のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

このみやのもりのこしたにこどもらとあそぶはるひになりにけらしも(大愚良寛)

2008年04月30日 | 春の梨畑
ナシの花が散って1週間から十日。
畑全体に多目的防災網を張っている間に
幼果はどんどん大きくなっています。
写真は豊水の定点観測果。

気温も夏日になろうという日で
日陰が欲しくなりましたが、
ナシの葉はまだ小ぶりで日陰には役に立ちそうもありません。

タイトルの歌の大意は
「この宮の森の木の下で子どもたちと遊ぶ春の日になったことだ」
ということですが、
もはや夏の日でした。

苗代は庵のかざりに青みけり(一茶)

2008年04月27日 | 今年の納得米づくり
25日が七十二候でいうところの「霜止出苗」
(しもやみてなえいずる=霜が終わり稲の苗が生長する)
だったからではないのですが、
昨日26日、苗箱を覆っていた保温マットを外し、
プールに水を張りました。

今年は新たな試みをしようと、
苗にローラーをかけました。
ペンキ塗り用のローラーで押してみました。
つまり、苗を押し倒したということ。

苗が折れてしまわないかってご心配の筋もあろうかと思いますが、
ご心配無用です。
といっても自分で試したわけでもありませんので、
断言することはやめましょう。

ただ、稲は草ですから、
押し倒されても、また立ち上がってくるはずです。
麦だって冬の間に麦踏があるではありませんか。

さて、その効果はといいますと、
まず、苗の伸長が抑制されます。
節と節の間が短くなって茎が太くなります。
しっかりした足腰の苗は
秋になって頭が重くなっても倒れにくくなります。

また、わが家の育苗は暖かくなってから行われますので、
とかく苗が伸びやすい。
籾量を制限して大きな苗をつくるという育苗法の理想は
40日かけて5.5葉に育てるといいますが、
これまでの経験では35日くらいで5葉弱になった時点で
苗の長さが20cm近くなり、
田植え機で植える限界に達してしまいます。

肥料分が足りるかという問題はあるのですが
苗が大きくならなければ
もしかしたら40日育苗ができるかもと期待しています。


では、どの程度、ローラーをかけたらよいのか。

先人によってばらばらです。
ある人は軽く毎日やれば良いと言い、
ある人は4,5日に一度程度、
ある人は育苗中に数回、人が踏んでしまって良いといいます。

やれやれ、自分で確かめるしかないようです。

実つくたびに老行梅の梢かな

2008年04月25日 | ネイチャースケッチ
元句 散るたびに老行梅の梢かな 蕪村

今年の梅は豊作のようです。
梅の実の歌を捜したのですが、
青い実を謳うものが見つけられませんでした。
見つけ方が悪かったのかもしれません。

ナシも着果の様子がだんだん見えてきましたが、
思いのほか着果が良いようです。
まだ決め付けるのは早いのですが。

こうなると、着果しすぎるのが不安となります。
元々今年は花の数が多かったような。
なんとなく花の大きさも小さな感じで、
ナシの木も体力消耗している様子。

さらに実の数も多くなるというと
果実の肥大は多くは望めません。
着果しないくらいでちょうど良いかなと思っていたのですが。

蔓を編みそよ風を編む野の家のテラスの上の薔薇とあけび(与謝野晶子)

2008年04月24日 | 春の梨畑
ナシ畑の棚にアケビの蔓が巻き上がり、花を咲かせています。
秋には淡紅紫色の俵型の実がなるかもって、
楽しみになるところですが、
果樹農家にとってアケビは嫌われもの。

というのは、アケビコノハという害虫が巣くうから。
以前は夜行性のあいつを追いかけ、
暗い中、畑の中を歩き回っていました。

あれもこれもというわけにはいかないようで。

延び放題に延びてゐる。この景色は胸のすく思ひだ(北川冬彦)

2008年04月21日 | ネイチャースケッチ
タイトルは北川冬彦の『雑草』という詩から


延び放題に延びてゐる。
この景色は胸のすく思ひだ、
人に踏まれたりしてゐたのが
いつの間にか
人の膝を没するほどに伸びてゐる。


という一節からいただきました。

久しぶりの晴天。
幸水ナシの遅れていた花に最後の交配をしました。
足元のナズナが絡んで歩きにくいこと。

写真のように、こうやって空に向けて見上げてみると
また違うナズナの姿に見えます。

光る地面に竹が生え、…竹、竹、竹が生え(萩原朔太郎)

2008年04月20日 | 今年の納得米づくり
タイトルは『竹』という詩の最初と最後ですが、
写真は竹ではありません。

一週間前に播種した稲の芽です。

寒い日が続いたり、大雨で一時水没したりして
順調に発芽するか心配していたのですが、
どうにか問題なく発芽しているようです。

納得米プロジェクトの田んぼの方では
今日、一回目の代掻きをしました。
田植えまでのひと月間に
田んぼの雑草が芽をだしてくれればいいのですが。

夜来風雨の声 花落つること知る多少(孟浩然)

2008年04月19日 | 春の梨畑
昨日の雨風はまさに嵐で、
今日も冷たい風が吹き続いていました。

ナシの花も盛りを過ぎ、花びらが散っています。
今年のナシの交配は天候に恵まれませんでした。
どれほど着果しているかはもう少し時間が必要ですが、
形状の悪いものが多いのは確かでしょう。


タイトルは漢詩「春暁しゅんぎょう」の一節。

春眠暁を覚えず
処処啼鳥を聞く

に続く節です。

文春文庫プラス『教科書でおぼえた名詩』2005年、505円+税
の中に見つけました。

他にも
「おぅい雲よ」とか「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ゆりつむ」とか
「この味がいいねと君が言ったから7月6日はサラダ記念日」とか
「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の…」とか
「春宵一刻値千金」とか
ああこれ知ってる、知ってるっていうものばかりが載っています。

昭和20年から平成8年までの中学、高校の国語教科書1500冊余りから
250編の詩、漢詩、訳詩、短歌、和歌、俳句を精選したものといいます。

当時、国語が特別好きだったわけでもないのですが、
なにかこういう決まり文句というか、
美しい日本語というか、
長く歌い継がれているものがすらすらと口ずさめたり
できることっていいなあと思えてきまして。
年齢を重ねたせいでしょうか。
暇つぶしというよりも
現実逃避なのかもしれませんが。

いまさらに感じるのですが、
学校時代、もっと勉強しておけばよかった…

鯛鮓や一門三十五六人(正岡子規)

2008年04月18日 | わが家の時時
「すし」ではありません。蒲鉾です。
鯛と梅に、右上は牡丹でしょうか。
鯛は目出たいからか、目が飛び出ています。
尾びれも跳ね上がっています。

富山は魚津の特産のようです。
娘の進学祝いにとあちらの知人からいただきました。

北陸ではお祝いの引き出物などに
こういう類のものがつかわれているのでしょう。
こちらでも以前は同じような形で
たとえば結婚式の引き出物で
中身が白砂糖のものが振舞われていたことを思い出します。

蒲鉾の味も小田原や仙台のものとどこか違っていて、
これもまた地方の味だなあと
まだ地方色の残る食の豊かさを感じました。

我が世帯あがる雲雀の如くにてさがることこそ矢より速けれ(醒睡笑)

2008年04月17日 | 農のあれこれ
近くのガソリンスタンドのお兄ちゃんはよく話しかけてくれます。
「うちでは今年からは米づくりをやめちゃいましたよ。
これからはうちに米はないと思えよ、だって」

彼の家は兼業農家で、
自家用飯米だけは自分で作り続けていましたが、
今年から耕作を全面委託したのだそうです。
地代は現物で戻るのですが、
経費分を除くとむしろ赤字になるような微々たる程度。

「これまで自分じゃあ何もしてなくて親任せだったけれど、
これでいいのかなあとは思うんですよ。
田んぼがあるんだから自分で作っていた方がいいかなあって。
だって、これから絶対、食糧不足になるでしょ」

そりゃあ機械代等を考えれば、
米作りを続けていても赤字にはなるので安易には薦められないけど、
その気があるなら米作りの技術だけでも
受け継いでいたほうがいいんじゃないか。
そんな話をしてきました。


今夜のNHKTVの番組「クローズアップ現代」は
食糧危機がテーマでした。
国際市場で穀物を買おうとして苦労する商社や
農地を借り集め飼料用穀物を生産する農業法人が紹介されていました。

雑誌『週刊東洋経済』2008年2月18日号は
「食の戦争 空前の価格高騰が日本の食卓を襲う」が特集テーマ。
NHKの今夜のプログラムの元ネタのような内容です。


雑誌『世界』最新号(2008年5月号)でも特集は「食と農の危機」。

例の冷凍食品事件以降、あちこちの情報媒体で
食糧危機がよく取り上げられるようになりました。
漠然と、しかし確実に
将来の食についての不安感が広まっているように思います。

では、どうしたらよいのか。
なかなか答えは見出せないのですが、
『世界』には興味深い記事がありました。

消費者の現状を生協総合研究所の近本さんは
生協組合員の消費動向調査の結果から考察しています。
(「既婚女性は食生活のマネージャーであり続けるか?」)
これまでは既婚女性が家族の食のマネージャーとして位置づけられてきたが、
時間に追われる日々の中で個食が進むことで
主婦はマネジメントから解放され(降りてしまい)、
しまいには料理スキルの低下、
自分自身の食マネジメントすらできなくなってしまう。
今後、とりあえず家族はいらないという層が増えていくと
さらに食への関心は薄れていく…

「無理をしないで、変えられるところから少しずつ」という
昨今の食育ブームは食の自己崩壊を助長するという指摘にも
はっとさせられました。
日本型食生活が消費者自身の惰性で自己崩壊したことを
考えると、こんな悠長な論議には疑問が湧く、と。
(神門善久「何が食生活を乱したのか」)

他方、農業生産の場ではどうか。

食のグローバル化によって農産物価格、農地価格が低下、下落し、
まさに農業恐慌が農村を襲っている。
そんな中、山形の置賜盆地のある町では
農民手作りによる集会「俺達百姓は怒っている!」が開かれ、
衰退した地域をどうにかしたいと商業者も参加して、
地域に腰を据えて世界を覆っている構造を変えようという動きもある
と紹介されています。
(大野和興「農と食の崩壊と再生」)


「できることからこつこつと」だけでは何も変えられない。
だからこそ、現状をしっかり把握することが必要なのかもしれません。

けふといふけふこの花のあたたかさ(惟然)

2008年04月15日 | 春の梨畑
ようやくあたたかい日になっています。
「幸水」も畑によっては開きだしました。交配日和です。
わが家はまだ摘蕾作業ですが、
また週末は天気が悪いようですので
明日は開いた「幸水」に交配しましょうか。

寒い日も多いし、雨も多いので害虫はまだ出てこないかと思いきや、
アブラムシも出てきましたし、
ピンと立ったこんな害虫、シャクトリも姿をみせています。

まだ殺虫剤を散布していません。
害虫もいても不思議はないのですが、
また今年もお付き合いいただきますかっていう感じです。

うぐひすの肝つぶしたる寒さ哉(支考)

2008年04月13日 | 春の梨畑
一日寒さに震えていました。
箱根の向こうは暖かい日だったようですが、
冷たい東風が吹き込んで、ナシの蕾を摘む指先がかじかみ、
ストーブを炊いて暖をとるしまつです。

写真は交配用に花粉をとるために摘み取ったナシの花(昨日の写真)。
こんなに雨や寒さの日が多いと、
せっかく用意した花粉も交配できずに無駄になるかも。
でも着果数が少なければそれだけ摘果作業が楽になるというもの。
まさか、まったく実がつかないということもありますまい。

今日に予定していた稲の播種も昨日に前倒したものの、
露地での育苗ですから生育はお天気次第。
こっちでもオロオロするかもしれません。
でも夏が暑くなればいいのです。
農家は空を見上げていつもオロオロするものですから。

やれ打つな蠅が手を摺り足をする(一茶)

2008年04月11日 | 春の梨畑
ようやく良い天気になりました。
日曜日以来、五日ぶりです。

この間、雨にも寒さにも関わらず
ナシの開花は少しずつ進んでいまして、
交配日和がないまま花が終わってしまうかも
などと、半分冗談めかして心配しておりました。

まだ露がついているうちから
小さなハエが花の間を飛び回っていました。
そのうちどこから来たのか、土着の?ミツバチも働いてくれています。



今日の陽気で「豊水」も「新興」も咲き出していまして
(上の写真の花は「新興」)
交配用のミツバチも導入せず人工交配もしていないのですが、
どうにか「新高」はある程度交配できたかと思います。
週末は上天気という予報が徐々に悪くなり、
明後日は小雨が降るかもしれないとか。

ひとつの品種の花の満開時に一日だけでも上天気なら
自然交配でもまず大丈夫だろうと思っているのですが、
まだ心配事は続きます。

蛙にもちよとなめさせよ甘茶水(一茶)

2008年04月09日 | わが家の時時
4月8日仏生会で釈迦仏に捧げるのは甘茶ですが
甘酒のはなし。
知り合いの酒屋さんから紅白の甘酒をいただきました。

もともと『御慶事』という大吟醸を作っている茨城古河市の蔵元
アルコールが苦手な人もお祝いに飲めるものを
ということで紅白の甘酒をつくってみたとか。

白い甘酒は見かけますが、赤い甘酒は珍しい。
原材料をみると「黒米10%使用」とあります。
口に入れると、舌の上に古代米固有の粒々が残りますが、
それもまた良し。
古代米ブームに乗って話題となればいいですね。


蔵元つながりで、次は地ビールのはなし。
これも茨城那珂市の知り合いの蔵元からいただきました。

清酒から地ビール、焼酎、ワインまで幅広く展開している蔵元で、
米蔵の裏にはブドウ畑もあります。
最近、評判をとっているのがビールのようで、
イギリス風、ドイツ風、ベルギー風などさまざまな風味を加えて
11種類ものビールを製造しています。

そのうちの4種類をいただいたのですが、
飲んでしまって残っていたのがこの2種類。



右側「ホワイトエール」はハーブ、オレンジを加えたベルギー伝統の味とか。
左側「アンバーエール」は英国産プレミアム麦芽、ホップを使用、
上品な苦味を味わうビールとか。

大手メーカーのビールとは一味も二味も違う味わいは
お酒の楽しみも広がっていきます。


清酒でいえば越後だ、焼酎なら九州でしょう
ってマスメディア発信情報がいろいろ話題になりますが、
どうしてそれぞれの地方でもがんばっている蔵元があるんですよね。