のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

Let it be positive

2007年01月31日 | 農のあれこれ
民間稲作研究所記念イベントの第3部は、昨年末に成立した有機農業推進法に関するシンポジウム。

画期的な内容でありながらマスコミ等ではほとんど取り上げられなかったためにいまだ広く知れ渡っていないのが残念と、法律成立に携わった関係者が集いました。

文字を詰めればA4用紙2ページに収まってしまうような短い法律の何がすごいのかといえば、第3条「基本理念」に集約されているそうです。

① 有機農業は誰もが取り組める農業でなければならない
② 有機農業で生産される農産物は、消費者みんなが入手できなければならない
③ 生産者と消費者が協働して進めなければならない
④ 自主性を尊重して推進しなければならない

第4条では、国および地方公共団体に有機農業推進に関する施策を総合的に実施する責務があると明記しています。しかも、農業者その他の関係者および消費者の協力を得て進めなさいとなっています。第15条でも、施策の策定において有機農業者等の意見を反映させなければならないとされています。

生産者等が主となっているこの法律は、日本有機農業学会が試案。超党派の議員連盟が取りまとめて議員立法化。審議中、農水大臣が「私ども農林水産省挙げてこれはもう歓迎しておりますし、感謝をいたしております」というコメントを出したといいます。「奇跡の法律」とも呼ばれているそうで、もしかして「できちゃった法」?。

第7条(推進計画)だけ原案から修正されたそうです。推進計画を都道府県が策定することになっているのですが、「定めるよう努めなければならない」と努力目標にされてしまったそうです。

いずれにせよ、これからどう実現させるかどうかが、われわれに課せられた課題。特別な有機農家により目標を達成させるのではなく、すべての農家が少しずつ有機に取り組むことにより目標を達成させることの方が意味があると、研究所長のIさんがシンポジウムをまとめました。議員連盟事務局長Tさんのまとめは、Let it be positive (前向きに)でした。

願うこと、願い続けること、…

2007年01月30日 | 農のあれこれ
民間稲作研究所記念イベント第2部は、コウノトリで有名な兵庫県豊岡市長による記念講演会。

コウノトリの保護・増殖をはじめて40年あまり。有機稲作田んぼの面積も増え(全農地の15%)、自然放鳥も実現し、これまでの取り組みの成果がようやく現れ始めたといいます。

これからはコウノトリブランドを特産品や観光客誘致に生かして、環境と経済が共鳴するような地域社会を作り上げる「環境経済」戦略に取り組んでいきたいと熱く語っていました。「持続可能性」「自立」「誇り」をキーワードに、経済と“知”の集積をめざすまちづくりに取り組んでいるそうです。

地域全体がコウノトリ中心に回り、しかもそれが良い結果を生み、さらに地域がコウノトリ中心に回っていく。そういう地域の躍動感が伝わってきました。なにより住民の方々がそういうまちを「誇り」に感じていることが、羨ましく感じました。

有機稲作を始めた農家が「田んぼが自然界の法則にしたがって動いている」と驚いたというエピソード。上の写真で右下に写っている女性を探し出したところ、女性が本人かどうかは分からないが、この牛は自分のうちの牛だと断言したというエピソード。その女性は写真を見ながら「あのころは、心が豊かだった」とつぶやいたというエピソードも紹介いただきました。

最後に、市長のメッセージ。「願うこと、願い続けること、…(もうひとつあったのですが、思い出せません)。魅力的な人々の暮らすまちを訪ねてみたくなりました。

田からのものは宝物

2007年01月29日 | 農のあれこれ
27と28日、宇都宮市で行われたNPO法人民間稲作研究所創立10周年記念講演およびシンポジウムに参加してきました。200名余りが参加していました。

このイベントは三部構成。

第1部のシンポジウムでは、農家と研究者のパネラーがそれぞれの立場から「除草剤を使わないイネづくり」から「いのち育む有機稲作」へ進展してきた民間稲作研究所のこの10年間の歩みを紹介しました。

山形県のHさんは、「水田雑草と戦う」のではなく「雑草を眠らせる」農法として、慣行の乾田理論に対する水のある生態系である「雪水田んぼ」を提案しました。

栃木県のTさんは、「除草」でも「抑草」でもなく有機物として雑草を生かす「増草」による有機稲作を提案。工夫するには目一杯の農業では無理ともいいます。

兵庫県のYさんは、有機稲作の農法的なノウハウが蓄積されてきたとはいえ、一つの農法によりすべての田んぼで有機稲作が可能になるのではなくスランプに直面することも事実。そんな時は「来年こそ、来年こそ」という「百姓の来年」を合言葉に頑張ろうと、仲間達にエールを送っています。

研究者のHさんは、慣行稲作の理論的支柱である「V字型稲作理論」は稚苗型田植機の開発・普及のなかで利用されてきたと紹介。研究所は農薬に依存しないイネの持つポテンシャルを引き出す農法を体系化してきたと評価しています。

同じくIさんも官庁指導型の技術では「指導が百姓をだめに(宇根豊)」し、労働が疎外されてきたと指摘。理論と現場、研究者と農家が対等の立場で協力してきた研究所の姿勢こそ、新たな生物技術を構築するための条件であると位置づけています。

Mさんは農業土木研究の視点から圃場整備により田んぼから生き物がいなくなったという反省の上に立ち、「田んぼ生態学」を提唱。有機稲作田んぼがはたして生物が豊かどうかも検証しなければならないと問題提起も。

「宝物」は「田からのもの」であるというどなたかが発言されたフレーズが心に残った第1部でした。

寒さが足りない…

2007年01月27日 | 冬の梨畑
東京では気温が15℃を超え、3月下旬並みだったとか。春でもないのに、朝もやがかかっていました。

朝のラジオでも、今年は寒さが足りず、樹木が休んでいないのではと話題にしていました。このまま暖かくなっても、必ずしも桜の花が早く咲くことはないとも。なぜなら、一度、寒さに会うことで休眠し、暖かくなったところで開花の準備を始めるといいます。

ナシでも同様な話があります。暖かい九州地方のナシ産地では花芽を確保することが難しいといいます。今年は剪定をしていても、切り口が水滴でにじむようなことがあります。寒中なのに。春の彼岸近くになっているかのようです。

こんな状況ですと、いっせいに開花せず、だらだらと開花して交配がうまくいかなかったり、開花後の遅霜や降雪の可能性も高くなります。当然、冷夏も…。うーーん、考えたくなーーい。

柏にシンデレラボーイ

2007年01月26日 | 柏レイソル
今日の朝日新聞夕刊スポーツ欄の目玉記事です。柏レイソルにアマチュアの地域リーグから選手が加入したという内容です。

21歳FW・池元友樹という選手。地域リーグ・ニューウェーブ北九州に在籍していたとはいえ、U19代表に選ばれたという経歴からも活躍が期待されます。地域リーグというのは、J1,J2,JFLに次ぐリーグ。工事現場で自給800円の仕事をしながら、夜にサッカーの練習をしていたといいます。

確固としたゴールゲッター不在のレイソル。スカウト下さん?のお手柄になるかどうか、見定めるのも今年の楽しみになりました。

我を見てにがひ顔するふきのとう

2007年01月25日 | ネイチャースケッチ
一日、冬らしい西風が吹いていました。空気も乾燥していたので、剪定枝を焼却するのは控えました。毎日、焼却するという処分方法も、本来の天候が続くと成り立たないのかもしれません。

陽だまりではふきのとうが顔を出していました。食べた時を連想して苦い顔をするのは人間の方でしょうけど…

元は次の句。

我を見てにがひ顔する蛙哉(一茶)


梅しんとしておのづから頭が下がる(一茶)

2007年01月24日 | ネイチャースケッチ

先日、東京では梅が咲いたといいますが、我が家の玄関前の梅はまだつぼみです。しかし日一日、膨らんでいるようで、開花は近いかもしれません。梅って「気がついたら咲いていた」って印象ですが、どうなんでしょう。

寒い季節に一輪だけ咲いているだけで、なんとなく尊いようで、おのづから頭が下がってしまうのでしょうねえ。

大豆、籾殻、米ぬか、…

2007年01月22日 | 農のあれこれ
知り合いのかき餅屋さんから米ぬかを取りに来ないかと連絡があり、軽トラックいっぱいの米ぬかをもらってきました。偶然ですが、大豆籾殻、米ぬかと身近な有機物の話が続きます。

米ぬかはいっとき、前回のブログで紹介した籾殻に近い状態でしたが、有効な農業資材として注目されていることから、ここ数年、ひっぱりだこで、価格が高騰しているようです。いかに有利に米ぬかを入手するか、それとも諦めて化成肥料で済ますか。そんな感じです。

ですから、こんな話があったら、作業が立て込んでいても、即、行動です。朝方まで小雨が降っていたので、剪定枝が濡れていました。タイミングもこれ以上ありません。

身近な有機質を土づくりに利用するにはこういう手間をかけなければならない、というのが現実です。米ぬかがまだ足りませんが、大豆、籾殻、米ぬかと一応、春からの土づくりの主役たちが揃いました。

籾殻は余り物ですが

2007年01月20日 | 冬の梨畑
大規模に稲作をしている友人のところから、60Lのビニール袋で200袋近くの籾殻を引き取ってきました。

個人や土地改良区などで暗渠工事のような田んぼの基盤整備事業でもあれば引っ張りだこですが、そういうことでもないと処分に困ってしまうのが籾殻です。かつてならくん炭とか堆肥の材料にするとか、いろいろと利用価値があったのですが、くん炭にするにも周辺への煙害を気にしなければなりませんし、大量な籾殻ですと堆肥にするのも限度があります。各家々で稲刈り、脱穀をしていた頃は、量的にも少ないので有効活用していたのでしょうが、近頃はライスセンターのような稲刈りの作業委託を受けるような事業体に籾殻が集積してしまうというのも、籾殻処理の問題を引き起こしている原因の一つでしょう。

ということで梨畑です。普通畑に散布して地中に入れてしまうと、籾殻が分解する時に窒素分を吸収してしまいますので、あまり好まれないようです。その点、わが家の梨畑なら基本的には不耕起。地表を被う有機物として使えるであろうというわけです。

        

わが家では梨の株元に籾殻を置いて、抑草効果をねらうことにしています。そのうちに周辺に飛散し、分解するだろうと考えています。ただ、ほんとうに問題がないのかと問われれば、いろいろとご意見があろうかと思います。籾殻利用の半分はお付き合いですが、身近な有機質のひとつですから有効活用の道も探さねばなりません。

枝枯らし実を腐らせる悪玉菌

2007年01月19日 | 冬の梨畑
胴枯菌に罹患するとその名の通り、枝が枯れてしまいます。写真で中央が罹患部。左方が枝先ですが、枯れて黒く変色しています。一部分なら削って抑えることはできるのですが、枝の全周にまわると枯れてしまいます。

開花期にめしべ部がこの菌に罹患するとそのまま潜伏し、実が肥大し収穫期になって発病するというやっかいな症状もあらわすといわれています。多くの場合、収穫後、1日から数日で果芯から果肉にかけて腐乱していきます。

実は収穫時には罹患しているかどうかはわからないことが多く、罹患していると、出荷後、消費者のみなさんの手元に届いたころに柔らかくなっています。そうなると、「割ったら芯の部分が黒くなっていた」とか「なしの実が腐っていた」とお叱りをうけることになります。

芯腐れ症といわれるものです。開花期にどうしても薬剤を省けない一つの理由です。

冬木立箔を付けるかアルミ銀

2007年01月18日 | 冬の梨畑
東京では梅が咲いたというニュースが伝わってきました。暖かい…

ところで、わが家では今年の冬からアルミホイルも農業資材となりました。梨の幹や大枝を切った大きな切り口にアルミホイルを貼り付けています。

この技?は切り口が乾燥せず枯れ込みにくいといわれていて、以前から知ってはいたのですが、「なにもそこまでしなくとも」と感じていました。ところが、やはり効果があるらしいということで、今年から採用し始めました。

ふつう、剪定時の切り口には殺菌剤の入った塗布剤を塗るのですが、成分的にねらうのは殺菌効果。たしかに枝部分に胴枯れ菌が取り付かないようにしなければなりません。でも、より怖いのは幹の切り口から枯れ込んでいき、萎縮症のような症状が出てしまうことです。

アルミホイルは紫外線を防ぎ、切り口の蘇生を助けるようです。墨汁に紫外線を防ぐ効果があるかどうかは分かりませんが、今年からは切り口には塗布剤の代わりに乾燥しないように木工ボンドに墨汁を混ぜたものを塗っています。

炉のはたやよべの笑ひがいとまごひ(一茶)

2007年01月17日 | 冬の梨畑
一茶の庇護者のひとりで、松戸市馬橋在住の裕福な油商の終焉に居合わせた奇縁に感謝した句ということです。

今夜も薪ストーブの前でうたた寝をしていました。「いとまごい」しては困りますが、薪ストーブが明日のエネルギーになることは請け合いです。薪は主に間伐した梨の幹。30年生の梨の木になるとあちこち枯れが入り込んで、太い幹を切ることがあります。それらを一年も乾燥させておくと、立派な燃料となります。

一方で、細かな剪定枝を毎日、ドラム缶の焼却炉で焼いていますが、ただ燃やすのももったいないなあと感じています。剪定枝を燃料とするストーブも開発されているようで、2月にその展示会が開かれると聞いています。

重油高騰の折、温室施設の加温に利用するのもよいでしょうし、住宅の暖房に使えればなお合理的です。わが家の仕事量では今のところ、昼食前にドラム缶一杯、昼食後に一杯、夕方一杯、翌朝、前日の残りの一杯と、4回ぐらいの焼却で処理できています。これだけの熱源があるなら一日中、住宅を暖房できるのではないかと思われます。

部屋を暖房するという目的があれば、ストーブに枝をくべる作業もそれほど面倒には思わないでしょう。剪定枝用のストーブを導入すれば果樹農家の剪定枝の処理問題は解決ですよ、きっと。

月のぼれ表参道さざえ堂

2007年01月13日 | わが家の時時
昨夜、学生時代の友人たちとの会合で表参道ヒルズにでかけてきました。

地上3階、地下3階のビルですが、内部が吹き抜けに向いた6層のフロアをスロープで結んだ立体街路になっているのが特徴です。なるほど面白いアイデアです。スロープに沿ってファッション、ビューティー、ギャラリー、カフェ・レストランなど様々な店舗が並んでいます。次はどんな店になっているのかとどんどん歩いていける仕掛けになっているようです。日本酒とワインの試飲ができるお店があったのもなかなかのおしゃれです。

ただ、田舎ものにとってはファッションやビューティ関連の店舗はどの店舗も同じように見え、だんだん興味がなくなっていきます。スロープもどのくらいの斜度になっているのか、きちんとシュミレーションしているのでしょうが、高齢者がずーっと歩いていくのはちょっとつらいかなという印象でした。

残念に思ったのは、せっかくの吹き抜けの天井から光を反射させる安っぽい装飾物が垂れ下がっていたこと。明るい時間に来たことのある友人は日中でも暗い感じがしたと話していました。せっかくの吹き抜けなら自然光を入れるような工夫もあってもいいかなあ。

昨年のオープン時にはお客がごった返したことがニュースにもなりましたが、新年の金曜日の夜というのに思いがけず閑散としていました。あまりにもキレイ過ぎているのかも。