がありますし、そもそも市場出荷から直売にシフトした生産者は規模拡大にはあまり興味を示しません。そんなときに障がい者を雇用する企業の方と知り合いました。農家の労力不足に障がい者が役立てられないかということでした。労力不足で悩んでいた露地野菜をつくる農家に相談したら試してみたいということで、一年、様子をみました。結果は、補助的労力にはなりえても一緒に行動する人材が必要で、単純には労力の補強にはならないとのこと。障がい者がかかわるなら別の業態を探さねばなりません。




(農業を営む傍らここ20年ぐらいの間に取り組んできたことをまとめる機会があり、それを3回に分けて紹介しています。     by mi)
(2016年4月)

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