のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ユルベルト グラスいっぱいの夢心地

2012年10月29日 | 梨の出荷
第7回ユルベルトkashiwaが10月28-29日に行われました。

今回は柏の農産物を料理に使ってもらおうと
そのための農業者と商業者の商談会を開催していました
幸い わが家のナシを使ってくれる洋風居酒屋さんがあって
お礼かたがた訪ねてみました

ナシをすりおろした?たっぷりの果汁にウォッカを混ぜ
少しのシロップとグレープフルーツ果汁も加えたといいます
ナシのあの粒々感が残っているのが
このカクテルの良さを引き出しているような
さすが味のプロ

ウォッカはふつう小麦,大麦,ライ麦,トウモロコシなどの穀類
あるいはジャガイモを原料とするそうですが
ブドウ,サクランボ,リンゴ,ナシなどの果実や蜂蜜からもつくることもあるとか
なるほどウォッカとナシの相性もいいわけだ

ついでに今回のユルベルトで一番印象に残った
というか美味しかったのはこの箱ウニとノリの組み合わせ
これにワンドリンク付きで700円相当
            
             

根のはることの気持ち良さ伝えたき父母あれば我種播こう

2012年10月28日 | みのわプロジェクト
この10月の土日
『手賀の杜農園』ではサツマイモ掘り体験をお受けしていました
準備不足の中でも大勢の方々にお出でいただきました

特に小さなお子さん連れで参加してくださった皆さんには感謝

だって
農業の楽しさを子どもたちに伝えたいという方々ですから

将来の農業の応援団を育んでいただいているのですから

キノコもクリも害となり季語揺れる

2012年10月24日 | ネイチャースケッチ
梨畑の角の棚にいくつもぶら下がったアケビ
年を追うごとにならせる実の数が多くなります
初めのうちは珍しく思いあちこちで自慢げに話したものですが
3.11以降はどうしたものか
食べてみる?と気軽に声をかけられなくなりました


昨夜のあさ日新聞「文化欄」に
短歌と俳句と詩の3人の被災地に暮らす作家が語り合った
「大震災と詩歌」というシンポジウムのことが紹介されていました
(10月23日3面)

歌人は 震災後に多くの人たちが短歌を詠み
「日本人の中には短歌の韻律が入っている」とする一方で
若い層や子どもを亡くした人が経験を歌にできていないようだ
震災詠は10年20年の時間が必要なのかもしれないと指摘

詩人は6日目からツイッターで発信することで
自分の中に何かが戻ってきたといいます
そして現在の俳句に問題提起
「被災地ではキノコもクリも放射能汚染によって有害になった
自然の豊かさを表す季語が凌辱されたのではないか」

これに対し俳人が
確かに自らも含め無季の俳句も多く作られた
詩人のツイッターは日付があることで読者は時間的感覚を共有できた
俳句では季語がその役目だろうが季語も大地震ともに揺り動かされた
と応えています

3.11以降の世界では
自然とのかかわりを再構築しなければならないようです

色香愛で無理して食わぬ秋になり

2012年10月23日 | みのわプロジェクト
もうひとつ「みのわプロジェクト」で試みていたのは
ミドリ米の栽培

田んぼの角に20㎡ほど植え付けていました
出入り口付近に最後に植えたものですから
コシヒカリの刈り取りの際には大騒ぎ
なぜってミドリ米の取り入れは11月初めとか

今朝雨が降ってくる前に大汗かいて刈り取ってきました
でもたったこれだけのミドリ米どうしましょう
脱穀機通しても機械の隙間に入ってしまい
出口からは一粒も出て来ないなんて事態もありそうです

やはりこういう色つき米はドライフラワーにして販売するというのがいいみたいです

ヒエ播いてその出来栄えにあわ食らう

2012年10月22日 | みのわプロジェクト
ヒマワリの種から食用油をとろうという「みのわプロジェクト」の一環で
5aばかりの土地でヒエを播いていました

稲刈りときにちょうどこちらも刈り取り時期となり
スタッフの皆さんも大忙し
それでも種を播いたからにはという意地半分で
刈り取り・乾燥・脱穀まで作業を終えていました

40kgあまり コメの紙袋3袋

さて これをどうしたものか
はっきりした目的を決めないままに種を播いたことにその時気付きました
といいますか
初めての試みだし うまくできないかもしれない
内心はそんな思いもあったかもしれません

雑穀の搗精(とうせい、米でいうところの「精米」)をしてくれるところがありますのでそこに依頼してそのヒエを販売する または会員で分配する
これがA案

しかし費用を出して搗精してもはたして売れるのか
これだけの量を自家消費できるのか
ちょっと不安です

次にB案
木更津にグッチートレーディング社という食品卸売の会社がありまして
雑穀を半調理品に加工してた商品を販売しています
以前、雑穀を栽培したら買い取るという話を聞いておりますので
そちらに買い取ってもらい現金化する
または半調理製品と“交換”してもらっては」どうか

しかし今回収穫できたヒエを買い取ってもらえるかどうかの判断は
相手方の判断によります

この会社は地元農家といっしょに耕作放棄された農地で雑穀を作る
“木更津雑穀村”という活動もしているようです

ネット上で公開されているものから推察しますと
足踏み脱穀機と唐箕で脱穀調整をしているようですので
われわれと大きな違いはないかもしれませんが
ヒエの確認、持ち込みを兼ねて
一度様子を見に行くというのも面白いかもしれません

まだ決められないのですがB案に傾いています

ちなみにヒマワリの種は150kgあまり(コメの紙袋で10袋)とれました
これは費用をかけて油にする予定です


蜂だって蜜算用は甘くない

2012年10月19日 | ネイチャースケッチ
春から巣箱を置いてナシの花の交配に貢献して
初秋のスズメバチの襲撃にも耐えて迎えた採り入れの秋

ニホンミツバチの蜜をおすそ分けしていただこうと巣箱を開けたところ
残念 ほとんど蜜が集まっていない状況でした
とても人にまで回ってくるような様子ではないので
サンプルだけ掻きとってふたたびふたを閉めて冬を越すことに

盛んに働き蜂はわんわわんわ巣箱を出入りしていました
前庭は果樹畑です
家の周りは木々がいっぱいです
それでいてわが家の巣箱は二つともぜんぜん重くない

それに比べ 市街地に近い所に置いた手賀沼トラストの巣からは
予想以上の量が採蜜できたとか
これはむしろ街中の方が蜜源があるのかもしれません
あの銀座でも採蜜しているのですから
あるいは農薬の影響?

「田舎は自然があっていいね」
よく当たり前のように言われることですが
これはハチの世界では通用しないのでしょう
逆に「人は“自然”の何を見ているんだ」と教えているのかもしれません

来年は蜜源となるようなお花畑でもつくらないといけません

動作は舞踊 音は天楽 四方はかがやく風景画

2012年10月16日 | 散歩漫歩
新潟県十日町市 越後妻有の旅 その3

宮沢賢治の作品に『農民芸術概論綱要』という短編があります
タイトルはそのなかから引用しました

もう少し引用してみます

おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ
われらのすべての田園とわれらのすべての生活を
一つの巨きな第四次元の芸術に創りあげようでないか……

職業芸術家は一度亡びねばならぬ
誰人もみな芸術家たる感受をなせ
個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ
然もめいめいそのときどきの芸術家である
創作自ら湧き起り止むなきときは行為は自づと集中される
そのとき恐らく人々はその生活を保証するだらう
創作止めば彼はふたたび土に起つ
ここには多くの解放された天才がある
個性の異る幾億の天才も併び立つべく斯て地面も天となる……


学生時代に読んで以来 度あるごとになんとなく勇気づけられてきました
そうだ われわれは百姓だけど芸術作品を創造しているんだ と


なぜ 今またこんなことを思い出したかといえば
今回訪れた新潟県松代地区で
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」というイベントが
つい半月前まで開催されていました

北越急行ほくほく線まつだい駅周辺では2000年から『芸術祭』が開催され
里山や棚田とアート作品が融合させることによって
フィールドミュージアムを整備してきました
3年に一度の芸術祭も5回目を迎え
現在では国内外の作家の現代アート作品が約160点が点在しているそうです
回を重ねるごとに集客も増え町を変えてきているといいます

駅前には中心施設「まつだい雪国農耕文化村センター(農舞台)」があって
アート作品も集中しています
たとえば これは“藁田門 わらったもん”

             

これは奈良の大仏ならぬ“わらの大仏”

             

細かいところまで藁で作られています

             

これは駅前の小丘におかれた前衛芸術家くさま彌生さん作
モニュメント“花咲く妻有”

             

タイトル写真も近寄ってみると

             

             

でも確かに面白いなあとは思いますが
なんとなく外から見ている感じ 疎外感がぬぐいきれません
現代アートとの融合といわれても
現代アートそのものが理解しきれていないせいかもしれません

むしろ途中で出会った光景の方が
「すごいなあ」「これこそ芸術だなあ」なんて思えてしまいます

             

等高線に従って石垣を積んで平らな所をつくっていく
それがひとつの水系で連なっている
畑と違ってただ整地するだけでなく
どのように水を流して行ったら
どの田んぼにも平等に無駄なく水が供給されるかまで考えられているはずです

田んぼひとつひとつが細胞に見え
それらが有機的につながっていて大地という生命体が形づけられている
と考えたら

             

ひとつも直線のない不整形な田んぼをどう効率的に機械で耕していくか
きっと悩んだに違いありません
結果として周囲から内に向かって耕していったようです
左下の“切り返し”の部分なんてさぞかし苦労したみたいです

真上から見たら机上で描いていては想像できない模様になっているかもしれません

             

これは思わず車を引き返して写した一枚
川と道路に挟まれた細長い土地
これまた地形に合わせた不整形な土地を田んぼに利用していました
しかも道路の段差は5mもありそうです

こんなところまで田んぼにするのか

この土地の人たちの想像力・創造力には脱帽です

不良中年はよその綺麗なお姉さんにもやさしい

2012年10月13日 | 散歩漫歩
新潟県松之山 妻有の旅 その2
歴史の道百選にも選ばれている「松之山街道」は
別名「妻有道」ともよばれているそうで…

タイトルは松之山温泉入口の蕎麦屋の旦那さんの
『不良中年第十五条』の第二条
もちろん第一条には「不良中年は女房子供にやさしい」とあります

他にも『不良中年のたしなみ』という文書もあって
「いい女がいたら口説きは迅速にする」といっていながら
「世間に愛想をつかされとも、カミさんにはお供え物を忘れるな」といいます

もうひとつ『より良い大人になるためのポイント』というのがあって
「人の前では偉い人に反論する」とか
「月に一度は女房を可愛がる」とか
「お酒は毎日しっかり飲む」とか
「下半身の話がメインになったら積極的に加わらない」なんて
ことも発信しています

そば屋を20年も健康で続けられたのは
ジャズとそばとビールを毎日服用しているからだそうで
いわく“そばとジャズの店”
店内には大きなスピーカーが鎮座していて
客がわれわれだけだったこともあって 食事中
われわれの年かっこうにふさわしいヴォーカルにわざわざ変えてくださいました

“不良中年シリーズ”といいジャズ喫茶のような雰囲気といい
どんなところでも想いを発信すれば
それに共鳴してくれる同志が集まってくれるということでしょう
もっと近くにあったら通いたくなるお店でした

              

ここの松乃山温泉で汗を流す前に
樹齢八十年ほどのきれいなブナ林の中を散策してきました
昭和初期に木炭にするためあたり一体のブナはすべて伐採され
その後 一斉に育ったブナの林はすらりとした立ち姿が美しく
美人林 びじんばやし”と呼ばれています

             

残雪の中の芽ぶきの季節にでももう一度訪れたいものです
そして あのそば屋“滝見屋”さんへも


つれあいの姿が消えるブナ林

これくらいのお供え物で喜んでもらえるでしょうか

農舞台踊る大地語る営みわれらいつまたこれを失わん

2012年10月11日 | 散歩漫歩
ナシの収穫が終わると
お礼肥やら防災網の取入れやらで忙しくなってしまうので
その前のちょっとした時間で気分転換をということで
いつものことながら 急きょ 前日予約して北信の野沢温泉へ二人旅

スキー場のある有名な温泉街ですが
隣の栄村秋山郷や渋温泉までは来たことがあったのですが
野沢菜の野沢温泉は今回が初めて
これで夏の遠山郷行きと合わせると
奥三河に接する最南部を除いて長野県内全域をほぼ踏破したかもしれません

簡単には行けない場所ですので
隣接する新潟県松代・松之山地区の棚田と美しいブナ林を訪ねることに
自然景観カメラマンやバードウォッチャー垂涎の的ポイントのようです

今は十日町市になっている松代・松之山地区は
雪深いうえに平坦な土地の少ないところ
地区内のあちこちには棚田が分布していて
低い山々の中腹以上の高さまで水田と利用されていました

すでに稲刈りの時期は終わり
あちこち田起こし作業が行われています
そんな中で もう代掻きが行われている田んぼもあります

             

冬の間 雪に封じ込められてわらや株が分解しきれないためなのかと
村の人に聞くと必ずしもそうでもないらしい

となると 水か…
もともとが水利が潤沢にあるわけでなく
溜めておけば春の水も余裕ができるし
棚田を支える石垣も冬の間に乾燥いしてしまうと漏水のリスクが高まります

本当はどうなんでしょう

出遅れて気の抜けた秋に虫嗤う

2012年10月08日 | 梨の出荷
10月のナシの有望株「王秋」の収穫が始まっています
が 思いの他 シンクイムシの被害が多い

彼岸までにヒガンバナが咲かないほど暖かい9月のために
ムシたちがいつまでも元気という事情もあるのでしょうが
だからこそ途中で殺虫剤を散布すればよかったのに

後悔あとに立たず ですが
殺虫剤だけの問題ですかと振り返ってみれば
そういえば「王秋」畑ではここ10年来
シンクイムシ用のフェロモン剤を設置していました

去年もおととしも今年以上に暑かったのに
同じように最後の殺虫剤を省いていたのに
これほどの被害がなかった
それはやはりフェロモン剤の効果だったのでしょう

ハチの子に負けず劣らず種巣立つ

2012年10月07日 | ネイチャースケッチ
さて これは何でしょうか
ハチの巣ではありません

「蜂の巣」のことを「ハニカム」といいますが
広義には正六角柱に限らず立体図形を隙間なく並べたもの(3次元空間充填)を
ハニカムと呼ぶのだそうです

するとこれもハニカムです

正六角形を連ねるだけでなくひし形を右上左上へと並べても
必要最小限の材料で強度をあまり損なわない何か
「生物の仕組みの模倣」による発明ができるかもしれません

すでにどこかでこのような構造物を見たことがある気がしているのですが
思い出せません

実はこれはヒマワリの種を取り出した後

この形を何かに応用できる気付きがあればいいのですが
きれいだなで終わってしまっています

この壁を越えても見えぬ頂をムシの気持ちになって考える

2012年10月06日 | 今年の梨づくり
もみ殻をクン炭にするために袋詰めしています

ときどきハサミムシが出てきてもみ殻の山を一生懸命登ろうとしています
それを邪魔するかのように山を崩していると
山登りの疑似体験をしているかのような空想の世界に入れて
単調な作業もけっこう退屈せずに進んでいきます


ナシの収穫も「新高」が終わりかけてきて
あとは「新興」「王秋」を残すのみとなりました

訪ねてこられたお客様から「今年の出来はどうですか」と
話題になることがあります
「いや 今年は春の寒さから雹に見舞われ 初夏の多雨で病気が広がり
夏になればカメムシ ハダニとムシに悩まされ そのうえあの高温と乾燥です
課題のオンパレードでした」

30年近くの栽培経験の中でも
今年ほどひとシーズンであれこれと悩まされるようなことはなかったような…
なんとかやれるくらいのほんの少しの自信があったつもりでしたが
あっけなく霧散霧消しそうです
そろそろ次の世代にバトンタッチでしょう

折り合いはバリア設けた間柄

2012年10月03日 | ネイチャースケッチ
いえ、夫婦関係のことではありません
ニホンミツバチとスズメバチの関係です

依然として執拗にスズメバチのミツバチの巣への襲来は続いています

前回 粘着版でスズメバチを捕獲してしまう対策を紹介しましたが
それでもスズメバチの襲撃時には
ミツバチは巣の中に籠城していなければなりませんし
粘着版はあまりにも簡単に大量にスズメバチが捕獲できますので
続けていると一網打尽状態になってしまうのではという危惧があります
スズメバチも生態系の一部という考え

そこでお互いが共存できる対策として
巣箱の入り口に金網で囲われた緩衝ゾーンを設けました
スズメバチは巣箱を直接攻撃できませんし
ミツバチも自由に出入りできます
(スズメバチ襲来時でも出入りしているかどうかは未確認)

本来 ミツバチは天敵に対して自衛しなければなりませんし
場合によっては一族離散の憂き目にあうかもしれません
でもハチミツを人間に搾取されるのとどっちが悪夢なのか
ほんとうはわかりません

倒れてもわが家を守る仁王立ちシンボルツリーも家族のごとし

2012年10月01日 | わが家の時時
台風17号が夜のうちに一気に通り過ぎていきました
“非常に強い”と形容されていましたので相当身構えていましたが、
ナシ関係には被害がありませんでした

が わが家の入口で毎年新緑のときに彩りを添えてくれていた
ベニカナメの老木?が強風で倒れてしまいました
株元をみるとすっかり朽ちていました
どおりでここ数年 花を咲かせていたわけです
今年は葉の様子もおかしくどうしたのかと思っていました

35年ぐらいの寿命だったでしょうか
普通どのくらいの寿命があるのかわかりませんが
わが家のシンボルツリーのひとつであったことには違いありません

倒れ方も立派です
道路をふさぐ方向ではなくわが家への入り口を遮断する向きに倒れていました
大きく枝葉を広げて西風の侵入を防いでくれていたのですが
朽ちてなお弁慶の仁王立ちのごと主を守っているかのようでした

実は隣のクリの木も老木になりましたので
ベニカナメを残しクリを切ってしまおうかと考えていましたが
クリはしばらく延命することに
これでナシを買いに来てくれたお客様へのクリ拾いのサービスも続けられそうです