のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ともかくもあなた任せのとしの暮(一茶)

2006年12月31日 | ネイチャースケッチ
この句の中の「あなた」とは仏様だという解説がありました。「この年の暮のこと、何がどうであるにしろ、全部、おまかせしますから、仏さま、ぜんぶよろしく」。そういっているようです。(宗左近「小林一茶」集英社新書0022、2000年)

2006年も無事に越そうという今の実感としてはこんなところでしょうか。

大晦日、穏やかな一日でした。ろう梅も咲き出して、青空に映えていました。来年もまた無事に穏やかな一年でありますように。

今日は餅つきの日

2006年12月30日 | わが家の時時
暮れの30日は毎年、餅つきをしています。草だんごづくりはもう父と母でできるのですが、お供え餅となるとまだまだ祖母の出番です。伸し餅は子供たちが戦力になります。

かつては注文をとってお供え餅や伸し餅をつくっていましたが、最近は自宅、親戚、知人プラスアルファといった程度ですが、それでも朝ごはん後に初めて終わったのは2時。それから搗き立ての餅の遅い昼ごはんでした。

年末はヤツガシラや漬物など正月向けの野菜の直売所出荷で大忙し。30日は餅つき。ようやく31日になって女たちが掃除をしながらのお節作り。時には元日になってもつくることも。男たちは何をしているかというと、梨の剪定。

梨農家の正月は11月に終わっています。剪定作業がはじまればもう農繁期です。作業をしながらのラジオ番組が唯一の楽しみなんですが、番組が正月モードになってしまうのが調子がでない原因です。この正月は、何をして正月らしくしましょうかねえ。

ライ麦、なんとか年内に発芽

2006年12月29日 | 梨の土づくり
各地で大雪になった今日、梨畑の緑肥用ライ麦の発芽を確認しました。播種してから約20日、なんとか年内に発芽してきました。

いつものことながら12月も10日頃になって播種することになってしまいましたが、今年は暖かいし雨も適当にあったのですぐにでも発芽してくるかと思っていたので、待ち遠しいものでした。

播種後にきちんと鎮圧もしたし、発芽条件としてはそろっていたはずです。寒さに会わないと発芽しないのか、それとも覆土が多すぎたのか。


娘のライブ再び

2006年12月28日 | わが家の時時
長女の参加しているバンドがライブをするというのででかけてきました。6月のライブに続いての2回目。冬休みに入ってからは連日練習にでかけていました。揃いの黒いTシャツにデザインを施し、徹夜してウェルカムボードも作っていました。

新曲5曲を披露。6月よりも落ち着いてできました。4月には高三になるというのに、まだ3月と6月に発表する機会をつくりたいとのこと。あるメンバーのお母さんが話していました。「やり抜けないと次に進まないでしょう」って。


期せずして冬の湛水田んぼ

2006年12月27日 | 今年の米づくり
昨日から夜半にかけて冬の嵐が通り抜けていきました。風の被害などはないのですが、すごい量の雨でした。田んぼはどこも水があふれて、畦も隠れてしまいそうです。遠目には代掻きまえのように見えます。

あまりにも水が溜まっているので、排水口が詰まっているのかと回ってみましたら、排水路も水かさが増していてむしろ排水口から田んぼへ水が逆流しているようでした。この嵐がイネのある時期でなかったのは幸いでした。

          

雨と風で空気中のほこりが洗い流されたからでしょうか。わが家あたりからも富士山が一日中見られました。この写真は谷津の伸びる先に富士山が位置している高台からとりました。むかしはいつもこういう景観が見られたのでしょう。地形が改変されるといにしえの生活を偲ぶこともできなくなるわけですから、地形というのも大事です。これからこの谷津のことを富士見谷と呼ぶことにしましょう。

前に押してもリヤカー

2006年12月26日 | 冬の梨畑
今日は大きな雨になっています。畑の仕事はお休み。年賀状を印刷してました。

話は昨日の続きです。これは四輪の運搬車で、リヤカー( rear+car 後方の車の意。自転車の後ろに連結して荷物を運ぶための、ゴムタイヤを付けた荷車)ではありません。でも、使い方としては小回りが効いて似たようなものです。

本来は収穫台車です。20kgコンテナが5つないし6つ乗せることができます。荷台部分の側面にコンパネをつけて、剪定時には剪定枝を運び出すことに利用しています。棚上の枝を地面に落とさずにそのまま台車内に投げ込むことで、枝を拾うという腰をかがめる仕事を省いています。

かつては枝を切る時はどんどん切り落とし、後から枝を拾い集めていました。結局作業が間に合わず、春になって伸びてきた草の間に枝が隠れてしまうなんていうこともしばしば。今は細かな枝の破片でも投げ込んでしまうので、剪定を終えると同時に枝の回収もできてしまいます。

ハンドル部分にぶら下がっているのは太い紙紐。大きなものですが、腰に下げずとも身近に置いておけるので、この点も合格。

枝を台車から軽トラックに載せ換え、自宅に運び即座に焼却するという手順です。これがわが家の今年の剪定枝処理方式。

太い紐、細い紐

2006年12月25日 | 冬の梨畑
梨の剪定作業を進めています。まだ調子が出ないというか、年を重ね気力がなくなりつつあるというのか、今日など午前1本、午後1本しかできませんでした。まあ1本の木が大きくなって枝数が多くなっているとか、隣の木と交雑していて枝の配置がひとひねり必要だとか、日中の時間が短いからとか、いろいろと理由はつくのですが…。

余談ですが、夕方の日の入りが一時より遅くなってきたように思います。冬至が過ぎたからといって数日でそんなはっきり判るまいという声が聞こえそうですが、日の入り時刻が遅くなっていませんでしょうか。日の出時刻も遅くなっていて、日中の時間としては少しずつしか伸びていない。そんな時期があるように思います。実感ですが。

で、剪定時に使っている紐です。直径2mmぐらいの紙と麻でできた紐です。芯の麻紐に紙が巻きつけられています。以前はビニール製の紐を使っていました。インスタントラーメンの包装袋用につくられたビニールシートを紐状に編んだものです。「ラーメン紐」と呼んでいます。

ラーメン紐は安価ですし、多少の伸びる余裕もあるので、枝を結わいつけた時に枝が成長しても紐が枝に食い込まないという農家もいます。ただ、ビニールですから使用済みの紐を回収できずに地面に落ちた時、分解できずにそのまま残ってしまうという欠点があります。わが家では十年以上使ってはいないのですが、地面を掘るとかつての残りかすが出てきます。畑にごみを捨てるようなものだと、今は分解できる資材に変えています。

この紙・麻紐は紙だからといって馬鹿にできません。2年は役目を果たします。そこまで強度がなくていいから、大量に使うのでもっと価格を安くしろとも思うのですが、やっぱりそれだけの強度が必要な場面もありますので、仕方ありません。では、どうやって節約するか。今年からはもっと細い紙紐も用意して、場所によって使い分けています。

          

太い枝を結わいつけるのは太い紐。枝先を固定するような場合には細い紐。腰ベルトには剪定ばさみ、のこぎりに細紐もぶら下げ、二本の紐をずるずる引きずるような、どうも格好悪い姿で畑の中を歩き回っています。

都市という頭 田舎という身体

2006年12月23日 | 農のあれこれ
養老孟司『いちばん大切なこと - 養老教授の環境論』集英社新書0219B、2003年、693円です。

これまでもいろいろな環境論を目にしてきましたが、解剖学の権威の視点は新鮮でした。

環境問題は「人間対自然」ではなく、「意識対身体」「都市対自然」であるといいます。

身体には一億以上の生物が棲みつき、水や物質がたえず入れ替わっている生態系である。なのに意識は、去年の私も今年の私も「同じ私」だとほとんどデタラメの嘘をいう。自然とつきあっていくには予測不能であることを我慢し、わからないことがあってもとりあえずつきあうという辛抱が必要だ。しかし、意識は「ああすれば こうなる」型思考でものごとを単純化していて、自分がいちばん偉いと思っている。いつかは死ぬのに、いつどのように死ぬかわからないことが気に入らない。自分の中の自然とすら折り合いがつかない人たちが、外の自然と折り合えるはずがない、と…

養老教授は最後に、環境問題の解決のために、一年のうち3ヶ月は田舎で暮らして身体を使うことを覚え、同時に外の自然に触れることで考え方を変えなければならないと提案しています。非都市的なりわいをしている農家にとっては都合のいい話ではあるのですが、農家は「ああすれば こうなる」型思考をしていないのかと問われれば、反省しなければならないことも多いようで。

すわ地面が隆起!

2006年12月22日 | 冬の梨畑
って、それほど驚くことはないのですが、昨日まで何事もなかった梨畑の地面が今朝になったらあちこちボコボコと土が盛り上がっています。モグラの仕業ですが、それまで静かだったのにどうして急に動き出すのでしょうか。

「こちとらの行動をみんなわかってたまるか」「よその畑まで遊びにいっていたのだわい」…


「我を見てにがひ顔する蛙哉」 一茶

焚き火も仕事となると…

2006年12月21日 | 冬の梨畑
梨の剪定枝の処理は都市化の進んだ県内の果樹産地では大きな課題になっています。幸い、わが家には多少の煙を出しても周辺への迷惑をかけないと思われる場所がありますので、剪定枝を一時的に溜め置き、春になって作業終了後に気象条件を見計らって一気に焼却するという方法で処理してきました。

それでも大きな焚き火になりますので、風の弱い、できれば小雨模様の日を選んで焼却するということはそれなりに気をつかいます。他の生産者はどうしているかといえば、それぞれに苦労されているのですが、中には「そんな苦労してないよ」という方がいます。

畑の中で焚き火をして、剪定しながら枝を燃しつけてしまうというのです。たしかにその場で焼却処理してしまえば、外に持ち出す手間もなく、大きな焚き火にすることもないので煙も最小限に抑えられます。問題は、その火の番をだれがするかです。小さな焚き火であればあるほど、火が消えないよう枝を集め火にくべなければなりません。わが家にはそういう人手がないものですから、この方法は採用できませんでした。

要は処理すべき剪定枝が発生したら速やかに処理すること。現場で処理できなければ次善の策ということで、ただいま当日中に処理することを試みています。つまり、剪定した枝を昼、夕方の帰宅時に自宅へ持ち帰り、自宅で焼却するというわけです。早朝や昼食時、夕方の時間を見つけて焚き付けます。日中なら留守番役の家人が暖をとりながら火の番をしてくれます。

まだ数日ですが、剪定した枝は翌日には焼却できています。一日に剪定できる量を焼却するにはそれほど時間がかからないということは実証されました。しかし問題点もありまして、休み時間がなくなったということ。いくら焚き火が楽しくとも、それに義務と責任がついてまわりますと、そのうち疲れてくるのでしょうね。


「冬の雨火箸をもしてあそびけり」 一茶

谷津の田は水を湛えて冬迎う

2006年12月20日 | 今年の米づくり
イネのひこばえが霜で白く枯れ果てようとも、排水の悪い谷津の田んぼでは一向に水がひきそうにありません。曇天が続き、西風も吹いてきません。

現象だけをみれば雑草を抑制できる「冬水田んぼ(冬季湛水稲作)」ですが、人も土の中の微生物も鳥たちも事前の準備ができてなく戸惑っているようです。静かな時間が過ぎています。


「とし暮ぬ仕様事なしにおもし(ろ)き」 一茶  

芭蕉ならいかに詠むらむ飛行機雲

2006年12月19日 | 雲図鑑
午後には晴れるという予報でしたが、雲って寒い一日でした。夕方になって西の空に青空が見えてきて、その中を何本ものすじ雲がのびていました。北米と西日本を結ぶ航路になっているのでしょうか。

剪定作業は上向き仕事なので、空が目に入ります。飛行機雲は見ている間にどんどんと姿を変え、数分で消えてしまいます。芭蕉ならこんな宇宙創造をどう詠んだでしょうか。


大根引一本づつに雲を見る  一茶

クヌギもようやく落葉

2006年12月18日 | ネイチャースケッチ
寒気がやってきてスキー場にも雪が積もってきたとニュースが伝えていました。今日は冬らしい天候でした。冬らしくならないかなあと思っていたのですが、畑にいていざ冷たい風が吹くとやはり身が縮まってしまいます。

今日の北風でクヌギの葉もずいぶん散りました。

待人の足音遠き落葉哉  蕪村

転がる実も鳥には冬のデザート

2006年12月17日 | 冬の梨畑
ようやく梨の剪定作業に取り掛かっています。雨模様の日も多くまだ調子が出ませんが、徐々に本格モードに入れるでしょう。

梨の株元にはところどころ収穫前に摘果した実が転がっています。固かった実も時がたって柔らかくなったようで、中には野鳥がきれいに啄ばんでいるものがみられます。カマンベールチーズではありません。

「ひとつは鳥のために、ひとつは虫のために、ひとつは人のために」になんてよくいわれますが、あんな実でも転がしておくのも役に立っているのかもしれません。

台湾やまいももやまいものうち

2006年12月15日 | アグリママ
わが家のこの秋から冬にかけて直売所に出品しているものの中に「台湾やまいも」があります。正式の名称かはわかりません。サカタのカタログにはそう書かれていました。カタログには「大きさと粘りの強さで、大人気」とありました。

ところが、直売所での売れ行きは今ひとつ。なぜかと考えるに大きすぎるようです。写真のいもなど、横幅30cmはありそうです。長く伸びずに太く短いいもになるので栽培も楽。すりおろして箸で掴み取ろうとすると、そのまま掴み上げられるくらいの粘り強さ。栄養的にも長所だと思います。まだ知名度もないうえに、大きいのでどうしても一つあたりの価格が高くなる。これではなかなかお客さんに手に取ってもらえません。

          

ウェブサイトで調べたら、やまのいもは体内の塩分濃度を調整するカリウム、整腸作用をもつ食物繊維が豊富のようです。消化酵素であるアミラーゼが多く含まれていることに加え、ネバネバの正体で胃壁粘膜を保護する糖たんぱく質ムチンも含まれていることから、消化の良いスタミナ食として親しまれています。中国では滋養強壮の薬として昔から利用されてきたといいます。

やまいもの東京中央卸売市場での都道府県別入荷量をみると、千葉県が2、3位。どんどん食べて元気になってもらいたいものです。

アミラーゼは熱に弱いため、消化作用を考えた場合はとろろなど生のまま食べる方法が良いといわれますが、から揚げのレシピも載っていました。

●やまいものから揚げ
すって、塩、むきエビを入れて適当な大きさで油で揚げます。

そんな手間を加えなくても、煮たいもも八ツ頭ともサトイモとも違うほくほくした食感のおいしさになります。わが家の今夜のおかずは「やまいもとがんもどきの炊き合わせ」でした。

●やまいもとがんもどきの炊き合わせ
やまいもを食べ易い大きさに切って、酒、砂糖、みりん、がんもどきを加えて煮て出来上がり。