のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

君心ありて伐り捨てざりし杏かな(河東碧梧桐)

2008年07月31日 | 夏の梨畑
昨年は早稲種の「愛甘水」がやられてしまいました。

今年もハクビシンが現れたようです。
心がないのはわかっています、獣ですから。
心がないから「害獣」になってしまったのですから。

まだ「幸水」ひとつだけですが、
被害が続くようですと、
市農政課に依頼して捕獲檻を借りてこようかと考えています。

夏来れば君が瞳に解きがたき謎のやうなる光さへ見ゆ(吉井勇)

2008年07月30日 | 梨の虫
梅雨が明けて見えてきたのは「謎のような光」ではなく
ナシ畑の嫌われ者の「ハダニ」。
(写真の右の方に見られる赤い点のようにみえるもの)

空梅雨だったので危ないかもとは考えていたのですが、
ほとんどの場所では見られず、
今年も天敵のハダニが活躍してくれてありがとうという
ところでしたが、
唯一、この場所?品種?だけで見られます。

幸水の後の糖度の高い新品種「秋麗」だけで見られます。

10本弱の苗木育成中の品種ですから、
場としてたまたま「秋麗」で出てきたのか、
それとも「秋麗」が特異的にハダニに好まれるのか。
品種特性としてハダニに好かれるということになると大変です。

納豆の糸引張て遊びけり(一茶)

2008年07月29日 | 農のあれこれ
残念ながらこの納豆は糸を引きません。
原料が遺伝子組み換え大豆だからでなく、
ドライ納豆だからです。

ここで、えっ?と思われた方は鋭い感覚をお持ちです。

商品のラベルに「遺伝子組替え大豆使用」と書いてあります。

これだけ堂々と表示して国内で流通している食品は
もしかしたら唯一これだけではないかと
説明を受けて手に入れたそうです。


M社の遺伝子組替え作物の試験農場が茨城県内にあって、
そこを見学するツアーがあるとかで長男が参加してきました。
そこでのおみやげです。

詳しくは追って報告してもらいます。

雲白き夏のゆふべのあかるさに我のみ見たる君がゑまひか(新井洸)

2008年07月28日 | ネイチャースケッチ
今日の夕焼けです。

暑い暑いといいながらもあと一週間で立秋。

昨夕の雷雨で一時の涼しさを感じたか、
幸水ナシの実の中には赤みがさしてきようなものも。
試食してみると、十分に甘くなっています。

暑い夏の今年も昨年同様、ナシの糖度は期待できそうです。

麦湯冷やす手桶置きたる茂りかな(長谷川かな女)

2008年07月27日 | アグリママ
夕方、ようやく待望の雨が降りました。
雷鳴が大きくなるにつれ西の空が真っ黒になり、
あわや雹?と思わせるほどの激しい降雨。
短時間でしたが、
ナシの実の肥大にはグッドタイミングでした。


写真は手賀沼トラスト産大麦を煎ってみたところ。
麦茶にしようというわけです。

手賀沼トラストでは今年、大麦を栽培していました。
青麦5月4日の様子はこちら
麦秋5月26日の様子はこちら

どれくらい煎ればいいのか。
煎り過ぎても焦げ臭くなるし、
足りなければ風味は出ないし…
といいながら試行錯誤が続きます。

いずれにせよ煎りたての麦茶の香ばしいこと。
無農薬栽培の麦茶というのも贅沢なことです。

沢瀉(おもだか)や弓矢立てたる水の花(素堂)

2008年07月26日 | ネイチャースケッチ
いま田んぼではオモダカの花盛り。

平安時代、白い三弁の花と
鏃(やじり)形の葉の風情が好まれたそうです。
武将は沢瀉縅(おどし)の鎧を愛用し、
沢瀉を家紋としたといいます。
日本十大紋のひとつとか。



ちなみに葉脈の模様が人面に似て、
水面から高く出ていることから
「面高(おもだか)」が名前の由来とか。


手賀沼を擁する旧沼南町の家紋?もオモダカにしていたら…
甲子園!と思わせる「事件」がおこりました。

高校野球西千葉大会決勝に地元の県立沼南高校が進出。
(今年から千葉県は東西に分かれて予選を行っています)
終盤、1点差まで追い上げたものの1対2の惜敗。
よくやってくれました。

わが家から2kmくらいのところにある高校ですから
甲子園にいったらまた地元は大騒ぎ。
もっとも2回戦でシード校だった市立柏高校を負かしての
快進撃でしたから、旧柏市域では盛り上がりはいま一つか。

今夜のレイソルは後半どうにか同点に持ち込み、上位をキープ。

もし、沼南高校が甲子園切符を手に入れ、
レイソルが勝ち点を積み上げていたなら
今夜はさぞかし大盛り上がりの柏祭りの夜になっていたでしょう。

朝けよりしたたる汗を拭きゐれば這ひ出づる虫は甲虫らし(前川佐美雄)

2008年07月25日 | ネイチャースケッチ
連日、暑い日がつづいてナシの生長にはよしよしと
思ってはいるのですが、
度が過ぎるというのも困ったものでいい加減雨でも欲しいところです。

今夕など雷雨に期待していたのですが、
ぎりぎり柏市北部までしか雨が降らなかったようで
このあたりはほんの数滴、パラパラと…

スプリンクラーの設置もできればしたくありません。
お天気予報の傘マークにすがりたい気分です。


この暑さに元気なのはカブトムシ。
ドンドコ湧いてきてナラの木にしがみついています。

最近は業者のような方々が
あちこちの雑木林を回っている姿が見られるようになりました。
子供を連れ大人たちが一生懸命虫を捜しているのが
ほほえましく思えるほどです。

虫取りも礼儀をわきまえない輩が増えているのも
目に付きます。
幹に切り込みを入れてむりやり樹液を出させたり、
わが家のナラの幼木などこんな有り様です。



幼木の幹をこんなふうにぶっつりときってしまったのでは
生長が止まってしまうだろうが!

ムシの止まり木にでもしたかったのでしょう。
業者ではないでしょう。
自分勝手な行動はどこまで行けば気が済むのでしょうか。

苗木を植えて5年もすればカブトムシが寄るくらいに
大きくなるのだから身の回りに植えてくださいよ。
わが家はそうしているのですから。

梅雨開けて真日照りひろき柔葉はみなぐつたりとわがごとくあり(前川佐美雄)

2008年07月21日 | 夏の梨畑
例年通り梅雨が開け、
暑い夏になるとあちこちから伝わってきます。
梨農家としてはこれほど望ましいことはありません。
今年も美味しい梨をお届けできると期待しています。

久しぶりの果実定点観測です。

春から見てきた豊水の実は55mmぐらいになっています。
まだこんなもの?と思われるかもしれませんが、
豊水の収穫までにはまだひと月以上もあり、
これから急激に生長していくものです。
まあ、こんなものでしょう。

豊水は今、大きくなりつつあるところで、
その重さに耐えられない実の軸が折れる「軸折れ」という
現象が見られます。
それが一段落したところで最終的な摘果を行います。
幸水の収穫開始の直前まで行います。

それでは幸水はどうかとみたところです。



これは特に大きな実を選んで横径を測って見ました。
78mmぐらいあります。
今年は実の太りが悪いといわれてきましたが、
ここに来て伸びてきたようです。
大丈夫です。
今年も大きな実になりそうです。



その隣にあった「かおり」です。
やはり78mmぐらい。
収穫まで2ヶ月近く。
この実は1kg以上の重量にまで大きくなりそうです。

こちらは幸水よりも早く収穫できる「愛甘水」。
昨年はほとんどをハクビシンに食べられてしまいました。
さて、今年は人の口に入るでしょうか。



こちらは10月下旬に収穫する「王秋」。
マンゴーではありません。



梨の収穫シーズンまであと2週間ぐらい。
作業場では段ボール箱が納品されました。
今年も梨園はにぎやかになりそうです。

らむね呑むほどは銭持ちて行くならし。村若い衆も遠き踊りに(釈迢空)

2008年07月18日 | 農のあれこれ
16日から18日まで幕張メッセで
『アグロ・イノベーション2008』という
企画展示会が開かれていました。
わが家の父、母、息子の3人が研修目的で出かけてきました。

この展示会は単なる農業に関する生産技術の専門展示会ではなく、
農産物物流システム展や
環境共生型農業・バイオマス利活用に関する展示、
農学系各大学の研究室の紹介など
いくつもの性格の異なる展示・情報発信が同時に開催されるという
特色がありました。

若い入場者の姿も多く見かけましたが、
全体の入場者数はどうだったのでしょうか。
主催者側としてはもう少し数が欲しかったのではないかと
思われました。

農業・園芸生産技術展というと
どうしても施設園芸の分野に関する施設や資材が中心となります。
燃料費の高騰などで施設野菜農家が元気が出ないことも
反映しているのかもしれません。
気のせいか、韓国や中国、オランダからの出展業者の
元気さが目に付きました。

それでも、適正農業規範(GAP)やら
簡便残留農薬農薬検査システムなど興味深い情報が得られました。
詳しくは別の機会に

隣のホールでは19日からのスターウォーズイベントの準備で
忙しそうでした。
来年3月には同会場で『国際食品・飲料展』が開かれ、
2400社余りの全国の生産者・業者とバイヤーの商談の場となるようです。
アジア最高の食品展というふれこみ。
試食や試供品など、こちらのほうが楽しみが多いかも。

夢よりも現(うつつ)の鷹ぞ頼母しき(芭蕉)

2008年07月17日 | 農のあれこれ
17日は七十二候の
「鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)」。
その意味は「タカの雛が飛ぶことを教わり覚える頃」とのこと。

昨日16日は千葉県北西部、東葛飾地域の指導農業士会と
東葛飾農林振興センターの新規就農セミナー生との交流会でした。

指導農業士とは担い手育成活動などにあたるよう
県知事より認証された農業者で、東葛飾地域には40名がいます。

セミナー生とは正式には「農業経営体育成セミナー生」と呼ばれ、
新規就農者が実務につきながら3ヵ年にわたり研修を重ねて
一人前の農業者に育てようというもの。
農林振興センターの基幹事業のひとつです。

野菜と果樹グループに分かれ、現地視察および意見交換。
わが家の父は指導農業士として、
長男はセミナー生として参加しましたが、
親子が同席する交流会というのも座持ちの悪いこと。

皆さんは農家後継者ではなく、
東葛飾地域の農業後継者、ひいては日本全体の農業後継者です
と、例のごとく持論をぶちあげてそそくさと交流会をあとにしました。

縁側に吾子とならびて朝つゆに濡れたるばらの花を見にけり(三ケ島葭子)

2008年07月15日 | 今年の梨づくり
わが家の姉娘が調理実習でつくってきた
千葉県の郷土料理「太巻き寿司」です。
バラの花を形どっているといいます。



他にもモモ(右下)、ツバキ(上)も。
初めてにしては上手、上手。

さて、今年のナシのダイレクトメールがようやくできあがり、
明日以降、順次発送します。

本年もよろしくお願いします。

白南風の光葉の野薔薇過ぎにけりかはずのこゑも田にしめりつつ(北原白秋)

2008年07月13日 | 今年の納得米づくり
梅雨中に晴れ間のある状態、とくに梅雨の明ける頃の南風を
白南風(しらはえ)というそうです。
今日なんてまさにそういうお天気。

手賀沼干拓地の田んぼの上には
夏とは思えない雲が見られました。

納得米プロジェクトでは
取り残されていたコナギ等の田草を拾い集め
中干しに入りました。

そこでちょっと不思議な草?を発見。



土の中から白い細いロープのようなものが伸びています。
植物だとは思うのですが、はてさて何でしょう。

風吹けば蓮の浮き葉に玉越えて涼しくなりぬひぐらしの声(源俊頼)

2008年07月12日 | ネイチャースケッチ
今日は七十二候のうちの「蓮始開 はすはじめてひらく」とか。
手賀沼トラストで管理している花ハスも咲き始めているようです。

旧暦のうえでは
小暑のあとの壬(みずのえ)の日が「梅雨明け」だとか。
昨日11日がその壬の日。

実際、ここ数日、梅雨が明けたかと思うような天気です。
ニーニーゼミもヒグラシも本格的に鳴きだしています。
今日の午後には雷も鳴り出し、明日からは夏?って感じ。
でも週間予報をみるとまだなようで。

梅雨がまだ明けなくとも今日ぐらいのお日様と気温が続いてくれれば
ナシの実の肥大も期待できるのですが。

写真は昨日の夕方、西方の雷雲。

古き籠に書物と着物を詰め入れて吾子は試験に旅立ちにけり(島木赤彦)

2008年07月10日 | 農のあれこれ
今年の「第57回全国ナシ研究大会千葉県大会」が
9日、10日の2日間、千葉市を中心とした会場で行われ、
県内から500人余り、県外からは700人余り、
全体で1300人弱のナシ生産農家、関係者が集いました。

わが家の父も実行委員の一人として参加。
初日は駅からの誘導係と交流会会場へのバス添乗、
2日目は産地視察のバス添乗が任務。
反省する部分があるも事故もなく終了して一安心。

大会テーマは『ナシ産業を次世代へつなぐ産地づくり』
初日の事例発表では県外の二人の方が
興味深い話題を提供してくれました。

栃木県のTさんは大規模にナシを栽培する中で、一部、
収穫時期を早めるためにハウス栽培を取り入れていましたが、
後継者の就農を機にブドウとナシの根域制御栽培も導入。
経営の安定と拡充を図っているといいます。

根域制御栽培とは畑に苗木を植えつけるのでなく
ポットのような土量に制限のある場所に植え付け、
生産環境を人工的に制御してより効率的な生産をめざすもの。

ナシをハウス内で栽培するという栽培方法は
収穫時期を早めて有利に販売したいという産地だけでなく
住宅にはさまれた畑で農薬飛散の問題を抱える
都市域の産地でも注目されています。
近々ナシハウスがわが家の近くでもお目見えするかもしれません。


県外発表者のもう一人は鳥取県のKさん。

Kさんは東京都世田谷区出身で、
鳥取県が開発したナシモデル団地に新規就農、入植した一人。
生活体験希望者が研修を重ねながらモデル園を造成し、
リース方式で果樹団地に入植するという事業。

鳥取で生産したゴールド二十世紀を
実家のある世田谷区で直売したいという夢を語ってくれました。

生産者の高齢化、減少に抗するための施策ですが、
まさに「農家後継者の育成」でなく「農業後継者の育成」。
これからのキーワードだと思います。

梅雨の雷何か忘れゐし胸さわぐ(加藤楸邨)

2008年07月07日 | ネイチャースケッチ
明け方、雷の鳴る音で目が覚めました。

もう梅雨が明けるという知らせかと思いました。
週末、蒸し暑い夏のような天候でしたから。

明日から晴れのマークばかりだった週間予報が
夕方の予報では明日8日だけでなく9日も傘マーク。
10日も怪しそう。

9,10日はナシの全国研究大会が千葉で行われるので
なんとか雨が降らないでほしいのですが…

写真は4日夕方の北の空。