わが家の今年のコメです。
と言っても、実は精鋭部隊です。
稲を刈り取り、脱穀後、乾燥、籾すりと調整作業が続きます。
それぞれの段階で稲藁等のゴミや不稔米などが取り除かれますが、
袋詰めされる前の最後の段階でコメ粒の大きさで選別しています。
その機械が米選機。グレーダーとも呼ばれます。
その基本構造は細かい目の網をコメを通して
そこから落ちたコメが「小米」。
落ちなかったコメが普段流通している「コメ」。
網の目の大きさは地域によって、品種によって異なります。
千葉県産コシヒカリの場合は1.8mm目の網を使っているはずです。
わが家も1.8mm目の米選機を使っています。
コメの食味を左右する要素の一つに
タンパク質の含有率がありますが、
小さい粒の混入が多いほど含有率が高まります。
1.8mm目以上の大きな網目で選別することにより
含有率を下げることが期待されます。
上のタイトルの写真。
実は1.85mm目の網で選別して残ったもの。
1.85mm以上の大粒のコメです。
つまり、より美味しくなった精鋭部隊のコメというわけです。
そして、こちらが1.85mmの網目から抜け落ちたコメ。
青米(登熟しきれない若いコメ)もあります。
白いコメも幾分小さい?細い?ように見えますが、
先のコメと違いがないようにも思えます。
1.8mm以上1.85mm未満のコメで、「中米」と呼ばれます。
そして、こちらは
網目でなくレーザーを使って粒の色彩を判断し、
「色コメ」として撥ねられたコメ。
これは光センサーによる色彩選別機を使用しました。
何筋かのレーンにコメ粒を一粒ごとに流しましてレーザーを当てます。
反射する光に異常があると一粒ずつ空気で跳ね飛ばすという構造です。
判断ミスもあるでしょうから
問題のないようなコメ粒も含まれていますが、
先の精鋭部隊と比較しますと一目了然です。
これらはより良い品質のおコメを提供するために
農産物直売所『かしわで』に出荷している
すべての農家のコメについて再選別したものです。
サンプル検査でしたが、わが家の場合、
コメ一袋30kgあたり、1.85mm目から落ちたのは約5%。
色選で撥ねられたのは約0.6%。
これらの数値、平均値と比べて
1.85mmから落ちた割合がやや高いものの、
色選の方は約半分の値。
全体としては平均的な評価でした。
さらに今回、『かしわで』米部会では食味分析も行っています。
食味計はいくつかのメーカーが提供していて
その値が大きく違うことから
食味推定値あるいは品質評価値が
そのまま「美味しいおコメ」の評価にはならないといわれますが、
一つの指標として一般に使われています。
食味推定値は
アミロース含有率、粗タンパク含有率、水分、脂肪酸度から
判断されているようです。
アミロースはでんぷんの一種で、
含有率が低いほど柔らかく粘りが強いご飯になります。
タンパク質も低いほど良いといわれ、
窒素肥料の施し方でコントロールできるようです。
脂肪酸度は古米化度を測る指標。
新米ですから、これは問題ありません。
いってみれば、これらの数値はコメの成績表。
幸いというべきか、残念ながらというべきか
わが家のコメは出荷農家の平均値レベル。
ほっとする一方で、コメ余り状況の中、
お客様に選んでいただけるコメづくりをするためには
栽培法での工夫もあることながら、
コメの選別でも一層のこだわりが必要かもしれません。
色彩選別機は最低でも200万円。
小さなコメ農家が簡単に手を出せる額ではありませんが、
せめて米選機の網目を1.85mmに換えることで
より高い品質のお米にすることにしましょう…
って、ここで問題が発生。
5%も発生する「中米」の取り扱いはどうしましょう。
加工用に安く買いたたかれてしまうのでは困りますが、
ご飯用に低価格のおコメが出回っても
本来のおコメの売上の足を引っ張ってしまうことに。
これまでより5%厳しく選別して良質化するのですから
コメの直売価格を5%値上げさせていただければよいのですが。
わが家の場合、草団子の原材料にでもしましょうか。
そうなると、連日団子作りに励まねば…
ああ毎日があわただしい…