のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

小夜時雨、三寒四温、寒の雨

2009年01月31日 | ネイチャースケッチ
寒に入って九日目に降る雨は「寒九の雨」といって
豊年の兆しとされるそうですが、
とうに九日目は過ぎています。
先週、天候が変わったかと書きましたが、
本当に変わってしまったようです。

これから植物の芽が動き出しますので
恵みの雨にはなるでしょうが、
外仕事が進みません。


天候が不安定なためなのか、最近、訃報が多く届きます。

うつし身は現身(うつしみ)ゆゑになげきつとおもふゆふべに降る寒のあめ(斎藤茂吉)

武器は頼れる仲間たち

2009年01月30日 | 農のあれこれ
シンポジウムのお知らせです。

業界の殻を割って、
農商工連携による新たなビジネスチャンスを掴むための
農商工等連携シンポジウム&産業交流会なのだそうです。
柏市産業政策課の仕掛けで
今回は「農」で勝負しようという企画です。

事例発表者の方がすごい。
凍結技術により鮮度保持システムを開発し、
「ガイアの夜明け」などのあちこちのマスコミでも取り上げられている
(株)アビーの社長さん。
道の駅とみうらを経営し、地域振興の実績を積んできた
南房総琵琶倶楽部の部長さん。
この方々の話を聞くだけでも価値がありそうです。

これらの方々をパネラーにして
「売れた儲かった!」というパネルディスカッションも行われるのですが、
なぜかわが家の父もパネラーの一人に引きづり出されて…
儲かった経験はないし、他の方々と次元の違う世界におりますゆえ
まったくもって途方に暮れております。

そんな困惑している立場でありながら
いろいろな方との出会いに期待もしています。

2月12日(木)14時~18時 東葛テクノプラザ
先着100名 参加費無料
問合せ先は産業政策課

やぁ、信念は、死なない

2009年01月29日 | わが家の時時
「チェ」とは「やぁ」ぐらいの砕けた挨拶だそうで、
じゃりん子チエではありません。

浦和レッズのサポーターたちがこの人の肖像画を掲げていたり、
まだまだ影響力のある英雄です。
そんなエルネスト・ゲバラの生と死を忠実に描いた映画といいます。
二部作の前編『チェ 28歳の革命』を
夫婦50割で先週の雨の日に見てきました。

最近は
有機農業で食糧自給を試みていることで注目されるキューバです。
いろいろあるでしょうが医療費、教育費が無料というのは
わが身を鑑みれば一つの理想的国家の姿といえるでしょう。
なぜそんな革命が可能だったのか。
若い時分に興味を持ったことはありましたが、
一種の通過儀礼で終わっていました。

なるほどフィデル・カストロと弟のラウル・カストロと
ゲバラの関係というのはこんなだったのだろうなあと
思わせる場面がでてきます。
もっと史実や背景を理解していれば楽しめただろうにという
ついていけない場面もありました。

もともと後編の『チェ 39歳の別れの手紙』を作るのにあたって
その前段がないとなぜこうなったかがわからないだろうと
いうことで前編ができたそうですから、
やはり31日から上映される後編も見に行かねばなりますまい。

オバマやゲバラがもてはやされる時代というのは
本当は不幸な時代なのかもしれません。


笑ふすべ泣くすべ知らず父母はまめやかにしも我を育てき(佐々木信綱)

草の上に丸々として飼はれたる兎の冬のぬくみをおもふ(岡稲里)

2009年01月26日 | 冬の梨畑
年末に播種したライ麦の芽がまだ出ないかと
ナシ畑の地面に目を凝らしていたら、
あちらこちらにころころと。

今まで兎の気配を感じることの少なかった畑で見つけました。
ライ麦はまだ出てきていませんが、
陽だまりの冬草がかっこうの餌になっているのでしょう。
ねぐらは近くの公園の中にでもあるのでしょうか。

未来から見て今なにをしなければならないのか

2009年01月24日 | 農のあれこれ
「わたしたちの責任」が先日の新大統領就任演説のポイントとか。
なるほどと思いながら、
何も政治のことだけでないよなあ、農業だって…
と再認識させてくれたのがこの新書。

『野菜が壊れる』新留勝行、集英社新書0469B、08年11月、700円+税

「食事で気にすることはなんですか」という問いに
多くの人が「野菜を食べるようにしています」と答えるそうですが、
その野菜が逆に健康を脅かしているとしたら…
そんな農業の実態を問題提起してくれる一冊です。

元気に草を食べていた牛が急死する…
乳児が顔を真っ青にして亡くなる「ブルーベビー症候群」…
茶畑近くにある池の色はあざやかなコバルトブルーで強酸性。
魚はおろかプランクトンさえ生存していない…

いずれも化学肥料を大量に使用したことにより
農産物や水が硝酸態窒素汚染されていることが原因といわれます。

硝酸態窒素は体内に入ると亜硝酸態窒素に変わり
発がん性物質をつくるとされます。
EUでは野菜における硝酸態窒素含有量の基準値があり、
その値を超える野菜は「汚染野菜」として販売禁止とされるそうです。
それでも飲料水の水質基準より百倍以上の値であって
混乱を避けて現実的な数字をだしているようだといいます。
残念ながら、日本には基準値すらありません。

石油由来の化学肥料は土を殺し、
植物は正常な養分吸収ができなくなって、
傷ついた植物は虫や菌類を防ぐことができない…
そんな化学肥料と農薬の悪循環の一方で、
仕事としての農業には化学肥料と農薬は必要だ
というある種の強迫観念はどこからきたのか。

自動車のボディーとなる薄くて軽い錆びない鉄板を作る過程で
硫酸アンモニウムが生成され、それが肥料の「硫安」になる。
化学肥料が低コストででき、輸出品の目玉にもなる。
鉄鋼・自動車業界としては産業廃棄物の処理コストが必要ないばかりか
農家に売って利益にすることができる…
化学肥料は戦後経済発展の一翼を担っていたといえるようです。

他産業を育てるための国策だけでなく、
消費者からは「安く、速く、たくさん」同じ品質のものが
一年中店頭に並ぶよう求められ、
市場経済から生産効率を求められた農家は
化学肥料・農薬の使用について責められる筋合いではない
という筆者の言葉は当事者としてせめてもの救いです。

まだ間に合う。今しかない。
大事なのはつくる者としてのプライドを回復すること
という主張にもにも同感ですし、励まされます。

一般には、安全な食べ物に対して
偽装表示や残留農薬の問題がクローズアップされていますが、
一部の関係者の間では硝酸態窒素汚染の方が問題となっています。

わが家でも数年前から化学肥料を避け、
有機肥料に変えてきていますが、
農薬や化学肥料の草、抗生物質投与の家畜糞のたい肥は大丈夫なのか、
同じように化学物質に汚染された米ぬかは大丈夫なのか、
気になりだしたら何も使えません。
しまいには、何も食べることができなくなります。

それでも生きていかねばなりません。
命を引き継いでいかねばなりません。
そのために、今なにをしなければならないか。
ひとりひとりは何ができるのでしょうか。

天空の格子彩るモズのにえ

2009年01月17日 | 冬の梨畑
スタッフが一人(後継者)増えたこともあり
好天が続いて順調に剪定作業が進んでいます
と、報告したいところですが、
その分、他の者になんだかんだと野暮用ができまして
尻に火がついているのは変わりありません。

今日などは明日の夜には雨が降るというので
まだ起こしていなかった遠くの田んぼにトラクターを走らせました。

天に広がる枝と棚線に彩りを添えるのは
例年のごとくナシ畑の冬の風物詩、はやにえ。
カマキリがそのままの姿でミイラになっていました。


蟷螂の尻つぶされて斧ふる天(加藤楸邨)

寒中お見舞い申し上げます

2009年01月12日 | ネイチャースケッチ
雪(水の結晶)でもあられ(氷)でもない
白い粒つぶのものを「ゆきあられ」と呼ぶそうです。
朝起きたら、一面、白い水玉模様になっていました。

連日、最低気温が零度以下の日が続いています。
暦通りでまったくもって結構なことでございますが…

やはり年齢のせいか、あまりに低い気温は体に応えるようで
朝から全開というわけにはいきませぬ。


戸をあけて驚く雪のあした哉(夏目漱石)

カンパニリズモ

2009年01月11日 | 柏レイソル
イタリアにカンパニリズモ(郷土愛、campanilismo)という言葉があるそうです。
もともと教会の脇にそびえるカンパニーレ(鐘楼)から派生した言葉といいます。
その町の鐘の音の良さ、味わいは、その町の出身者にしかわからない。
そこから、郷土への帰属意識、郷土愛を示すこの言葉が生まれたといわれているそうです。
(小川光生『サッカーとイタリア人』光文社新書382、2008.12)

この本ではイタリアのサッカーチーム30チーム近くを取り上げ、
チームの歴史や地域(都市)との結びつきをひも解き、
なぜ“地元チーム”の応援にそこまで燃えるのかを解き明かそうとしています。

メディア王の支援によってヨーロッパクラスのチームへ復活したミラン。
創設後セリエA初昇格まで99年もかかったシエナ。
人口2,000人弱の村の半同好会チームから出発したキエーヴォ。
89-90シーズンにはマラドーナ、カレカ(!)らを擁して
セリエAを制覇するも、04年には破産。
セリエC1から再出発して07年にA復帰したナポリ。
同じ地盤を持つ二つのチームが戦うダービーマッチの中でも
いちばん熱いのがローマとラツィオの試合。
ラツィオがブルジョア階級のチームなら
ローマは庶民のチームという棲み分けがダービーマッチの
村祭り的な心理状態をより強めているといいます。

今年の元日、レイソルは一つの伝説を作りました。
イタリアでも百年の時間がかかっています。
レイソルもまだまだ伝説を積み重ねていかないと。

二条、桂にさざえ堂

2009年01月10日 | わが家の時時
学生時代の友人たちとの恒例の新年会。
今年は東京ミッドタウン。
その一角にあるフィルムメーカーのギャラリーで
日本の名建築を写した写真展が開かれていました。

パンフレット表紙は桂離宮。

たしか見学は予約制。
以前見学できる機会があったのですが、
参加しなかったのが心残りです。


酔蟹や新年会の残り酒(正岡子規)

二連米選機

2009年01月09日 | 今年の米づくり
久しぶりの小雨模様の一日。
1.85mm網目の選別機で出荷用のコメを再選別しました。

昨年秋に1.80mm網目で選別してありますので
1.85mmで一回通せばよいようなものですが、
せっかく機械が2台あります。
はじめに1.80mmで再選別し、
次に1.85mmで再々選別するという念の入れよう。

機械のやること。
処理能力と処理量のかねあいなどから
ミスというか漏れというか、
最初の1.80mmの網目でも選別されるものも。

大きな粒に揃ったコメになりました。
あとはそれを評価してご購入していただくだけです。


あたらしき年のはじめは楽しかりわがたましひを養ひゆかむ(斉藤茂吉)

掘削+ホース+もみ殻=暗渠

2009年01月07日 | 今年の米づくり
乾燥注意報が出されているうちにということで
地形的にどうしても湿潤になってしまう田んぼに
暗渠(あんきょ)を再設置しました。

田んぼの水位を制御する施設と言えばいいでしょうか。
開閉のできる地下の排水パイプです。
田植えから稲の生育中は排水口を閉めて
地下水位を上げます。
稲刈り時以降は排出口を開けて乾燥させます。
機械による稲作には重要な設備です。

ずいぶん前に、親の代に一度設置してあったのですが、
排水が思うようにいかなくなり再設置したという次第です。

特注のバケットをバックホーにつけ、
深さ60cmほどの溝を開けていきます。
底に細かな穴のあいたホースを通し、
その上にもみ殻を詰めて埋め戻します。
もみ殻は長さメートルあたり60リットル袋一袋を用意しました。
ただし、もみ殻の量は溝の大きさにもよりますので
使用するバケットの形状に左右されます。

もみ殻の量だけでなく、
春になって水を入れたときにトラクターのタイヤが
溝にはまってしまわないよう溝の幅はできるだけ狭い方が
良いとされています。

特殊なバケットを持っている友人に掘削作業を依頼し、
200mものホースも用意しましたので
一年分の収益に相当する費用がかかってしまいましたが、
稲作を続けるための将来への投資です。


この正月、NHKテレビで「お米のなみだ」というドラマが
再放送されていました。

宮城県鳴子で地域のコメ作り、環境を守ろうと
地域の消費者、業者が市場価格より高い価格で買い取るという
運動(「鳴子の米プロジェクト」と呼ばれます。こちらあるいはこちら)をモチーフにした
食料の安定供給をテーマにしたドラマでした。

いよいよ「食の安全・安心」より「食の安定・確保」の時代に
入るかと思わせる内容ではなかったでしょうか。
これからはもっと自給のための農業が注目されてくる
と思っています。
そのための今回の投資と考えれば安いのかもしれません。


去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)

笑い初め、初笑いに初笑顔

2009年01月06日 | わが家の時時
大量のCMが発信する誘惑に負けて
『落語 昭和の名人決定版』(小学館)というCDマガジンを購入。

落語がブームと言われて久しいのですが、
以前からの軽ーい愛好者でした。
年齢的に
名人と呼ばれる志ん生や圓生、正蔵の晩年にも間に合っています。
寄席に出かけていたわけではありません。
ラジオ、テレビで楽しんでいただけです。

最近は100円ショップで落語のCDを探したり、
落語CDが付録になっている雑誌サライを買っていました。
特に車で遠出するときは落語CDが必需品。
音楽を聞くより眠気を防いでくれるような気がします。

手持ちのCDの中での一番のお気に入りは
圓生の「死神」でしょうか。

このCDつきマガジンは12月まで隔週刊で出されるそうで、
演者を選びながら楽しもうと思います。


初笑深く蔵してほのかなる(高浜虚子)