のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

皆光る雨夜のほしや虫の声(野坡)

2008年09月30日 | 梨の品種
10月下旬から11月並みの気温の小雨模様が続いています。
こんな陽気ではナシでも食べてみようかとは
なかなか思っていただけないようです。

9月下旬ごろに盛りを迎えるナシの品種に
「あきづき」や「南水」があります。



これが「南水」。
長野県の農業試験場が開発したナシで
南信州の特産にしたいということから命名されたとか。
糖度が高く、保存性もあるといわれますが、
ある種の病菌には弱いとされています。
こくのある甘さは好き嫌いの分かれるところかもしれません。



これが「あきづき」。
細かい肉質で、さっぱりとした甘さです。
「9月の幸水」といったところでしょうか。
特に特徴的な味わいというのはないのが
短所でも長所でもあるようです。

「南水」と「あきづき」の写真を見比べて
その差はわかりますでしょうか。
どちらも変形が少なく、扁平の形をしています。
実物を見てもまだ見慣れていないせいか、
迷ってしまいます。
いまのところ、タイトル写真のような“へそ”があるのが
「あきづき」と理解していますが、
食べ比べればはっきりするのですが、はてさて…

「あきづき」はこれからの有望品種といわれ、
市場でも徐々に出荷量が増えるにつれ
高い評価をいただいてきたようです。

「豊水」も「新高」も「南水」もそれぞれ
特徴的なおいしさを持っていて、
それぞれのファンのお客様がいます。
ただ、生産者にとっても販売流通業者にとっても
これまでいくつか報告してきたようにそれぞれ問題を抱えています。
できるだけ無難な品種でという気持ちは理解できますが、
でも、いろいろな味を選んで楽しめるということが豊かさであるなら、
「あきづき」だけが流通するような事態には
なってほしくありません。

生産者としては
それぞれの品種のファンがいらっしゃる限り、
本当のおいしさのナシを提供するのが目標でもあるし、
使命でもあると考えています。

虫共のちから付きたる彼岸哉(杉風)

2008年09月28日 | 今年の梨づくり
急に涼しくなりました。
虫の声も小さくなったような…

ナシの収穫は「豊水」を終え、「新高」に移っています。
新高もまた甘くおいしくできて上がっているようですが、
実は問題が起きています。

今年の夏の暑さと乾燥のせいでしょう。
いわゆる焼け玉と裂果でロスが多くなっています。

たとえば写真。
尻の部分にひび割れが生じ、ひげのようになっています。
それがひどくなるとそこから割れ目ができて、
割れ目から腐敗もはじまっています。

これらの障害果を畑に捨ててしまうのは
なんとももったいない。
わざわざナシを買いにお見えになったお客様に
ナシを煮てみませんかと
すこしづつお持ちいただいています。

ワイン煮にしてもいいし、
相対的に肉質の固い新高ですから、
煮ナシにはぴったり。
糖度はあるので好みで甘みを加えながら火を通し、
最後にレモンで風味づけ。
大きなかけらならコンポートのようなデザートに、
細かくして火を通せばプレーンヨーグルトに添えるジャム代わりに。

本当は焼肉のタレだとか
冷凍して保存し韓半島の料理のように
業務用にでも使ってもらえればよいのですが、
どなたか加工原料に使いませんか。

今年は初めての試みですから
お試し用としてご用意いたします。
うまくいきそうなら多少でもお代をいただければ幸いです。

ただし、毎年、大量に出るというのではありませんので、
あしからず。

こほろぎのしとどに鳴ける真夜中に喰らう梨の実のつゆは垂りつつ(若山牧水)

2008年09月23日 | 梨の出荷
収穫が遅れていた「豊水」もようやく
終わりを迎えています。

空梅雨、猛暑、8月下旬の長雨、台風の来ないまま秋…
と、どんな天候がそうさせたのか、
今年の豊水も美味しくできたようで反響がたくさんありました。
やっていることは変わらないのですが、
こうして予想以上の出来になるというのは
お天道様のおぼしめし。

燃料費や肥料費の高騰、
農薬飛散や剪定枝の焼却煙へのプレッシャーなど、
いいことない続きのナシ農家へのせめてものプレゼントととして
ありがたくお受けしたいと思います。

そんな豊水の実に変わった虫が取りついていました。
尾というか腹を上に持ち上げて威嚇しているのか、
どんな虫か最初は見当がつきませんでした。



よく見てみると足が8本あるようで、
クモの一種でもあるのでしょうか。

啼きながら蟻にひかるる秋の蝉(正岡子規)

2008年09月22日 | ネイチャースケッチ
土曜日に台風が南海上を通過したあと、
台風一過の好天もないまま
今日もまた一時的ですが大きな雨が降りました。

雨上がり、濡れた地面に蝉が転がり、
足が宙をかいていました。

その後、この蝉は蟻に引かれるのではなく
車に轢かれていました。

まわりの田んぼには稲が残っています。
わが家も刈り始めがちょっと遅ければ
まだ刈り残していたでしょう。
その判断は勘であったり運であったりするのですが、
経験的には早めの行動の方が
良い結果を生んでいるような気がします。


更る夜や稲扱き家の笑い声(万乎)

2008年09月21日 | 今年の米づくり
消費者自らが米作りに参加する納得米prj.の籾摺りも終了し、
わが家の今年の米作りも終わりました。

2枚の田んぼで行われた除草剤を使わない今年の米作り。
一枚は10a当たり10表の収量があり、
平均でも10a当たり8表。
収量的にも合格点でしょう。

食味?
もちろん自らの手で実らせたのですから
お金で買えないほどの美味しさのはずです。


米袋に入れられた納得米prj.の玄米は当面、
昔ながらの「穀入れ」に収められました。
「穀入れ」とは一坪の空間で、
囲う6面がすべて板で仕切られ、
校倉造りのような調湿機能があるようです。

前面は「落とし板」?になっていて、
全面を開放することも
一枚ごとに板を抜いて適当な高さで
収蔵室を開くことができます。

一番下の板には
10cm四方ほどののぞき穴のような差し戸がついています。
もしかしたら
この「穀入れ」は袋に入れた玄米を収めるのではなく、
籾のまま保存し、
必要な分だけ下の口から掻き出していたのかもしれません。

この「穀入れ」は昭和初期、戦前に作られたようです。
なぜ板戸になっているのかと聞いたことがあったのですが、
収蔵室を開けるのに一枚一枚の板を動かさなければならず、
時間がかかる。
それに手を滑らせると板が板に当たりパタンと高い音がする。
そんなこんなで盗難されにくいからではないかとのことでした。
建築学的には他の呼び方があって、
きちんとした機能があるのかもしれませんが。

新米を食うて養う和魂かな(村上鬼城)

2008年09月19日 | 今年の米づくり
2日続けて籾摺り作業をしていました。

籾摺り機というのは
ふたつのゴムローラーのあいだに籾を通し、
その摩擦で籾殻を外すという仕組みです。
籾の大きさもいろいろですから
一回と通すだけですべての籾殻が外れるわけでなく、
分別して再度、ローラーを通すということになります。

最近の籾摺り機は傾斜したトレイの上にも乗せて揺らすと
玄米(左側、高い方)と籾(右側、低い方)に分かれます。
籾はもう一度ローラーの間を通すようになっています。

さらに小粒の玄米を選別して袋詰めします。
ここまでは機械でやってくれます。
大規模なユニットがない農家ではここからが重労働です。
30kgの米袋を保冷庫
あるいは穀入れと呼ばれる倉庫に収納するのですが、
当然ながら人力。

順調に作業を進めていたのですが、
もう少しで終了というあたり、10kgほどの米袋を持ち上げた時、
腰にいやな感じが…
30kgの米袋を百袋も動かしていた時にはなんでもなかったのに…

5kgぐらいの重さまでならどうにか持てるのですが、
それ以上となると
腰のあたりにキヤキヤと電気が走るっていうやつです。

さっそく翌日になってから
かかりつけの針の先生のところへ出向いたところ、
軽度のぎっくり腰といえばぎっくり腰だけど
疲労性のものだろうとのこと。
残念ながら加齢から来るものかも…
肩から腰から足までパンパンですよって
ちょっとつぼを触られただけでビクン。
どうりでナシの収穫中、足がだるかったわけです。

十六夜はわづかに闇の始(はじめ)哉(芭蕉)

2008年09月15日 | 今年の納得米づくり
昨夜の中秋の名月は姿が見えましたが
満月のはずの十六夜の今夜は小雨が降ってきました。
(十五夜は必ずしも満月ではないとのこと)
台風に刺激された前線が延びてきて
しばらくぐずついた天候になるという予報です。

これからどんなに雨が降ろうともわが家の田んぼは安泰です。

ここ連日、午前中はナシの収穫。
出荷は家族にまかせて午後から稲刈りという日が続きました。

今日は納得米プロジェクトの稲刈り。
これで全ての田んぼの稲刈りが終わりました。
ギリギリセーフでした。

一枚の田んぼは倒伏するくらいの稲でしたから
収量はあったようです。
面積からの計算上は楽に入ると思われたのですが、
刈ってみたら乾燥機に籾が入るきるか、
きらないか冷や冷やするほどの収量になりました。

開花期の天候に影響を受けたのか、
早い時期の米ほど収量があったとか。
これでは政府発表のとおり、米は豊作のようです。

9月11日の梨の収穫・出荷

2008年09月11日 | 梨の出荷
ただいま豊水の収穫・出荷中です。

豊水の収穫・出荷は例年よりも遅れていますが、
ようやく軌道に乗り始めそうです。
本日の発送は7月20日前後にいただいたご注文分でした。

秋麗の出荷は終了しました。
まだ珍しい品種ということもあり、
大きな反響がありました。
来年以降、増産できるよう努力します。

「かおり」は次に13日に道の駅直売所へ出荷する予定です。
今年の「かおり」は美味しくできているようです。

上行(うえゆく)と下くる雲や秋の空(凡兆)

2008年09月10日 | 今年の米づくり
明日は温帯低気圧の影響で雨になるというし、
沖縄付近にある台風13号も不気味な存在だし、
今なら田んぼも乾いているし、
こんな気持ちのいい天気にできるなんて何年かに一度
ということで、
えい、やー!と少し稲刈りをしてしまいました。

考えていることは皆同じのようで、
あちこちでコンバインが走り回っていました。

いろいろ言い訳をつけたところで、
やっぱり青かったようです。
乾燥機計測で水分が23.7%。

わが家の米の先生の米も同じような数字でした。
乾燥させる燃料費もバカにならない。
こんな高い数字で刈り取ったことはないとも
話していました。

これで当面の米は確保できましたので
残りはじっくりと熟すのを待つことにしましょう。

梨むくや甘き雫の刃を垂るる(正岡子規)

2008年09月08日 | 梨の出荷
「かおり」も熟してきたようです。

「かおり」のある畑に3日ぶりに収穫にでかけてみますと、
一本の木で5、6個の実が落ちていました。
まだ青いと思っていたのですが、
食べてみると甘くなっています。
今年は美味しい年のようです。

この収穫直前に落果してしまう性格がなければ
もっと良い品種なんでしょうが、
そういうナシを産地化しようと
隣の鎌ヶ谷の農家はがんばっています。

わが家はほんとお付き合い程度にしか
植えつけていませんが、
「秋麗」と違って綺麗なナシで
つくり方によっては1kgにもなります。

少量ですので、道の駅直売所へときどき出荷しています。

道ばたの小さき畑に棚つくり蔓茘枝(つるれいし)の実のつぶらになれる(土田耕平)

2008年09月07日 | ネイチャースケッチ
夏の間、伸びて伸びて、
どこまでも伸びるのかと思われたゴーヤの実が
黄色く色づいてきました。

青いうちに食べてしまうと
しまいにはこんな黄色や鮮やかな赤色の種になるのか
想像もつかないものですが、
今頃、あちこちでこんな光景がみられるのではないでしょうか。

というのも、最近はその成長力が着目され
建物の壁に沿って這わせ緑のカーテンに利用するという
当たらしい利用法が注目されています。

ゴーヤの日陰は、日なたに比べ2.6℃、
ヨシズの日陰に比べ0.7℃低くなるという試験結果もあるようです。

わが家でも来年は食用だけでなく、
ヨシズの代わりにゴーヤの緑のカーテンをつくりますか。

よの中は稲かる頃か草の庵(芭蕉)

2008年09月06日 | 今年の米づくり
6月に見学した
印旛沼湖畔の冬季湛水田が気になっていたものですから、
近くまで出かける用事があったのでちょっと足を伸ばして
をみてきました。

周辺では稲刈りが始まっていました。
幸いにも冬季湛水田んぼではまだりっぱな穂が垂れていました。

部分的にヒエが繁茂している箇所もみえますが
おおむね雑草は抑えられているようでした。



慣行栽培の田んぼと比較すると
生育や色づきが少しまばらのようですが、
不耕起田んぼのストレスの差に応じて生育してきた
力強さを感じる稲です。


実験圃


対照圃


途中にどのような管理をされ、どのような問題があるのかは
外から見ただけですのでわかりません。
機会があれば耕作者のMさんに伺ってみたいものです。

三日月のにほやかにして情(なさけ)あり(高浜虚子)

2008年09月05日 | 今年の米づくり
今夜は三日月ではありませんでした。
六日月ぐらいだったでしょうか。

週初めの天気予報では4,5日、雨模様が続くようでしたが、
幸いにもはずれてくれて良い天気が続いています。
週末の予報もそれほど大きな崩れにはならないような気配です。



今年の稲は葉色の色落ちの割には
籾の熟度は進んでいないようです。

わが家では来週あたりに稲刈りができるかもしれません。
三日月さん、情があるなら予報通り雨を降らせないで。

稲の穂の伏し重なりし夕日哉(正岡子規)

2008年09月04日 | 今年の米づくり
作業場前のバケツ稲です。
左側の稲は倒伏しそうですが、
右側はしっかりと立っています。

同じ苗です。
肥料成分が多少違うかもしれませんが、
はっきりと違うのはバケツの中の土です。

倒れそうな左側は今年バケツに入れた新しい土。
右側はバケツ稲、三年目の土。
耕したりしていませんから、当然、固い土です。
この違いが稲の姿に出てきたとはいえないでしょうか。

とすると、不耕起の田んぼなら倒伏しにくい?
とにかく倒伏しにくい田んぼにするためには、
中干しをしっかりやることが大切なようで。

今年の田んぼをみると、
例年よりも倒伏している田んぼが多いような気がします。
強い雨があったりもしたのですが、
籾が猛暑の影響を受けないよう
真夏、深水管理をしたために地盤がゆるんでしまった
ということもあるのかもしれません。

落栗に思ひがけなき菌かな(桃隣)

2008年09月03日 | 梨の出荷
落栗ではなく、
ナシ主枝の粗皮から白いキノコがでていました。
連日の雨模様を物語っているようです。

昨日、今日とこちらは良いお天気です。
条件の良い田んぼでは稲刈りが行われていますが、
明日からまた雨模様という予報の割には
田んぼに人の姿はそれほどの数ではありません。

ぬかるんで機械が入れる条件になっていないのか、
見た目よりも熟度が進んでいないのか。

先日より豊水の収穫を始めましたが、
幸水同様、豊水も熟す速さはのんびりのようです。



「秋麗」も本日、二回目を道の駅直売所に出荷。



まだ収穫時期に確信が持てないのですが、評判は上々。
次の道の駅直売所への出荷は金曜日か土曜日を予定しています。
すでに予約のお客様が…