のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

捨て猫の名前のないまま年を越し

2011年12月31日 | わが家の時時
吾輩たちは猫である
でもまだ名は無い
しいて言えばオスとメスと呼ばれている…


わが家でもペットはずいぶん昔に犬を飼っていたのですが
不憫な最後になってしまい
それ以降飼うことをやめていました

この猫たちももとは捨て猫です
生まれたての二匹が腹を空かしてニャアニャアと連日泣いていました
野良猫の子ならいつのまにか姿を見せなくなるのですが
この子らはいつまでも泣いていました

祖母がかわいそうに思い餌をやりだすとすっかり慣れてしまい
いまでは植木鉢のなかで日向ぼっこをしています

右がメス 左がオス
メスの方がかわいがられ上手
腹をみせて撫でられゴロゴロとのどを鳴らせています
撫でている手を舐めてはもっともっとやってって感じ

オスは今でも警戒心はなくならず
隙あらば逃げて行きます
でもこの間 ネズミを捕ってきてじゃれていました
なかなか有望です

そんなわけでわが家の一員になりそうですが、
そこはオスとメス
ネズミ算ならぬネコ算的にねこ家族が増えても困ります

まあ 来年はこんなことぐらいの悩みで済ませていたいものです

今年は皆さまのご厚情とたくさんの励ましの言葉をいただきました
皆さまの新しい年が健やかでありますようお祈りいたします

無主物が蝋に隠れて籠城す

2011年12月29日 | 冬の梨畑
今年 専門用語が一般的になったひとつが「無主物」でしょう

ここでの無主物はナシの梢に宿った
カイガラムシの一種ツノロウムシかカメノコロウムシ
大きさが5mm以上もあるのでツノロウムシだとは思うのですが

この形で成虫なのだそうです
葉が落ちてしまうと白いので目立ちます
たくさんついてしまうと枝を枯らすそうですが
このムシがまとまってついた枝を見たことはありません

ロウ物質をかぶっていますから
農薬で防除するのは難しいのですが
やはり殺虫剤を減らすようになってから
その姿をよく見るようになりました

招かざる客なんですがね

新しき年のまえに新しき月

2011年12月27日 | ネイチャースケッチ
グレゴリオ聖歌かブルガリアンボイスが聞こえてきてもよさそうな
きりっとした三日月の夜でした
月食のように影の部分までうっすらと確認できました

二年前にも同じ話題でしたが
冬至が過ぎて間もないのに
日の入りの時間がもう遅れ始めた感じがします

ということで暦を確認してみますと
今日27日の東京の日の入り時刻は16時35分
冬至の22日は16時32分
実はもっと早い日の入り時刻だったのは
11月30日から12月13日までの16時28分

一番早い頃と比べるとたった7分ですが
人の感覚って案外敏感なようです


三十年半減するころ木は終える

2011年12月26日 | 晩秋の梨畑
まだ晩秋の話題を引きずっています

12月はじめ
ひとつのナシ畑のナシの樹の並木の間に苗木を植えました
写真で株元が白くみえる部分
白く見えるのは保温用に株元の被せたもみ殻です

この畑にこの前 苗木を植えたのは30年ほど前
そろそろあちらこちらの木に傷みが見えてきました
朽ちた幹の部分を外科的処置をしての延命策も
労力を費やした割には効果がいまひとつなのは
技能の差なので致し方ありません

時間がかかりますが
最も確実な対応策は苗木を植えてナシの木を更新すること
またこの苗木たちと30年あまり付き合っていくことになります
もしかしたらその最後を見届けることはないかもしれませんが
後継者に任せることになります

30年といえば あいつの半減期も30年
まだ半分です
あいつとは世代を超えた長い付き合いになりそうです

世の中は核の火のほか想定内

2011年12月25日 | 晩秋の梨畑
年末になって今年を振り返ることが多いのですが
最大の事象は「あの日」のこと

地震も津波も人類は何度も経験しそれを乗り越えてきました
核の火のゴミのような高濃度なものを除けば
放射線だって微量であるなら共存してきました
原始地球には大量の放射線が飛び交い
何らかの作用で放射線量の緩和された環境がつくられ
人類が生まれることができたのでしょう

どのように緩和されたのか
原始生命体 たとえばある種の微生物が
放射線に耐えうる性質を持っていたのではないか
専門家でなくとも想像できます

そんな想像を裏付けるような微生物の実験が行われているようです
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20110527102.htm
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20111209/110252/


その結果が出るまでわが家は待っていられません
いまできることをするまで
ある種の粘土鉱物ゼオライトを畑に散布しました

もともとこのゼオライトは
微量ミネラルや微生物のすみかを供給するための土壌改良剤で
ボカシ肥料の材料としても少しずつ利用していました
今年は少し大量に散布しました
わが家流の折り合いの付け方です

折り合いをつけて厄年暮れにけり

2011年12月18日 | ネイチャースケッチ
            
            
            
            

定点観測している大クヌギです
上から12月4日 10日 16日 17日 18日
16日夕方の寒冷前線通過で落葉が進みました

おととしは12日にはすっかり落葉していますので
今年はさらに一週間は遅れているようです


先日の朝日歌壇の入選歌に次のようなものがありました

たらちねの母の言葉は遠慮がち「フクシマノコメモラッテケッカイ」
(平塚市)三井せつ子

こんな厄年ははやく忘れたいのですがそうもいきません

こうたろうシナノゴールドになつおとめつきあかりは桃で豊華は梨

2011年12月16日 | 梨の品種
伊那に出かけてきたもうひとつの用事は果樹の苗木の購入でした
プロ向けの苗木屋さんで
少量の場合は通販をしてもらえませんので直接受け取りにいきました

苗木のふるさとは写真のような木曽駒ケ岳のふもと
数日前には雪が降ったようです

タイトルのうち「こうたろう」「シナノゴールド」はリンゴ
「なつおとめ」「つきあかり」はモモ
「豊華」はナシ
収穫時期や交配の親和性を考慮してそれぞれ1本づつ
リンゴとモモの栽培はいわば素人
作りやすさも品種選びのポイントです

「シナノゴールド」は黄色種ながら酸味のある品種で
“甘酸適和の優良食味”という評価
「紅玉」好きには期待できそうです

「豊華」は“ゆたか”と読むのだそうです
「豊水」を「幸水」と聞き違えないために“ゆたか”と呼んでいるので
混乱しそうです
果重650g以上で果肉は軟らかく糖度は14%
熟期は9月下旬から10月上旬で「新高」とほぼ同時期
耐病性があって防除回数の大幅削減が期待されるという触れ込みです
リスクの大きな「新高」に代わる品種として試験的に育ててみます

日本で最も美しい村連合

2011年12月14日 | 散歩漫歩
長野県飯田からの帰り道
伊那にある寒天製造メーカーのI食品に立ち寄ってきました

この会社は依然話題になった
『日本でいちばん大切にしたい会社』に取り上げられた会社の一つ
寒天の持つ食物繊維とノーカロリーの機能性を生かした様々な商品を手掛け
地方企業でありながら業績も順調のようです

本社工場に隣接して赤松林のなかに
“かんてんパパガーデン”というミュージアムパークがあって
工場見学やショップ レストランのほか
発表会や展示会の行えるホール
運動能力の測定や食品のカロリーなどを学ぶことのできる健康パビリオンがあり
しかもそれらは社員の手作りガーデンなのだそうです

以前にも一度訪れていて その時
寒天の原材料になった海草の搾りかすからつくった土壌改良剤
があったものですから
また少し購入していこうと立ち寄ったのですが
今度は土壌改良剤を製造販売するだけでなく
それを利用する農業法人までできていて
そこでつくられた野菜までショップで売られていました

このことについて伺うと
周辺の遊休農地を借りてI食品を定年退職した人たちが働いていて
いざというときには社員の食糧を自前で用意できるようにしたいという
目的もあるそうです
収穫に忙しい時には現役社員も農作業に引っ張り出されるとかで
和気あいあいとした社内の雰囲気が伝わってきます
「社員とその家族を幸せにする会社」がさらに展開されているようです

日本でいちばん大切にしたい会社が日本で最も美しい村連合を応援している
というポスターがありました
どういう村がここに参加しているのかと村の名を追ってみると
北海道の美瑛町や大分の湯布院などとともに福島の飯館村の名が…

頂上を見たと思ったら下り坂

2011年12月13日 | アグリママ
わが家の加工部門のこれからを考えるため
長野県飯田にある農産物加工所を見学させてもらってきました

高速道路のICを下りたところに農産物直売所がありましたので
さっそく商品研究です
時節柄に土地柄 商品棚にはリンゴが積まれていたのですが
一面の壁沿いには あるはあるはジュースやらジャムやら
農家ブランドの加工品がずらっと並んでいます

農産物加工所のKさんにその話をしたら
「あれのだいたいはわたしんとこでつくったもの」とか
技術と設備があれば加工受託という業態の可能性はありそうです

帰りの高速道路で山梨県のSAのおみやげ売り場に
飯田の老舗の味噌屋さんの商品棚と対になって
Kさんの造られたリンゴジュースやジャムが並んだ
Kさんブランドのコーナーが設けらていました

タイトルはKさんの口癖だとか
常に新しい展開を模索し続けてなければという姿勢
地元では作業委託農家の商品を邪魔しないようにし
外では自社ブランドで積極的に営業を仕掛けているようです

“子どもたちに安心・安全な食べ物を”というのがKさんの商品コンセプト
これを守りながらも事業が順調に回れば回るほど
経営感覚が必要になるのは必然
逆に経営感覚がなければ事業として続かないのも当たり前
農家の片手間仕事では済みません

農業の6次産業化が盛んに叫ばれていますが
“農家の母ちゃんのつくった田舎の素朴な味”というイメージと
事業経営の実態の間のジレンマはどう折り合いをつけるのか
わが家の答えをみつけなければなりません

してみればいわゆるひとつの通過点

2011年12月05日 | 柏レイソル
あれよあれよという間に昨年のJ2優勝に引き続いて
我がまちのチームがJ1リーグ優勝までしてしまいました

彼らの自信にあふれた試合運びのためなのか
いざ優勝してみるとそれほどの感激は湧いてきません
選手の誰かのコメントにありましたが
彼らの躍進はまだ続くのだそうです

たしかにすぐにクラブワールドカップはありますし
天皇杯だって奪取できる可能性はまだ残っています
来年はACLも戦わなければなりません
普通のチームなら天皇杯も負けてしまえばオフシーズンですが
今年の太陽王はまだオンシーズンです
楽しみの延長戦です

それにしてもこの快進撃
まさか産業界が他のチームにお金を配った結果
なんてことではないでしょうねえ

どうも最近 根が曲がってきたような気がします

我こそは悪人なれば救われん

2011年12月02日 | わが家の時時
今年は浄土宗の宗祖・法然の没後800回忌
その弟子の親鸞も没後750回忌
それにちなみ二人ゆかりの名宝展が開かれていたので上野に出かけてきました

冷たい雨の一日であったのにもかかわらず
会期も最終週に入ったこともあってか
会場は善男善女老若男女が列を作り熱気に満ちていました

実はこの夏にわが家に縁のある弁ねいさんのシンポジウムが地元でありました
そこに“大正の法然”というキャッチがついていましたので
法然という人はどういう人なのか どういう教えなのか
高校の日本史以上の知識がありませんでしたので
少し勉強してみようかと興味を持っていました

             

3.11以降
特に法然さんがブームを呼んでいるようです
平安末期から鎌倉期にかけての末法の世に天災や戦乱が重なった時代が
現代に通じているうえにさらに原ぱつ事故です
なぜ事故を防げなかったのか
自責の念に陥った現代人が「悪人正機説」に救いを求めている
という話にも説得力があります

このときの「悪人」とは
何か倫理的に悪いことをした人という意味ではなく
自分の中の「悪」に気がついた人のことで
みずから悟りを開けなくとも絶対肯定してくれる仏が
救いの手を差し伸べてくれる
そういう思想のようです

             

会場で法然を紹介する本を買ってきました
町田宗鳳『法然・愚に還る喜び 死を越えて生きる』2010.11 NHKブックス1168
松岡正剛『法然の編集力』2011.11 NHK出版

町田さんは20年間臨済宗で修行された後に渡米して神学を学び
いまは法然の研究者として活躍されているという方
一神教には信仰の中に「悪」を取り入れることはないが
闇の世界も信仰の中に取り込み
神を“完璧なる存在”でなく“完全なる存在”とすることで
精神を安定させることができるといった
心理学者のユングにも法然の思想は通ずるといいます

松岡さんは「悟りの仏教」から「救いの仏教」へ編集し直して
ただ一心に「南無阿弥陀仏」と称えれば往生が約束されるという
「専修念仏」を“選択”した法然の編集力に着目しています
そしていま「地震-津波-原ぱつ-被災-喪失-死者-家族-鎮魂-浄土
-南無阿弥陀仏-法然」という連想が切っても切れないといいます

どちらも文明のパラダイム・シフトに際して
法然の思想が大きな意味を持つのではないかと問題提起しています

さわりだけしか読んでいませんが
ああなるほどなあと思うことしきり
しかし どちらの本も大手メディアのもの
もしかして実はこのブーム
原ぱつ事故の責任論から眼をそらさせるためのワナ?