のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

春風や牛に引かれて善光寺(一茶)

2008年12月31日 | わが家の時時
一足早く牛の登場です。

5月の鯉のぼりと同じ作者の作品です。

「牛歩のごとく、来年もすぎのファームが
しっかりと確実に前進していきますように」
という言葉といっしょにいただきました。

多くの方々に支えられて一年を過ごすことができました。
次の年もまた有意義な時間をご一緒したいと思います。
ありがとうございました。

わが山の草木あひ照りかがやけり父とこしへにここにこもれる(古泉千樫)

2008年12月30日 | 柏レイソル
あれよあれよという間に「元日は国立」です。

サッカー天皇杯決勝に柏レイソルが進出です。
サッカー界の夢がレイソルの現実になりました。
ファンとしても最高のお年玉です。

石崎マジックというのでしょうか。
監督の采配がぴたっと当って連戦逆転、逆転。
今期限りでレイソルを去る監督の恩に報いたいという
選手たちの気持ちだけで勝ち抜いてきました。
戦前の下馬評では最後のほうで「レイソルもがんばってね」
ぐらいの扱いしかされていなかったし、
今期の成績からも天皇杯にはそれほど期待していなかったのですが、
一発勝負の“あや”というのでしょうか。

幸いにもというか、失礼ながら決勝相手のガンバは満身創痍です。
もしかしたら優勝?そうしたらアジアチャンピオンリーグ。
その先はクラブワールドカップですよ。
来年の初夢には持って来いのシナリオです。

99年のナビスコカップ優勝の際には国立競技場にいました。
明後日も国立競技場にいます。
自由席ですけど。

師走菜を召にや山を出る仏(乙二)

2008年12月28日 | アグリママ
野菜農家にとっては年末の書き入れ時。
道の駅直売所もたいへんな賑わいだったようです。

わが家も祖父母が野菜畑を守っていて
ネギやらハクサイやらコマツナやらホウレンソウやら
そうそうヤツガシラもズイキも漬物も出荷。
今日は最後に残っていたナシ「新雪」も出荷して
午後から追加した分もほとんど完売。
ありがたいことです。

先日まで
「コマツナみたいなものは
家庭菜園でも簡単にできるから売れないよ」なんて
話していたことがうそのようです。

その家庭菜園、
世の中不景気になってさらに需要が高まりそうですが、
いや、そうでもないよという声も聞かれます。
公設の市民農園の区画が余っている状態といいます。

さらに先日、興味深いも話も。

農家のメール仲間が
三代続く大きな野菜苗作り農家の話を紹介していました。
その農家曰く
「家庭菜園のブームは5年かけてここまで広がってきたけど、
あと5年してしぼんでいくはずです。
家庭菜園をやってみたけど、
ろくなものが出来なかったと離れていくでしょう」

ホームセンターの園芸部門の仕入れ担当は、
よそより早くという都合だけで注文をしてくるそうです。
だからまだ寒い時期に店頭に苗が並ぶことになり、
よくわからないお客様がそれを購入して失敗する。
設備投資して規模拡大してきて
利益があがって儲かるようになっているけど、
でも彼らを相手にすることに疲れてきた。
仕事がおもしろくない。
少しずつ規模を縮小している、ということでした。

薄々感じていたことでもあるのですが、
なるほど、そういう現実もあるのだと知りました。

農家側にも家庭菜園ブームに反感を持つ方がいます。
農業をバカにするなと。

とはいえ家庭菜園はライフスタイルのひとつとして
あるべき姿のように思えます。
農地の有効利用のためにも。
ただブームに乗るのでなく、お互いが歩み寄って
もう一度仕切り直しする必要があるようです。

哲学も科学も寒き嚔(くさめ)哉(寺田寅彦)

2008年12月27日 | 農のあれこれ
日本の食卓、危険水位『突破』

写真のポスターには次のようなことも書いてあります。

●食糧自給率40%(先進国中、最低レベル)
●日本の農家、1950年 約618万戸→2005年 約285万戸 ほぼ半減
●農業従事者 2007年 312万人 昭和35年の約1/4
●就業人口(農業)2008年 298万人 → 日本全体の2.34%
 そのうち70歳以上が46.8% 60歳~70歳が22.5%
●耕作放棄地 39万ha ほぼ埼玉県の面積と同じ

でもこのポスター、誰からのメッセージか
主の名前がどこにもありません。

実はこのポスターは市川市の一農家が自費で作成し、
共感してくれるところに貼ってもらおうと配ったものです。
つまり
ポスターを貼った人がこのポスターの発信者になってほしい
というねらいだそうです。

重ね重ね殊勝な心がけです。
哲学も科学も寒い世の中でその心意気がどこまで伝わるか。
でも、動き出さないとなにも変わりません。
日本の農業、日本の食卓もCHANGE!

冬の夜のふくるがままに冴えてゆくひかりに弱き生物は死ぬ(武山英子)

2008年12月25日 | ネイチャースケッチ
冬至も過ぎ、年越しまで一週間を切りました。
6時ころ起きだして東の空をみると
朝やけの中に細い月が…

暦をみると月の出4時54分、日の出6時49分。
月齢27.8、このころの月を「有明月」というのだそうです。

タイトルで詠われている「ひかりに弱き生物」ってなんでしょう。
心の中のイジケ虫だろうかと思えてくるような
静かな凛とした朝でした。

おらが世やそこらの草も餅になる(一茶)

2008年12月23日 | アグリママ
このひと月あまり
道の駅しょうなん農産物直売所に「草だんご」を
毎朝、出荷してきましたが、
ひとまず本日で年内は終了させていただきました。
ご愛顧、ありがとうございました。
明年は正月明けよりまた再開いたしますので、
よろしくお願いいたします。

直売所開店と同時に「草だんご」に挑戦。
当初は夕方になると固くなってしまうというような
お叱りをいただいたり、
お代をいただくには忍びない出来で家族のご飯代りになったり
といろいろと試行錯誤してきました。
ようやくここ一、二年はポイントをつかみ
毎回、納得していただける品質で
提供できるようになれたように思います。

写真のようなパック詰めにして毎日36パック以上を出荷。
今年は途中からパック閉じをそれまでのテープ留めから
超音波ホッチキスという機械で閉じるように変え、
食べやすいよう竹串に換えて袋詰めの割りばしをつけました。
これからもより満足いただけるよう
できるところからバージョンアップしていきます。
ご意見等をお寄せいただければ幸いです。

だんごづくりは夫婦で毎朝二時間程度でできるのですが、
実はその下準備がたいへん。
わがやのだんごは上新粉でなくご飯粒から直接つくります。
そのために前の晩に一度蒸かし上げておきます。
あんこも黄粉に添える糖蜜も手作り。

あんこづくりでは一度火にかけた鍋を前にして居眠り。
気がついた時には鍋底は丸焦げ状態。
このひと月の儲けは鍋代で消えてしまうかもしれません。

われ冬を貧乏神と籠りけり(巌谷小波)

2008年12月20日 | 冬の梨畑
ようやくナシ畑も冬支度を済ませました。

株元や園周囲の草を刈り払って掻きだし、
あるいはブロアで吹き出して、
落ち葉といっしょにモアという草刈り機で粉砕。
その状態がタイトル写真。
ここからさらにライムギを播種して
ロータリーとローラーで覆土、鎮圧。
ここまでがわが家の冬支度。
畑の大掃除をして一人悦に入るという図です。

さて、世の中は不景気不景気で大騒ぎ。
ここ数年は我慢して首をすくめていなければならないような中で、
先日はトラクターのドライブシャフトを壊して、痛い出費。

身近な直売所での売れ行きもちょっと異変が見え始めたとか。
来店者数は変わらないものの売り上げがそれだけ上がらない
というのです。
それだけ消費者が厳しく商品を選別し、必要なものだけを購入。
自己防衛の体制に入ってきたということでしょう。

ある農家と話をしていたら
地代や賃金も安くなるのだから規模拡大にはチャンス。
借金の金利だって無いにも等しいのだから
というのです。
わが家もコメの選別をより高規格で行うことで
お客さまの信頼を得るために米選機を新規に購入しようと
考えていたところです。

そうそう、縮こまっているだけではだめだよね
ですよ、ねえ
と、意気投合したのはよかったのですが、
なけなしの保留資金が目減りするのは確かです。
いつか春が訪れるまで、しばらく貧乏神とお付き合いです。

食卓に夏めげぬ子等の瞳かな(島村元)

2008年12月17日 | 今年の米づくり
わが家の今年のコメです。
と言っても、実は精鋭部隊です。

稲を刈り取り、脱穀後、乾燥、籾すりと調整作業が続きます。
それぞれの段階で稲藁等のゴミや不稔米などが取り除かれますが、
袋詰めされる前の最後の段階でコメ粒の大きさで選別しています。
その機械が米選機。グレーダーとも呼ばれます。

その基本構造は細かい目の網をコメを通して
そこから落ちたコメが「小米」。
落ちなかったコメが普段流通している「コメ」。

網の目の大きさは地域によって、品種によって異なります。
千葉県産コシヒカリの場合は1.8mm目の網を使っているはずです。
わが家も1.8mm目の米選機を使っています。

コメの食味を左右する要素の一つに
タンパク質の含有率がありますが、
小さい粒の混入が多いほど含有率が高まります。
1.8mm目以上の大きな網目で選別することにより
含有率を下げることが期待されます。

上のタイトルの写真。
実は1.85mm目の網で選別して残ったもの。
1.85mm以上の大粒のコメです。
つまり、より美味しくなった精鋭部隊のコメというわけです。



そして、こちらが1.85mmの網目から抜け落ちたコメ。
青米(登熟しきれない若いコメ)もあります。
白いコメも幾分小さい?細い?ように見えますが、
先のコメと違いがないようにも思えます。

1.8mm以上1.85mm未満のコメで、「中米」と呼ばれます。



そして、こちらは
網目でなくレーザーを使って粒の色彩を判断し、
「色コメ」として撥ねられたコメ。
これは光センサーによる色彩選別機を使用しました。

何筋かのレーンにコメ粒を一粒ごとに流しましてレーザーを当てます。
反射する光に異常があると一粒ずつ空気で跳ね飛ばすという構造です。
判断ミスもあるでしょうから
問題のないようなコメ粒も含まれていますが、
先の精鋭部隊と比較しますと一目了然です。


これらはより良い品質のおコメを提供するために
農産物直売所『かしわで』に出荷している
すべての農家のコメについて再選別したものです。

サンプル検査でしたが、わが家の場合、
コメ一袋30kgあたり、1.85mm目から落ちたのは約5%。
色選で撥ねられたのは約0.6%。
これらの数値、平均値と比べて
1.85mmから落ちた割合がやや高いものの、
色選の方は約半分の値。
全体としては平均的な評価でした。

さらに今回、『かしわで』米部会では食味分析も行っています。
食味計はいくつかのメーカーが提供していて
その値が大きく違うことから
食味推定値あるいは品質評価値が
そのまま「美味しいおコメ」の評価にはならないといわれますが、
一つの指標として一般に使われています。

食味推定値は
アミロース含有率、粗タンパク含有率、水分、脂肪酸度から
判断されているようです。

アミロースはでんぷんの一種で、
含有率が低いほど柔らかく粘りが強いご飯になります。
タンパク質も低いほど良いといわれ、
窒素肥料の施し方でコントロールできるようです。
脂肪酸度は古米化度を測る指標。
新米ですから、これは問題ありません。

いってみれば、これらの数値はコメの成績表。
幸いというべきか、残念ながらというべきか
わが家のコメは出荷農家の平均値レベル。

ほっとする一方で、コメ余り状況の中、
お客様に選んでいただけるコメづくりをするためには
栽培法での工夫もあることながら、
コメの選別でも一層のこだわりが必要かもしれません。

色彩選別機は最低でも200万円。
小さなコメ農家が簡単に手を出せる額ではありませんが、
せめて米選機の網目を1.85mmに換えることで
より高い品質のお米にすることにしましょう…

って、ここで問題が発生。
5%も発生する「中米」の取り扱いはどうしましょう。

加工用に安く買いたたかれてしまうのでは困りますが、
ご飯用に低価格のおコメが出回っても
本来のおコメの売上の足を引っ張ってしまうことに。
これまでより5%厳しく選別して良質化するのですから
コメの直売価格を5%値上げさせていただければよいのですが。

わが家の場合、草団子の原材料にでもしましょうか。
そうなると、連日団子作りに励まねば…
ああ毎日があわただしい…

畑には大霜おけり早起きを山ゆく兄は鎌とぎゐるか(橋田東声)

2008年12月15日 | 冬の梨畑
あ、いたたたたた…

トラクターのPTOのドライブシャフトが
壊れてしまいました。
モアという機械でナシの落葉と草を粉砕していました。
雨や霜で地面がゆるみ
モアの刃が土を噛むことが多くなり、
そのたびにエンジンの回転が落ち唸りをあげていました。
これでまた、部品が届くまで作業が遅れてしまいます。

友人は回転部分にグリースを
補てんしていなかっただろうというのですが、
機械屋さんの話では金属疲労だろうと。
優しいお言葉です。

寒い朝になりました。
長い霜柱ができていました。

冬の雨柿の合羽のわびしさよ(夏目漱石)

2008年12月14日 | 今年の米づくり
仕事が滞っているというのにまた雨です。
今日のは冷たい雨です。

掃き寄せていたナシの落ち葉が
ハンマーモアで叩く前に地面に張り付いてしまいます。
ナシ畑でトラクターを走らせるにも
タイヤが泥をたくさん運んでしまいます。
何度も走ると地面が弛んできます。

困ったことは田んぼも同じです。
写真はちょっと谷津に入ったところのよそ様の田んぼですが、
一向に水が引けません。
稲刈り時にコンバインが作ったわだちの水たまりが消えません。
このまま春を迎えることになると
未分解の藁が来年の苗に悪さするというような
問題にもなりかねません。

かげうつす庭の池水こほるらん 光り寒けき冬の夜の月(樋口一葉)

2008年12月13日 | ネイチャースケッチ
今日は旧暦11月16日ですが、天文学的満月だそうです。
去年も同じころに似たような写真を撮っていました。

冬の月というのは、タイトルにうたわれるような
寒空に冴えて輝く、青白いイメージですが、
今夜の月はオレンジ色の特別大きく見えました。
たしか一年のうちで月との距離が最も近くなるというような
話もあったような…
未確認情報です。

そして今日は、正月事始め,煤払い,松迎えだそうで、
年神様を迎える準備を始める日とか。
昔はこの日に、門松やお雑煮を炊くための薪等、
お正月に必要な木を山へ取りに行ったといいます。

我が家ではさしずめナシの剪定開始の日になるのでしょうが、
今年はまだ始められません。
苗木の植え替え作業が思いのほか手間取り、
ようやく落葉処理をしています。

冬暖の笹とび生えて桃畑(飯田蛇笏)

2008年12月10日 | 農のあれこれ
忘年会シーズンです。
農家の集まりでもつい湿っぽい話題になってしまいます。

大手企業でも正社員まで解雇されるそうだ…
農産物の直売も右肩上がりではいかなくなったよなあ…
そもそもこれから人口が減少していくんだよ…
今日だって、こんなに暖かいとホウレンソウが伸びすぎちゃうよ…
昔はよく「社会が悪い」「世間が悪い」という声を聞いたが、
最近は「どうせ自分なんていてもいなくても同じ」
っていう輩が多いって、ラジオでもいっていた…

こういう内向きの萎縮した状況を
「デプレッション(Depression)」というのだそうです。
精神的抑うつ感をさすこともあるし、
世界的な経済の大停滞といったマクロな状態を意味することも
あるとか。

村上龍氏が新聞紙上でこんなことをいっていました。
(朝日新聞12月9日 広告特集 ASAHI NEXT)
『体力を含めて余裕がないと危機感も持てない。
余裕がないと「不況こそ好機」とか
「ピンチをチャンスに変える」なんて言えない…』
『歴史的転換点と考え、
5年後、10年後の自分をイメージして
今を考えることが重要になるかもしれない…』

なるほどそうだよなあと感心するばかり。
来年どうしようかと心配するばかりでなく、
まだ少し心の余裕のあるうちに
我が家の将来へ向けての投資を考えなければなりません。

今日のような夕焼けをみて
『今だからこそ外に向かって行動を』(村上龍)と
連想しなければならないのでしょうねえ。

焚火、焚火、焚火に限るやうになつた、このごろの自分に最もふさはしい焚火(若山牧水)

2008年12月09日 | わが家の時時
この冬も我が家の薪ストーブは健在です。

晩に薪を数本入れておけば、
朝になって種火のような状態でも
本体の鋳物から暖かい熱線が飛んできます。

ストーブの上の鉄瓶は
毎晩、湯たんぽ数個分のお湯を沸かしてくれます。

ストーブの前の椅子でうたた寝もできますが、
体はどんどん横になりたくなって
しまいにはこたつの中に潜り込むことになります。

いまははやいろはもみぢも冬木かな(山口青邨)

2008年12月07日 | 冬の梨畑
先日までしつこくしがみついていた黄葉も散り、
ナシの枝も丸裸になっています。
梨畑も冬模様です。

春までにまっすぐ上に伸びた枝を
切ったり貼ったりしなければならないのですが、
まだその作業には入れていません。
雨の日が多かったり、出かける日が多かったりで、
落葉処理ライ麦の播種がこれからです。