のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

先に陣地を確保した方が勝ち

2015年06月21日 | 梨の病気
先に陣取ったが勝ちとばかりに、あちこちで国境争いが頻発していますが、人間界にはふさわしくないはず…
むしろ自然界では当然の理。バチルス菌をつかった自然農薬が開発されたと聞いて、ならばこれだっていいんじゃないとおもいだしたのは「えひめAI という発酵菌液。砂糖を餌にヨーグルトと納豆とイースト菌で発酵させるだけ。30 ℃前後に保温して数日。酸っぱい匂いになったら出来上がりです。ウドンコ病に効果ありというので、早速、自家用キュウリ、トマトに散布しました。

樹に浮かぶきのこクラウド梅雨に咲く

2013年05月31日 | 梨の病気
また今年も出現してしまいました
それも2本もです

                 

一本は昨年キノコが出現した幹の部分を切り落とした樹で
残した幹に再びキノコが出ていました
キノコ部を除去しても菌は樹体に回っているということでしょう
つまり、キノコが出現した樹は抜かねばならないということ

春先の開花・展葉・着果の時期には問題のないように見えた樹も
幼果を成長させねばならないこの時期に来て
樹勢を落とす樹体がいくつか見られます

軽い症状なら実をすべて落とし勢いをつけて
様子をみようということにするのですが
一度、樹勢の落ちた樹が回復することはたいへんまれで
(十二分に面倒をみれば違うのでしょうが)
結局、抜いてしまうことになります

30年も稼いできてくれた樹です
充分、稼いでくれたともいえますし
もう少し頑張ってという気持にもなります
結局は先手を打って改植するのが得策なんでしょうが


それにしても今日は先日の梅雨入り宣言が間違いだったような梅雨の晴れ間
週間予報をみても雨マークは日曜日だけ
もしかして勇み足?
しかも梅雨明けは早そうというアナウンスもあって…
なんてったって一言一言に一喜一憂なんですから



後日談

県試験場の研究者にキノコの画像をみてもらったところ
萎縮症原因菌のキノコではなさそう。
木質腐朽菌であることには違いなく
樹体の終焉期であることは確か。

それなら改植の準備しながら様子をみるということに。
悪性菌でなかったことは一安心ということでしょうか


旧年の畑に忘れしキノコかな

2013年01月12日 | 梨の病気
年が明けナシの剪定作業は本調子
この時期はいつ雪が降るかわかりません
できるときにやらねばなりません

と見上げると何かがべったりと幹に張りついています
これはもしかしてチャアナタケモドキ
萎縮病と呼ばれるナシの病気の原因といわれているキノコです

ここにもあったか…

夏の姿は白いのですが
冬はこんなになるんでしょうねえ

とにかく切除しなければなりませぬ


タイトル元歌:安井小洒「旧年の畑に忘れし手鍬かな」

小満も病は樹から芳志散る気分も枝葉も萎縮するばかり

2012年06月03日 | 梨の病気
ナシの開花からひと月半

幼果の生育も「今のところは順調だ、よかった」とちょっと満足する
小満の時節を迎えているはずですが
今年はちょっと頭が痛い

             

まず花の交配作業中から発芽したばかりの葉が茶変し目立っていました
ナシ疫病と呼ばれる病気で枝が枯れて行く病気です
県の研究機関から先日多発注意報が出されました

             

「ナシ疫病菌」は土壌中に生息していて
強い降雨で跳ね上げられたり風で舞い上げられて
ナシ枝葉にたどり着くと考えられています

わが家は草生栽培をし緑肥としてライムギを導入していて
4月中旬には刈り倒し全面にムギワラが敷かれるような状態にして
泥が跳ねあがらないようにしているのですが
それでも例年よりも多発しています
             
             

もうひとつは「黒星病」
これもだらだらとなかなか止まりません
昔は難防除病でした
ここ10数年は新薬剤の登場でうまく抑えられていましたが
最近またよく見かけるようになりました
薬剤の抵抗性が着いているのかもしれません
近くの仲間の畑では爆発的に発生してしまったと嘆いていました

これも5月に雷雨が多かったということの影響でしょうねえ

さらにタイトル下の写真のような症状もあちこちに見られます
「ナシ萎縮病」と呼ばれる症状です
春先の展葉が遅れ展葉しても葉は波打っています
ひどくなると実の収穫量だけでなく樹勢も弱まってしまいます

             

しばらく萎縮病の原因がわからなかったのですが
昨年秋に千葉県の研究機関がその病原菌を特定しました
そしてその病原菌の子実体がナシの幹にへばりついた白っぽいキノコ
ここから胞子が飛散し次々伝染していくという厄介者です

雨が多いと次から次へと問題がわき上がってきます
悩むのは生きてる証拠ということで折り合い付けましょうかね

ありがとう終わりはいつも突然に

2010年07月21日 | 梨の病気
秋でもないのに黄葉してしまい枝もないから貧弱な樹にみえます。
これでも20年生?の「新高」です。

健常なら太い新梢を伸ばし、厚い葉を茂らせ、
黒い緑陰を作っている品種なんですが、
この春、一気に発症してしまいました。
モンパ病だと思います。

去年あたりからちょっとおかしいと思われました。
この春の摘果時には明らかに弱体化している兆候がみられ、
実も余計に落として様子を見たのですが、
やはりダメでした。
回復は無理と判断し、その後は実をつけたまま放置しています。

この畑ではこれまでもモンパ病被害が見られてきました。
山林を開墾してつくった畑ですから、
被害の出る可能性は低くはありません。
しかし、病菌はどこにでも存在するものですから
なにか原因があるのかもしれません。

実はこの畑、二方が斜面、残りの二方が切り土された崖。
つまり四方が10m以上の段差のある島のような高台になっています。
乾燥しやすい地形です。

そのうえ、最近は降れば豪雨の雨模様。
昔みたいにシトシト長時間雨が続くというのではなく、
短時間にドシャっと降る。
記録される雨量となれば
平年並みの雨量とかになってしまうつじつま合わせ。
こんな地形の所は保水力がないからきついだろうなあと。

一方、モンパ菌は土の中にいるとはいえ、好気性。
腐朽した有機物に取り付いて繁殖していきます。
乾燥して根が枯れたなんてところがあったら絶好のチャンス。

と、推測してきて、
この畑はモンパ菌が多いのではなく、
乾燥しているから次から次へとナシの樹がモンパ菌にやられてしまうと判断。

先日からスプリンクラー散布しています。
それに合わせて株元の穴を埋めていく作業も…

なぜ効かぬ昨日の薬虫に聞く

2010年06月13日 | 梨の病気
ナシ畑では摘果作業がひと通り終え、
その見直しと新梢・新芽を整理しています。

そこで気になるのがナシの主要病害、黒星病。
芽基部に罹患して越冬し、
春になって新葉や幼果に伝染し広がっていきます。

罹患した葉や実を見つけては摘みとり、
腰に下げたビニール袋で持ち出しています。
いつもなら副次的な作業ですが、今年は摘果作業中から大忙し。

親から防除作業を引き継いだ20年ほど前には
その姿はほとんど見たことはありませんでした。
そのかわり1週間間隔で農薬散布をしていたものです。

その後、組合研究部で減農薬化を進め、
ほぼ半減化した10年前でも姿を見るのはまれで、
減農薬化は誰でもできます。
実は、昔より新しい農薬が効くようになっているのではないでしょうか
なんて視察に来られたみなさんに話していたものです。

ところが、ここ数年、黒星病をよく見るようになり、
幸い、収穫期には消えて、
どうにか散布した農薬で抑えていた形でした。

病菌ですから温度と水分と罹患する対象がそろえば繁殖します。
条件のそろう梅雨入り前には例年、特効薬を用います。
今年も先日散布しました。
去年までならこの特効薬の散布後は罹患部も乾いたような姿になるのですが、
今年はどうもおかしい。
菌糸を盛んに出しているようなものも見られます。

特効薬が効かない?

ここ数年でネズミ算式に越冬菌が増え、
そろそろ対策が必要という段階かもと思っていましたが、
特効薬があるから大丈夫と構えていました。
もしかしてそれも怪しくなってきたとなると
減農薬なんて言っていられなくなります。

どうなんでしょう。
抵抗菌ができているのでしょうか。
病菌も新たなステージに入っているのでしょうか。

梅雨晴れや三光鳥鳴くと書くブログ

2009年06月19日 | 梨の病気
サンコウチョウ(と思われる鳥)が今年も渡ってきたようです。

去年は6月9日のブログでサンコウチョウを話題にしています。
「ツキヒイホシ ホイホイホイ」と鳴く渡り鳥です。
静岡県の県鳥、Jリーグ・ジュビロ磐田のシンボルです。

この時期、ナシ畑にいるとホトトギスが渡り鳴いたり、
ウグイスが遠くから聞こえたり、
サシバの鳴き声がが上空から聞こえてきたりと
結構にぎやかなんですが、
今年はちょっと気が重いナシ畑です。

先日、害虫のカイガラムシを話題にしましたが、
病害の黒星病についても取り上げなければなりますまい。

黒星病はナシ最大の病害。
10年以上、減農薬栽培に取り組んできて、
それなりに抑えてきた病害ですが、
今年はこれまでにないほど広まってしまいました。

写真は果実に伝染し、
一応、殺菌剤で抑えられている?状態。

水不足でたいへんな西日本とは逆に
こちらでは春から雨天が多く、
5月半ばからは梅雨の走りのような天気です。
ようやく今日、寒気が去って、
連日の雷の心配がなくなったと思っていたら、
もう明後日から梅雨らしいお天気とか。

今年は月の動きに合わせて農薬散布をしてきまして、
来週火曜日が新月なんですが、
その前に散布しないとタイミングを失ってしまうかも。



タイトル元句 <梅雨晴や蜩鳴くと書く日記> 正岡子規

夏の星の顔なつかしくも暮かかる(鬼貫)

2008年06月08日 | 梨の病気
懐かしいなどと悠長なことは言っていられないのですが…

久しぶりに「赤星病」のり患部を見ました。
以前は「黒星病」と同様、
主要な防除対象とされていましたが、
病原菌の越冬樹であるビャクシン類の植栽制限や
新農薬の開発などもあり
このところほとんど問題となっていません。

この赤星も
農薬散布量が少ない苗木畑の端で見つかりましたので
問題にはなりませんが、
病原菌自体がなくなったわけではないということでしょう。

先日から黒星、黒星と騒いでいます。
黒星にしても赤星にしても
点々と葉や実に広がっていく病気で、
これから実にり患する時期になります。




さみだれのきのふ一日晴れしかば今朝は色よきあぢさいの花(三ヶ島葭子)

2008年06月04日 | 梨の病気
紫陽花というのは日本原産の花だそうで、
花の色が白から紫、淡紅色に変化するために
「七変化」という別名もあるとか。



まったく今年の4月、5月はよく雨が降りました。
そのうえ6月に入ったとたん2日には梅雨入りです。

例年ですと
梅雨前のいわゆる「五月晴れ」があって梅雨に入りますので、
ナシの開花前後に病菌を気にした後の防除対象は
主にアブラムシですが、今年は病菌が活躍しています。



県の指導機関からは
ナシの疫病、ネギのべと病に対する注意報が出されています。
(朝日新聞08年5月31日千葉版でも報道)
幸いにもわが家では疫病(枝が黒く枯れてしまう)は
ほとんど見られませんが、
その代わり黒星病がいつも以上に発生しています。
薬散防除も計画よりも1回多く殺菌剤を使ってしまいました。

病菌は発生初期に抑えておかないと
対策が後手後手に回ってします。
今年は4月にちょっと油断したかもしれません。

これからの対応策としては園内を注意深く見回り
罹患箇所を切除するしかないのですが、
余計な枝や葉を切り落とし、
薬剤の通りのよい明るい園内にしなければなりません。

この夏のまじ情けない困ったちゃん

2007年07月26日 | 梨の病気
「困ったちゃん」などとふざけていては深刻さは伝わらないかもしれませんが、写真はモンパ菌による罹患樹と思われます。枝先の新梢の伸びを見れば、春までは普通に成長していたことがわかります。

夏になって、乾燥が進んだためなのか、樹勢が急激になくなり、しまいには葉を落としてしまっています。苗木より育てて、さあこれから実をつけて働いてもらおうというような若い樹に多いようです。この夏は何本もこんな感じになっています。

モンパ菌は根部にはびこって枯らします。効果のある殺菌剤はあるのですが、当然、処置された部分だけに効果があるもの。毎年、根域に注入し続けても、その外側に菌が残っていて気を抜くとすぐに罹患してしまいます。畑の土をすべて入れ替えれば、根本的な解決になるのかもしれませんが、無理な話です。

殺菌剤を使わない方法で菌の働きを抑える方法があるという情報があり、確かなのかどうか、見てくることができたならその様子を報告します。

        

困ったちゃん、その2。

わが家の田んぼの一枚の角の部分の様子です。角の畦に沿ってV字型に稲の生育が阻害されています。去年は普通に育っていた部分です。肥料を忘れていたわけではありません。

要因として考えられることは水田除草剤。この田んぼはタブレット状のものを投げ込む除草剤を使いました。投げ込むとすぐに水に溶け、水面を広がります。そのときに、風で角に寄せられて除草剤成分が稲に障害を与えたのではないかと考えられます。

去年も同じ除草剤を使っていたのですが、こういうことはありませんでした。同じ除草剤でも今年は3成分から4成分へ強化されています。難防除雑草対策として成分数を4成分にしている除草剤も多く出回っているのですが、使い方が難しくなっているようです。来年は粒剤の除草剤を使うことにします。

日向ぼこはいかがミミズのたはこと

2006年11月15日 | 梨の病気
ナシの葉が落ちる前に一仕事。今日は具合の悪くなったナシの樹を抜く作業をしました。この夏の不順な天候からか、今年は具合の悪くなる樹が多く、気の重い作業です。

白モンパ菌に罹患した樹は根が枯れてしまっていて、簡単に引き抜けます。よくもまあ、これだけの根しかなくとも果実が収穫できたものだと、ナシの生命力に驚かされます。

地面を掘り起こしていると土の番人ミミズも時々姿を現しますが、日向ぼっこは苦手のようです。